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2017年12月

2017年12月31日 (日)

「公正さ」が問われ続けた2017年/日本の針路(360)

暮れて行く2017年をどう総括するか?
2月に森友学園に対する国有地の売却に関して、疑惑が持ち上がった。
発端は同学園が小学校の開設を予定している豊中市の市会議員が抱いた疑問だった。
1.なぜ、「9割引き」だったのか
2.なぜ、価格が非公表だったのか
3.なぜ、購入前に基礎工事が始まっていたのか

同小学校は、本で初めてで、かつ唯一の神道の小学校」の触れ込みで、日本会議の有力メンバーだった籠池泰典氏が理事長を務める学校法人だった。
安倍昭恵夫人が名誉校長でもあった。
⇒2017年2月21日 (火) 森友学園スキャンダル/アベノポリシーの危うさ(135)

高橋洋一氏が「既存メディアの「窮状・劣化」感じた1年 もっと「エビデンス」重視を」という記事を書いている。
確かにそう感じられる面もあるが、「窮状・劣化」と言うならば、まず第一に政権であり、その政権を擁護する発言を続ける高橋氏自身ではないのか?

高橋氏は、「森友学園については、初期段階の近畿財務局が地中ゴミでの説明不足等の事務チョンボ」だと矮小化する発言を続けてきた。
森友問題の本質は「説明不足等の事務チョンボ」などではない。
財務省や国交省にミスがあり、その責は負わなければならないが、そのミスの根底に安倍首相夫妻の存在があったのを、故意か無意識にか分からないが、問わないのは本質を見誤っていると言わざるを得ない、
⇒2017年12月20日 (水) 森友疑惑(62)核心を示す録音記録/アベノポリシーの危うさ(331)
⇒2017年12月 1日 (金) 森友疑惑(60)高橋洋一氏の的外れ/アベノポリシーの危うさ(323)

さらに看過できないのは、籠池夫妻の未決拘留の長期化である。
治安維持法が稀代の悪法になったのは、未決拘留という手段で、政治目的を実質的に実行してきたことにある。
私は、籠池氏などが行っていた幼児教育には真っ向から反対である。
⇒2017年2月24日 (金) 森友疑惑(4)系列幼稚園と日本会議/アベノポリシーの危うさ(138)
⇒2017年2月25日 (土) 森友疑惑(5)特異な法人への破格の優遇/アベノポリシーの危うさ(139)
⇒2017年3月 2日 (木) 森友疑惑(10)幼稚園運動会の園児宣誓/アベノポリシーの危うさ(144)

しかし、民間人の国会招致には慎重だと言いながら、自分に不利な証言をされると、意趣返しのように長期勾留をためらわない安倍政権にはより強く反対したい。
⇒2017年3月21日 (火) 森友疑惑(28)籠池理事長は窮鼠か?/アベノポリシーの危うさ(163)
⇒2017年7月31日 (月) 森友疑惑(53)籠池前理事長夫妻逮捕より先に・・・/アベノポリシーの危うさ(267)
籠池氏らの教育は私立で行われており、選択の自由があるが、政権の姿勢は全国民が被るからである。

その後、安倍首相が自ら腹心の友と呼ぶ加計孝太郎氏が理事長を務める加計学園の岡山理科大が今治市解説する獣医学部の認可を巡り「加計疑惑」が取りざたされた。
岩盤規制に穴を開けるための行為だったのか、特定利害関係者が優遇される行政の歪だったのか?
何故か2016年度の私大に対するブランディング事業補助金が、加計学園に「だけ」認められている。
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東京新聞12月31日

「モリカケ」疑惑の根底は、「公正さ」にある。
「公正さ」を欠かす要因となる「忖度」という普段は余り使うことがない言葉が、お笑いの世界まで席巻した。

「公正さ」が問題視されたのは政界だけではない。
経済界・実業界も同様だった。
日本を代表すべき企業の不正が相次いだ。
⇒2017年10月29日 (日) 日本を代表するメーカーの不正(続)/技術論と文明論(81)
⇒2017年12月19日 (火) リニア不正は大疑獄に発展するか?/日本の針路(358)

そして不正は大企業だけでなく、ベンチャー企業も同様だった。
⇒2017年12月21日 (木) スパコン疑惑の核心としての官邸人脈/アベノポリシーの危うさ(332)

森友学園疑惑もそうであるが、神道のあり方が改めて問題になった。
富岡八幡宮という紛れもない神道の聖域で、神職が係わる殺人事件が起きた。
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【富岡八幡宮】宮司・富岡長子が襲撃された時の状況が怖すぎる件…

そして、日馬富士の暴行問題を端緒とする角界の騒動が世間を賑わせている。
角界では過去にも「かわいがり」と称する暴力行為で死に至ったケースがある。
今でも暴力的な指導は日常的に存在すると言われている。
指導に暴力は不可欠なのか?

相撲協会は、被害者側であることは明白と自ら言っているにも拘わらず、貴乃花親方に降格処分を下すべく評議員会に諮ることを決めた。
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東京新聞12月29日

貴乃花親方にもオカルト的な感じがすることは否めないが、まずは告発者であると捉えるべきだと考える。
先ずは、「何を正義と考えるか=公正さ」の基準を、協会も貴乃花側も明確にすべきであろう。

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2017年12月30日 (土)

マルチ商法と安倍首相周辺の怪しい関係/アベノポリシーの危うさ(333)

磁気医療器のオーナー商法と言われるジャパンライフという会社がある。
高齢者を中心に多額の資金を集めていたというが、12月26日に銀行取引が停止になり、資金繰りに行き詰ったことが明らかになった。

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東京・千代田区にあるジャパンライフの本社ビルは今月23日以降、人の出入りがなく、27日も取引先と見られる人が時折訪れては帰っていく様子が見られました。
ジャパンライフの代表の電話番号は27日もつながらない状態ですが、担当者直通の番号にかけると、社員が電話に出て「この番号は顧客の解約や問い合わせを受け付ける番号になっている。クレームや解約の申し込みなどの電話が寄せられている」と話しました。
ジャパンライフは全国の営業を停止し、本社には顧客対応の社員しかいないということで、この社員は「会長から『倒産はしていない。事業は継続する』と聞いている」と話しました。
ジャパンライフ消費者庁の対応は
「ジャパンライフ」が銀行取引を停止されたことについて、これまでに4回の行政処分を行った消費者庁の岡村和美長官は会見で、「契約者に真摯(しんし)に対応するよう求めていくとともに、消費者への情報提供等に努めたい」と述べました。
ジャパンライフをめぐっては、債務超過となっていたことを隠して契約を結んだり、解約しようとした顧客を妨害したりしたなどとして、消費者庁は去年12月以降4回にわたって業務の一部停止命令を出しています。
「ジャパンライフ」銀行取引停止に 一夜明けた本社は

こともあろうに、このジャパンライフに、消費者庁の元職員が天下っていた可能性があるという。

 内閣府再就職等監視委員会は16年3月、元消費者庁の人物が、利害関係のある企業に情報提供を行った上で入社していたことを公表。国家公務員法に違反すると認定していたが、企業名は伏せられていた。
 ITmedia ビジネスオンラインの取材に対し、消費者庁は「かつての職員が利害関係のある企業に天下りしたことは事実だが、入社先がジャパンライフかどうかは回答を差し控える」とコメント。「現在は、再発防止に向けた取り組みを進めている」とした。
 ジャパンライフは、磁器治療器などの商品を宣伝した顧客に報酬を支払うなどの「マルチ商法」を行っていた。12月20~21日に手形が不渡りとなったため、26日に銀行取引停止処分を受け、事実上倒産していた。
消費者庁職員、ジャパンライフに天下りか 在職中に情報提供?

さらに驚くべきことには、この悪名高い会社に、安倍首相の側近が深く関係していた疑惑が報じられている。

 今国会では、安倍政権が森友疑惑の幕引きのために必死だが、そんななか、安倍首相の側近中の側近である現役大臣に、有名マルチ商法の“広告塔”疑惑が浮上した。
 先月、東京に本社を置く預託商法大手・ジャパンライフ社に、家庭用磁気治療器の預託取引や訪問販売などで法令違反が認められたとして、消費者庁が9カ月の一部業務停止を命じた。ジャパンライフ社の山口隆祥会長はマルチ界隈での“レジェンド的存在”。マルチ商法が社会問題になっていた1975年には国会に参考人招致され、85年には再び「マルチまがい」との批判が殺到し国会集中審議入り、また90年代前後には韓国の合弁会社が大規模なマルチ商法被害を引き起こし、91年には関税法等、95年には薬事法違反の疑いでたびたび書類送検されている。
 実は、このジャパンライフ社については、悪質商法を行っている疑いがあるのに処分が遅れたという見方があり、今月5日の国会で共産党の大門実紀史参院議員が追及。今回の業務停止命令が、15年9月の立ち入り検査から1年3カ月も遅れた背景に、消費者庁の課長補佐が同社に天下りしていたほか、複数の高級官僚OBが同社の「顧問」などに就任していることが働いたのではないかと指摘。さらに、下村博文元文科相への政治献金もあったことを暴露した(しんぶん赤旗6日付)。
 大門議員は11日の参院財政金融委員会でも引き続きこの問題を追及。そのなかで、現役大臣で安倍首相の側近議員でもある加藤勝信・一億総活躍担当相の名前が飛び出したのである。
 大門議員によれば、加藤大臣は今年の1月13日にジャパンライフの山口会長と会食をしていたという。さらに山口会長は、内部向けの宣伝チラシで、加藤大臣のことを「ジャパンライフの取り組みを非常に高く評価していただきました」と紹介していたという。この意味について、国会で大門議員はこう解説した。
「(ジャパンライフに対する)1回目の(行政)処分が(昨年)12月16日にありまして、(同社の)なかが非常に動揺している時期ですね、契約者も本当に大丈夫ですか?だまされているんじゃないですか?と動揺している時期に、加藤大臣の写真入りで山口会長と会食したということが宣伝されて、安心してください、と、いまの大臣も評価してくれているんです、と、いうことで、内部向けにチラシが撒かれているわけです」
 ようするに、加藤大臣はジャパンライフの“広告塔”であり、メンバーを安心させる“印籠”になっていたというのだ。
倒産した悪徳マルチ企業・ジャパンライフと安倍首相側近・現役閣僚の黒い関係! 行政処分妨害疑惑も

そして、あの昭恵夫人である。
関係者と親密な関係にあるというのだ。

 写っているのは、モリカケ疑惑でも問題視された昭恵夫人だ。笑顔を浮かべる夫人の隣にいるのは、10月27日に消費者庁から3カ月間の一部業務停止命令を受けた「48ホールディングス(HD)」の淡路明人会長である。48HDは「公開前に購入すれば、1カ月半後には10倍に値上がりする」などとウソを言って仮想通貨を販売。マルチ商法まがいで3万5000人の会員をかき集め、この2年で約220億円を売り上げたという。
 ジャパンライフと48HDには接点がある。48HDの渡部道也社長はかつてジャパンライフの取締役を務めていたのだ
「2016年のジャパンライフの会社案内で、渡部氏は『取締役香港支社長』の肩書で紹介されています。ジャパンライフの山口隆祥会長と関係が深く、ネットワークビジネス業界では知られた存在です」(専門紙記者)
 淡路会長については、毎年4月に首相が主催する「桜を見る会」で、安倍首相や菅官房長官と一緒にいる写真までネットに出回っている。
 ジャパンライフは安倍政権との蜜月関係を背景に問題ビジネスを続けてきたのか。実は、安倍官邸も事が大きくなるのを恐れているという。
「消費者庁は17年3月に行政処分を下した後、新たな追加措置を検討していた。しかし、官邸からストップがかかったといいます。当時はモリカケ疑惑が国会で紛糾中。官邸は、ジャパンライフ問題を突くと、新たな疑惑が噴出しかねないと判断したとみられています」(永田町関係者)
 結局、消費者庁は今月15日に1年間の一部業務停止命令を下したが、これが“ユルユル処分”なのだ。
「ジャパンライフは16年末に1回目の行政処分を受けた後も、手を替え品を替え、ビジネスを続けてきました。一部業務停止命令など、痛くもかゆくもないということです。事を荒立てたくない官邸が消費者庁と“調整”し、処分の程度を緩くした可能性があります」(前出の永田町関係者)
 ところが、今月20日に被害対策弁護団が告発したことで事態は動き、大手メディアもこの問題を報じ始めている。ある野党議員は「通常国会で追及する」と意気込む。新たな“アベ友”疑惑が、年明けの国会で炎上するかもしれない。ジャパンライフの陰に安倍昭恵夫人と報道 新たな“アベ友”疑惑の浮上を懸念

