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2017年10月

2017年10月31日 (火)

国会・ディベート・クリシン/アベノポリシーの危うさ(314)

選挙が終わった直後は、与党幹部が口を揃えて「謙虚な姿勢で」と言っていたはずである。
それが、まさに舌の根が乾く間もなしに、国会を開く前から野党の質問時間を減らせと言い始めた。
議院内閣制だから、政府与党の見解と政府の見解に大きな違いはない。
事実、国会でカジノ法案審議の時、時間が余ったからと、「般若心経」を口にした自民党の質問者もいた。
⇒2016年12月 7日 (水):後ろめたさ全開のカジノ法案審議/アベノポリシーの危うさ(113)

各党の言い分は次のようである。

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 質問時間の配分は国会法に規定がなく、与野党の協議で決まる。衆院では予算委員会などの審議について、議席数の少ない野党に配慮し、最近は与党二割、野党八割を目安に割り振っている。だが、森友学園や加計(かけ)学園を巡る疑惑追及などに費やされることを嫌った政府・与党には以前から見直し論がくすぶっていた。
 菅義偉(すがよしひで)官房長官はこの日の記者会見で「各会派の議席数に応じた質問時間の配分は、国民からすればもっともな意見だ」と語った。
 この問題を巡っては、首相と自民党の萩生田(はぎうだ)光一幹事長代行が二十七日、これまでの慣例を見直し、野党の質問時間を削減する方針を確認している。
「民主主義の履き違えだ」 野党の質疑 短縮批判続出

野党の質問時間を制限して、何をしようというのか?
安倍首相へのゴマすりか?
はたまた般若心経を唱えるか?

日本人はディベートが苦手と言われる。
確かに口ばっかり達者な人は信用できないような気がする。
しかし、若者は変わりつつあるようだ。
俳句甲子園では、作品点もさることながら、鑑賞点が決め手になるとは、森谷明子さんの『春や春』にも描かれているとおりである。
⇒2017年7月 7日 (金):森谷明子『春や春』/私撰アンソロジー(48)
⇒2010年8月30日 (月):俳句甲子園
⇒2011年9月27日 (火):今年の俳句甲子園/私撰アンソロジー(7)

その俳句甲子園の最強豪校が、東大進学で有名な開成高校であるのは、癪に障るが納得的でもある。
ディベートの際に重要のはクリティカル・シンキング(クリシン)である。
⇒2010年9月22日 (水):クリシンはどこへ行った?
⇒2010年12月25日 (土):イシュードリブン/知的生産の方法(1)

クリティカル・シンキングについては下図が参考になる。
Criticalthinking2_2
What is "CRITICAL THINKING"?

国会は言論の府であろう。
だとしたら、堂々とクリティカル・シンキングに基づくディベートを行うべきだ。
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ロジカルシンキング、クリティカルシンキングの違いを知ろう!

安倍政権のように、国会審議から逃げている政権をいつまで続けさせるのだろうか?

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2017年10月30日 (月)

モリカケ疑惑の行方/アベノポリシーの危うさ(313)

安倍首相が解散総選挙の日程を考えるうえで、野党の状況などから、「今なら勝てる!」と判断したであろうことは、万人の認めるところであろう。
その判断は、選挙結果を見る限り当たったと言ってもいいだろう。
しかし、モリカケ疑惑の行方次第では、波乱含みである。
モリトモ疑惑の中核である土地売買における値引き額について、会計検査院が疑問を抱いていることが分かったのは、選挙直後の10月25日であった。
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東京新聞10月26日

この疑惑解明の進捗度合いも、当然選挙日程を考えるうえで影響したであろう。
安倍首相は、「表面化しないうちに選挙を終わらせてしまうこと」を考えたに違いない。

解散した総選挙は、安倍首相の思う通りになった。
安倍体制が強化されたにか?
「モリカケ疑惑」の「丁寧な説明」が行われたことになったのか?
そう考えているとしたら、有権者は随分なめられたものだ。
果たしてどうなのか、やがて分かるだろう。

政権の広報紙に堕した産経新聞に、政策の私物化の様子を示す記録がある。
植草一秀氏のブログから引用する。

2015年9月19日に戦争法制=安保法制は強行制定された。8月30日の日曜日には国会議事堂を10万人以上の市民が包囲し、戦争法反対の示威行動を展開した。国会の緊迫度が頂点を迎えていた。そのさなかに、2015年9月4日(金)に安倍首相は平日昼間に大阪に出張した。
産経新聞は次のように伝えている。
安倍晋三首相は4日、大阪市を日帰りで訪問した。国会開会中の平日に首相が大阪入りするのは異例だが、首相には新党結成を目指す大阪維新の会代表の橋下徹大阪市長との友好関係を強調する狙いがあった。自民党総裁選後の中長期の政権運営を見据えれば、政治思想が近い橋下氏の存在は欠かせないからだ。
大阪市を訪れた首相は地元の読売テレビのワイドショーに生出演し、安全保障関連法案の対案を出した維新をこう持ち上げた。
・・・・・・
9月4日(金)の安倍首相動静は以下のとおり。
【午前】8時18分、徒歩で公邸発。19分、官邸着。24分から40分、閣議。9時19分から44分、斎木昭隆外務事務次官。10時21分、官邸発。47分、羽田空港着。11時15分、全日空21便で同空港発。58分、伊丹空港着。
【午後】0時13分、同空港発。39分、大阪市中央区の読売テレビ着。1時30分から2時29分、番組収録。3時3分から45分、情報番組に出演。48分、同所発。4時7分、同市北区の海鮮料理店「かき鉄」着。故冬柴鉄三元国土交通相の次男、大さん、秘書官らと食事。5時5分、同所発。34分、伊丹空港着。6時8分、全日空36便で同空港発。57分、羽田空港着。7時18分、同空港発。43分、自民党本部着。44分から8時7分、谷垣禎一同党幹事長。8分、同党本部発。31分、東京・富ケ谷の私邸着。
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徹底検証不可欠アベ友事案2015年9月3-5日動静

日本共産党の宮本岳志議員によれば、2015年9月4日午前10時から正午までの間、近畿財務局9階会議室で、森友学園の小学校建設工事を請け負った設計会社所長、建設会社所長が近畿財務局の統括管理官、大阪航空局調査係と会合を持っていた事実がある。
冬柴大氏はりそな銀行高槻支店次長を務めたのち、冬柴パートナーズ株式会社を設立しているが、同社の業務内容には、コンサルティング、助成金申請援助があり、森友学園はりそな銀行と業務提携を行っている。

なんとも薄汚れた縁故的利権共同体ではないか。
森友・加計は朝日新聞などが捏造した疑惑だとする人もいる。
安倍首相の丁寧な説明をよく聞いて、疑惑の行方をしかと見据えよう。

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2017年10月29日 (日)

日本を代表するメーカーの不正(続)/技術論と文明論(81)

総選挙が終わったら経団連の榊原会長は早速に、安倍首相に「痛みを伴う改革を」注文した。
しかし他人に注文する前に自ら顧みるべきではないのか。
経団連に属する企業は円安政策によって内部留保を積み上げているが、賃金は低レベルのままだ。
⇒2017年10月19日 (木):アベノミクスというイカサマ/日本の針路(346)

一方で、不祥事、スキャンダルは後を絶たない。
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東京新聞10月28日

日産のみならずスバルも無資格者が、出荷前検査を行っていた。
2171028
東京新聞10月28日

悪意がなかったことは当然で悪意があったとすれば犯罪である。
経団連よ、目を覚ませ!
会社を支えているのは誰なのか?
彼(彼女)らに対して、十分に報いているのか?

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2017年10月28日 (土)

日本を代表するメーカーの不正/技術論と文明論(80)

神戸製鋼と日産自動車という日本を代表する大メーカーの不正が続けざまに発覚した。
日産自動車の筆頭株主はルノー エスエイであるが、日本を代表する企業と言っても間違いではないだろう。
神戸製鋼は、かつて安倍首相も在社したことのある名門中の名門というべき大企業である。
2つの事件は独立した事象であるが、同時期に起きたことがまったくの偶然とも思えない。
神戸製鋼の不正は底なしの様相だ。
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東京新聞10月14日

未だ全容は不明であるが、会社の存亡に係わることになるのではないか。

 神戸製鋼所は26日、アルミ・銅など製品のデータ改ざん問題について再度会見を開いた。2016年9月から17年8月までに納入したのは525社で、このうち8割超の437件で自社、顧客の点検などにより安全性の高さが立証されたという。都内で記者会見した川崎博也会長兼社長は「すべての製品の安全性検証を終えるのがいつかはまだ分からないが、検証完了に向けて最大限努力していく」と陳謝。「業績予想も見通せていない」と述べた。
・・・・・・
 ――新たに機械事業でも不適切な案件が出てきた。これまで最終製品を扱う事業では不正が見つかっていないと説明していた。
 「最終製品を扱う事業でも新たに不正が見つかったのは非常に残念だ」
 ――顧客から費用請求や契約の打ち切りはあるか。業績への影響は。
 「いまの時点では契約取り消しは具体的にない。ただ、例えば早期の取り換えは必要ないが、将来には交換の必要があるとの申し出も、一部の取引先から伝えられている。今後、そういう要求はあるだろう」
 「業績予想については現時点では見通せてはいない。来週、30日に予定する17年4~9月期決算発表の段階でなんらかのコメントをしたい」
神鋼社長「すべての安全性検証、業績とも見通せず」

日本社会の「成長の限界」を象徴しているように感じられる。
⇒2013年5月17日 (金):「成長の限界」はどのような形でやって来るか?/花づな列島復興のためのメモ(214)
⇒2015年9月12日 (土):モーレツからビューティフルへ/戦後史断章(21)
⇒2016年9月27日 (火):日本社会の価値意識の転換/技術論と文明論(73)

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2017年10月27日 (金)

小池都知事の中立性という名目の政治性/日本の針路(351)

小池氏が急速に支持を失ったことは、選挙前の言動によるところが大きいだろう。
しかし、それは上手に迷彩を施していた小池氏の本質が、都知事選、都議会選の圧勝で気が緩み、表面に露出したに過ぎない。
⇒2017年10月26日 (木): 小池都知事の錯覚・錯誤・蹉跌/日本の針路(350)

小池氏は緑をイメージカラーにしていた。
緑はエコロジーの象徴であり、支持の拡大に効果的であった。
しかし小池氏が特にエコロジーにこだわりを持っていたは思えない。
小池氏は、核武装や他国への先制攻撃を主張する幸福実現党と共闘していたし、自身も核保有論者だったことを忘れてはならない。
⇒2009年8月22日 (土):小池百合子氏と幸福実現党が共闘!
⇒2016年7月22日 (金):緑を冒涜する小池百合子/日本の針路(277)

都知事選で急遽脱原発を持ち出したりしたが、付け焼き刃もしくは偽装と見るべきであろう。
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⇒2017年9月27日 (水):小池新党はポピュリストの本領か?/日本の針路(331)
⇒2017年9月28日 (木):衆院解散は「倭国大乱」に似ているか?/日本の針路(332)

小池氏の本質は、選挙前にも現れていた。
それは関東大震災が起きた時に発生した朝鮮人虐殺の犠牲者に対する都知事としての追悼文を送付しなかったことである。
その理由は、都知事としての追悼文は東京都慰霊堂で行う式典に送っており、「知事は朝鮮人も含め全ての犠牲者に追悼の意を表しているので、個別の慰霊式への追悼文送付は見合わせることにした」と説明されている。
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東京新聞8月24日

追悼文を送らないことが話題になっても、特別に対応しなかったのであるから、これは小池氏自身の意思であると考えて良いだろう。
小田嶋隆氏は「日経ビジネスオンライン9月1日号」の『追悼文をやめて何を得るのか』で次のように言っている。

 あまりにもさらりと言ってのけているので、こちらもついさらりと聞き流してしまいそうになるが、この短い質疑応答の中で、小池都知事は、実に空恐ろしい言葉を連ねている。
 「民族差別という観点というよりは……そういう災害で亡くなられた……様々な被害によって亡くなられた方々」
 というこの言い方は、知事が朝鮮人虐殺について、民族差別とは無縁な偶発的な出来事である旨の認識を抱いていることを物語っている。
「民族差別というよりは」
 というよりは、何だ? 
 民族差別でないのだとすると、あの集団殺戮は、いったいいかなる心情がドライブした動作だったというのだろうか。
 同じ町で暮らしている隣人を、同じ町の住人が多数の暴力によって殺害することが、差別以外のどういう言葉で説明できるのだろうか。
 6000人以上と言われている虐殺の犠牲者は、民族差別による殺人の犠牲者ではなくて、一般の災害関連死と同じ「様々な被害」として一緒くたにまとめあげることのできる死者だというのか?

