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2017年10月 7日 (土)

核兵器廃絶国際キャンペーンにノーベル平和賞/世界史の動向(56)

ノルウェーのノーベル委員会が、2017年のノーベル平和賞を、核兵器の非合法化と廃絶を目指す国際NGOで、今年の核兵器禁止条約成立に貢献した「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)に授与すると発表した。
Ngo171007
東京新聞10月7日

核兵器禁止条約への参加は、世界のコンセンサスになっている証拠であろう。
しかし「唯一の被爆国」の日本政府は同条約に反対である。
⇒2016年10月31日 (月):核禁止条約に反対する日本政府/永続敗戦の構造(5)

もちろんヒバクシャの感情を逆なでするものだ。
今日の筆洗の全文を引用する。
171007

山田洋次監督の『母と暮らせば』については何回か触れた。
⇒2016年1月14日 (木):母と暮らせば』と複素的な世界観/戦後史断章(24)
⇒2017年8月 9日 (水):『母と暮らせば』と『シン・ゴジラ』/戦後史断章(27)
⇒2017年9月 3日 (日):『母と暮らせば』の医学生のモデル・土山秀夫/追悼(112)

映画の中で、メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲の甘美なメロディが印象的だったが、亡霊となった学生のモデルの土山秀夫さんの実体験に基づいていたのは知らなかった。
奇しくも文学賞は長崎出身のカズオ・イシグロに授与されることが決まった。
果たして偶然の一致だろうか?

条約に不参加の日本の外務省担当者は「受賞決定は承知している。核廃絶の目標は共有しているが、アプローチは異にしている」と述べた。
安倍晋三首相による祝福の談話は6日には出ていない。

イシグロさんは5歳まで長崎で生活していた。
海洋学者だった父が英国の研究所に招かれたため、一家で移住し、以来、英国で暮らし、英国籍となった。
しかしナガサキでの生活は一種の原体験のようである。

「最初に小説を書き始めた際の動機は、私の日本の記憶を保存することにありました」と共同通信に語っていた。
長崎原爆被災者協議会(長崎被災協)会長の谷口稜曄さんのように、直接被爆体験を語ってきた人たちが亡くなりつつある。
⇒2017年8月31日 (木):赤い背中の告発・谷口稜曄/追悼(110)

それは、その人たちの記憶の中の風景が消え去るということだろう。
核兵器禁止条約に反対する政党に一票を投ずるわけにはいかない。

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