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2017年10月 2日 (月)

日本の研究力を回復するために(4)重力波/日本の針路(335)

今年のノーベル医学生理学賞は、「体内時計を制御する分子メカニズムの発見」の業績で、米国人研究者のジェフリー・ホール、マイケル・ロスバッシュ、マイケル・ヤングの3氏に贈られることが決まった。
昨日書いた「DDSに関する松村保広国立がん研究センター先端医療開発センター 新薬開発分野分野長らのグループの業績」は来年以降に期待しよう。
⇒2017年10月 1日 (日):日本の研究力を回復するために(3)DDS/日本の針路(334)

物理学分野では、アインシュタインが約100年前に存在を予言した「重力波」が話題になっている。
イタリアなどの国際共同研究チームが観測に成功したと、28日発表があった。
重力波は2年前に米国で初観測され、今回が4回目で、欧州で観測されたのは初めてである。

 重力波は、非常に重い天体が高速で運動すると、より強く発生する。今回の観測は8月14日。2015年に初めて重力波をとらえた米国2カ所にある観測施設「LIGO(ライゴ)」に加え、欧州の観測施設「Virgo(バーゴ)」でも同時に観測された。地球から18億光年離れた場所で太陽の31倍と25倍の重さの二つのブラックホールが、互いの周囲を回りながら合体して発生したとみられる。
 Virgoは長さ3キロのパイプをL字形に直交させ、内部に通したレーザー光を使って重力波をとらえる巨大な装置。フランス、イタリアなど欧州の20カ国が参加してイタリアのピサ近郊に設置。観測開始からわずか2週間後に重力波をとらえた。
 G7科学大臣会合が開かれているイタリア・トリノで会見した共同研究チームは「LIGOの2カ所と欧州の計3カ所で同時に観測できたことで、発生源を精度良く分析できた」と説明した。
アインシュタインが予言の「重力波」、欧州でも観測

「重力波」はノーベル物理学賞の最有力テーマに位置づけられている。
以下のようなメカニズムで発生すると考えられている。
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東京新聞9月25日

重力波がどんな天体でどんな波形で出るかを計算する方法を確立したのが、京都大学基礎物理学研究所の柴田大教授だ。
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現在観測されている重力波は、上掲記事にあるようにブラックホールの運動により発生したとみられるものである。
柴田さんの狙いは中性子星由来の重力波である。
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中性子星は大質量の恒星の超新星爆発によってその中心核が圧縮された結果形成されるが、中性子星として存在できる質量にはトルマン・オッペンハイマー・ヴォルコフ限界と呼ばれる上限値があり、それを超えるとブラックホールとなる。
Wikipedia:中性子星

柴田さんたちの研究は、純粋に好奇心を喚起する。
基礎物理研究所は、日本人のノーベル賞受賞の戦陣を切った湯川秀樹博士を記念して設立されたものである。
長年の研究が脚光を浴びる日を待ちたい。

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