至極真っ当な意見であるが、こういうことを言うと昨今は「極左」などと言う人がいるから、日本の右傾化も相当のものだ。
中島岳志氏は、虐殺死を災害死に包含するような考え方を「中立性という名の政治性」と呼んでいる。

さいたま市の公民館が「9条デモの俳句」を中立でないという名目で掲載しなかったのも同じことだろう。
⇒2014年7月 5日 (土):さいたま公民館の俳句掲載拒否と新興俳句事件/日本の針路(4)
⇒2014年7月31日 (木):「九条俳句」とさいたま市教育長批判/日本の針路(16)

この不掲載という判断は、今年話題になった妙な「忖度」のハシリと言うべきだろう。
小池氏の反安倍の言動に幻惑されてはならない。

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2017年10月26日 (木)

小池都知事の錯覚・錯誤・蹉跌/日本の針路(350)

それにしてもジェットコースターよりも激しい急降下だったと言えよう。
小池百合子東京都知事が、国政新党として「希望の党」を立ち上げると発表してから1カ月での評価の低落である。

小池氏は、昨年7月の都知事選に圧勝した。
私は、猪瀬直樹、舛添要一の二人に続き、東京都民はまた間違えたと思った。
なぜなら、彼らが選出された経緯についてのレビューが不十分であると考えたからである。
そして、「漠然とした不安」を抱いた。
⇒2016年7月31日 (日): 都知事選の暫定総括/日本の針路(282)

しかし、今年7月の都議選においても、小池都知事が代表を務める地域政党「都民ファーストの会」が49議席を獲得して、都議会第1党となった。
都議選においては、公明党も小池知事を支持したので、支持勢力は過半数の64を大きく上回り、79議席となった。
この結果が小池氏にある種の万能感をもたらしたであろうことは想像に難くない。

それは「希望の党」をの設立を発表する際の高揚した感じからも窺えた。
若狭勝、細野豪志の両氏が、2人で協議していた新党議論を打ち切ってリセットすると言い放った。
そして、自分だけの判断で、首班指名に公明党の山口那津男氏の名前を持ち出したりする「はしゃぎ」ようだった。
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東京新聞10月25日

特に、民進党のリベラル議員を「排除する」と言ったことが有権者の反感を招いた。
側近とされた若狭氏でさえ、「あの発言が・・・」と恨み節を口にした。
選挙結果により後悔しているのかも知れないが、後の祭りである。
排除した民進党のリベラル議員らによって後追い的に作られた立憲民主党に、完全に勢いを奪われた。

三浦瑠麗氏は、立憲民主党は全員当選しても少数であり、あらかじめ敗北していたことを総括すべきだ、と「朝ナマ」で言っていた。
米山隆一新潟県知事はツイッターで次のように批判した。
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同感である。
三浦氏が安倍首相よりのスタンスであることは承知している。
⇒2017年9月14日 (木):親安倍イデオローグ(1)三浦瑠麗/アベノポリシーの危うさ(295)
しかしこれは米山氏の言うように、完全にお門違いのコメントというべきだろう。
選挙前後の変動率で見れば、唯一立憲民主党だけが議席を増やしているのだ。
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ところで、小池氏は何を間違えたのか?
万能感によって客観的な目を失ったからであろう。
論理的な思考の一丁目一番地は、根拠に基づく判断である。
空を見る目が曇っていたというしかない。
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ところで、小池氏の排除したリベラルとは何か?
最近は何を勘違いしてか「極左」などという人もいる。
社会の右傾化が進んだためか、単に無知なだけか。
日本のリベラルの源流は自民党宏池会なのだそうだ。
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東京新聞10月3日

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2017年10月25日 (水)

マクロ経済指標と経済の実相/アベノポリシーの危うさ(312)

総選挙に勝利した安倍首相は、当然のようにアベノミクスを再加速させるという。
しかし、アベノミクスで経済は良くなっているのか?
確かに、直近の株価は好調である。
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週刊朝日11月3日号

しかし、実生活で好景気を実感している人は少ないと思われる。
企業業績は好調であっても、実質賃金に反映されていないからだ。
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同上

広辞苑の第7版のニュースが流れているが、もう忘れ去られたような言葉に「トリクルダウン」がある。
アベノミクスという言葉と一緒に流行した言葉だ。
経済再生担当相だった甘利明氏は、2014年11月の記者会見で、「アベノミクスの基調が頓挫したわけではないが、トリクルダウンがまだ弱い」と語っており、安倍政権の経済政策のブレーンである経済学者の浜田宏一氏は、「アベノミクスの最初のステージはトリクルダウン」としていた。
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【アベノミクス失敗?】トリクルダウン理論が崩壊中!

それがいつの間にやら、安倍政権のブレーンである竹中平蔵慶應大学教授は、「トリクルダウンなんて起こるはずがない」と言った。
⇒2016年1月17日 (日):いかさま経済政策の破綻(続)/アベノミクスの危うさ(68)
稲田朋美元自民党政調会長も2016年5月15日のNHK日曜討論で、「安倍政権としてはトリクルダウンという考え方はとっていない」と発言した。
⇒2016年6月11日 (土):トリクルダウンの幻/アベノポリシーの危うさ(79)

幻の流行語大賞である。
井沢元彦、中原圭介『「歴史×経済」で読み解く世界と日本の未来』PHP研究所(2017年8月)において、中原氏は「本来、経済政策や金融政策というのは、国民生活を悪化させないためにどうすればいいのかという視点が原点にあるはずです」と言っている。
まさに「経世済民」である。

またmアベノミクスを推進しているリフレ派の経済学者は、一般教養の土台が欠如していると酷評しているが、同感である。
未だにアベノミクスを再加速させるなどと言っている安倍首相は、やはり「裸の王様」である。
⇒2013年10月17日 (木):安倍首相は裸の王様か?/アベノミクスの危うさ(16)
⇒2014年11月27日 (木):続・安倍首相は裸の王様か?/日本の針路(76)
⇒2015年12月12日 (土):続続・安倍首相は裸の王様か?/アベノミクスの危うさ(64)
⇒2017年10月21日 (土): デフレ脱却という政策目標の誤り/アベノポリシーの危うさ(310)

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2017年10月24日 (火)

総選挙の帰趨を決めた要因/日本の針路(349)

安倍翼賛体制が続くかと思うと憂鬱になるが、自民党大勝に終わった要因はどう考えられるだろうか?
もちろん複合的であって、答えようがないとも言える。
しかし現象的には、小選挙区制という制度において、一強といわれる相手に対し、挑戦する側が四分五裂していたのでは、勝てるはずがない。
その意味で「1対1」の構図に持ち込もうとした前原誠司民進党代表の判断や、それを受け入れた民進党議員らの判断は分からなくもない。

しかし、結果的にはその意図が実現することはなかった。
民進党は前原執行部の発足以前、共産党や社民党などとの野党共闘を進めていたので、小池氏と前原氏は共謀して野党共闘を潰したのかも知れない。
あるいは、本人たちは意識していなくて、誰かに謀られたのかも知れない。
死んだ子の齢を数えるようなものだが、朝日新聞が野党共闘が成立した場合のシミュレーションをしている。

「立憲、希望、共産、社民、野党系無所属による野党共闘」が成功していればという仮定のもと、朝日新聞は独自に、各選挙区でのこれらの候補の得票を単純に合算する試算を行った。その結果、「野党分裂型」226選挙区のうち、63選挙区で勝敗が入れ替わり、与党120勝、野党106勝となった。
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野党一本化なら63選挙区で勝敗逆転 得票合算の試算

また、全国を1つの選挙区と見て、政党別の獲得票数で議席を配分したらどうなるか?
ツイッターの投稿から引用する。
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安倍首相が勝敗ラインとして設定した「与党過半数」を僅かに下回る数字である。
過半数≧233 自公:215

まあ、希望、維新・・・の113、を加えると328になるから、広義の与党大勝に変わりはないが、希望も一枚岩とは考えられないだろう。
まあ、意味のないシミュレーションではあるが、野党共闘が成立していれば結果が大きく変わっていた蓋然性は高い。
その意味では、野党のオウンゴールだったし、その戦犯は、小池、前原の両氏であることは疑い得ないだろう。

特に、踏み絵まで踏ませた小池氏が急失速したのは当然と言えよう。
元共産党の幹部だった筆坂秀世氏は次のように言う。

 9月25日、小池氏は安倍晋三首相の解散表明の日にぶつけるように希望の党を立ち上げた。このとき、国民の間で大きな期待が広がった。自民党の小泉進次郎氏は、「最初はビビった」と言う。二階俊博幹事長は、「今から解散を止められないか」とこぼしたと言う。それぐらい自民党に衝撃を与えたのだ。
 だが、小池氏のたった一言で流れは大きく変化してしまった。小池氏は昂然と胸を張って、「民進党議員を全員受け入れるつもりはさらさらない」「排除します」と発言した。この発言をテレビで聞いたとき、「何様だ」と瞬時に感じた。多くの国民が同様に感じたはずである。
「実るほど頭を垂れる稲穂かな」という諺があるが、傲慢さは日本人が一番嫌うものだ。ましてや踏み絵などというのは、キリスト教の弾圧を想起させるだけだ。自民党のある幹部は、「安倍さんが一番嫌われていたのに、小池さんが一番嫌われるようになって、安倍さんは二番になった」とほくそ笑んだという。
自民党大勝の最大の功労者は小池百合子と前原誠司

小池氏は勘違いをしていたのであろうか?
前原氏はその勘違いを、諒としたのだろうか?
両氏が意図的に野党共闘を潰したのではないと思いたい。

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2017年10月23日 (月)

フェイク新聞と化した産経と日本の状況/日本の針路(348)

衆院選の投票日にテレビ速報を、主に池上彰氏の番組を中心に視聴していた。
その時、安倍首相へのインタビューが「妨害」されたように聞き取り難かった。
「何だろうな?」と思っていたら、次のような記事があった。

 まず、司会のジャーナリスト・池上彰氏が「今回の選挙戦での結果を、どのように評価していますか?」と質問すると、安倍首相はその質問には答えず、「まず質問にお答えする前に申し上げたいのですが」と切り出し、約1分間にわたり、日本に上陸中の台風に対する警戒を国民に呼びかけ、続けて、多くの選挙区で自民党候補者が接戦を繰り広げていることについて、「私たちに厳しい視線が注がれているということを、肝に命じていかないといけないと思っている」と自ら反省の弁を述べた。
 そして、話題が今回衆院解散を決断した理由におよび、池上氏が「北朝鮮情勢に関してはですね」と切り出した途端、中継先である自民党本部の会場内に大音量で「続きましては、高村副総裁によるバラ付けを行います」というマイク音が響き渡り、約1分間にわたり当選者名の読み上げやバラ付けが安倍首相の背後で行われ、池上氏と安倍首相のやりとりが聞き取りにくい状態が続いた。そして「高村総裁、ありがとうございました」というアナウンスが入ったかと思うと、今度は同じく大音量で「続きまして、竹下総務会長によるバラ付けを行います」というマイク音が流れてバラ付けが行われ、2分近く中継が聞き取りにくい状態となった。これには、池上氏もやや戸惑う表情を見せた。
 最後は池上氏が質問している途中で強制的に中継が終了されて“時間切れ”となったが、約6分間の中継時間の内の半分が、安倍首相による一方的な発言や“大音量のバラ付け”に占められ、質疑応答が十分に行われなかった。
 池上氏が司会を務めるテレビ東京の選挙特番といえば、これまで政治家たちへのタブーのない鋭い追及がウリだっただけに、インターネット上では「会場のアナウンスでのインタビュー妨害が露骨」「池上さんの質疑を嫌って、わざと音をうるさくする作戦」「花付け作業で質問かき消す」「自民も姑息な手段してきたね」などと批判を呼んでいる。
 ちなみに同番組内では、その後、池上氏は自民党の岸田文雄政調会長との中継の際に、「中継の際は読み上げなどは行わないルールのはず」「こちらと安倍さんとのやりとりがうまくいかなかったことについて、きわめて異例のことだったと一言申し上げておきます」と抗議しているだけに、今後問題化される可能性もありそうだ。
自民党、安倍首相と池上彰の中継で大音量「妨害」に批判殺到…「姑息」「わざと音」