こんな疑惑塗れの政権を支持している人たちの精神が分からない。

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2017年12月29日 (金)

原発稼働と核ゴミ処理/技術論と文明論(86)

原子力規制委が、東京電力柏崎刈羽原発6、7号機(柏崎市、刈羽村)が適合性審査に合格したと発表した。
しかし、米山隆一知事は3~4年を見込む福島第1原発事故をめぐる新潟県独自の検証が終わるまで、再稼働の議論には入らないとの姿勢を堅持している。
当然であろう。
適合性審査合格は必要条件であるに過ぎない。
必要条件は、必須条件と訳した方がニュアンスがはっきりする。
最低限の条件である。
⇒2017年12月28日 (木) 電源パラダイムと原発の不良資産化/技術論と文明論(85)

必要性と必要条件はまったく異なるのだが、意識的に混同しているようなフシも感じられる。
また原発推進派は、稼働していてもしていなくてもリスクは同じ、などと主張する。
稼働すれば、核ゴミが発生するのだから、同じであるわけがない。

核ゴミの問題が解決しない限り、原発再稼働をさせるべきではない。
核ゴミすなわち放射性廃棄物 radioactive waste)とは、使用済みの放射性物質及び放射性物質で汚染されたもので、以後の使用の予定が無く廃棄されるものを言う。
約10万年の期間、生活圏から遠ざけておくことが必要であるが、それを保証すると言えば、いかに無責任かが分かるだろう。
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東京新聞12月25日

核ゴミを積極的に受け入れる自治体がないのは当然であろう。
こともあろうに、この核ゴミ処分の説明会に、謝礼を払って学生等を動員していたことが分かった。
まるでドラマのエキストラでも集めるかのような感覚である。
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東京新聞12月29日

元請けは電通である。
私は、電通の優れたマーケッターやクリエイターと付き合いがあったが、会社としての電通は、明らかに曲がり角に立っている。

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2017年12月28日 (木)

電源パラダイムと原発の不良資産化/技術論と文明論(85)

広島高裁が、伊方原発の運転を差し止めるという歴史的な判断を下した。
火山列島であるにも関わらず、巨大噴火に無頓着な原発推進に待ったを掛けたのである。
⇒2017年12月14日 (木) 伊方原発に高裁が停止命令/技術論と文明論(82)
⇒2016年10月 9日 (日) 巨大噴火リスクにどう備えるか/技術論と文明論(77)

伊方原発に限らず、今年は原発にとって大きな転換を示す年だった。
12月27日、原子力規制委は東京電力柏崎刈羽原発の適合性審査に合格を出した。
これは技術審査であって、再稼働すべしということでは全くない。
必要条件と十分条件の違いである。

今や「原発の不利」を示す論拠には事欠かない。
歴史的な岐路を迎えているのである。
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東京新聞12月26日

先ごろ一般公開された外交文書で、1986年4月のチェルノブイリ原発事故の一端が明らかになった。
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東京新聞12月21日

当時のシュワルナゼ外相が「平和な状況の下においても、核エネルギーは制御し得なくなった」と発言している。
この言葉にも拘わらず、日本(自民党政権)は原発推進を続け、25年後に福島原発事故を招いてしまった。
吉本主義者を自称している副島隆彦氏などは、吉本隆明『「反原発」異論』の巻頭で、吉本隆明の「原子力の研究をストップさせてはならない」という言葉を「原発を稼働させるべきである」と曲解した解説を書いている。
核の研究を続けるということと、現時点で核分裂を電源として使うべきだということとはまったく異なる。
原理論と段階論は、区別して考えなければならない。

現に福島県内には、未だに線量が高い箇所が残っている。
多くの帰還困難者がいるのである。
「この線量は健康被害をもたらすレベルではない」と言われても、子育て世代などは自分たちは帰らないと言うだろう。
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東京新聞12月26日

人類といえども、生態系の中でしか生きていけないことは、水俣病をはじめとした多くの教訓が教えるところではなかったか。
安倍政権のように、原発に拘っていると、エネルギーのパラダイム・チェンジに後れをとるだろう。

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2017年12月27日 (水)

安倍政権「羊頭狗肉」の5年/日本の針路(359)

第二次安倍内閣の発足は、2012年12月だった。
つまり満5年の長きにわたり政権を維持していたことは事実である。
首相自身は企業の業績改善や株価上昇といったプラス面を強調しているが、高株価は日銀の“異次元緩和”政策の中で進めるETF(上場投資信託)購入によって支えられていることは周知のことである。
その結果、下図のように日銀が実質的に上場企業の「大株主」となってしまっている。
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日銀が「大株主」になる企業100社ランキング!

安定株主という見方もできようが、果たして資本主義の健全な姿と言えるだろうか?
一方、華々しく「すべての女性が輝く社会」を掲げて、女性活躍に力を入れてきたが、そちらの成果はどうか?
安倍政権にとって、がっかりさせられるような数字が先月、発表された。

 ダボス会議で知られるスイスの財団「世界経 済フォーラム」が毎年公表している「男女平等度評価」のランキングだ。政治、経済、教育、 健康の4分野での女性の地位を分析、数値化し たもので、日本は144カ国中114位。前年 よりも順位を三つ下げ、主要7カ国(G7)で は最下位。1位アイスランド、2位ノルウェ ー、3位フィンランドで米国は49位、中国は 100位だった。
男女平等度評価 2013年 105位
  14年 104位
  15年 101位
  16年 111位
  17年 114位
(「世界経済フォーラム」調べ)
安倍政権の5年、厳しい国際評価 目先の「成果」強調するが…将来考えてる?

振り返ってみれば、選挙のスローガンと選挙後の施策の乖離が目立つ政権だった。
「秘密法」「安保法」「共謀罪」等、多くの国民の反対を押し切って強行してきた。
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東京新聞12月26日

まるで、選挙に「勝てば官軍」であるかのようだ。
明治150年を機会に、「勝てば官軍」の発祥と帰結を検証すべきであろう。

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2017年12月26日 (火)

生態史と文明史の交錯という視点/技術論と文明論(84)

掛谷誠さんの著作集第1巻『人と自然の生態学』京都大学学術出版会(2017年12月)が刊行された。
専門的な論文集であり、私の辿ってきた分野と異なるが、旧友に捧げるオマージュと思って購入した。
⇒2015年4月20日 (月) 掛谷誠・「伊谷純一郎『アフリカ紀行』」の解説/私撰アンソロジー(35)
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同書の帯の篠原徹(滋賀県立琵琶湖博物館・館長)の推薦文は以下のようである。

掛谷誠は,日本の農山漁村やアフリカの原野に生きる人びとの「生きざま」の研究から生態人類学をリードし,地域の在来性がもつポテンシャルに未来をつくる力を見いだした。自然のなかで生きる人びととともに思索し実践してきた人類学者のこの論集は、混乱する世界にあって,未来を志向する私たちの「生きざま」にひとつの指針を示している。

巻頭に載っている写真を眺めながら「そういうことなんだなあ」と納得した。
個々の論文は、素人にはとっつき難いものではあるが、自然科学ではないので何とか読めそうである。
初期の弘前大学時代のものとして『生態史と文明史の交錯-白神山地における自然と生活の生態史をめぐる諸問題』に目を通してみた。
タイトルからして梅棹忠夫氏に憧れて、工学部電気工学科から理学部に転学部した彼らしいと思う。
⇒2017年1月14日 (土) 「日本3.0」と梅棹忠夫/日本の針路(319)

白神山地は、世界遺産に登録されている原生的なブナ林で知られる。
昨年の夏、友人たちと東北の祭り紀行の際に、白神山地のごく一部を探訪した。
Wikipediaには以下のように解説されている。

全体の面積は13万haでそのうち約1万7千ha (169.7km2) がユネスコの世界遺産(自然遺産)に登録されている。青森県側の面積はそのうち74%の126.3km2を占め、残る43.4km2は秋田県北西部にあたる。なお、白神山地は法隆寺地域の仏教建造物、姫路城、屋久島とともに、1993年、日本で最初に世界遺産に登録された。
白神山地は、世界遺産登録地域の外側にも広大な山林を持ち、通常は、登録地域外も含めて呼ばれることが多い。その中でも特に林道などの整備がまったく行われていなかった中心地域が世界遺産に登録されている。

掛谷論文の初出は1990年3月発刊の調査報告書であるから、執筆当時は登録前であった。
白神山地に「青秋林道」という道路計画があった。
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誰も紹介しない津軽

掛谷氏らの調査は、「青秋林道」の自然保護運動の評価を1つの軸として行われたものである。
掛谷氏は、発展途上県の青森県・秋田県が、国内の第三世界であると喝破している。
その上で、末尾に次のような文章を置いている。

 近い将来には、「野生」こそが、もっとも高い付加価値を生み出す源泉となるであろう。このような見通しに立てば、白神山地に残る大規模な原生的ブナ林は、遺伝子資源の宝庫としての重要性を含めて、きわめて大きなポテンシャルをもっているということができる。そのポテンシャルを生かすことこそが、地域の豊かな未来につながる道ではないだろうか。

山本幸三前地方創生相は、アフリカ友好に熱心な議員を「何であんなに黒いのが好きなんだ」と言った。
そのアフリカをライフワークの場とし、大きな研究成果を挙げながらまだまだやりたいことがあったのではないかと思うと、残念である。

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2017年12月25日 (月)

「今年の漢字」に対する私の違和感/ブランド・企業論(70)

年末の恒例行事となっている日本漢字能力検定協会のキャンペーン「今年の漢字」。
2017年の世相を表す「今年の漢字」は、「北」とされ、「漢字の日」にあたる12月12日、京都・清水寺で発表された。
例年のように、清水寺の森清範貫主が揮毫したが、森貫主はその場で知らされるという。
言わば、ぶっつけ本番である。

1位の「北」には7104票が集まった。北朝鮮のミサイル発射や核実験の 強⾏、九州北部豪雨、北海道産のじゃがいもの不作、北海道日本ハム の大谷翔平選手や清宮幸太郎選手、競馬キタサンブラックなどが選ばれた理由として挙げられた。
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今年の漢字は「北」 その理由は?

