日本の研究力を回復するために(3)DDS/日本の針路(334)
昨年から今年にかけて、親しい知人の何人かがガンで亡くなった。
がんの標準的な治療方法は、「手術療法」、「化学療法(抗がん剤)」、「放射線療法」に大別される。
がんの3大治療
もちろん効果が確実で副作用が小さい療法が期待される。
化学療法として期待が寄せられているのが、ドラッグデリバリーシステム(Drug Delivery System, DDS)である。
すなわち、体内の薬物分布を量的・空間的・時間的に制御し、コントロールする薬物伝達システムである。
DDSの効果は以下の通りである(Wikipedia:DDS)。
- 1. 薬物作用の分離
- 特定の作用だけを取り出す、または抑え込む。
- 2. 効果の増強/発現
- 効果がより的確なものとなり、再現性も向上する。投資量の削減や適用拡大(新しい効能の発現など)が期待できる。
- 3. 副作用の軽減
- 安全域の拡大を図ることにより、QOLを改善し、患者の負担を軽減する。また、副作用から製薬化が頓挫した化合物を薬として復活させることもできる。
- 4. 使用性の改善
- 患者および医療従事者の負担を軽くし、薬物の服用指示違反(ノンコンプライアンス:noncompliance)問題の解消につながる。
- 5. 経済性
- 製品のライフサイクルの延長、差別化が図れる。また、医療費や関連費用の削減ができる。研究・開発の効率化が期待できる。
DDSへの貢献でノーベル賞が期待されているのが、松村保広国立がん研究センター先端医療開発センター 新薬開発分野分野長らのグループである。
「週刊現代」10月7日号
Wikipedia:松村保広に次のように記されている。
1986年に高分子薬剤が選択的にがん局所に留まりやすい現象である「EPR効果(Enhanced Permeability and Retention effect)」(en)を、前田浩と共に提唱した。また、がん間質にデリバリーし、不溶性フィブリン上で抗がん剤をリリースして、がんと腫瘍血管両方を攻撃するがん間質ターゲティング(CAST:“CAncer Stromal Targeting)療法を開発した。
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