もし意図的な行為だとしたらずいぶん姑息ではないか。
誰かが、「池上氏は選挙期間中にやるべきだ」と言っていたが同感である。

自民党と同じように姑息なのが、自民党の機関紙と化している産経新聞である。
私も産経新聞を購読していた時代があった。
文芸欄には光るものがあったし、斎藤勉『スターリン秘録』や堺屋太一『風と炎と』など大型のノンフィクションは面白く読んだ。
しかしもう四半世紀も前のことだ。
ネット戦略では先行していて、紙面イメージがそのままスクショできるが、時々知人がコピーして渡してくれる。
安倍応援団であることは分かっていたが、投票日の紙面構成には驚いた。Photo_2

ツイッターからに引用であるが、なんと新宿の立憲民主党の写真である。
あたかも安倍首相の演説が熱気を帯びたものであるかのようである。
これを「印象操作」とか「フェイクニュース」というのではないか?
ツイッターの文章は次のようである。
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まったく同感である。
しかし、秋葉原の様子は以下のようだったから、いくら産経新聞でも使うわけにはいかなかったのだろう。
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 選挙戦を締めくくる「最後の訴え」で安倍首相が到着する1時間半前から、無人の自民党選挙カーの周囲を人が埋め尽くし、数え切れない日の丸の旗が揺れている。大半が支持者のようだ。「負けるな安倍総理」「頑張れ安倍総理」--巨大な横断幕が何枚も掲げられている。
 大勢の警察官が、鉄柵やロープを使ってその大集団と一般市民を隔てている。横断幕や居並ぶ警察官の前を、通行人が足早に通り過ぎていく。
 駅ロータリーを囲んで地上を見下ろす歩行者デッキも、支持者で埋まっている。「みなさーん、これで応援してくださーい」。各所で日の丸の小旗を配っている。誰が小旗を用意したのか。配る女性の一人は「ボランティアなので、ちょっと……」と笑顔で首をかしげたが、自民党のバッジをつけた人も配っていた。
 TBSやテレビ朝日を「偏向報道」と糾弾するプラカードを持って歩き回る支持者たちも多数いる。全体に若い世代が多い印象だ。
揺れる日の丸、かき消される「アベやめろ」 首相の「アキバ演説」で見えたもの

安倍首相と枝野代表の街頭演説を対比させた画像は以下のようである。Photo_4
⇒2017年10月22日 (日):「こんな首相」を続けさせて良いのか?(2)/アベノポリシーの危うさ(311)

それにしても日本もヒドイ状況になってきたものだと思う。

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2017年10月22日 (日)

開票速報を眺めつつ/日本の針路(347)

テレビで開票速報をやっている。
最初に目に飛び込んできたのは、なんと稲田朋美氏である。
私が議員であるべきではないと考える人である。
⇒2016年10月16日 (日):稲田防衛大臣の資質と適性/人間の理解(18)
⇒2017年4月 1日 (土):稲田防衛相の虚偽答弁/日本のPost-truth(1)
⇒2017年2月19日 (日):不適格大臣列伝(15)稲田朋美防衛相(6)/アベノポリシーの危うさ(134)

この結果が示すものは、何のための選挙だったのか、改めて疑問に思う。
与党は、ほぼ改選議席と同程度の議席数のようである。
野党は、希望の党が伸び悩み、立憲民主党が上回りそうである。
事前に予想された情勢通りであろう。
Photo_5
自公2/3維持の勢い 希望、立民 野党第1党争い 終盤情勢

⇒2017年10月18日 (水):総選挙終盤の情勢/日本の針路(345)

序盤の情勢分析から、希望と立憲の位置が変わっただけとも言える。
⇒2017年10月12日 (木):安倍首相の暴言と衆院選序盤(?)の情勢/日本の針路(343)

結局、橋本治氏の言うように、自民・希望・民進『三方一両損』の構図なのだろうか。

 安倍は北朝鮮問題やら民進党のスキャンダルやらで、一時は落ち込んでた支持率が、ここにきてちょっと上がったから「今だ」と思って解散総選挙に踏み切ったんだろうけど。選挙戦じゃ希望の党や民進党の悪口ばっかり言っていて、そういうコトしていると自分が嫌われるというのが、相変わらず分かってないでしょ。
 一方、希望の党の小池百合子は民進党を乗っ取って、一気に主役になろうと考えたんだろうけど、その過程で「私にとって都合の悪い人は排除します」なんて言うもんだから、結局はタカ派だってのがあっさりバレて嫌われた(笑)。で、前原がその小池に手玉に取られて、分裂崩壊しちゃった民進党は「ああ、あの人たちってやっぱりバカだったのね……」とみんなに納得されちゃった。
 その希望の党を排除された面々は、急遽団結して立憲民主党を作った。ほとんど忠臣蔵だよね。代表のせいでお家断絶となった民進党の浪士が、仇討ちを決意して結集したという……。日本人の同情はこういうところに集まるから、元の城をなくしてもここはそれなりに勝てる。そういうもんです。

⇒2017年10月22日 (日):「こんな首相」を続けさせて良いのか?(2)/アベノポリシーの危うさ(311)

戦いを前にして解党してしまった民進党は、希望、立憲、無所属に割れた。
結果を見れば、何のための解党だったのだろうか?
もちろん、見解が明快になったという副次的(?)効果はあった。
⇒2017年9月11日 (月:民進党の解体と「真の野党」への再編成/日本の針路(328)

選挙結果は現時点の状態(ストック)を示すものである。
それはそれとして、フロー(ベクトル)がどうなのか?
上げ潮の立憲が勢いを維持できるかどうかがポイントであろう。

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「こんな首相」を続けさせて良いのか?(2)/アベノポリシーの危うさ(311)

選挙戦の初期は、メディアの取り上げ方は「安倍VS希望」の図式が圧倒的に多かったように思う。
周南になって、「政権VS立憲民主」もしくは「改憲勢力VS立憲勢力」にシフトしてきたように感じられる。
たまたま、橋本治『知性の顚覆 日本人がバカになってしまう構造』 朝日新書(2017年5月)を読んでいたら、独特の表現ではあるが大いに共鳴した。

橋本さんは、東大在学中の駒場祭のポスターのコピー「とめてくれるなおっかさん 背中の銀杏が泣いている 男東大どこへ行く」で知られる。
その後、桃尻語などで一世を風靡したのは知っているが、感覚が合わないような気がしていた。
橋本さんは、『自民・希望・民進「誰も得しない」? 橋本治が衆院選を切る』で次のように語っている。

 安倍は北朝鮮問題やら民進党のスキャンダルやらで、一時は落ち込んでた支持率が、ここにきてちょっと上がったから「今だ」と思って解散総選挙に踏み切ったんだろうけど。選挙戦じゃ希望の党や民進党の悪口ばっかり言っていて、そういうコトしていると自分が嫌われるというのが、相変わらず分かってないでしょ。
 一方、希望の党の小池百合子は民進党を乗っ取って、一気に主役になろうと考えたんだろうけど、その過程で「私にとって都合の悪い人は排除します」なんて言うもんだから、結局はタカ派だってのがあっさりバレて嫌われた(笑)。で、前原がその小池に手玉に取られて、分裂崩壊しちゃった民進党は「ああ、あの人たちってやっぱりバカだったのね……」とみんなに納得されちゃった。
 その希望の党を排除された面々は、急遽団結して立憲民主党を作った。ほとんど忠臣蔵だよね。代表のせいでお家断絶となった民進党の浪士が、仇討ちを決意して結集したという……。日本人の同情はこういうところに集まるから、元の城をなくしてもここはそれなりに勝てる。そういうもんです。

超大型の台風が上陸するのはほぼ確実らしい。
総選挙の結果はどうなるか?
もう少し時間が欲しかったところだが、そこが政権の狙いだろうから言っても仕方がない。
しかし安倍首相と枝野立憲民主党代表の街頭演説の様子を並べた写真が雄弁に語っている。
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ものものしい警備の中でしか演説できない首相と、群衆の真ん中で演説する枝野氏。
「「こんな首相」を続けさせて良いのか?」と、本気でもう一度問いたい。
⇒2017年10月20日 (金):「こんな首相」を続けさせて良いのか?/アベノポリシーの危うさ(309)

改めて、各党の主張の概要をまとめた表を引用しておこう。
171022
東京新聞10月22日

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2017年10月21日 (土)

デフレ脱却という政策目標の誤り/アベノポリシーの危うさ(310)

安倍首相は「アベノミクス」がよほどお気に入りらしい。
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「アベノミクス」と称する経済政策の1丁目1番地は、日銀の黒田東彦総裁による「異次元の金融政策」であろう。
しかす既に4年以上経つのに、広言していた2%の物価上昇目標は未だに達成できていない。
にも拘わらず、反省の姿勢がまったくないまま緩和政策を続けている。
「PDCA]というマネジメントの原則に照らしてみても、安倍一強のマイナスは明らかであろう。
出口政策についても具体策を示していない。

Ws000000_2 国債の大量購入で日銀が保有する国債は発行残高の4割超に膨らみ、市場では不安が強まっている。日銀が将来、出口局面で国債の買い入れを減らせば、市場に出回る国債が増えて国債価格が下落(金利は上昇)すると見込まれる。市場が混乱する恐れがあるほか、日銀が抱える国債に巨額の含み損が発生したり、日銀にお金を預けている民間金融機関への利払い費が膨らんだりして、日銀の財務が悪化する懸念がある。日銀の信頼性が損なわれて円が売 られれば、極端な円安やインフレを招きかねない。
黒田日銀総裁 異次元緩和強気、出口は遠く

企業の業績は上がっても、社員の実質賃金は下がっているので、消費は冷え込んだままだ。
⇒2017年10月19日 (木)::アベノミクスというイカサマ/日本の針路(346)

そもそもデフレは絶対的な悪なのか?
デフレスパイラルといわれるような状況が好ましくないことは、多くの人のコンセンサスであり、アベノミクスはデフレ脱却を最大の眼目としている。

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⇒2013年7月 1日 (月):金融緩和の効果と影響-アベノミクスの危うさ(8)/花づな列島復興のためのメモ(239)

しかし多くの大衆にとってはインフレよりもデフレの方が有難いのではないか?
⇒2013年7月30日 (火):物価上昇はハッピーな事態なのか?/アベノミクスの危うさ(10)

実際、井沢元彦、中原圭介『「歴史×経済」で読み解く世界と日本の未来』PHP研究所(2017年8月)には、中原氏により次のようなことが解説されている。

経済学者も日本政府も欧米の価値基準にならって「デフレは悪だ」と決めつけてきたわけです。実態を見ているとは、とても言えませんね。

中原氏は「東洋経済オンライン」2016年5月31日で、『「アベノミクスは大失敗」と言える4つの根拠』で、次を指摘している。

(1)円安により企業収益が増えたとしても、実質賃金が下がるため国内の消費は冷え込んでしまう。
(2)大企業と中小零細企業、大都市圏と地方といった具合に、格差拡大が重層的に進んでしまう。
(3)米国を除いて世界経済が芳しくない見通しにあるので、円安だけでは輸出は思うように増えない。
(4)労働分配率の見地から判断すると、トリクルダウンなどという現象は起きるはずがない。

リアルに社会を見れば、納得する人が多いのではないか。
未だにアベノミクスを自慢している安倍首相は、まさに「裸の王様」である。
⇒2013年10月17日 (木):安倍首相は裸の王様か?/アベノミクスの危うさ(16)
⇒2014年11月27日 (木):続・安倍首相は裸の王様か?/日本の針路(76)
⇒2015年12月12日 (土):続続・安倍首相は裸の王様か?/アベノミクスの危うさ(64)

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2017年10月20日 (金)

「こんな首相」を続けさせて良いのか?/アベノポリシーの危うさ(309)