まあ、一種の遊びであろうからどうこういうこともないだろうが、理由がいかにも無理しているような感じがする。
松尾貴史氏が次のように言っているが、同感である。

 もう少し、「なるほど」とうなずける文字はなかったのか。確かに、「北」朝鮮の行儀の悪い挑発には辟易(へきえき)させられたが、そんなもので今年を象徴されるのは片腹痛い。九州「北」部豪雨というのもこじつけが過ぎるのではないか。まだ「北」海道産のジャガイモの不作のほうが「北」の意味がストレートだが、今年の漢字の理由に数えるのは無理やりな気がする。
・・・・・・
 とはいえ、これは一般公募で多数だったという決定であって、審査員が選ぶようなシステムならば別の文字が選ばれた可能性も高いと思う。逆にいえば、これは政権による「北の脅威を煽(あお)ること」が成功している証しなのかもしれない。
 私が今年の漢字を投票するなら、「隠」だろうか。資料、書類、証拠を「隠(いん)」蔽(ぺい)し、逆に証拠「隠」滅も逃亡の恐れもない森友学園の籠池泰典氏を「隠」すために、さながら禁錮刑のような扱いで閉じ込め続け、疑惑満載の加計学園の加計孝太郎理事長や安倍晋三総理大臣の妻昭恵氏は「隠」れ続けた。これほど「隠」し事が取りざたされる一年も無かったのではないか。
 「操」という漢字も捨てがたい。「印象操作はやめていただきたい」と言っていた人の繰り出す印象「操」作の数々に、翻弄(ほんろう)され続けた一年でもあった。経済政策がうまくいっているふりをするための株価「操」作や、各交通機関の「操」作ミスも多かった。裁判所や警察、原子力規制委員会、検察審査会、一部の報道機関が、政権に「操」られているのではないかと感じることも多かった。
 もうひとつ、「難」という字もふさわしいかもしれない。「国難突破解散」と、自身の「難」を隠すためとしか思えない奇妙な解散をして、彼自身が国「難」であることを指摘する人も多かったが、与野党の非「難」合戦もかまびすしかった。官僚たちの「難」解な答弁にあきれた。日本海の「難」破船や遭「難」者の増加もあった。山中伸弥教授らによる研究で「難」病の治療法に光が差したということもある。
松尾貴史のちょっと違和感

いずれにせよこじつけ感が残るのは、そもそも漢字一字で代表させることに無理があるのだろうが。
私は一字という制約を外せばもう少し考えようがあるように思う。
例えば、「排除」である。
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東京新聞12月24日

驕慢な小池都知事の言動や安倍首相の「こんな人たち」という言葉を忘れないためにも。
ついでに「今年の漢字」に比べるとマイナーではあるが、「大人げない発言大賞」というアワード(?)がある。

 今年もまた貫禄の大人げない発言を連発して、我が国の大人げないシーンを力強く牽引してくれたのが、安倍晋三首相です。さすが我らがリーダーです。
 とくに着目したいのが、2月に衆院予算委員会で、森友学園をめぐる疑惑を追及された際の発言。
「私や妻が関係していたということになれば、まさに私は、それはもう間違いなく総理大臣も国会議員もやめるということははっきりと申し上げておきたい」
 安倍首相自身や昭恵夫人が「何の関係もなかった」と言い張るにはどうしても無理があります。安倍首相には「なぜこんなに強気だったのか不思議で仕方ないで賞」と、もっとも栄誉ある(?)「金賞」を贈らせてください。盾とか賞状とかはありませんが、気持ちだけでも受け取っていただけたら幸いです。Ws000000
安倍首相が金賞! 「大人げない発言大賞」を石原壮一郎が選んだ

「今年の漢字」に比べれば、よほど納得的である。

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2017年12月24日 (日)

沼津市が「高尾山古墳」保存の最終案/やまとの謎(122)

沼津市が懸案だった「高尾山古墳保存と計画道路整備」について、最終案を発表した。
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東京新聞12月22日
大要以下の通りである。
4車線の道路の西側2車線をトンネル、東側2車線を一部橋梁とする方式で、工期は2020年代後半、工費は概算で35~40億円。
2015年6月の沼津市定例市議会で、道路建設のため墳丘取り壊しを伴う調査予算が可決された。
遺跡破壊の崖っぷちであったが、各方面から遺跡保存の要望が高まり、栗原裕康前市長が執行を停止するという判断をした。
当時現場を視察した議員の一人は、「こんなもの早く潰してしまえ」と言ったそうである。
当時の議会の雰囲気が窺える。
⇒2015年6月25日 (木) 高尾山古墳が存亡の危機という非常事態/やまとの謎(104) 

同古墳は東日本最古級と推定される。
関心は全国に広がり、中沢新一氏が「週刊現代」に連載中の『アースダイバー』で取り上げたりした。
築造が230年頃、埋葬が250年頃と推定されている。
卑弥呼の墓と言われている奈良県桜井市の箸墓古墳は250年頃の築造とされているから、ほぼ同時期である。
発生期の古墳として、重要な意味を持つ。
箸墓が前方後円墳、高尾山が前方後方墳という型式上の差異は何を意味しているか。
2016年2月、沼津市民文化センターで「狗奴国サミット」が開催された。
狗奴国は邪馬台国のライバルだったとされるクニであり、高尾山古墳の主が狗奴国と関係があるのではないかという説があることの縁である。
⇒2015年6月17日 (水) 高尾山古墳の主は卑弥弓呼か?/やまとの謎(103)
前方後方墳は東国に多いとも言われる。
ヤマトが全国的な統一を果たす前に、各地はどう統治されていたのだろうか。
日本国建国プロセスに係わる重要なランドマークであり、保存されることになったのは喜ばしい。
最終案とはいえ、今後検討していくべき課題も少なくない。
駐車場や見学施設を含めた総費用はいくらであり、それをどう負担するのか?
しかし、遺跡は単なる文化財ではなく、文化遺産である。
⇒2015年9月15日 (火) 高尾山古墳の文化遺産学/やまとの謎(107)
加藤秀俊・川添登・小松左京監修、大林組編著『構想と復元』に、仁徳天皇陵(大仙陵古墳)等の復元シミュレーションが載っている。
監修者は、大阪万博の企画に係わったメンバーで、京都を拠点とするユニークなシンクタンクだったCDIのメンバーである。
同じような発想で、高尾山古墳の工法、工期、工数はどう考えられるであろうか。
同書のサブタイトルは「歴史から未来へ」であるが、未来を考えるためには、歴史を知る必要がある。
高尾山古墳は地域の宝であると同時に、全国の宝である。
せっかく保存するのであれば、そのポテンシャルを活かす方策を考えるべきであろう。

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2017年12月23日 (土)

ケセン語訳『石川啄木のうた』/私撰アンソロジー(51)

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新井高子編著『東北おんば訳 石川啄木のうた』未来社(2017年9月)

帯に、俵万智さんが書いている。

訳というのは、単なる言葉の置き換えではない、心の共有なのだと感じました。
啄木の心を、おんばの声で聞くとき、東北の強さ、深さ、自在さが伝わってきます。

この言葉を見て、米原万里さんの『不実な美女か貞淑な醜女(ブス)か』新潮文庫(1997年12月)を思い出した。
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翻訳とか通訳の場合、次のような分類軸を考えてみる。
 不実-貞淑:原文への忠実性
 美女-醜女:言語的な美醜

翻訳された言葉の評価を考えた場合、不実な美女が好ましいか貞淑な醜女が好ましいか。
「貞淑な美女」が好ましいのは当然であろうが、この2軸は独立的なので、不実な美女を選ぶか貞淑な醜女を選ぶか、ということが現実にはあり得る。
米原さんは、実務的なケースでは貞淑性が、雰囲気を重視するなら美醜が大事としていたと思う。

ところで、冒頭の啄木の「東海の小島の磯の・・・」の歌に関し、西脇巽『石川啄木 東海歌の謎』同時代社(2004年1月)は、「東海とは何処か」を問うている。
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そんな設問を考えてもみなかったが、東海という言葉でまず頭に浮かぶのは、東海道という場合の「東海」であろう。
しかし年譜を見ても啄木と東海地域との係わりは特にない。
啄木の娘婿・石川正雄は、原歌は「北海」だったが、推敲して「東海」にしたという。
「北海」であればすっきりするように思うが、その分象徴性は薄くなるように思う。

啄木が小説家を目指していた明治末葉は、近代の書き言葉がようやく確立されようとしていた時期である。
二葉亭四迷らの「言文一致運動」が、夏目漱石らの文学作品として結実しつつあった。
岩手県生まれの啄木は、少なくとも子供の時期は方言で話をしていたであろう。
それが、標準語で小説を書くのであるから、執筆はストレスフルであった可能性が高い。
まして小説に対する世評は余り芳しくなかったのだから。

そんな啄木にとって、東北の玄関口であった上野駅で「ふるさとの訛」のある言葉を聞くことは大きな慰謝であっただろう。
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明治29年、三陸海岸を大津波が襲った。
盛岡中学時代に啄木は初めての「海の旅」として三陸海岸を訪れ、生々しい爪痕が残っているのを見た。
それが多感な少年に強い衝撃を与え、一種の原体験となったであろうことは想像に難くない。
そんな経緯を考えると、「東海」の歌には三陸海岸の記憶が刻印されているような気がするが・・・。

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2017年12月22日 (金)

エルサレム問題の「義」と「利」/世界史の動向(58)

国連総会(UN General Assembly)で21日、エルサレムをイスラエルの首都と認定した米政府の決定を無効とする決議案の採決が行われ、賛成128、反対9、棄権35の圧倒的多数で採択された。
安倍首相は、涙ぐましいほどにトランプ大統領との蜜月を演出してきたので心配だったが、賛成票を投じた。
外務省幹部は「あえて反対する理由が見当たらないし、棄権という選択肢は米国との関係でも何らプラスに働くものではない」と説明している。
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米のエルサレム首都認定「無効」国連決議、賛成128反対9で採択

エルサレムは、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の3大宗教の聖地である。
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東京新聞12月7日

このように微妙な問題に、思いつきのように判断を出すのがトランプ流であろうか?
米国の決定に反対するなら、財政支援をやめるというスタンスのトランプ大統領の言辞が諸国の批判を招いている。
そんなことは織り込み済みで、トランプ大統領は米国が他国のために財政を支出することに消極的であるから、財政援助を減らす理由にしたいという見方もできよう。
しかし人間にとって経済はもちろん重要であるが、場合によっては敢えて経済的に不利な選択を取る場合もある。

 パレスチナ自治政府のハムダラ首相は21日、ツイッターに「エルサレムの保護とパレスチナの人々の権利を支持するため、法的、道義的責任を果たすよう望む」と投稿し、決議案に賛成票を投じるよう訴えた。
 トルコはイスラム諸国でつくるイスラム協力機構(56カ国とパレスチナ)の議長国として、国連総会の開催を求めた。チャブシュオール外相は国連総会へ出発前の20日、イスタンブールで会見し、「名誉ある国は米国の圧力に屈しない」と強調した。ユルドゥルム首相も21日、首都アンカラで講演した際、「トランプ大統領はすべての国が自己決定できることを理解すべきだ。強者が必ずしも正しいわけではない」と訴えた。
 対イスラエルでアラブ諸国を牽引(けんいん)してきたエジプトは、米国がエルサレムをイスラエルの首都と認めたことの撤回を求める国連安保理(15理事国)の決議案を作成。同案は18日に採決され、エジプトを含む14理事国が賛成したが、米国の拒否権行使で廃案になった。
 政府系アハラム紙の政治記者アルアザブ・アルタイーブ氏は「エジプトは国連総会でも決議案に賛成する。米国の脅しには屈しない」と語る。同国市民の間では「米国の支援は無意味」など反米姿勢が目立つ。
 だが、エジプトはシナイ半島でイスラム過激派に対する掃討作戦を進め、米国から毎年13億ドル(約1470億円)の軍事支援を受けており、米国との関係悪化は避けたいのが本音だ。シーシ大統領はトランプ氏のエルサレム首都宣言を「拒否する」と述べたが、その後は発言を控えている。
「札束でほおたたく」トランプ流外交術 中東で強い反発

「利」と「義」をどうバランスさせるかは価値観の問題である。
サムライを自負するならば、「義」に傾くところだが、わが国のリーダーは「利」に傾いているように見える。

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2017年12月21日 (木)

スパコン疑惑の核心としての官邸人脈/アベノポリシーの危うさ(332)

スーパーコンピュータを巡る詐欺事件が、はしなくも安倍政治の一端を垣間見せつつある。
一般的には知名度が低いであろう「ペジーコンピューティング」というベンチャー企業が、なぜ多額の公的資金を得ることができたのか?
逮捕された斉藤容疑者が官邸と近くにあったことだと考えられる。

安倍首相のヨイショ本(『総理』(2016年6月)、『暗闘』(2017年1月)いずれも幻冬舎)の著者の山口敬之氏と斉藤容疑者の交友関係はつとに知られていた。
⇒2017年12月 8日 (金):スパコン補助金詐取容疑者と山口敬之/アベノポリシーの危うさ(326)
⇒2017年6月21日 (水):アベ友・山口敬之氏の超弩級疑惑(4)/アベノポリシーの危うさ(239)
⇒2017年6月 3日 (土):アベ友・山口敬之氏の超弩級疑惑(3)/アベノポリシーの危うさ(224)
⇒2017年12月 9日 (土): いかがわしい安倍夫妻の交友人脈/アベノポリシーの危うさ(327)

山口氏は、今や準強姦容疑で逮捕寸前だったところを、菅官房長官と親しい(秘書官を務めたことがある)中村格警視庁刑事部長により、逮捕状の執行を免れた人として有名になってしまったのであるが。
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スパコン詐欺 ベンチャー社長の華麗人脈と特捜部長の評判

スパコンの補助金にも官邸への「忖度」が働いていたであろうことは当然の推測であろう。
「週刊新潮」12月28日号の記事には、以下のような記述がある。
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久しぶりに、巨悪に挑戦する特捜部が期待できるのか。



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2017年12月20日 (水)

森友疑惑(62)核心を示す録音記録/アベノポリシーの危うさ(331)

「森友疑惑」の核心を示す学園側と財務、国土交通両省との協議の詳細を示す音声データが明らかになった。
8億円値引きの根拠となった地中のごみについて、学園側の工事業者が「3メートルより下にあるか分からない」と主張して、虚偽報告の責任を問われかねないと懸念しているのに対し、国側が「9メートルまでの範囲でごみが混在」しているとの表現なら、虚偽にならないと説得し、協議をまとめていたのだ。
何という「霞が関文学」であることか!

