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2017年10月16日 (月)

親安倍のイデオローグ(3)高橋洋一/アベノポリシーの危うさ(307)

大蔵相(財務省)出身の経済学者に高橋洋一嘉悦大学教授がいる。
経済学者としての専門分野は財政学である。
数学科出身であるが、年金数理等に詳しいことがウリになっている。
第一次安倍政権の経済政策のブレーンを務めた。

経歴からしてもう少し骨のある人かと思っていたが、加計疑惑で墓穴を掘った。
私が違和感を持ったのは、安倍晋三首相が5月8日の衆院予算委員会で憲法改正への見解をただされ、「自民党総裁としての考え方は詳しく読売新聞に書いているので、熟読していただければいい」と答えた時である。
この答弁を、高橋氏は「弁えた答弁」と評価した。

なぜ、安倍首相が総理大臣としての立場と自民党総裁の立場を使い分ける必要があるかというと、憲法第99条の関係があるからだ。同条は「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」と書かれている。
安倍首相「『読売』熟読を」の深層 国会で説明しなかった理由

「深層」などと大仰な言葉を使うからよほどのインサイダー情報かと思えば、憲法99条の規定のことである。
首相には憲法遵守義務があるから、自民党総裁として考えを披瀝したということを「弁えた」と評価したらしい。
これほどの形式論理はあるまい。
⇒2017年5月14日 (日):アホな内閣(13)読売新聞を熟読せよ、だと/アベノポリシーの危うさ(207)

高橋氏は、加計疑惑に関して、一貫して政権よりの発言に終始している。
「政権に都合の悪いニュースが出ると、さまざまなメディアに「駆け付け擁護」する有識者の一人として」有名らしいが、国家戦略特区特別委員会の資料にある「民間有識者」の原英史氏が社長を務める「株式会社政策工房」という会社の会長である。
つまり高橋氏は自分の会社を通して加計学園獣医学部の認可問題の関係者そのものである。
Photo_3
政府の駆けつけ擁護で有名な高橋洋一氏、加計学園獣医学部の認可関係者でした


前川喜平前文科事務次官の発言に関して、「文科省は三流官庁」などと下らないエリート意識丸出しの言い方で批判した。

はっきりいえば、勝負のついた後に、文科省は言い訳を言っているだけにすぎないのだ。「文書」にある「総理の意向」という文言は、文科省側のでっち上げ・口実の可能性さえあると、本コラムでは前から書いている。
いずれにしても、官邸としては文書が発見されたところで何の不都合もないのだ。むしろ文書が見つかれば、これらの経緯が明らかになり、文科省がまともな政策議論ができない「三流官庁」であると分かってしまうことになる。
加計学園問題は、このまま安倍官邸の「圧勝」で終わる

弁護士の郷原信郎氏は次のように書いている。

国家戦略特区によって、不当な規制を正し、新たな事業領域を拡大していくこと自体は、決して間違っていない。しかし、それが、権限を有する側とそれに近い人達の意向に強く影響された場合には、一部の人や組織を優遇する「新たな利権」を生むことになりかねない。それだけに、規制緩和の手続の中立・公正がとりわけ重要である。
加計問題での”防衛線”「挙証責任」「議論終了」論の崩壊

また、安倍首相が、「獣医学部特区を全国展開し、1校でも2校でも認める」と言ったことに関し、ツイッターで「特区は全国展開できればするもの。何がおかしいのか」とフォローした。
しかし安倍首相の発言の文脈は、「1校に限定して特区を認めた中途半端な妥協が、結果 として国民的な疑念を招く⼀因となった」から、全国展開をして2校でも3校でも認めたら良いのではないか、という趣旨である。
獣医師の需要やレベルなど無関係に、自分の疑惑を払拭するためにした発言である。
高橋氏には「何がおかしいのか」分からないのだろう。

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