総選挙の結果はフタを開けてみなければ分からないとは言え、与党圧勝という予測がほとんどである。
台風直撃という予測もあって、それがどう影響するか?
「モリカケ疑惑隠し」の解散であることは明らかであるが、安倍首相は「丁寧な説明」どころがデマに余念がない。

 衆議院解散総選挙を受け、10月8日に日本記者クラブで党首討論会があった。その際、いわゆる加計学園問題に関する報道をめぐって、安倍晋三首相と坪井ゆづる朝日新聞論説委員の間で応酬があった。
 首相は、八田達夫・国家戦略特区ワーキンググループ座長の証言に関する朝日の報道について「ほとんどしておられない。しているのはほんのちょっとですよ」と指摘。加戸守行・前愛媛県知事に関する報道も「証言された次の日に全くしておられない」と断じた。坪井氏が否定すると、首相が「ぜひ国民の皆さんは新聞をよくファクトチェックしていただきたい」と呼びかける一幕もあった。
 産経新聞は、このやりとりを取り上げた阿比留瑠比論説委員のコラムを掲載。「朝日がいかに『(首相官邸サイドに)行政がゆがめられた』との前川喜平・前文部科学事務次官の言葉を偏重し、一方で前川氏に反論した加戸氏らの証言は軽視してきたかはもはや周知の事実」と首相発言を擁護する趣旨の論評を行った。同紙は7月12日にも、朝日と毎日の両紙が国会(閉会中審査)での加戸氏の発言を取り上げなかったと批判する記事を掲載していたが、これをこの討論会直後にニュースサイトに再掲した。
加計問題報道 安倍首相が呼びかけたファクトチェックの結果 (上)

結果は以下の通りである。
Ws000001
ファクトチェックをしたのは、弁護士の楊井人文氏(日本報道検証機構代表)である。
この件は以下でも触れたが、そもそも一国の首相がイチャモンを付けるような問題ではないだろう。
⇒2017年10月14日 (土):加計疑惑(55)加戸発言の評価/アベノポリシーの危うさ(306)

安倍首相は「1モリカケ疑惑」に沈黙する一方でアベノミクスや北の脅威については雄弁である。
しかしアベノミクスの失敗は明らかであろう。
⇒2017年10月19日 (木):アベノミクスというイカサマ/日本の針路(346)
1710202
東京新聞10月20日

首相のお友達の百田尚樹は相変わらずデマをまき散らしている。
立憲民主党が政党要件を満たしていないから、「違憲民主党やね!」などと放言している。
産経新聞を含め、この連中の言説には品格がない。

ジャーナリストの有本香氏が、公職選挙法が定める政党要件を説明。衆院選で有権者が比例代表で投票できる政党は「国会議員が5人以上所属する」という条件があると紹介した上で、以下のように話した。

立憲民主党は、この要件を満たしているのかという根源的な疑問があります。
(党が)できた日が10月3日ってなってるんですよ。
解散後ということは、枝野さんも含めて議員バッジを外したあとですよ。
厳密なことを言い出せば政党要件を満たしてるのかってことですよ。
法的に問題ないんでしょうか?

これを受けて百田氏は「今、聞いてびっくりした」と驚き、立憲民主党のネーミングになぞらえて「違憲民主党やね!」と話していた。
「立憲民主党は政党要件を満たしてない」 ⇒ 間違いでした

政党要件を満たしていなければ受け付けられるはずもないのに、わざわざ拡散しているのは悪質である。

「こんな人たちに負けるわけにはいかない」と本気で思う。
と思っていたら、弁護士の郷原信郎氏が『本当に、「こんな首相」を信任して良いのか』と題する投稿をしていた。

“憲政史上最低・最悪の解散”を行おうとする「愚」】でも述べたように、今回の衆議院解散は、現時点で国民の審判を仰ぐ理由も「大義」もないのに、国会での森友・加計学園疑惑追及を回避するための党利党略で行われたものであり、憲法が内閣に認めている解散権を大きく逸脱した「最低・最悪の解散」だ。
疑惑隠しのため解散を強行した安倍首相への批判から、自民党が大きく議席を減らすことが予想されていたが、「希望の党」の結成、民進党の事実上の解党によって、野党は壊滅、その「希望の党」も化けの皮が剥がれて惨敗必至の状況となり、結局、「最低・最悪の解散」を行った安倍首相が、選挙で圧勝して国民から「信任」を受けることになりかねない状況になっている。
しかし、本当に、それで良いのであろうか。

まさに同感である。
それで良いはずがないではないか!

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2017年10月19日 (木)

アベノミクスというイカサマ/日本の針路(346)

安倍首相は、安倍政権の実績として、GDPが50兆円増えただとか、株価が21年ぶりの高水準だとか言っている。
しかし、GDP統計を研究開発費等を加算するという姑息な手段でかさ上げしているし、株価も、公的資金をジャブジャブ使って高値を維持しているのはミエミエだ。
これはイカサマ師の口上である。

「もし消費税が上げられなかったら、それはアベノミクスが失敗したということだ」と安倍首相自身言っていたことを忘れてはならない。
それを、「内需を腰折れさせかねない。延期すべきだと判断した」と述べて先送りした。
「新しい判断だ」と臆面もなく口にしたのである。
⇒2016年6月 8日 (水):誤りを謝らなくてもいい口実/永続敗戦の構造(3)
⇒2016年6月 2日 (木):精神鑑定が必要な安倍首相/アベノポリシーの危うさ(75)

アベノミクスによって庶民の暮らしが良くなったと思っている人など皆無であろう。
「厚生労働省 毎月勤労統計調査 平成27年分結果確報より」となっているグラフに、誰かがキャプションを加筆したグラフがある。
Photo

実質賃金が上がらないでは、暮らしは良くならないし、消費は抑制せざるを得ない。
それが経済の実相である。
その辺の事情を「週刊新潮」10月19日号は次のように書いている。
20171019_2119412

アベノミクスなどと、経済政策に自分の名前を付けるなどと言う慎みのないことは、保守の人間のするべきことではないだろう。
マジメな保守が眉を顰めるのは当然だが、希望の党は「ユリノミクス」などと同じ轍を踏んでいる。
「一度目は喜劇だが、二度目は悲劇である」という言葉を見事に裏書きするものだろう。

安倍失政のセイで、エンゲル係数などという懐かしい言葉が復活した。
1710172
日刊ゲンダイ10月17日

実質賃金のグラフを民主党政権時代を外して左に寄せたグラフもある。
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安倍の経済失政は明白

なんとスムーズに繋がる。
つまりいろいろ問題はあったにせよ、民主党政権は自民党に比べ、頑張っていたのである。

憲法問題は知らないが、アベノミクスで景気を良くしてくれそうだから自民党に投票する、
というノーテンキな人がいますが、そういう人はよくよくこのグラフをみるべきです。
安倍は外に戦争の不安を煽り、内に老後の不安を煽り、社会保障をどんどん削っています。
だから個人は消費しない(したくてもできない)し、企業は内部留保をためこみます。
それがアベノミクスで、安倍は、ますますアベノミクスのエンジンをふかす、と言っています。
そんなことをすれば経済は逆噴射で奈落の底に墜落します。
それでも、マスコミの調査では選挙は自民が大勝するそうです。
あなたは、いったい、自民党に何を期待しているのですか?
安倍の経済失政は明白

「本音のコラム」欄で、竹田茂夫法政大学教授が『幸せな日本人』と題して、次のように書いていた。
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東京新聞10月19日

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2017年10月18日 (水)

総選挙終盤の情勢/日本の針路(345)

安倍首相が「今なら勝てる!」と判断して解散したのだから、最初から与党有利のはずである。
それに、機会主義者の小池百合子都知事が都議選の味が忘れられずに乗っかり、バカな前原誠司民進党代表が取り込まれて、ますます与党有利になってしまった。
もはや首相として言ってはならない暴言さえも、問題にする人は少ない。
⇒2017年10月12日 (木): 安倍首相の暴言と衆院選序盤(?)の情勢/日本の針路(343)

そして早くも終盤である。
各紙とも与党堅調を報じている。

Photo_5  二十二日投開票の衆院選について、本紙は十七日、独自取材に、本紙や共同通信社が行った電話世論調査を加味し、終盤情勢を分析した。与党の自民、公明両党で、定数四六五の三分の二(三百十議席)以上を維持する情勢だ。希望の党と立憲民主党はそれぞれ四十議席超を確保する見通しで、野党第一党の座を争っている。
 自民は今回から定数が六減された二百八十九の小選挙区のうち、二百超で優位に戦いを進めている。定数四減となった比例代表も全国各ブロックで堅調で、安倍晋三首相(自民党総裁)が勝敗ラインに掲げた与党過半数の目標に加え、国会運営の主導権を握る絶対安定多数(二百六十一議席)も単独で得る見通しだ。
 公明は、自民とすみ分けて擁立した九つの小選挙区の一部で劣勢で、比例と合わせても公示前勢力を割り込む可能性がある。
 小池百合子東京都知事が代表を務める希望は、多くの小選挙区で野党間の競合を招き苦戦している。小池氏が七月の東京都議選で旋風を起こした東京都でも、小選挙区での議席の確保に手が届いていない。与党と激しく争う小選挙区もあるが、比例が伸び悩んでおり、公示前勢力を割り込む可能性がある。
 枝野幸男元官房長官が代表の立憲民主は、公示前勢力を三倍に増す勢いで自民に次ぐ第二党もうかがう。
 共産党は、米軍新基地建設反対で一致する野党が支援する沖縄1区で優位に立つが、比例では他の野党の勢いに埋没し、前回衆院選の躍進で得た二十一議席の維持は難しい情勢。日本維新の会は地盤の大阪で存在感を示すものの、全国的な支持は勢いに欠け、公示前勢力を維持できるかが焦点だ。
 社民党は小選挙区と比例九州ブロックで計二議席を獲得する見通し。比例で候補を出した日本のこころは議席獲得は見通せない。新党大地は比例北海道ブロックで議席が視野に入った。
 無所属は、二十人以上が議席を獲得しそうだ。この中では、民進党出身のベテラン議員が目立つ。
自公2/3維持の勢い 希望、立民 野党第1党争い 終盤情勢

残念ながら大きくは変わらないだろうが、希望と立憲の争いを見ても、反安倍の野党共闘が成立していれば、情勢は変わっていただろう。
前原を代表に選んだ民進党の限界ということだろう。
その意味では、確固としたリベラル勢力が明確になったのは収穫である。
「週刊金曜日」のブログの山下芳生×中島岳志の対談『衆院選で問われる日本政治の新しい対決軸、リベラル陣営のリアリズムとは』に、中島岳志氏による明快な図が載っている。

Photo_3横軸はリベラルとパターナルという価値観の問題です。リベラルは、基本的に個人の内的な価値の問題について権力は土足で踏み込まないという原則を持つ。これは寛容ということです。その反対語は、保守ではなくてパターナルで、価値を押しつける権威主義や父権制といった観念のこと。これは夫婦別姓、LGBT(性的少数者)の権利、歴史認識の問題などに現れやすい。
明らかに今の自民党は〈ローマ数字4〉の一番下のラインに位置すると思います。日本は、租税負担率や全GDP(国内総生産)に占める国家歳出の割合、公務員数などあらゆる指標がOECD(経済協力開発機構)諸国最低レベルとなっていて、もはや自己責任がいきすぎている社会です。
小池百合子さんも〈ローマ数字4〉に属します。彼女はかつて夫婦別姓に大反対しており(編集部注・「希望の党」は「寛容な保守」をアピールするために選択的夫婦別姓の導入に取り組んでいくとしている)、完全に思想的にはパターナル。極右的で歴史認識もひどい有様です。

まあ、小池百合子氏の本質は、関東大震災時の朝鮮人虐殺を認めない歴史修正主義や「排除」という言葉から明らかであって、前原誠司氏は、同類か騙されたかのいずれかであろう。
今更ではあるが、希望の党と自民党は無差別である。

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2017年10月17日 (火)

佐川国税庁長官告訴とモリカケ疑惑/アベノポリシーの危うさ(308)