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 データでは、国側が「三メートルまで掘ると、その下からごみが出てきたと理解している」と発言。これに対し、工事業者が「ちょっと待ってください。三メートル下から出てきたかどうかは分からない。断言できない。確定した情報として伝えることはできない」と主張した。
 さらに国側が「資料を調整する中でどう整理するか協議させてほしい」と要請すると、工事業者は「虚偽を言うつもりはないので事実だけを伝える。ただ、事実を伝えることが学園さんの土地(価格)を下げることに反するなら、そちらに合わせることはやぶさかでない」とやや軟化した。
 この後、学園の代理人弁護士(当時)が「そちら(国)側から頼まれてこちらが虚偽の報告をして、後で手のひら返されて『だまされた』と言われたら目も当てられない」と懸念。工事業者は「三メートル下からはそんなに出てきていないんじゃないかな」と付け加えた。
 国側は「言い方としては『混在』と、『九メートルまでの範囲』で」と提案したものの、工事業者は「九メートルというのはちょっと分からない」と難色を示した。
 しかし、国側が「虚偽にならないように、混在していると。ある程度、三メートル超もある。全部じゃないということ」と説得すると、工事業者がようやく「あると思う」と同意。国側が「そんなところにポイントを絞りたい」と決着させた。
「森友」国有地 売却協議の詳細判明 「9メートルまでごみ混在、虚偽にならぬ」

このデータから窺えるのは、国側の異常な配慮であり、この配慮が「忖度」という流行語を生みだしたのである。
さらにその「忖度」はどのように生まれたのか?
「森友疑惑」を原点に戻って考えれば、日本会議を中心とする仲間主義が根本要因である。
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アベ政治プロデュース【アッキード疑獄・シンゾウゲート疑獄】相関図

「森友疑惑」は、巷間、ロッキード事件を捩って「アッキード疑惑」などと呼ばれていたのである。
アッキードとは、安倍昭恵夫人の関与を表しているが、財務省や国交省の「忖度」が昭恵夫人の存在なくしてあり得ないからである。
そして、もちろん昭恵夫人に何らかの力があるということではなく、首相夫人という立場が「忖度」の根底にあることは、自明であろう。
⇒2017年12月 7日 (木):森友疑惑(61)起点は安倍首相夫妻/アベノポリシーの危うさ(325)

録音データが示しているのは、「森友疑惑」の核心が、高橋洋一氏が言うように「財務省のチョンボ」から想定されるようなケアレスミスなどではない、ということである。
財務省や国交省の関係者が確信的に、あるいは主体的にシナリオを作っているのであり、高橋氏はそれをことさらに軽く言うことで「印象操作」を図っていると言わざるを得ない。
⇒2017年12月 1日 (金):森友疑惑(60)高橋洋一氏の的外れ/アベノポリシーの危うさ(323)

将棋で言えば、安倍夫妻は既に詰んでいるのである。

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2017年12月19日 (火)

リニア不正は大疑獄に発展するか?/日本の針路(358)

リニア中央新幹線の建設工事をめぐる入札談合事件で、大林組が大手ゼネコン4社による受注調整を認めていることが19日、関係者への取材で分かった。
⇒2017年12月17日 (日): リニア建設工事利権と受発注疑惑(2)/アベノポリシーの危うさ(330)
⇒2017年12月11日 (月): リニア建設工事利権と受発注疑惑/アベノポリシーの危うさ(329)

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 ゼネコン業界関係者によると、業界では各社の受注希望工事が噂に上り、おおむねその通り受注しているという。
・・・・・・
 また「(発注者の)JR東海と近く、大阪で創業した会社だから西側の工事は取って当然と思われていた」(スーパーゼネコン幹部)とされる大林組は、品川駅南工区や西側の名古屋駅中央西工区、名城非常口を受注している。
 鹿島の幹部は「この程度の話で、なぜ特捜部が出てきて、こんなに大きな話になっているのか分からない」とも吐露する。
・・・・・・
 独禁法は談合といった不当な取引制限を禁じており、市場の競争を阻害していると判断された場合に適用される。発注者がJR東海のような民間企業であっても同じだ。リニア建設には、早期の全線開業のため約3兆円の財政投融資も投入されている。民間発注の事業ながら巨額の公的資金が入っていることも、特捜部は重視している。
リニア不正 「この程度でなぜ特捜」 甘い認識、談合決別宣言後も

関係者によると、大林組は特捜部などの調べに対し、JR東海が発注したリニア関連工事について、事前に他の大手ゼネコンと受注調整をしていたと談合を認める説明をしているという。

 4社の担当者が会合の場などで、受注を希望する工事を伝え合っていた。各工事の受注予定企業などをまとめた一覧表をもとに話し合いで受注を調整し、実質的に競争を制限したとみられる。
 JR東海が2015年以降発注したリニア関連工事22件のうち、7割近くにあたる15件を4社がほぼ均等に受注していた。難工事で工事費が1千億~数千億円規模と巨額になる品川駅(東京・港)や名古屋駅(名古屋市)、南アルプストンネル(山梨県―長野県)は4社がほぼ独占していた。
 4社のうち鹿島と清水建設については、特捜部が18日、公取委と連携して独禁法違反容疑で捜索している。大林組も偽計業務妨害容疑で捜索を受けている。
大林組がリニア談合認める 特捜部、大成建設も捜索

談合を最初に認めると罰が軽減されるという。
一種の司法取引と言えよう。
大手建設会社の「脱談合宣言」から10年余り経って、市場環境は当時と様変わりしている
。建設投資が急像する一方で、人手不足が深刻化しており、各社は合理化に苦慮しているが、談合が認められるべくもない。
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リニア「談合復活」は必然?

もちろん、未だ疑惑の全容は不明であるが、大きな疑獄に発展するような予感がする。
疑獄は、本来は、疑わしくて有罪か無罪か判決しにくい裁判事件をいうが、以下のような説明がある。

 昭和期から平成期に移る1980年代末から90年代初頭にかけて、財政政策の失政によるいわゆるバブル経済崩壊以降、日本社会は大きく変貌(へんぼう)、変質し、中国の古典に由来するいかめしく古い語感をもつ「疑獄」ということばはむしろ死語に近くなった。このことは、かならずしも疑獄の実質がなくなったという意味ではない。むしろそれは、半世紀もの間における、実質的な政権交代が絶無という日本の国家組織全体の制度疲労の結果として、構造汚職体制の定着とともに、政治、行政腐敗の日常化が進行し、大掛りな贈収賄事件でさえ政治問題化せず、疑獄という認識すらない「モラル・ハザード」(道徳観の欠如)の風潮が瀰漫(びまん)する堕落退廃した社会に陥っているのではないかとの危惧(きぐ)も指摘されるのである。
 その一例が、1999年(平成11)ころから全国的に続発する本来国家権力の行政作用と司法作用の第一線であるべき警察官の、驚くべき士気退廃や汚職、不正行為である。また、国家防衛の重責を担う防衛庁(現防衛省)による防衛庁背任汚職事件(1998)では、防衛施設庁トップの背任汚職を防衛庁自身が組織的な証拠隠しを行い、防衛庁長官の引責辞任にまで発展し、モラル・ハザードもここに極まったという事件を起こしている。
日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

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2017年12月18日 (月)

「税と社会保障の一体改革」の現実/日本の針路(357)

与党が税制改正大綱をまとめた。
徴収しやすいサラリーマンを標的にした所得税増税など個人向け増税が並ぶ一方、減税は賃上げを拡大した企業の法人税減税やフリーランスで働く人の所得税減税などに限られた。
総選挙が終わり、来年は大きな選挙が想定されていないタイミングであり、増税に対する不満が大きくなることはないと踏んだことが読み取れる。
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東京新聞12月15日

一方で、生活保護費はカットされるという。
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東京新聞12月16日

果たしてこれが抜本的な税制改革の姿なのか?
中間層が細るようでは景気回復など夢のまた夢である。
超の付く富裕層を放置して、取りやすいところから取るというスタイルは変わっていない。
しかも国税庁長官が佐川氏では、「フザケルナ!」と思う国民は少なくないはずだ。
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耳にタコができるくらい聞いた「税と社会保障の一体改革」はブラックジョークだった?
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2017年12月17日 (日)

リニア建設工事利権と受発注疑惑(2)/アベノポリシーの危うさ(330)

安倍政権が、国民全体のことよりも、「お友達」に便宜を与えることを優先してきたことは、「モリカケ疑惑」で衆目の下に晒された。
常識的な国民であるならば見切りを付けるはずであるが、選挙で勝ったとばかりにその傾向は増進しているように見える。
⇒2017年12月10日 (日): 「裸の王様」状態が昂進する安倍首相/アベノポリシーの危うさ(328)

そんな発想が、リニア新幹線問題にも現れているのだろう。
JR東海は10日、リニア中央新幹線の建設資金に充てるため、財政投融資を活用した3兆円の借り入れをしている。

 リニアの品川―名古屋間の建設費は5兆5000億円にのぼるが、うち3兆円については新たに借り入れが必要と見積もられていた。3兆円の借り入れに財投を活用すれば、低利に加えて元本支払いを据え置けるため、経営体力の回復に充てる期間を短縮できる。これにより45年開業を予定する大阪までの延伸を、最大8年前倒しできる。
 財投を活用した借り入れが完了したことで、今後は27年開業を目指した名古屋新駅周辺の用地取得や、最難関工区とされる南アルプストンネルの工事などに専念できる環境が整ったことになる。
3兆円の財投借り入れ完了 JR東海

財政投融資に頼っているにもかかわらず、大林組の社員が強制捜査を受けた。
⇒2017年12月11日 (月): リニア建設工事利権と受発注疑惑/アベノポリシーの危うさ(329)

JR東海側で入札情報を流し、大林組が幹事役になって談合したということだろう。

 リニア中央新幹線建設工事を巡る不正受注事件で、JR東海(名古屋市)の社員が東京地検特捜部の任意の事情聴取に対し、非公開の「上限価格」を大手ゼネコン・大林組(東京都港区)側に漏らしたことを認めていることが、関係者への取材で分かった。特捜部は、価格漏えいにより公正であるべき受注業者の選定手続きがゆがめられたとみて、受発注者のやり取りの経緯を調べている。
リニア不正:JR東海社員 上限価格漏えい認める

スーパーゼネコンと呼ばれるわが国を代表するゼネコンが受注を調整していると考えられる。
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東京新聞12月12日

リニア新幹線については、もともと必要性について疑問の声があった。
現時点でも、南アルプスの下を抜ける区間が多く、水系への影響や残土廃棄の問題等も残されている。
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東京新聞12月14日

安倍政権の下で、土建国家=利権談合国家に逆戻りしてしまったようである。
いま起きているパラダイムシフト-石油と原子力をエネルギー源とし、内燃機関で動く輸送手段によって成り立っている第2次産業革命からモノのインターネット(IoT)の普及とシェア経済の拡大など「第3次産業革命」への転換-にまったく無頓着な政権なのだ。
⇒2017年12月14日 (木): 伊方原発に高裁が停止命令/技術論と文明論(82)

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2017年12月16日 (土)

拉致被害者家族と安倍政権/日本の針路(357)

安倍政権は「北朝鮮への最大限の圧力を」というものの、気になるのは拉致被害者である。
拉致被害者曽我ひとみさんの夫ジェンキンスさんと増元るみ子さんの母親信子さんの死が相次いで報じられている。
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静岡新聞12月13日

