非リベラルな言動(1)足立康史代議士/リベラルをどう考えるか(5)
リベラルの概念は不定形であるから、人によって認識が異なる面がある。
若い人の中には、「自由民主党」がリベラル陣営だと思っている人も多いらしい。
私の周りの安倍信者は、「リベラルってどういうこと?」とか「枝野は自分は保守だと言っているが」などと、不審そうである。
しかし、非リベラルの好例がある。
足立康志衆議院議員である。
朝日新聞が11月11日に『「加計」開学へ これで落着とはならぬ』という社説を掲載した。
誤解の起きないよう全文を引用する。
加計学園が愛媛県今治市に計画している獣医学部について、文部科学省の大学設置審が新設を認める答申をした。
はっきりさせておきたい。
来春開学の見通しになったからといって、あの「総理のご意向」をめぐる疑いが晴れたことには、まったくならない。
問われてきたのは、設置審の審査をうける者を決めるまでのプロセスが、公平・公正だったかどうかということだ。
国家戦略特区の制度を使って獣医学部を新設する、その事業主体に加計学園が選ばれるにあたり、首相や周辺の意向は働かなかったか。逸脱や恣意(しい)が入りこむことはなかったか――。
こうした疑念に白黒をつけるのは、設置審の役割ではない。教員の年齢構成や経歴、科目の体系などを点検し、期待される教育・研究ができるかを専門家の目で判断するのが仕事だ。見る視点や材料が違うのだから、特区選定の正当性を裏づけるものにならないのは当然だ。
むしろ、きのう公表された審査資料によって、見過ごせない事実が新たに浮上した。
設置審は今年5月の段階で、加計学園の計画について、抜本的な見直しが必要だとする「警告」を突きつけていた。修正できなければ不認可になる問題点を七つも列挙していた。
政府は国会などで「加計の計画は、競合する他の大学よりも熟度が高いと判断した」と説明してきた。設置審の見解とのあまりの乖離(かいり)に驚く。
七つの指摘の中には「ライフサイエンスなど新分野の人材需要の動向が不明」なことも含まれる。これは、2年前の閣議決定に基づき、設置審にかける前に、特区の審査段階でクリアしておかねばならない条件だったはずだ。設置審はまた、四国地方における獣医師の需要見通しの不備にも言及していた。
これらの重要な点を積み残したまま、なぜ加計学園は特区の認定を受けられたのか。政府に「丁寧な説明」を強く求める。
安倍首相は先の衆院選の際、街頭演説では加計問題にほとんど触れず、「国会があるのでその場で説明させてほしい」と述べていた。この特別国会で約束を果たす義務がある。
問題の発覚から半年。疑問は解消されず、むしろ膨らむばかりなのに、学園の加計孝太郎理事長は公の場で一度も説明していない。野党が国会への招致を求めるのはもっともである。
首相も理事長も、逃げ回っても問題は消えてなくならない。「どうせ国民は忘れる」と高をくくってもらっては、困る。
「加計」開学へ これで落着とはならぬ
足立氏が朝日新聞と違う意見を持っているのは良いとしても、代議士という性格上、言論機関に対して「死ね。」という発言は許されないだろう。
朝日新聞神戸支局で起きた「赤報隊事件」のことを想起する人もいるのではないか。
殺人教唆と取られ兼ねまい。
設置審の認可が疑惑の払拭にはならないことは当然である。
⇒2017年11月 3日 (金): 加計疑惑(56)大学設置審認可へ/アベノポリシーの危うさ(315)
⇒2017年11月11日 (土): 加計疑惑(57)韓国人枠の評価/アベノポリシーの危うさ(316)
朝日新聞の社説は極めて真っ当であり、風評などではない。
疑惑についての国会論戦を避けているのが、自民党・官邸側であることからも、誰が隠蔽したいのかが分かる。
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