安倍首相は「共産党の小池氏が、解散しろと言ったから」などととぼけた発言をしている。
⇒2017年10月14日 (土): 加計疑惑(55)加戸発言の評価/アベノポリシーの危うさ(306)
そんなに素直に小池氏の言い分を聞くのであれば、全部聞いたらいい。

臨時国会の冒頭解散が、国会を開きたくなかったことを雄弁に語っている。
⇒2017年9月29日 (金): 安倍首相が臨時国会冒頭に解散した理由/アベノポリシーの危うさ(304)
⇒2017年9月21日 (木):国会を閉じたい理由は何だろうか?(続)/アベノポリシーの危うさ(285)
⇒2017年9月24日 (日):国会を閉じたい理由は何だろうか?(3)/アベノポリシーの危うさ(287)
⇒2017年9月26日 (火):国会を閉じたい理由は何だろうか?(4)/アベノポリシーの危うさ(288)
⇒2017年9月20日 (水): 国会を閉じたい理由は何だろうか?/アベノポリシーの危うさ(299)

「モリカケ隠し」のために解散したことは明らかである。
そんなことで憲法違反の疑いも指摘されている解散を行うのだから、国政の私物化以外の何ものでもない。
⇒2017年9月17日 (日): 究極の国政私物化-大義なき解散総選挙/アベノポリシーの危うさ(296)

ところが、解散をチャンスとみた小池百合子都知事が「希望の党」を急遽発信させ、前原民進党代表を巻き込んだ。
そのまま野党共闘路線で走れば違った展開になっていたかも知れないが、小池氏の本質はウルトラライトだから、つい排除を持ち出してしまい、急速に失速している。
しかしお陰で、問われるべき「モリカケ疑惑」が後景化したのも事実だ。
もう一度前景に呼び戻す必要がある。

モリカケ疑惑の経緯は以下のようである。
1710162
東京新聞10月16日

森友学園への土地売却に関して、佐川国税庁長官が告発された。

 学校法人「森友学園」(大阪市)への国有地売却問題で、東京大の醍醐聡・名誉教授らで作る市民団体が16日、佐川宣寿国税庁長官を証拠隠滅容疑で、学園側と土地売却交渉をした当時の財務省近畿財務局職員を背任容疑で、それぞれ東京地検に告発した。地検は受理するかを検討する。
 土地売却を巡っては、学園の前理事長籠池泰典被告が財務局職員に値引きを求め、職員が「ゼロに近い金額まで、努力する作業をしている」と答える録音データが明らかになった。売却経緯を調べる大阪地検もこの録音データを入手している。
 告発状は、録音データを「証拠資料として強い証明力を有する」と指摘。職員は地下のゴミ量が未確認なのに、土地を不当に安く売却して国に約8億円の損害を与えたとした。また、佐川氏は財務省理財局長だった今年3~4月、「価格について国からの提示や学園側の希望はなかった」などとうその国会答弁を続けたとして、「事件の証拠を闇に葬る証拠隠滅行為にあたる」と主張している。
佐川国税庁長官らを告発 森友問題めぐり、市民団体

予断は許されないが、巨悪に対する司法の姿勢が問われる。

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2017年10月16日 (月)

親安倍のイデオローグ(3)高橋洋一/アベノポリシーの危うさ(307)

大蔵相(財務省)出身の経済学者に高橋洋一嘉悦大学教授がいる。
経済学者としての専門分野は財政学である。
数学科出身であるが、年金数理等に詳しいことがウリになっている。
第一次安倍政権の経済政策のブレーンを務めた。

経歴からしてもう少し骨のある人かと思っていたが、加計疑惑で墓穴を掘った。
私が違和感を持ったのは、安倍晋三首相が5月8日の衆院予算委員会で憲法改正への見解をただされ、「自民党総裁としての考え方は詳しく読売新聞に書いているので、熟読していただければいい」と答えた時である。
この答弁を、高橋氏は「弁えた答弁」と評価した。

なぜ、安倍首相が総理大臣としての立場と自民党総裁の立場を使い分ける必要があるかというと、憲法第99条の関係があるからだ。同条は「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」と書かれている。
安倍首相「『読売』熟読を」の深層 国会で説明しなかった理由

「深層」などと大仰な言葉を使うからよほどのインサイダー情報かと思えば、憲法99条の規定のことである。
首相には憲法遵守義務があるから、自民党総裁として考えを披瀝したということを「弁えた」と評価したらしい。
これほどの形式論理はあるまい。
⇒2017年5月14日 (日):アホな内閣(13)読売新聞を熟読せよ、だと/アベノポリシーの危うさ(207)

高橋氏は、加計疑惑に関して、一貫して政権よりの発言に終始している。
「政権に都合の悪いニュースが出ると、さまざまなメディアに「駆け付け擁護」する有識者の一人として」有名らしいが、国家戦略特区特別委員会の資料にある「民間有識者」の原英史氏が社長を務める「株式会社政策工房」という会社の会長である。
つまり高橋氏は自分の会社を通して加計学園獣医学部の認可問題の関係者そのものである。
Photo_3
政府の駆けつけ擁護で有名な高橋洋一氏、加計学園獣医学部の認可関係者でした


前川喜平前文科事務次官の発言に関して、「文科省は三流官庁」などと下らないエリート意識丸出しの言い方で批判した。

はっきりいえば、勝負のついた後に、文科省は言い訳を言っているだけにすぎないのだ。「文書」にある「総理の意向」という文言は、文科省側のでっち上げ・口実の可能性さえあると、本コラムでは前から書いている。
いずれにしても、官邸としては文書が発見されたところで何の不都合もないのだ。むしろ文書が見つかれば、これらの経緯が明らかになり、文科省がまともな政策議論ができない「三流官庁」であると分かってしまうことになる。
加計学園問題は、このまま安倍官邸の「圧勝」で終わる

弁護士の郷原信郎氏は次のように書いている。

国家戦略特区によって、不当な規制を正し、新たな事業領域を拡大していくこと自体は、決して間違っていない。しかし、それが、権限を有する側とそれに近い人達の意向に強く影響された場合には、一部の人や組織を優遇する「新たな利権」を生むことになりかねない。それだけに、規制緩和の手続の中立・公正がとりわけ重要である。
加計問題での”防衛線”「挙証責任」「議論終了」論の崩壊

また、安倍首相が、「獣医学部特区を全国展開し、1校でも2校でも認める」と言ったことに関し、ツイッターで「特区は全国展開できればするもの。何がおかしいのか」とフォローした。
しかし安倍首相の発言の文脈は、「1校に限定して特区を認めた中途半端な妥協が、結果 として国民的な疑念を招く⼀因となった」から、全国展開をして2校でも3校でも認めたら良いのではないか、という趣旨である。
獣医師の需要やレベルなど無関係に、自分の疑惑を払拭するためにした発言である。
高橋氏には「何がおかしいのか」分からないのだろう。

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2017年10月15日 (日)

安倍首相の人権感覚と共謀罪/アベノポリシーの危うさ(306)

共謀罪の審議において、一般人が対象となるのか否かが議論されたが、一般か否かは文脈や立場による。
例えば小川洋子さんの『博士の愛した数式』では、何の変哲もないと思われる28が、重要な意味を持つ数字として描かれていた。
⇒2014年2月 4日 (火):小川洋子『博士の愛した数式』/私撰アンソロジー(31)

悪名高い治安維持法も、当初「国体」の変革と私有財産制度の否認を掲げた結社やそれへの参加の処罰を対象とするとされていた。
しかし対象範囲が拡大していき、宗教団体や俳句結社などを含む広範な団体が弾圧された。
捜査機関が「怪しい」と判断すれば、逮捕して「未決勾留」として長期間の拘束が可能になる。
冤罪で有名な松川事件では、多くの人が貴重な時間を奪われ、人生を台無しにした。新法はその可能性を高めるだろう。

推定無罪という考え方がある。
「推定無罪の原則」とは、「検察官が被告人の有罪を証明しない限り、被告人に無罪判決が下される(=被告人は自らの無実を証明する責任を負担しない)」ということを意味する(刑事訴訟法336条等)。
⇒2010年10月 8日 (金):冤罪と推定無罪/「同じ」と「違う」(22)

しかし未決拘留によって、「推定無罪の原則」は実質的に無化しうることは、松川事件等が教えてくれる。
であるから共謀罪には慎重であるべきなのだ。

ところが安倍首相は、自ら「推定無罪の原則」を無視して憚らない。
逮捕拘留中の籠池氏を「詐欺を働く人間」と決めつけ、昭恵夫人も騙されたと言うのである。
⇒2017年10月12日 (木):安倍首相の暴言と衆院選序盤(?)の情勢/日本の針路(343)

さすがにこれに対しては、驚き、あきれる声が大きい。
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共謀罪を強行成立に持ち込んだのも、加計疑惑隠しの疑いが濃厚だ。
⇒2017年6月15日 (木):共謀罪強行成立という極めて大きな汚点/アベノポリシーの危うさ(233)
日本は既に法治国とは言えないのではないか。

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2017年10月14日 (土)

加計疑惑(55)加戸発言の評価/アベノポリシーの危うさ(306)

10月8日の党首討論会で安倍晋三首相は、加計学園問題を追及されて朝日新聞を例にマスコミ批判を展開した。
首相は「朝日新聞は、加戸守行前愛媛県知事や八田達夫・国家戦略特区ワーキンググループ座長の報道を しておられない」などと発言して、朝日新聞などが推進派の発言を報道していないと指摘したのだ。

さっそく朝日新聞社は、次のように反論した。

 朝日新聞(東京本社発行の最終版)は、閉会中審査での八田氏の発言につい て、7月25日付の朝刊で獣医学部新設の決定プロセスを「一点の曇りもない」 とした答弁や、「不公平な行政が正された」とする見解を掲載した。また、こう した国会での発言も含め、八田氏に単独取材した今年3月下旬以降に10回以 上、八田氏の発言や内閣府のホームページで公表された見解などを掲載してき た。
 加戸氏については、閉会中審査が開かれた翌日の7月11日と25日付の朝刊 で、国会でのやりとりの詳細を伝える記事で見出しを立てて報じたり、総合2面 の「時時刻刻」の中で発言を引用したりしている。
【党首討論】安倍首相の朝日批判、朝日新聞社が反論!「加計学園側の発言を10回以上も紙面掲載」

まあ、取り上げているかいないかと言えば、取り上げているといって良いだろう。
安倍首相の言いたいことは、取り上げ方の問題と思われる。
八田達夫氏らの特区WGが、「すべてオープン」「一点の曇りもない」と胸を張った内実については既に触れた。
⇒2017年8月13日 (日):加計疑惑(45)特区WGのいかがわしさ(2)/アベノポリシーの危うさ(276)

ここでは加戸氏の発言について考えてみよう。
首相の発言はおそらく以下のようなことだろう。

加戸守行前愛媛県知事が国会で重大な証言を行い、ネット上では日本中の国民から納得したという声があがった。しかし一部マスコミは証言を隠蔽し、わざと放送しないようにした。
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加戸守行の重大証言を報じなかった5つの大罪メディア

×印のメディアは、加戸発言を故意に報じなかったと言っているのである。
ちなみに×印が付いているのは、電波ではNHKよテレビ東京、新聞では朝日、毎日、日経である。
いわゆるネトウヨは鬼の首を取ったような勢いで指摘しており、おそらく安倍首相も彼らの発言に力を得ているのではないか。
彼らの主張したい点をピックアップすれば以下のようになるのだろう。

加計学園は12年間、正当に努力していたので選ばれて当たり前。獣医学部新設の必要性に共感し、昔から粘り強く提案していたのは加計学園だけだった。これは贔屓などという話ではなく正当な評価である。だから安倍首相が加計学園をエコ贔屓したというのは難癖に等しい。

そうだろうか?
加戸氏と安倍氏は、愛媛県と国という立場の違いがある。
「(他は拒んだのに)加計学園だけが手を上げてくれた。だから愛媛県が加計学園を選んだのは正当だ。」というのは正しい。
しかし、問われているのは 「国が加計学園を選んだのは正当なのか?」である。
「加計学園だけでなく京都産業大も応募したかったにもかかわらず、加計学園だけ応募できるように、「広域」という条件を付けて、京都産業大を応募資格の点で排除した」のである。
⇒2017年5月28日 (日):加計疑惑(7)京産大排除の論理/アベノポリシーの危うさ(218)