帰ってこないまま、家族の年齢は高くなって行く。
安倍首相は、ことあるごとに「拉致問題は最優先事項」と声高に唱えてきた。
しかし、具体的なアクションは見えてこない。
側近の山本一太氏は蓮池透氏の陳情に対して何も動かなかったという。
⇒2017年12月10日 (日): 「裸の王様」状態が昂進する安倍首相/アベノポリシーの危うさ(328)

安倍首相自身、拉致被害者・横田めぐみさんの母で、拉致被害者救出運動のシンボル的存在でもあった横田早紀江さんを、2年にわたって無視し続けているという情報もある。

 この事実を明かしたのは有田芳生参議院議員。12月2日のツイッターにこんな投稿が掲載された。
〈横田早紀江「政府は一生懸命、知恵を練って下さっていると思いましたが、40年たっても何も分からない状況に、一体何だろうか、信じてよかったのかとの思いが家族にはあります」(めぐみさんが拉致された11月15日の記者会見)。早紀江さんが思いを綴った手紙を安倍首相に書いても梨のつぶてです。
 たしかに、かつては対北朝鮮強硬路線で安倍首相や救う会(北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会)と完全に同一歩調をとっていたようにみえた横田早紀江さんだが、最近はその姿勢に変化が見られていた。めぐみさんが拉致された日から40年にあたる11月15日の会見では、有田氏のツイッターにあるように、「信じてよかったのか」と、後悔の念をただよわせていた。
・・・・・・
 しかも、こうした冷淡な態度は、早紀江さん個人に対してだけではない。安倍政権は第二次政権発足時に「拉致問題対策本部」のもと拉致関連の会議体を6つも発足させているが、それから5年あまり「日刊ゲンダイ」(12月4日付)が会議の開催状況を調べたところ、いずれの会議体もほとんど開かれることなく開店休業状態になっていたという。
 ようするに、拉致問題を前面に出して国民の人気を獲得し、首相にまでのしあがり、いまもことあるごとに拉致問題の解決を強調している安倍首相だが、実際は北朝鮮への強硬姿勢じたいが目的であり、拉致問題の解決や被害者家族の思いなんてまったく本気で考えていなかったというだろう。
 そしておそらく、早紀江さんは安倍首相のこうした態度をそばでみているうちに、その本質を見抜いてしまったのではないか。
安倍首相が横田早紀江さんの直訴の手紙を2年間、無視し続けていた! 政治利用の裏で拉致被害者家族への冷淡

まさかと思ったが、いろいろ勘案すると、驚きでも何でもないのかも知れない。
トランプ大統領が拉致被害者に面会したことが、面会させたことを手柄にように話す安倍首相の感覚を疑う。

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「世界で最も注目されているトランプ大統領が国連の場でめぐみさんのことに触れてくださった。また、来日した際、私の要望に応えて、拉致被害者、家族と直接会い、解決していくという決意を述べていただいた。大統領が発言したわけですから、これは米国が拉致問題について(解決を)コミットしたことになる」
安倍首相の発言を聞いた元家族会事務局長の蓮池透氏がこう言う。
「自国の国民を救えず、米国に頼ること自体、恥ずべきことですが、そもそも安倍首相は拉致解決など本気で考えていません。強硬姿勢のトランプ大統領を巻き込むことはむしろ解決を遠ざけますよ。大統領の国連演説、拉致家族との面会は、北朝鮮を“ひどい国”と描くことで、圧力をかけやすくするためです。家族は利用されているだけ。拉致解決は難しい問題なので、誰がやればうまくいくというのは言えませんが、少なくとも安倍首相である以上、絶対に解決しません。家族は高齢化している。自民党総裁の任期延長なんてとんでもありません」
・・・・・・
 これが拉致被害者家族のまっとうな見方であって、解決のためにはまず、安倍首相退陣しかない。
蓮池透さんが激白「安倍退陣こそ拉致問題解決の第一歩」

安倍首相は拉致問題も選挙向けのアピールのためのパフォーマンスに過ぎないのだ。

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2017年12月15日 (金)

新幹線のインシデントと品質不正/技術論と文明論(83)

12月11日、博多発東京行きの「のぞみ34号」で異音や焦げ臭い異臭などが発生するという「重大インシデント」が発生した。
新幹線は、開業以来、速さだけでなく安全性、正確性を誇ってきた。
その安全性に揺らぎが生じているのか?

インシデントとは、事故などの危難が発生するおそれのある事態を言う。
ISO22300の定義は次のようである。

Situation that might be, or could lead to, a disruption, loss, emergency or crisis
「中断・阻害、損失、緊急事態、危機に、なり得るまたはそれらを引き起こし得る状況」

幸いにして事故には至らなかったが、インシデントが重視されるのは、ハインリッヒの法則という経験則があるからである。
大きな失敗の背景には、多数の小失敗が存在し、下図のようなピラミッドを形成している。
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⇒2011年4月 9日 (土):福島原発事故の失敗学

原因については今後の調査を待ちたいが、冷泉彰彦氏は次のように推測している。

Ws000000台車とギアボックスの双方に異常が発生したということは、その箇所に質量の大きな異物が衝突して、台車とギアボックスを同時に損傷したという可能性だ。
しかし、バラスト(線路の敷石)が衝突したぐらいで台車が壊れることは通常はなく、鋼鉄製などの異物が当たったとか、あるいは車両の床下機器の一部が落下して台車とギアボックスを損傷したという可能性を考えなくてはならない。可能性としては低そうだが、まったくゼロではない。13・14号車における「うなり音」については、ギアボックス内の潤滑油が漏れて減ることで、内部抵抗が増加した音ということかもしれない。
新幹線「重大インシデント」はなぜ起きたのか

まったくの杞憂かも知れないが、気になるのは、神戸製鋼等で品質不正が常態化していたというニュースとの関連性である。
⇒2017年10月28日 (土): 日本を代表するメーカーの不正/技術論と文明論(80)
⇒2017年10月29日 (日): 日本を代表するメーカーの不正(続)/技術論と文明論(81)

新幹線の原点は、完全立体交差化や自動列車制御装置(ATC)、列車集中制御装置(CTC)等で人為ミスを減らすなどの徹底した安全思想のはずである。
大動脈であり、通勤の足でもある新幹線で事故が発生したら被害は甚大である。
インシデントの徹底的な究明を期待したい。

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2017年12月14日 (木)

伊方原発に高裁が停止命令/技術論と文明論(82)

四国電力伊方原発3号機をめぐり、住民が求めた運転差し止め仮処分の抗告審で、広島高裁が、13日、広島地裁の決定を覆し、運転を禁じる決定をした。
巨大噴火のリスクを考えれば当然の決定が、やっと司法の場でなされた。
そもそも火山列島日本と原発は相性が悪いのである。
⇒2016年10月 9日 (日):巨大噴火リスクにどう備えるか/技術論と文明論(77)
⇒2016年4月15日 (金):熊本の地震と『死都日本』のメッセージ/技術論と文明論(48)

広島高裁の判断は合理的である。

 仮処分はただちに法的な拘束力を持ち、今後の司法手続きで覆らない限り運転はできない。伊方原発3号機は今年10月から定期検査のため停止中で、来年1月予定の再稼働ができない可能性が高まった。四電は広島高裁に保全異議申し立てと仮処分の執行停止の申し立てをする方針だ。
 高裁は決定で、大規模地震のリスクについて、「四電の想定は不十分」とする住民側の主張を退けた。一方、伊方原発から約130キロ離れた阿蘇山など火山の影響を重視。現在の科学的知見によれば「阿蘇山の活動可能性が十分小さいかどうかを判断できる証拠はない」とし、原子力規制委員会の審査内規に沿い、160キロ先に火砕流が到達した約9万年前の過去最大の噴火の規模を検討した。
 その場合、四電の想定では火砕流が伊方原発の敷地内に到達する可能性が小さいとはいえず、同原発の立地が不適切だったと認定。この点で、東京電力福島第一原発事故後にできた新規制基準に適合するとした規制委の判断は不合理だったとし、「(住民の)生命身体に対する具体的危険が推認される」と述べた。
 原発と火山の位置関係を重視した今回の決定は、九州電力川内原発(鹿児島県薩摩川内市)や同玄海原発(佐賀県玄海町)など火山近くにある他の原発のリスクにも言及したといえ、高裁の判断として今後の訴訟や仮処分に影響を与える可能性がある。
 原発に対する仮処分をめぐっては、福井地裁が2015年4月、大津地裁が16年3月、関西電力高浜原発3、4号機(福井県高浜町)の運転差し止めを決定したが、異議審や抗告審で取り消された。今回の決定について広島高裁で異議審が開かれる場合、別の裁判官による構成で審理する。
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伊方原発、運転差し止め 阿蘇大噴火時、影響重視 来年9月末まで 高裁が初判断

ジェレミー・リフキン氏は『原子力から脱却しないと日本は二流国に陥る』と警鐘を鳴らしている。

 モノやサービスを生み出すコスト(限界費用)が限りなくゼロにつながり、民泊やライドシェアなどに代表されるシェア経済が台頭する。EUと中国が国家戦略として取り組むのに対し、日本はこのパラダイムシフトに対して計画を持っていません。この状況が続けば、長期的に壊滅的な影響をもたらし、日本は2050年までに二流国家になってしまうと思います。
 なぜそうなるのか、もうちょっと細かく全体像を示しましょう。いまのパラダイム、つまり石油と原子力をエネルギー源とし、内燃機関で動く輸送手段によって成り立っている第2次産業革命の成果はいま、衰退状態にあります。GDP(国内総生産)は世界中で落ち、生産性はもはや伸びようがないのです。

まさにその通りである。
第2次産業革命の成功体験も、最近の品質不正などで危うくなっている。
であるにもかかわらず、安倍政権の世耕経産相は、それでもなお原発最優先だと言っている。

アルゼンチンを訪問中の世耕弘成経済産業相は13日、四国電力伊方原発3号機の運転差し止めを命じた広島高裁の決定について「コメントは控える」とした上で、「原子力規制委員会が世界的に最も厳しいとされる新規制基準をクリアしたと判断した原発については、安全最優先で再稼働させるという政府方針に変わりはない」との立場を改めて表明した。
再稼働方針は変わらず=広島高裁決定で世耕経産相-伊方原発運転差し止め

三権分立をわきまえない傲慢な姿勢であるが、何よりも先見性のないところが政治家失格と言わざるを得ない。

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2017年12月13日 (水)

核廃絶に関する詭弁/永続敗戦の構造(13)

10日、ノーベル平和賞を授賞した核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN(アイキャン))への授与式で、被爆者サーロー節子さんが行った演説が感動的だった。 
しかし日本政府は冷淡な態度である。
「ゴールは同じだけれど、核禁条約への参加は現実的ではない。」
しかし、これは詭弁と言うべきであろう。

現実的な方策とはどのようなものか?
「核の傘」で守られつつ、核廃絶を目指します、ということか?
核禁条約に参加することがリスキーだということか?