これを、制度を歪め、行政を歪めたと言っているのである。
安倍首相は、「丁寧に説明する」と言いながら、国会を冒頭解散した。
しかも「共産党の小池氏が解散しろと言ったから、解散したのだ」などと開き直っている。
小池氏は「冒頭解散しろ」などとは言っていない。
説明できないし、説明する気もないことは明らかである。

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2017年10月13日 (金)

今、そこに見える「国難」/日本の針路(344)

安倍首相は解散を自ら「国難突破解散」と名付けた。
言わんとしているところは、北朝鮮の脅威と少子高齢化という国内事情のようである。
しかし、世間では「安倍政権の継続こそが国難だ」という声も聞こえる。
「国難だ」と言って、異論を排除してきた歴史もある。
大政翼賛会がその例であるが、まさに似たような雰囲気になりつつある。

しかし「国難」と呼ぶかどうかは別として、目に見える危機があることは確かだ。
米軍普天間基地に所属する大型輸送ヘリCH53が東村高江の牧草地に墜落、炎上した。
現場には米軍による規制線が張られ、立ち入り禁止になっている。

 12時頃、自民党の岸田文雄政調会長が比嘉なつみ候補(沖縄3区・自民)と現場を訪れた。
 親米の政権党だからだろう。2人はいとも簡単に規制線をくぐれた。規制線は現場から400~500m離れた位置に張られている。
 同じく沖縄3区の玉城デニー候補は規制線の中に入れなかった。玉城候補は野党でしかも基地反対を掲げる政治家だ。
 「同じ候補者なのにおかしいではないか」。抗議の住民・市民と警察が揉み合いとなった。現場は一時緊迫した。
 午後1時頃、翁長知事が現場を視察し「国難とはこういう状況だ」と語気を強めた。
地元農民・西銘晃さんの土地に墜ちたのだが、である。
【沖縄発】翁長知事「国難だ」 米軍ヘリ、牧草地に墜落 自分の土地に入れない農民

現場の状況をテレビの映像などで見る限り、明らかに「墜落」というイメージである。
しかし米軍は緊急着陸と公表し、日本政府もそう表現している・
1710132
東京新聞10月13日

事故原因は「日米地位協定」により、日本はアンタッチャブルである。
翁長知事のいうように、これこそが「国難」ではなかろうか。

そして「もの作り日本」を象徴する企業の不祥事続きである。
神戸製鋼や日産自動車の検査不正である。
検査部門の強い力が優れた品質を担保してきたのだ。
「〇〇ミクス」という浮ついた経済政策の裏側で、堅実な企業が浮利に走ってしまったのではないか。

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2017年10月12日 (木)

安倍首相の暴言と衆院選序盤(?)の情勢/日本の針路(343)

昨夜のテレビ朝日「報道ステーション」で、党首討論を行っていた。
まあ時間も限られたものなので深い論戦など期待できないことは承知していたが、安倍首相が「モリカケ疑惑」について論点をはぐらかしてまともに答えていない(答えられない?)のが確認できた。
弁護士の郷原信郎氏は、安倍首相の発言について、次のような重要な指摘をしている。

安倍首相が、「籠池さんは詐欺を働く人間。昭恵も騙された。」と発言した。内閣の長である総理大臣として、絶対に許せない発言だ。
籠池氏は、森友学園が受給していた国土交通省の「サスティナブル建築物先導事業に対する補助金」の不正受給の事実についての詐欺罪で逮捕され、起訴された。しかし、刑事事件については、「推定無罪の原則」が働く。しかも、籠池氏は、その容疑事実については、完全黙秘を貫いていると報じられている。その籠池氏の公判も始まっておらず、本人に言い分を述べる機会は全く与えられていないのに、行政の長である総理大臣が、起訴事実が「確定的な事実」であるように発言する。しかも、安倍首相は、憲法の趣旨にも反する、不当極まりない解散(【“憲政史上最低・最悪の解散”を行おうとする「愚」】)を、総理大臣として自ら行った。それによる衆議院選挙が告示された直後に、自分の選挙を有利にする目的で行ったのが昨夜の放送での発言なのである。安倍首相は「丁寧な説明をする」と言っていたが、それは、籠池氏が詐欺を働いたと決めつけることなのか。
「籠池氏は詐欺を働く人間。昭恵も騙された。」は、“首相失格の暴言”

このような首相発言が許されるとすれば、もはや今、日本は法治国家ではないとするが、まったく同感である。
各紙が衆院選の情勢分析を行っている。
大同小異のようであり、日本経済新聞のものを見てみよう。

衆院定数465議席のうち、自民、公明両党で300議席に迫る勢いだ。自民だけでも安定多数の244議席を上回る見通しとなっている。小池百合子東京都知事が立ち上げた新党「希望の党」は選挙区で苦戦し、比例代表と合わせても70議席程度にとどまるとの結果になった。
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与党300議席に迫る勢い 衆院選序盤情勢

まったく憂鬱になるが、おそらく最終的な結果も余り変わらないだろう。
何しろ政府が全力を懸けてやっているのである。
メディアも「安倍VS小池」にフィーチャーしている。
マジョリティである「B層」は、まんまと誘導されている。
⇒2017年10月 9日 (月):希望の党の支持基盤としてのB層/日本の針路(342)

しかし、安倍も小池も、根っ子は日本会議なのだ。
安倍一強を倒すと言ってみても、日本会議というコップの中のことである。
⇒2016年8月14日 (日):日本をダメにする日本会議という存在(2)/日本の針路(288)
⇒2015年12月26日 (土):日本をダメにする日本会議という存在/日本の針路(268)

しかし前原誠司民進党代表を誑かし、野党共闘路線を破綻させたのだから、影響は大きい。
せめてもの救い(?)は、小池百合子東京都知事の化けの皮が剥がれたことであろう。
そして、立憲民主党の意外な(?)健闘である。
ツイッターのフォロワー数や、立憲民主党に寄せられている個人献金の多さに、新しい政治の胎動を感ずる。

かくなる上は、参院民進党は断固として前原と袂を分かつべきだ。
そして、今後の野党共闘の地固めをすることに全力を注ぐべきだ。

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2017年10月11日 (水)

福島原発事故賠償の論理/原発事故の真相(158)

東京電力福島第一原発事故被災者約3800人が、国と東電に損害賠償を求めた訴訟の福島地裁の判決が出た。
津波の予見性とその対策をしなかった責任を明確にし、国と東京電力の両方に賠償を命じた。
明快な法理である。

地震や津波は自然現象である。
しかし、災害は自然現象と人間の生活との係わりから発生する社会現象である。
福島原発事故の場合、地震とそれに伴う大津波は予見されていたことであった。
刑事責任に対する強制起訴裁判の大きな争点でもある。
⇒2016年3月 4日 (金):東電強制起訴の意味と意義/原発事故の真相(138)
⇒2017年7月 3日 (月):原発事故刑事裁判と大津波の予見可能性/原発事故の真相(157)

政府の地震調査研究推進本部が2002年に「三陸沖から房総沖にかけて巨大津波が発生しうる」と指摘した「長期評価」がある。
それを「大津波は来ないだろう」という根拠のない楽観論で済ませてきた。
最後は神風が吹くに違いないという思想である。
⇒2015年8月19日 (水):福島原発事故の予見可能性/原発事故の真相(134)

 08年3月。東電子会社は長期評価を基に、第1原発に最大15・7メートルの津波が来るとの試算を本社に報告。津波対策を担う原子力設備管理部の担当者がすぐに浸水を防ぐための防潮堤の高さについて子会社に検討を指示したところ、敷地の高さ(海面から10メートル)に加えて10メートルの高さの防潮堤が必要との報告を得た。
 この想定は、同部部長だった吉田昌郎(まさお)・元福島第1原発所長(故人)と、担当幹部だった元副社長の武藤栄被告(67)に上げられたが、武藤元副社長は土木学会に想定津波に関する再検討を依頼し、東電としての対策は「先送り」された。
 さらに指定弁護士はこの方針変更が社内でくすぶり続けた点も指摘。08年9月の社内会議では「津波対策は不可避」とのメモが配られ、09年2月には、元会長の勝俣恒久被告(77)や元副社長の武黒一郎被告(71)、武藤元副社長も参加する幹部打ち合わせで、吉田氏が「もっと大きな14メートル程度の津波が来る可能性があるという人もいる」と発言したことも明かした。
強制起訴初公判 津波対策「先送り」争点 東電旧経営陣は否定

国会においても、原発事故の想定は議論されていたのである。
2006年12月22日、第1次安倍政権当時の第165回国会において、吉井英勝衆議院議員が質問し、安倍晋三首相が答弁した。
⇒2016年8月29日 (月):『東京ブラックアウト』と国会質疑/原発事故の真相(147)

Q質問1-7(質問者:吉井英勝衆議院議員/日本共産党)
停止した後の原発では崩壊熱を除去出来なかったら、核燃料棒は焼損(バーン・アウト)するのではないのか。その場合の原発事故がどのような規模の事故になるのかについて、どういう評価を行っているか。
A回答(回答者:内閣総理大臣/安倍晋三)
経済産業省としては、お尋ねの評価は行っておらず、原子炉の冷却ができない事態が生じないように安全の確保に万全を期しているところである。
吉井英勝VS安倍晋三→あまりに酷すぎる原発事故前の国会答弁2006年

安倍首相の根拠のない楽観論に大きな責任があると言ってよい。
また、賠償責任を定めた国の指針では、救済が不十分であることも指摘されている。
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東京新聞10月11日

補償の問題については、半世紀前からダムの補償問題等で論じられてきた。
華山謙『補償の理論と現実―ダム補償を中心に』勁草書房(1969年)は、実証的な労作である。
しかし未だに不十分なままであることは、国の責任は免れない。
一方で、原発によって不当な利益を得ている受益者がいるのだ。
この不公平を無くしていくことこそ、「正義」というものだろう。

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2017年10月10日 (火)

加計疑惑(54)忘れてはならない衆院選の争点/アベノポリシーの危うさ(305)

総選挙の公約が出そろった。
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東京新聞10月8日

衆院選の争点が、「安倍政治の是非」を問うことを再確認したい。
希望の党の出現や、民進党の合流など、表に出ている動きに目を奪われがちであるが、先の国会で大きな論議の的になった「森友疑惑「加計疑惑」はまったく解明されないままだ。

森友疑惑の中心である籠池前理事長夫妻は逮捕拘留中であるが、反対側の中心である安倍昭恵夫人はノーテンキなままだし、佐川宣寿理財局長は国政庁長官に「出世」したままで、記者会見すら開いていない。
「モリカケ」隠し解散であることは、臨時国会の冒頭で、説明する時間さえ取ろうとせず解散に踏み切ったことが雄弁に物語っている。
直接のきっかけは何だろうか?