ICANの事務局長ベアトリス・フィンさんは次のように言う。
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東京新聞12月12日

まったく異議なし、である。
あれこれ理由をつけて、被爆国としてのリーダーシップを放棄するアメリカ従属路線(永続敗戦の構造)に決別すべき時ではないのか。

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2017年12月12日 (火)

組み合わせの論理/知的生産の方法(166)

俳句の基本的な作り方に「一物仕立て」と「取り合わせ」がある。
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夏井いつき『夏井いつきの超カンタン! 俳句塾』世界文化社 (2016年7月)

「一物仕立て」は季語に関連することだけで構成するものであり、「取り合わせ」は季語と他のことを組み合わせる。
夏井氏の講演会を聴いたことがあるが、初心者におススメなのは「取り合わせ」である。
季語には5音(4字+切れ字を含む)が多数あるから、別の12音を考えて季語と組み合わせれば一句できるというわけである。

確かに俳句 らしきもの(季語が入っている5・7・5)はできる。
しかし、実際に試してみるとなかなか思うようにはいかない。
やはり「取り合わせの妙」が重要ということである。

KADOKAWAで出している「俳句」という雑誌の12月号が「取り合わせ」を特集している。
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「取り合わせ」は簡単なようで奥が深い。
「創造とは、既知のことの新奇な組み合わせ」という言葉を実感する。

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2017年12月11日 (月)

リニア建設工事利権と受発注疑惑/アベノポリシーの危うさ(329)

中央(リニア)新幹線は、超伝導を利用した新しい高速輸送システムである。
品川-名古屋間を約40分で結び、2027年の開業を目指している。
大阪までは約70分で、37年の全線開業予定だ。
技術者ならずとも胸が躍る話題である。

総工費9兆円と言われているが、この種のものは最終的にどうなるかは分からない。
いずれにせよ巨額の資金が動くことは間違いない。
中央新幹線関連⼯事を巡り、東京地検特捜部が偽計業務妨害容疑で大手ゼネコン「大林組」の強制捜査に着⼿したことが報じられている。

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 9日未明。東京都港区港南2の大林組本社から、特捜部の係官がワンボックスカーで押収品を運び出した。
 本社の近くには、大林組が受注した4件のうち、品川駅(南工区)の工事現場がある。9日は地上の工事が行われず、警備員の男性は「日曜以外はいつも工事をやっているのだが……」と首をかしげた。大林組の現場担当者は取材に対し「(休みになったことが)事件の影響かはお話しできない」と話した。
 リニア関連工事の別工区を受注した別の大手ゼネコン幹部は「リニア関連の入札は不調になったことがある。当時は全国的に労務費が上昇し、建設資材も高騰しているのに(JR東海側の)予定価格が低く抑えられたままで、いろんな入札が不調になっていた」と漏らす。そのうえで「品川駅は大林組の本社があるお膝元。重視して営業をかけていたのは事実だろう」と推測した。
 ある準大手ゼネコン社員は「大林組はJRの工事に強い印象がある。リニアはトンネルが多く、工事が難しい。南工区を大林組のような大手が受注したこと自体は不自然と思わなかった」と語った。
 一方、リニア中央新幹線建設に反対する市民グループ「リニア・市民ネット」代表の川村晃生(てるお)・慶応大名誉教授は「巨額な投資を伴う事業で利権は非常に大きい。財政投融資を活用しており、不正が事実なら民間レベルにとどまる問題ではない。捜査の動向や事業を認可した国土交通省の対応を注視したい」と話した。
 国交省の担当者は「JR東海にも事情を聴き、情報収集に当たっている」としている。
リニア中央新幹線 入札不正疑い、大林組捜索 夢のリニア、業界に衝撃 工費9兆円、巨大な利権

民主党政権時代に「コンクリートから人へ」というスローガンが打ち出された。
有用・有益なコンクリートもあるのだから、いささか乱暴な表現と言わざるを得ないが、土建政治から訣別しようという姿勢は重要だったと思う。
リニア新幹線の工事には、水系を中心にした生態系のアセスメントが不十分のように思われる。

ここしばらく芳しい実績のなかった東京地検特捜部が、どこまで真相(深層)に迫れるか?
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2017年12月10日 (日)

「裸の王様」状態が昂進する安倍首相/アベノポリシーの危うさ(328)

安倍首相は、周りを自分の仲間で固め、それが「裸の王様」状態になっていることに気が付いていないようだ。
⇒2013年10月17日 (木):安倍首相は裸の王様か?/アベノミクスの危うさ(16)
⇒2014年11月27日 (木):続・安倍首相は裸の王様か?/日本の針路(76)
⇒2015年12月12日 (土):続続・安倍首相は裸の王様か?/アベノミクスの危うさ(64)
⇒2017年4月 8日 (土):森友疑惑(42)「裸の王様」の末路/アベノポリシーの危うさ(179)
⇒2017年5月29日 (月):加計疑惑(8)「王様は裸だ」と言った前川前事務次官/アベノポリシーの危うさ(219)

側近の一人に、首相のツイッターのアカウントの管理者と言われた山本一太氏がいる。
⇒2015年5月 4日 (月):安倍首相のツイッター成りすましの喜劇/日本の針路(145)

こういう縁故主義的な手法がさまざまな歪みを生んできたが、国会質疑にも現れている。
質問時間を増やせと言って、増えた質問時間で何をしたか?
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東京新聞12月6日

これを茶番と言わずして・・・。

 山本氏はまず、安倍政権の進める成長戦略との兼ね合いについて質問し、安倍首相は、「成長戦略の大きな柱」だとして、山本氏にクールジャパン戦略を推し進めてほしいと述べた。しかし、山本氏は、それだけでは満足できないらしく、こう安倍首相に求めた。
  「法案について、総理に一言、『応援している』と言っていただけますか?」
・・・・・・
 ツイッター上では、山本氏が応援を求め、安倍首相と世耕経産相が応援を約束するシーンだけが切り取られて動画投稿された。この投稿は、1万件以上もリツイートされ、山本氏と安倍首相らへのやり取りに批判的な声が上がっている。
  「税金で何やってんの?国会議員は」「いったいなんなんですかね この茶番劇!! 」「国会で友達ごっこはやめてくれ」...
山本一太・安倍首相質疑で「友達ごっこ」 野党の質問時間減らしの果てに出てきた「茶番劇」

ツイートの一例である。
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拉致被害者のことなどそっちのけで、トランプ大統領と一体になって、危機を煽っている。
トランプ-安倍ペアは、軍需産業への貢献がミッションと考えているかのようだ。

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2017年12月 9日 (土)

いかがわしい安倍夫妻の交友人脈/アベノポリシーの危うさ(327)

「類は友を呼ぶ」という言葉を裏書きしているのだろうか?
スパコン開発の星と目されていたベンチャー企業の社長が詐欺容疑で東京地検特捜部に逮捕されたが、その社長が安倍首相との近さを売りにしている元TBS記者の御用ジャーナリスト、山口敬之氏の“パトロン”だった。
⇒2017年12月 8日 (金):スパコン補助金詐取容疑者と山口敬之/アベノポリシーの危うさ(326)
⇒2017年6月21日 (水):アベ友・山口敬之氏の超弩級疑惑(4)/アベノポリシーの危うさ(239)
⇒2017年6月 3日 (土):アベ友・山口敬之氏の超弩級疑惑(3)/アベノポリシーの危うさ(224)

安倍首相夫人の昭恵氏も、大麻への傾倒やカルト的人物との交流が有名だ。
⇒2017年4月 9日 (日):森友疑惑(43)昭惠夫人の壮大な勘違い/アベノポリシーの危うさ(180)
⇒2017年4月12日 (水):森友疑惑(44)重要参考人・安倍昭惠/アベノポリシーの危うさ(181)
⇒2017年4月17日 (月):森友疑惑(46)昭惠夫人と反社会的勢力/アベノポリシーの危うさ(183)

昨年10月に大麻所持容疑で逮捕された鳥取県の大麻加工販売会社社長も、元女優の高樹沙耶も昭恵夫人と親交があった。
森友学園の籠池前理事長を含め、わずか1年余りの間に、オトモダチが4人も逮捕されている。
普通は首相夫人ともなれば、身辺に気をつけるだろう。

スパコン開発の斎藤社長も、山口敬之氏の人脈をフル活用したようである。
内閣府の経済財政諮問会議「2030年展望と改革タスクフォース」で共同座長を務め、自民党の「経済構造改革に関する特命委員会」に講師として招かれた。
百田尚樹氏と共通する匂いである。

斉藤容疑者は巨額投資が必要なスパコン開発のために資金繰りにあれこれ苦労していたようである。

 民間の信用調査機関などによると、関連会社で尋常ではない増資が繰り返されていた実態が見受けられるのだ。これらの増資に助成金が充てられていた疑いもあり、特捜部が資金の流れを調べているという。
Ws000000 ペジー社のスパコンの“核”である高効率液浸冷却装置の製造をする「エクサスケーラー」社は、2014年4月に資本金5000万円で設立されたが、その後、今年6月までの3年間で、実に13回もの増資を行い、現在資本金は27億円にまで膨らんでいる。
「メディアなどで技術力は評価を受けていましたが、売り上げや利益を思うように計上できず、財務状態は追いついていなかったと推測されます。資金は助成金や投資としての直接調達がメインだったようです」(調査機関関係者)
・・・・・・
 そして驚くのは、会社はカツカツのはずなのに、斉藤容疑者が住んでいたのが、御茶ノ水の高台にある高級賃貸レジデンスだということ。17階建てのビルは下はオフィス、上層部の4フロアが住宅で、1戸の広さはナント126平方メートル。「外国人エグゼクティブにもお薦めのゆったりとした間取り」と不動産情報サイトで紹介されるようなゴージャス物件だ。
 斉藤容疑者は、安倍首相と親しい元TBS記者の山口敬之氏が事務所にしていた高級賃貸レジデンスの費用も負担していたと「週刊新潮」に報じられているが、そうした費用はどこから出ていたのか。また、自転車操業の財務力にもかかわらず山口氏に便宜を図っていたとしたら、そこまでしたのはどうしてなのか。闇は深そうだ。
アベ友スパコン詐欺 3年13回の怪しい増資と金満生活の闇

何やらバブル時代を彷彿とするような話である。
金融緩和政策の副作用や出口戦略に思いが向かないような安倍首相は、本気で株価の高騰を「アベノミクスの成果」と喜んでいるのかも知れない。

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2017年12月 8日 (金)

スパコン補助金詐取容疑者と山口敬之/アベノポリシーの危うさ(326)

5日、スパコン企業の社長が詐欺容疑で東京地検特捜部に逮捕された。
逮捕されたのは、スーパーコンピューターの開発を手がけるベンチャー企業「ペジーコンピューティング」社長の斉藤元章容疑者と元事業開発部長の鈴木大介容疑者である。
2人は共謀し、2014年2月、NEDO(国立研究開発法人「新エネルギー・産業技術総合開発機構)から助成金をだまし取ろうと考え、助成事業に要した費用が約7億7300万円だったとする虚偽の書類を同機構側に提出。同3月に約4億3100万円の助成金を振り込ませて詐取したとしている。
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東京新聞12月6日

ペジー社などが開発し、国立研究開発法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)横浜研究所に設置されたスパコン「暁光」は、11月13日に発表された世界のスーパーコンピューターランキング「TOP500」で4位、Green500で5位に入った。
言わば「ベンチャー企業の星」的な存在である。

しかし、斎藤容疑者にまったく別の顔があることが報じられている。
安倍首相と昵懇で知られる元TBS記者の山口敬之氏の“スポンサー”と言われる人物としての顔である。
山口氏は準強姦容疑を問われており、刑事的には不起訴の扱いが決まったが、民事は係争中である。
⇒2017年5月12日 (金):アベ友・山口敬之氏の超弩級疑惑/アベノポリシーの危うさ(206)
⇒2017年5月15日 (月):アベ友・山口敬之氏の超弩級疑惑(続)/アベノポリシーの危うさ(208)
⇒2017年6月 3日 (土):アベ友・山口敬之氏の超弩級疑惑(3)/アベノポリシーの危うさ(224)
⇒2017年6月21日 (水):アベ友・山口敬之氏の超弩級疑惑(4)/アベノポリシーの危うさ(239)

 斉藤容疑者と山口氏の親密な関係を報じた「週刊新潮」(6月15日号)によれば、山口氏は永田町のザ・キャピトルホテル東急の賃貸レジデンスで暮らしており、その家賃を払っているのが斉藤容疑者だという。平均家賃130万円という超高級賃貸だ。記事では「斉藤さんが借りている部屋を使わせてもらっているという話がありますよ」「山口さんはTBSにいるころから斉藤社長と知り合いで、去年5月に会社を辞める時に顧問のようなポジションを用意されたと聞いています」という永田町関係者のコメントも紹介している。
「ペジー社への家宅捜索には、国税局も一緒に入っている。今回の詐欺容疑以外にも不透明なカネの流れがあるようです」(大手紙社会部記者)
 捜査が進めば、別の助成金受給でも不正が発覚する可能性がある。なにしろ「ペジー社が受給した税金は総額で100億円以上になるのではないか」(経産省関係者)と言われているのだ。
「当方は10~17年度にかけ、ペジー社の事業5件に助成金を交付しています。総額は約35億2400万円です。別の研究開発法人などからも助成金を受け取っていたかは分かりません」(NEDOの担当者)
 それにしても、なぜ斉藤容疑者はスパコンの専門家でもない山口氏を厚遇したのか。巨額の補助金と何か関係があるのか。
 斉藤容疑者は11日放送のNHK番組「プロフェッショナル 仕事の流儀」に登場する予定だったが、NHKは逮捕直後に放送見送りを決めた。
「特捜部が前々からペジー社の捜査をしていたなら、NHKが情報を得ていないはずがない。逮捕当日まで斉藤容疑者の番組が放送予定だったのは、事件が急展開した証拠です。それも、いきなり逮捕ですから、何か特別な力が働いたのではないかという臆測も飛び交っています。新任した特捜部長の“初荷”が、4億円のケチな詐欺で終わるとも思えません」(前出の社会部記者)
 国会では、山口氏が15年4月にジャーナリストの伊藤詩織さんをレイプし、発付された逮捕状が逮捕直前に執行停止になったとされる問題が追及され始めた。11月30日の参院予算委で、社民党の福島みずほ副党首が山口氏について「『総理』という本を書いたジャーナリストをご存じですか、面識はあるでしょうか」と質問すると、安倍首相は「私は取材対象として知っている」と答え、距離を置いた。
 安倍首相が当初、「非常に共鳴している方」と持ち上げていた森友学園の籠池前理事長について、雲行きが怪しくなった途端、「非常にしつこい」と手のひら返ししたことを思い出す。そして補助金詐欺での関係者逮捕。まさか山口氏も、籠池氏と同じ運命をたどるのか。
「ペジー社が助成金をだまし取ったNEDOは経産省の所管で、官邸の意向が働きやすい。経産省出身者が暗躍したとされるモリカケ問題と同じ構図で、官邸が関与していたとすれば、政権が吹っ飛ぶ。党内は戦々恐々です」(自民党関係者)
自民激震 逮捕のスパコン社長は“アベ友記者のスポンサー”

こうまでスキャンダルに塗れた政権も珍しいだろう。
結局、安倍首相の縁故優遇的なことが根本にあると言わざるを得ない。

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2017年12月 7日 (木)

森友疑惑(61)起点は安倍首相夫妻/アベノポリシーの危うさ(325)

3日のTBS系情報番組「サンデーモーニング」のインタビューで、福田元首相は、森友問題で財務省が公文書を破棄したと説明したことに対し、「会計検査院が審査すらできないのは論外」と怒りをぶちまけた。

「(記録廃棄を)正々堂々とやりました、みたいな言い方をすべきではない。間違っていましたぐらいのことを言うべき」。佐川宣寿国税庁長官の理財局長時代の国会答弁を振り返り、ズサンな公文書管理について批判した福田氏。だが、本当に批判したかった相手は財務省じゃないだろう。
・・・・・・
 福田氏は8月にも共同通信の取材に「政治家が人事をやってはいけない。安倍内閣最大の失敗」「国家の破滅に近づいている」と政権批判していた。おそらく今回のTV出演も怒りの矛先は安倍首相だ。
テレビで森友問題を痛烈批判 福田康夫元首相の“アベ嫌い”

いつまで森友・加計をやっているのかという批判があるが、そうさせているのは安倍夫妻である。
音声データを財務省が認めたことにより、財務省の森友学園に対する異例の厚遇が、安倍昭恵夫人の存在抜きにはありえないことが明らかになっている。
⇒2017年11月28日 (火): 森友疑惑(57)財務省の「忖度」/アベノポリシーの危うさ(321)
⇒2017年11月29日 (水): 森友疑惑(58)値引きのための「ストーリー」/アベノポリシーの危うさ(322)
⇒2017年11月30日 (木): 森友疑惑(59)財務省はなぜ厚遇したのか?/アベノポリシーの危うさ(322)
⇒2017年12月 1日 (金): 森友疑惑(60)高橋洋一氏の的外れ/アベノポリシーの危うさ(323)

この間の経緯を俯瞰すれば以下のようである。
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東京新聞12月6日

起点は安倍夫妻であり、籠池夫妻だけを悪者にはできない。
籠池夫妻は未決拘留中であり、共謀罪と未決勾留をドッキングさせれば、大方の人の人生を左右できるだろう。
安倍夫妻が逃げ回っていては、いつまで経っても解決しない。

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2017年12月 6日 (水)

北村薫『ビスケット』/私撰アンソロジー(50)

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北村薫『遠い唇』KADOKAWA (2016年9月)の中の『ビスケット』の一節。
北村氏は本格ミステリー作家クラブの発起人の一人であり、初代事務局長を務めたことでも分かるように、本格派のミステリー作家である。
本格派ミステリーは論理性を旨とするが、小説である以上、文学性も重要な要素であろう。
私は、文学趣味が横溢した『六の宮の姫君』創元推理文庫 (1999年6月)を読んで、熱心な読者とは言えないけれど、ファンになった。
芥川龍之介の短編『六の宮の姫君』角川文庫(1958)の創作意図を解き明かすために、芥川の交友関係を探っていく設定のミステリーである。

遠い唇』も、論理性と芸術性が融合した極上の一冊である。
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同書の後書きにあたる「付記ーひらめきにときめき」に、次のような文がある。

わたしが好んで書く《名探偵》は、論理というより、常人の持たないひらめきによって真相に到達するのです。瞬時に、別世界を見てしまう特別な目を持っている。わたしはそれにときめくのです。

著者の言う「ひらめき」とは、セレンディピティと言われるものだろう。
セレンディップは予期しない創造的な発見のことで、ノーベル化学賞を受賞した白川英樹博士の受賞記念講演で有名になった概念である。
「偶然に掘り出し物を見つける能力」などと説明されている。
⇒2016年9月26日 (月):回路から漏出する電子とセレンディピティ/技術論と文明論(72)

ノーベル賞に繋がる業績は、偶然得られた結果かも知れないが、その意味や価値を見逃さない認識力があったからこその業績であると言えよう。

北村氏の言葉を目にしたとき、電通の第4代社長・吉田秀雄氏の「広告は、科学であり、芸術である」という言葉を連想した。
吉田氏は、同社を現在のような広告の巨人なる礎を築いた人として知られ、同社の社訓だった「鬼十則」は同氏の言葉である。
「鬼十則」は、私などのように電通に無関係の人間にも大きな影響力を持ったが、最近は「働き方」の悪しき例として有名になってしまった。
5 取り組んだら放すな! 殺されても放すな! 目的を完遂するまでは・・・
などが、過労死を招いた要因であるとされ、電通の社員手帳からも削除されたという。

しかし、クリエイティブな仕事は本質的にキリがないもので、成果は時間の関数ではない。
「鬼十則」の精神が、同社発展の原動力となったことは否定できない。
「鬼十則」の否定は、電通の自己否定のように思われる。
⇒2016年10月30日 (日):電通「鬼十則」の功罪/日本の針路(301)

前川佳一『パズル理論』白桃書房 (2013年5月)によれば、研究開発業務は「ジグソーパズル型」と「知恵の輪型」に大別される。
前者は、ゴールのイメージが明確で、努力を継続すればいずれはゴールに到達できるもので、後者は完遂できるかどうか不確定なものである。
新車の開発などが前者であり、青色LEDの開発などが後者である。

北村氏が「論理」と言っているのは「ジグソーパズル型」に相当し、「名探偵のひらめき」を必要とするのが「知恵の輪型」といえるだろう。
「知恵の輪型」業務のマネジメントは、今後重要性を増す課題だと思うが、上意下達を旨とする日本社会の弱点である。
青色LEDの開発に成功した中村修二博士なケースが典型であろう。
⇒2007年12月11日 (火):青色LEDの場合
⇒2009年4月23日 (木):LEDの技術開発への期待
⇒2014年10月 7日 (火):青色LEDでの三教授のノーベル賞受賞を寿ぐ/知的生産の方法(104)

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2017年12月 5日 (火)

計算化学の第一人者・諸熊奎治/追悼(113)

計算化学の第一人者である諸熊奎治博士が亡くなった。

Photo 計算化学の第一人者で京都大福井謙一記念研究センター研究員の諸熊奎治(もろくま・けいじ)氏が、11月27日に京都市内の病院で病気のため亡くなっていたことが4日、分かった。83歳。葬儀・告別式は近親者で行った。
 諸熊氏は京都大工学部卒。同学部石油化学科の教授だった故福井謙一氏の研究室に大学院時代から加わった。福井研究室の助手を経て1964年に渡米し、米ロチェスター大教授などを経て76年に帰国。分子科学研究所(愛知県)で電子計算機センター長を務め、93年から2006年まで米エモリー大教授を務めた。06年から現職。
 量子化学など理論化学にもとづく分子の構造や反応などの理論的予測、計算法の研究を進め、分子をタマネギのように多層化して計算する「ONIOM法」の開発などで知られ、理論、実験と並ぶ第3の研究手法として計算化学を発展させた。京大でもさまざまな化学反応のメカニズムをコンピューターで解析する研究に取り組んだ。
 ノーベル化学賞の有力候補者だった。13年の同賞は化学反応をコンピューターで計算する手法の開発が授賞業績で、スウェーデン王立科学アカデミーは同分野の発展に尽くした1人に諸熊氏の名前を挙げていた。
 エモリー大名誉教授、分子科学研究所名誉教授。12年文化功労者。
諸熊奎治氏が死去 計算化学の第一人者、ノーベル賞候補

化学と言えば一般には「実験」のイメージがあるだろう。
つまり経験科学である。
その化学の非経験化に挑戦してノーベル賞を受賞したのが福井謙一博士だった。
福井博士は工学部燃料化学科(後に石油化学科に改称・改組)の教授であった。
理学部でなく工学部であるところがユニークである。
それは、喜多源逸、兒玉信次郎らによって培われてきた自由を尊び、基礎を重視する学風の中で開花した。
⇒2009年10月10日 (土):プライマリーな独創とセカンダリーな独創

福井博士から直接の指導を受けた第一世代の5人が『量子化学入門』化学同人(1963年)という著書を書いた。
米澤貞次郎、加藤博史、永田親義、今村詮、諸熊奎治の諸氏である。
量子化学を勉強する人の必読書と言われる。

上記記事にあるように、2013年のノーベル賞は計算化学分野に対して授与された。
諸熊博士の業績も大きな貢献をしたが、残念ながら直接の受賞者とはならなかった。
しかし、諸熊博士をも育んだ基礎と自由を重視する学風は現在でも引き継がれている。
⇒2017年9月25日 (月): 日本の研究力を回復するために・基礎と自由/日本の針路(330)

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2017年12月 4日 (月)

親安倍のイデオローグ(4)見城徹/アベノポリシーの危うさ(324)

「ZAITEN]という雑誌がある。
かつて『財界展望』というの誌名だったが、しばらく見ないうちにリニューアルしたようで、発行元も「株式会社財界展望新社」となっている。
Wikipediaでは次のように解説している。

基本的には経済誌、ビジネス誌である。内容は大企業の内情(怪文書など)を取り上げた記事や、経営者(重役)の動向や私生活、現住所などを「あの人の自宅」と称して、写真付きで連載記事にしている。同種の雑誌と見られる「財界」や「経済界」が企業サロン誌であるのに対して、ZAITENは有力企業の経営者や政治家(主に自由民主党)、官僚を批判する記事が多い。

最新の2018年1月号の表紙は以下のようである。
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見ての通り、幻冬舎の見城徹氏の批判記事がウリになっている。
私は、一時期、幻冬舎という出版社に好意的だった。
1993年の設立で、命名には五木寛之氏が係わった。
2003年に店頭市場で株式を公開した。
見城氏の個人会社の色彩が強く、上場企業として必要なオープン性を保てるか疑問だったが、2011年に上場廃止した。

幻冬舎は数多くの大ヒット作を出している。
その点は間違いなく商売上手であり、それはおそらく一世を風靡した角川春樹氏に学んだことが多いであろう。
しかし、その出版物に違和感を覚えることが増え、現在では不快感さえある。
部数を売ることには成功したが、多くの読書人から顰蹙を買ったものに、百田尚樹氏の『殉愛』がある。
⇒2014年11月21日 (金):百田尚樹の『殉愛』の売り方/知的生産の方法(110)
⇒2014年11月22日 (土):クリティカル思考の反面教師としての百田尚樹/知的生産の方法(111)
百田氏は自他ともに認める安倍応援団である。

また、石原慎太郎氏は昔からの盟友で、ゴルフも良く一緒にやる仲だという。
石原氏が、田中角栄の独白風に描いた『天才』は、石原氏の衰えを感じさせる駄作だと思う。
文芸出版の志はどこに消えたのだろうか?