9月6日に今治市の「今治加計獣医学部問題を考える会」(黒川敦彦共同代表)の市民が、加計学園に違法に市有地を譲渡し、補助金の支給給を決めた菅良⼆市長を相⼿取り、その撤回を求めて住民訴訟を提訴し た。
なおかつ、黒川氏は首相の選挙区に殴り込みをかけた。
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一方、全国を遊説する安倍首相に代わり、昭恵氏が第一声を上げた。
出陣式で支援者を前に「政権選択を問われる、日本の将来をかけた本当に大切な選挙です」と、「このまま主人に仕事を続けさせ、この国のために働かせてほしい」と頭を下げた。
しかし、自身も渦中の人である森友学園問題のほか、加計学園問題にも触れることなかった。

どこまでもフザケた夫婦である。
しかし
、正直に言って黒川氏に勝ち味があるとは思えない。
無謀と言うべきだろうが、その無謀な戦いに選挙区外からの支援が多いという。

ドン・キホーテの試みに声援を送りたい。

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2017年10月 9日 (月)

希望の党の支持基盤としてのB層/日本の針路(342)

劇場型政治が世界を席巻している。
典型はツイッターでの情報発信の余念がないトランプ大統領であろう。
劇場型政治を動かしているのは、いわゆるB層である。
2004年に自民党が広告会社につくらせた企画書に登場した概念であって、郵政民営化戦略に使われた。

日本をダメにしたB層の研究』などの著書がある適菜収氏が、「週刊新潮」10月12日号に「小池劇場に熱狂」しているのがB層であると喝破している。
B層の概念は下図のマトリックスで示される。
20171004_1025072b
この「B層」が日本の有権者のマジョリティである。
⇒2016年7月23日 (土):有権者のマジョリティはB層/日本の針路(278)
⇒2015年7月 4日 (土):柳の下に二匹目のB層はいるか?/日本の針路(189)
⇒2016年7月26日 (火):マジョリティとしてのB層とヤンキー/日本の針路(280)

私の周りにもB層は多い。
基本的に安倍シンパであり、他人をリスペクトする気持ちに乏しい。
私は民進党解体によって大政翼賛会的状況になだれ込んでいく状況を、恐ろしいような気持ちで眺めている。
そう言えば、ヒトラーと小池氏は似ていると思う。
芸能界と政界を知悉している山東昭子氏は以下のように言う。
20171004_1024503

適菜氏のまとめは次のようであった。
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しかし、柳の下に何匹ものドジョウはいないと思う。
小池氏の化けの皮は剥がされつつあるのだ。

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2017年10月 8日 (日)

街宣場所を告知できない安倍首相/日本の針路(341)

都議選の際に秋葉原の街宣でヤジられて「こんな人たちに負けるわけにはいかない」と絶叫した安倍首相。
それが自民惨敗の一因とされている。
⇒2017年8月17日 (木):切れ者とキレる人/「同じ」と「違う」(105)

そのことがトラウマになっているのだろうか?
衆院選の街宣ついては異常なほどピリピリしているようで、鉄壁のガードをされている。20171007_1415552_2
ツイッターより

国民を守るよりも、まず自分を守るということだろう。
そして、街宣場所をオープンに告知しないという。

安倍首相は昨日おこなわれる予定だった新百合ヶ丘駅前の街頭演説を「ヤジ」が嫌だという理由でドタキャン。なんと急遽、4駅離れた向ヶ丘遊園駅前に場所変更するという逃亡劇を繰り広げたばかりだ。
 実際に国民から逃げる総理など前代未聞だが、そのため、Twitterでは「ほんとうに来るのか」「また直前に逃げるのでは」などと意見が飛び交い、「国難来る」「会いに行ける国難」というハッシュタグまで登場した。
 自民党総裁の街宣なのに、国分寺での安倍首相の街頭演説について、自民党広報から国民への事前告知は一切なし。
安倍首相、今度は無告知ゲリラ街宣の醜態!

国民の前に堂々と立てない首相とは何なのか。
改めて、将の器かどうか問われているのだ。
「こんな人に」国政を任せるわけにはいかないだろう。

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2017年10月 7日 (土)

核兵器廃絶国際キャンペーンにノーベル平和賞/世界史の動向(56)

ノルウェーのノーベル委員会が、2017年のノーベル平和賞を、核兵器の非合法化と廃絶を目指す国際NGOで、今年の核兵器禁止条約成立に貢献した「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)に授与すると発表した。
Ngo171007
東京新聞10月7日

核兵器禁止条約への参加は、世界のコンセンサスになっている証拠であろう。
しかし「唯一の被爆国」の日本政府は同条約に反対である。
⇒2016年10月31日 (月):核禁止条約に反対する日本政府/永続敗戦の構造(5)

もちろんヒバクシャの感情を逆なでするものだ。
今日の筆洗の全文を引用する。
171007

山田洋次監督の『母と暮らせば』については何回か触れた。
⇒2016年1月14日 (木):母と暮らせば』と複素的な世界観/戦後史断章(24)
⇒2017年8月 9日 (水):『母と暮らせば』と『シン・ゴジラ』/戦後史断章(27)
⇒2017年9月 3日 (日):『母と暮らせば』の医学生のモデル・土山秀夫/追悼(112)

映画の中で、メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲の甘美なメロディが印象的だったが、亡霊となった学生のモデルの土山秀夫さんの実体験に基づいていたのは知らなかった。
奇しくも文学賞は長崎出身のカズオ・イシグロに授与されることが決まった。
果たして偶然の一致だろうか?

条約に不参加の日本の外務省担当者は「受賞決定は承知している。核廃絶の目標は共有しているが、アプローチは異にしている」と述べた。
安倍晋三首相による祝福の談話は6日には出ていない。

イシグロさんは5歳まで長崎で生活していた。
海洋学者だった父が英国の研究所に招かれたため、一家で移住し、以来、英国で暮らし、英国籍となった。
しかしナガサキでの生活は一種の原体験のようである。

「最初に小説を書き始めた際の動機は、私の日本の記憶を保存することにありました」と共同通信に語っていた。
長崎原爆被災者協議会(長崎被災協)会長の谷口稜曄さんのように、直接被爆体験を語ってきた人たちが亡くなりつつある。
⇒2017年8月31日 (木):赤い背中の告発・谷口稜曄/追悼(110)

それは、その人たちの記憶の中の風景が消え去るということだろう。
核兵器禁止条約に反対する政党に一票を投ずるわけにはいかない。

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2017年10月 6日 (金)

総選挙後の政権は誰が担うのか?/日本の針路(340)

総選挙が政権を争う選挙だとすれば、総選挙後の政権は誰が担うことになるだろうか?
現時点では結果を予測するのは難しいが、選挙の構図は見えてきた。
⇒2017年10月 3日 (火): 明確になった衆院選の構図/日本の針路(336)

三極を以下のような図で考えてみよう。
3
自公×希望維新×立憲民主共産社民 衆院選3極争う構図

選択肢を絞って考えてみよう。
1.安倍政権は存続するか?
私の周辺の安倍シンパは、民進党が希望の党に合流した時点では相当危機意識を持っていた。
⇒2017年9月27日 (水): 小池新党はポピュリストの本領か?/日本の針路(331)
しかし、小池氏が「何様?」といった態度で急速に失速しつつあるのを見て、「選挙結果が楽しみだ」などと言っている。

果たして彼らの思っているように、有権者は「モリカケ疑惑」を忘れているのだろうか?
私は安倍首相が「追い込まれて解散した」と考えており、それはそう簡単には変わっていないのではないかと見る。
「立憲民主」+「共産」+「社民」のリベラルは苦しい戦いであることは紛れもないが、ツイッターのフォロワー数などを見ると、「立憲民主」は民進党の中で「スジを通した」ことが意外と評価されているようである。
⇒2017年10月 5日 (木): 総選挙の争点としての原発政策/日本の針路(339)
つまり安倍政権が存続できるほどには自民党は議席を獲得できないのではないか。

2.誰が後継するのか?
政権交代が起きるにしても、リベラルに移るとは考えられない。
とすれば「自公」政権が後継するのか?
安倍信任という状況でないのだから、「自公」も終了である。

「維新」and/or「希望」を組み込む可能性が高い。
小池百合子氏の発言も、そう想定しているのではないか。
とすれば、首班は誰に?
これ以上はムダな憶測というものだろう。
私は、今回の総選挙で落ち着くとは思えず、政界再編の2幕、3幕があると思う。
⇒2017年9月28日 (木): 衆院解散は「倭国大乱」に似ているか?/日本の針路(332)

とすると、今回の政局のシナリオライターは誰だったのか?
田中龍作氏の見方である。

前原誠司氏が代表に就く前から小沢・自由党代表は、政権交代に向けて知恵を授けていた。小池ゆり子氏とも気脈を通じ、伏兵を送り込んでいた。仕掛け花火のような「小沢の秘策」が炸裂したのである。
前原代表は記者会見で記者団から共産党との選挙協力について問われると「1対1に持ち込む」と繰り返した。
前原代表によれば、小池新党(希望の党)から出馬した民進党議員が民進党に戻って来ることはない。解党が始まったのである。
両院総会、懇談会、代表記者会⾒の会場となった永田の党本部には、かつてない数のメディアが詰めかけた。身動きが取れないほどだ。最盛期の政権交代時(09年)でもこれほどの人数はいなかった。
安倍首相が解散日恒例の記者会見を開かなかったこともあり、メディアは民進党に釘付けになった。独裁者が腰を抜かす奇策は、そこにぶつけられたのである。
前原-小沢が解散の日にぶつけた超ド級の秘策

この見方は正しかったのか?
前原氏がケロッと「想定内だ」と言っているのを見ると、当たらずといえども遠からず、と言ったところだろうか。
陰謀論めいているが、以下のようなコメントもある。

「忍者外交の名手・指南役」の米ヘンリー・アルフレッド・キッシンジャー博士が、ドナルド・トランプ大統領に対して、「第2の日本」北朝鮮の金正恩党委員長=元帥との「口汚い罵り合いを止めて、対話により『米朝和平』(米朝国交樹立・平和友好条約締結→朝鮮半島統一) を実現するよう」厳しく諌めたという。これを受けて、天皇陛下を戴く世界支配層「ゴールドマン・ファミリーズ・グループ」は、小沢一郎政権誕生を前提に、11月4日~6日来日するトランプ大統領が天皇陛下に謁見した後、小沢一郎新首相・前原誠司外相が、天皇陛下の親書を携えてトランプ大統領とともに訪朝して、米朝和平とともに日朝和平を実現する計画を立てているという情報が伝わってきた。一方、新党「希望の党」が10月4日、総選挙の第1次公認候補192人を発表したところ、公認候補者の間で「小沢一郎代表に根回ししてもらったお陰だ。今後どこまでも小沢一郎代表に付いて行く」という声が広がり、「小沢一郎政権誕生を最大の目標として選挙戦を繰り広げて行こう」と勢いづいている。これは、「圧力強化一辺倒」の安倍晋三首相の「北朝鮮政策」が、キッシンジャー博士の一喝によって名実とともに破綻させられたことを意味している。
本来の台風の目は自由党 小沢一郎氏による根回しで全てが裏で繋がる今回の政界再編

第2幕は安倍退陣から始まると見る。

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2017年10月 5日 (木)

総選挙の争点としての原発政策/日本の針路(339)

ノーベル賞の自然科学部門の受賞はならなかったが、文学賞を日本出身のカズオ・イシグロ氏が受賞した。
慶賀したい。

衆院選絡みでは、立憲民主党の公式ツイッター(https://twitter.com/CDP2017)のフォロワー(読者)数が5日、開設から3日で13万人を超え、主要政党では自民党の約11万人を抜いて最多となった。
フォロワー数が議席数に直結しないのが残念であるが、勢いの一つの側面であることは間違いない。

総選挙の争点の1つが、原発政策である。
希望の党の代表である小池百合子氏は、当初は原発ゼロを口にしていたはずである。
しかし核武装が持論の小池氏が、本気で脱原発に取り組むはずがない。
案の定、踏み絵の政策協定書には、原発のことにまったく触れていない。
⇒2017年10月 3日 (火):明確になった衆院選の構図/日本の針路(336)
緑のタヌキに騙されてはならない。

東京電力の柏崎刈羽原発の再稼働に関して、原子力規制委が「適合」の判断をした。
もちろんこれは技術基準に関しての判断であって、そのまま再稼働の是非を判断するものではない。
⇒2013年7月 9日 (火):規制委の安全性審査は必要条件ではあるが十分条件ではない/花づな列島復興のためのメモ(243)

しかし安倍政権はそこを短絡し、審査がOKなら速やかに再稼働させる方針である。
現時点では、米山新潟県知事が慎重な姿勢を崩していないので、すぐに再稼働が可能なわけではない。
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東京新聞10月5日

たとえ技術基準に適合したとしても、柏崎刈羽原発の稼働には難題が山積している。
東京電力は福島の事故の対応の最中である。
福島の事故の収束だけでも大変なのに、柏崎刈羽の運転をする余裕があるのか?
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東京新聞10月5日

「福島の事故収束のために柏崎刈羽の運転が必要だ」というのは本末転倒した論理である。
先ず福島の収束に全力投球すべきである。

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2017年10月 4日 (水)

「希望の党」のミッションはリベラル狩り/日本の針路(337)

希望の党は何のために設立されたのか?
第一次公認192人が発表された。
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東京新聞10月4日

10項目の踏み絵を踏まなかった者は排除し、挙句の果ては、枝野氏らが立ち上げた立憲民主党には刺客を立てた。
露骨なリベラル狩りである。
したたかと言えばしたたかであるが、そう思うようには運ばないだろう。
おそらく一番喜んでいるのは、自民党であり、安倍首相であろう。
しかし選挙が公示されていないのに、惨憺たる状況が晒されてしまっている。

民進党から希望の党へ移って、公認された面々の胸中はどうだろうか?
安堵しているのか、仲間を売ってしまったという贖罪意識か?
議員でいることが目的化している人たちにとっては前者であろうが、多少でも志を持って政治家になった人はどうだろうか?

前原氏は、民進党が解体必至の状況で、多少でも価値が残っているうちに、藁をも掴む覚悟で、できるだけ有効に使おうという発想だったのであろうか。
⇒2017年9月11日 (月):民進党の解体と「真の野党」への再編成/日本の針路(328)
しかし愚直な前原誠司氏は、赤子の手を捻るように、小池百合子氏してやられた。
偽メール事件と言い、この人の資質に大きな疑問を感じさせられる。

民・希合作についての上西小百合衆議院議員の見方として、次のような記事があった。

 上西氏は「小池都知事の後ろで動いたのは、小沢一郎さんと細川護熈さん。しかも小沢さんは幹事長の座を要求しているらしい。明日、テレビ朝日の政治部デスクの細川隆一さんと一緒の生番組に出演するから、この辺も聞いてみよう」とツイートした。
 また、上西氏は28日に衆院解散を受けてツイートし「民進でも、共産でも、それこそ維新でもいい。今回の総選挙はありとあらゆる事が許される。悪魔のように細心に、天使のように大胆に。壮絶な戦いをして欲しい。今回の総選挙に出馬できる政治家は幸せだと、逃げた私は本気で思う。敵は自民だ、希望じゃない。間違うな」とつづり、さらに「野田佳彦と安倍晋三の漫画が終わった。腐った5年はまるまる私の議員時代だ」と連続ツイートしていた。
上西小百合氏、希望の党「後ろで動いたのは小沢一郎さんと細川護煕さん」

しかし小沢氏も、細川氏も、小池氏の手法は面白くないようである。
リベラルを排除した結果、枝野氏らが「立憲民主党」を立ち上げ、大物議員らは無所属での出馬することになった。
結局、安倍政権の打倒はフェイクで、民主党の分断(リベラル狩り)が小池氏の狙いだったのだろう。
だとすれば、それなりに成功したようにも見える。

小池氏は当初、原発ゼロなどと言って、安倍政権に対立するかのように振舞っていたが、
政策協定書には、原発ゼロは書いてない。
⇒2017年10月 3日 (火):明確になった衆院選の構図/日本の針路(336)
こんな幼稚な詐術が長続きするわけがない。
希望の通り民進党を解体させはしたが、解体は時間の問題であった。
⇒2017年9月11日 (月):民進党の解体と「真の野党」への再編成/日本の針路(328)

マスメディアは、「自公VS希望」に焦点を絞っているが、しかし例えばTeitterのフォロワー数では後からスタートした立憲民主党が、既に希望の党に大差をつけているという。

Ws000000_2枝野幸男氏が立ち上げた新党「立憲民主党」が2017年10月2日夕、公式ツイッターアカウントを開設した。翌3日昼段階で、既にフォロワー5万人を獲得するなど、勢いをみせている。
一方、同じく新党で小池百合子都知事が代表を務める「希望の党」は、9月26日に公式ツイッターアカウントを開設するも、フォロワーは1800人程度にとどまっている。
リプライにも違いが
立憲民主党のツイッターのフォロワーは3日昼現在、5万8000人超とその数を着実に伸ばしている。対する希望の党は、約1800人と伸び悩んでいる。他政党と比較しても、自民党11万人、公明党7万人に次ぐフォロワー数となっており、民進党にも倍以上の差をつけている。
希望の党、立憲民主党に抜き去られる 公式ツイッターのフォロワー数に大差

実際の投票行動とは別だろうが、将来の動きの先取りのようにも見える。
希望の党は、第一次公認に引き続き公認を追加発表するということであるが、既に急速に失速しつつあるように思われる。
例えば、音喜多駿、上田令子両都議が「都民ファーストの会」を離脱した。
真相は分からないが、小池百合子「希望の党」代表に対する信頼感が失われていることは間違いないだろう。

小沢氏は無所属で出馬するという。
自由党出身で希望の党公認で出馬する人は、潜在的離反者と見ていいだろう。
音喜多氏らの動きのように、「都民ファーストの会」の雲行きが怪しくなってきたが、「希望の党」も早晩内部矛盾が表面化し、大政党にはならないと思われる。
「倭国大乱」は未だ開幕前である。
⇒2017年9月28日 (木):衆院解散は「倭国大乱」に似ているか?/日本の針路(332)
そこにわずかな明かりが灯っているように見える。

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2017年10月 3日 (火)

明確になった衆院選の構図/日本の針路(336)

今年のノーベル物理学賞は、やはり本命の「重力波」の観測に授与された。
⇒2017年10月 2日 (月):日本の研究力を回復するために(4)重力波/日本の針路(335)

こういう研究成果に接すると、衆院選の様相がまったくツマラナイことのように思えてくるが、「民進党の枝野幸男副代表が「立憲民主党」を立ち上げ、「自公」「希望」「リベラル」の三つ巴の選挙戦の構図となった。
小池百合子代表が「希望」受け入れの条件とした踏み絵は以下のようだという。
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私には関係がないが、特に「第7項」は如何なものか!
上限金額もなしに「指示する金額を提供せよ」と言われても、判断のしようがないのではなかろうか。
民進党全体の合流を考えていた前原誠司代表はとんだピエロ役だったことになる。

小池百合子氏は典型的な「排除の論理」を持ち出した。
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 自民党から旧社会党出身者まで、幅広い人材を抱えた民進党。引退議員を除いて前職は81人、元職・新顔の公認内定者137人と合わせると218人に上る。前原氏は「民進党すべての候補予定者を公認してほしい」と記者団に語った。
 小池氏の宣言は、こうした前原氏の意向を否定し、「排除の論理」で絞り込みを図るというものだ。「野合批判」を避け、民進色を振り払う狙いがある。前日の会見では、安全保障法制への賛否を条件に挙げ、この日は「安全保障、憲法観といった根幹の部分で一致していることが政党の構成員として必要最低限のことだ」と断じた。
小池氏、政策不一致の候補「排除する」 民進との合流

もっともらしいような言い方をしているが、まだ実体がない新党なので、小池氏が独裁するということだろう。
さかんに「しがらみのない」という表現を使うのもその意味だだと考えられる。

衆院選の争点は何か?
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東京新聞10月1日

争点は「親安倍か反安倍か」と「改憲・安保法是か非か」であるが、小池氏の手口を見ていると、「改憲・安保法是か非か」は「民主か独裁か」でもある。。
総選挙の結果は、おそらく自民党の相当の議席減、希望はそれなりの議席を獲得するだろう。
しかし「与党+希望+維新」では本当に大政翼賛会の再来である。
リベラルはいまや絶滅危惧種に近いが、敗戦という痛切な体験を踏まえて戦後日本の中で一定の勢力を形成してきた。
多様な意見を容認するので今の政治状況では大きな勢力になりにくいが、大政翼賛会を作って再び失敗を繰り返すわけにはいかない。

今こそリベラルの旗を高く掲げなければならない。
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東京新聞10月3日

価値観における戦前・戦中に対する戦後の優位性を噛みしめるべき時だ。

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2017年10月 2日 (月)

日本の研究力を回復するために(4)重力波/日本の針路(335)

今年のノーベル医学生理学賞は、「体内時計を制御する分子メカニズムの発見」の業績で、米国人研究者のジェフリー・ホール、マイケル・ロスバッシュ、マイケル・ヤングの3氏に贈られることが決まった。
昨日書いた「DDSに関する松村保広国立がん研究センター先端医療開発センター 新薬開発分野分野長らのグループの業績」は来年以降に期待しよう。
⇒2017年10月 1日 (日):日本の研究力を回復するために(3)DDS/日本の針路(334)

物理学分野では、アインシュタインが約100年前に存在を予言した「重力波」が話題になっている。
イタリアなどの国際共同研究チームが観測に成功したと、28日発表があった。
重力波は2年前に米国で初観測され、今回が4回目で、欧州で観測されたのは初めてである。

 重力波は、非常に重い天体が高速で運動すると、より強く発生する。今回の観測は8月14日。2015年に初めて重力波をとらえた米国2カ所にある観測施設「LIGO(ライゴ)」に加え、欧州の観測施設「Virgo(バーゴ)」でも同時に観測された。地球から18億光年離れた場所で太陽の31倍と25倍の重さの二つのブラックホールが、互いの周囲を回りながら合体して発生したとみられる。
 Virgoは長さ3キロのパイプをL字形に直交させ、内部に通したレーザー光を使って重力波をとらえる巨大な装置。フランス、イタリアなど欧州の20カ国が参加してイタリアのピサ近郊に設置。観測開始からわずか2週間後に重力波をとらえた。
 G7科学大臣会合が開かれているイタリア・トリノで会見した共同研究チームは「LIGOの2カ所と欧州の計3カ所で同時に観測できたことで、発生源を精度良く分析できた」と説明した。
アインシュタインが予言の「重力波」、欧州でも観測

「重力波」はノーベル物理学賞の最有力テーマに位置づけられている。
以下のようなメカニズムで発生すると考えられている。
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東京新聞9月25日

重力波がどんな天体でどんな波形で出るかを計算する方法を確立したのが、京都大学基礎物理学研究所の柴田大教授だ。
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現在観測されている重力波は、上掲記事にあるようにブラックホールの運動により発生したとみられるものである。
柴田さんの狙いは中性子星由来の重力波である。
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中性子星は大質量の恒星の超新星爆発によってその中心核が圧縮された結果形成されるが、中性子星として存在できる質量にはトルマン・オッペンハイマー・ヴォルコフ限界と呼ばれる上限値があり、それを超えるとブラックホールとなる。
Wikipedia:中性子星

柴田さんたちの研究は、純粋に好奇心を喚起する。
基礎物理研究所は、日本人のノーベル賞受賞の戦陣を切った湯川秀樹博士を記念して設立されたものである。
長年の研究が脚光を浴びる日を待ちたい。

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2017年10月 1日 (日)

日本の研究力を回復するために(3)DDS/日本の針路(334)

昨年から今年にかけて、親しい知人の何人かがガンで亡くなった。
がんの標準的な治療方法は、「手術療法」、「化学療法(抗がん剤)」、「放射線療法」に大別される。
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がんの3大治療

もちろん効果が確実で副作用が小さい療法が期待される。
化学療法として期待が寄せられているのが、ドラッグデリバリーシステム(Drug Delivery System, DDS)である。
すなわち、体内の薬物分布を量的・空間的・時間的に制御し、コントロールする薬物伝達システムである。

DDSの効果は以下の通りである(Wikipedia:DDS)。

1. 薬物作用の分離
特定の作用だけを取り出す、または抑え込む。
2. 効果の増強/発現
効果がより的確なものとなり、再現性も向上する。投資量の削減や適用拡大(新しい効能の発現など)が期待できる。
3. 副作用の軽減
安全域の拡大を図ることにより、QOLを改善し、患者の負担を軽減する。また、副作用から製薬化が頓挫した化合物を薬として復活させることもできる。
4. 使用性の改善
患者および医療従事者の負担を軽くし、薬物の服用指示違反(ノンコンプライアンス:noncompliance)問題の解消につながる。
5. 経済性
製品のライフサイクルの延長、差別化が図れる。また、医療費や関連費用の削減ができる。研究・開発の効率化が期待できる。

DDSへの貢献でノーベル賞が期待されているのが、松村保広国立がん研究センター先端医療開発センター 新薬開発分野分野長らのグループである。
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「週刊現代」10月7日号

Wikipedia:松村保広に次のように記されている。

1986年に高分子薬剤が選択的にがん局所に留まりやすい現象である「EPR効果Enhanced Permeability and Retention effect)」(en)を、前田浩と共に提唱した。また、がん間質にデリバリーし、不溶性フィブリン上で抗がん剤をリリースして、がんと腫瘍血管両方を攻撃するがん間質ターゲティング(CAST:“CAncer Stromal Targeting)療法を開発した。

医学生理学賞の本命と言えよう。32
同上

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