これらに輪をかけてひどいのが、準強姦事件を問われている山口敬之氏の『総理』および『暗闘』であろう。
⇒2017年5月12日 (金):アベ友・山口敬之氏の超弩級疑惑/アベノポリシーの危うさ(206)
⇒2017年5月15日 (月):アベ友・山口敬之氏の超弩級疑惑(続)/アベノポリシーの危うさ(208)
⇒2017年6月 3日 (土):アベ友・山口敬之氏の超弩級疑惑(3)/アベノポリシーの危うさ(224)

この件は、福島みずほ氏が国会で取り上げられたが、委員長が、なぜか中断させてしまった。
安倍首相に面識の有無を質問して、首相が「取材対象として」知っていると白々しい答弁をした直後である。
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山口氏はTBS時代に番記者であったから知悉のはずであり、安倍首相は逃げを打ったのだろう。

そもそも、執務室での写真をジャーナリストに使わせることも異例だが、中身を読んでも、山口氏が安倍氏の自宅や外遊先のホテルの客室にもしょっちゅう出入りするシーン、第一次政権崩壊後の2008年から安倍や昭恵夫人と定期的に登山をしていたエピソード、さらには、内閣人事案や消費税をめぐってメッセンジャー的な役割まで果たしていたことを、山口氏自らが自慢げに語っている。それを「取材対象として知っている」とは、開いた口がふさがらない。
詩織さん準強姦事件もみ消し問題で安倍首相が山口敬之氏との関係を「取材対象として知ってるだけ」と嘘八百

この問題には菅官房長官の人脈も関係している。
しかし、希望の党の柚木道義議員も取り上げ、大きな問題になるのは必至である。
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【必見】山口敬之氏レイプ&揉み消し事件、希望・柚木道義議員が本格追及!「中村格氏呼んだのに何故来ない?」→凍り付く議場!

山口氏の『総理』は、一読してとてもまともに論評する気にならない代物だった。
こんな本を出し続ける様では幻冬舎や首相の未来はないだろう。
「ZAITEN」記事の一節を切り貼りしておく。0032

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2017年12月 3日 (日)

改元のスケジュール/日本の針路(356)

1979年に制定・公布された「元号法」によって、「元号は、皇位の継承があつた場合に限り改める」とされた。
いわゆる「一世一元の制」の法制化である。
しかし歴史は意外に新しい。
明治政府は、慶応4年を改めて「明治元年」とするとともに、一世一元の詔で天皇一代につき一元号とする一世一元の制を定めた。
明治以前は、天皇の在位中にも災害など様々な理由によりしばしば改元が行なわれていた。
また、寛永や慶長のように、新たな天皇が即位しても、元号が変わらない場合もあったのである。

第二次世界大戦後に制定された日本国憲法、1947年(昭和22年)施行の皇室典範では元号の規定が明記されず、同年5月3日を以って元号の法的根拠は消失した。
しかし、その後も元号が「慣例として」用いられていたが、昭和天皇の高齢化に伴い、元号法制化を求める声が高まり、元号法の制定になった。

最近、自民党の竹下亘氏が、宮中晩さん会の国賓に同性パートナーが出席することについて、「私は反対だ。日本本国の伝統には合わない」と 発言し波紋を呼んだ。
その後撤回したが、、「皇室を考えた場合に、日本人のメンタリティーとしてどうかな という思いが私の中にあったものだから、ああいう言葉になって出 た」と言わずもがなの弁解をして、何が問題なのか分かっていないことを露呈した。
「日本国の伝統」ばどと言えば、保守層に好感されると考える根性がさもしい。

1日の皇室会議で、天皇陛下が2019年4月30日に退位する日程が決まった。
退位を実現する特例法が6月に成立し、政府が退位時期の決定に向けた検討を本格化して以降、宮内庁と首相官邸は妥当な時期を巡り駆け引きを続けたという。

 官邸が昨年から探ってきたのは「18年12月末退位・19年元日改元」案。陛下が退位の意向をにじませる昨年8月のビデオメッセージで「平成30年(2018年)」に触れたからだ。18年の誕生日に85歳を迎えられる区切りの良さもあった。
 先手を打ったのは宮内庁だった。「1月1日は皇室にとり極めて重要な日。譲位、即位に関する行事を設定するのは難しい」。西村泰彦次長が今年1月17日の定例記者会見で18年末退位案について難色を示した。宮内庁が退位を巡って公の場で異例の言及をしたことに、菅氏は「政府の立場でコメントは控えたい」と言葉をのみこんだ。
 「なんだかんだ言っても陛下のお気持ちというのは本当に大きい」。退位特例法の成立後、退位時期をめぐり宮内庁との調整に入るにあたって、官邸の高官はこぼした。
 宮内庁がこだわったのは19年1月7日。昭和天皇の死去から30年の式年祭をいまの天皇陛下で開くことだった。官邸に求めたのは「19年3月末・4月1日改元」案。年度替わりの節目でもある。同庁関係者によると、官邸側に年末年始と3~4月の皇室行事を示し、どちらが皇位継承に伴う陛下と皇太子さまの負担が少ないか説明した。
・・・・・・
宮内庁の山本信一郎長官は11月21日夜、19年4月末退位案が浮上したとの報道を受け、同庁長官室前で記者団に硬い表情で繰り返した。ある宮内庁幹部は「12月1日の皇室会議の日取りを聞いたのが21日夜。4月末退位案は寝耳に水で長官も知らなかったと思う」と話す。
 「4月末」という国民的に決してきりの良くない退位時期。それ自体が、官邸と宮内庁の溝の深さを物語る。
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皇室の事情、官邸のメンツ 退位時期巡り溝浮き彫り

改元は日本人全体に影響することである。
5月1日という日の是非についてはいろいろ意見があろうが、「象徴天皇」というファジーな概念を、全身全霊で追求し実践しようとされてきたことに疑問はない。
静かに滞りなく皇位継承と改元が行われることを願う。

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2017年12月 2日 (土)

東レよ、お前もか?/ブランド・企業論(69)

東レが11月28日、子会社がタイヤなど形状を維持するための補強材の製品検査データを不正に改ざんしていたと発表した。
13社の顧客に対し、2008年4月から16年7月までの8年3カ月間に計149件の品質数値の書き換えが行われていたとのことだ。
東レと言えば、経団連の現会長榊原定征の出身企業であり、日本の化学会社の代表である。
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東京新聞11月30日

 同社の発表によると、書き換えが行われた製品はタイヤ用、自動車のホース・ベルト用、抄紙用のコードと呼ばれる補強材。子会社の東レハイブリッドコードが、タイヤメーカーや自動車部品メーカー、抄紙用フェルトメーカーに製品を納入する際に、顧客との間で取り決めた規格から外れた製品の品質データを規格内の数字に書き換えていたという。現時点では法令違反や安全に問題のある案件は見つかっていないとしている。
 不正は16年7月に行われたコンプライアンス調査の結果で発覚。都内で会見した東レの日覚昭広社長によると、当初は法令違反や安全上の問題はなかったことなどから公表しない方針だったという。しかし、11月3日にインターネット掲示板上での書き込みがあり、一部株主からの問い合わせもあったことから発表に踏み切ったと話した。
東レ:子会社が製品検査データを不正改ざん、8年間で149件

ここしばらく、神戸製鋼、、日産、三菱マテリアルなど日本を代表するメーカーの不正が続いている。
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東京新聞11月29日

東レの日覚社長の言い方には違和感がある。
安全性や社会への影響云々というよりも、ルールに抵触しているかどうかの問題である。
榊原氏の社長・会長在任中の事案であり、不正は承知していなかったというが、責任は免れまい。
天皇退位の日程が決まったが、平成も終わろうとする時期に、日本の製造業が揺らいでいる。
時代の変わり目ということだろうか。

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2017年12月 1日 (金)

森友疑惑(60)高橋洋一氏の的外れ/アベノポリシーの危うさ(323)

「政権に都合の悪いニュースが出ると、さまざまなメディアに「駆け付け擁護」する有識者の一人として知られる」高橋洋一氏が、メディアや野党の森友疑惑解明の動きを批判している。
森友学園問題の本質は国有地売却について近畿財務局の事務チョンボであって、安倍首相や昭恵夫人を云々するのは的外れだというのだ。
本当にそうだろうか?

高橋氏は、問題が発覚して間もない3月2日に次のようにツイートしている。
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3月の見解であるが、11月30日付の『森友問題で追及すべきは総理の意向ではなく「財務省の失策」だ』にも引用しているので、見解は変わっていない。

①は、園児らに軍歌を歌わせ、教育勅語を暗誦させていた塚本幼稚園の教育方針のことだろう。
決して個人的な「趣味」や「好き嫌い」の問題ではなく、まさに社会的な問題である。
こんな軍国主義を刷り込ませることが「社会的にどうでもいい話」ではあるまい。
しかも、その教育方針を「素晴らしい」と絶賛していたのが安倍夫妻であり、新設の小学校の名誉校長に就任していたのが昭恵夫人である。書いたように、が問題の本質だ。

②は、その学園に限って、通常起こり得ないような破格の厚遇がされたのである。
近畿財務局のチョンボといえばチョンボであるが、そのチョンボがどうして発生したのか?
そこを明らかにしていかないと、同じチョンボは繰り返される。
高橋氏は「一過性のチョンボ」だと言いたいようだが、そうではない。
財務省が「ストーリー」を考えた結果なのである。
単なる事務的なミスではないのだ。
「忖度」による「構造的なチョンボ」であることを見なければならないだろう。
⇒2017年11月29日 (水): 森友疑惑(58)値引きのための「ストーリー」/アベノポリシーの危うさ(322)

③は鴻池案件だから安倍案件ではないということらしい。
1人の政治家が係わると他の政治家は手を出さない、という風習を言っているらしい。
しかし、昭恵夫人が直接係わっていたのだから、鴻池案件と限定するのは偏った見方だろう。
⇒2017年11月30日 (木): 森友疑惑(59)財務省はなぜ厚遇したのか?/アベノポリシーの危うさ(322)

高橋氏は会計検査院の時系列表を根拠に次のように言う。

 この中で、2015年(平成27年)11月頃とされる内閣総務官室職員からの照会とされているところに注目したい。
 安倍首相の昭恵夫人付き官僚が定期借地賃貸料の特例などについて財務省に問い合わせのファックスを送ったというのが、「総理の関与」をうかがわせる根拠とされているものだ。
 しかし、異例の措置といわれる、10年以内の売却を約束した定期借地契約の締結や「金額非公表」などは、これより前に行われている。金額非公表の決定がいつ行われたのかはわからないが、遅くとも2015年(平成27年)5月までであろう。
 しかも、「鴻池メモ」によると、森友学園が2013年9月に土地取得に名乗りを上げてから、2015年5月の貸借契約まで2年近くも、賃料の折衝が森友側と近畿財務局の間で行われたことが記録されている。
 ということは、「総理の関与」がなかったことを示している。
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森友問題で追及すべきは総理の意向ではなく「財務省の失策」だ

高橋氏は「関与」の意味を限定的に捉えているようである。
昭恵夫人付き秘書が問い合わせをした以前には、学園側と昭恵夫人が接触がないような書き方である。
実際は、メールや電話で頻繁にやりとりしていたのであるから、昭恵夫人の関与は疑って考える必要がある。
高橋氏は、加計学園問題では当事者の1人であった。
⇒2017年10月16日 (月):親安倍のイデオローグ(3)高橋洋一/アベノポリシーの危うさ(307)
こういうひとが熱心に擁護すると、普通はさらに疑問が大きくなる。
的を外しているのは高橋氏自身であり、「駆け付け擁護」もほどほどにした方が良い。

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