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2017年9月 9日 (土)

熱力学第二法則と量子力学/知的生産の方法(163)

熱力学は物理学や化学の基礎である。
特に熱力学第二法則は「エントロピー増大則 」として人口に膾炙している。
つまり現象の非可逆性に関する基礎を示した法則である。
しかしその含意を把握するのは容易ではなく、「煮ようと焼こうと勝手にしやがれエントロピー」という戯れ歌が化学系の学生に広く伝わっている。

不可逆性とは次のような現象を指す。
・室温の空気中の熱 いコーヒーは、放っておけば冷めて行くが、その逆の冷めたコーヒーがひとりでに熱 くなることはない。
・コップに垂らしたインク滴は均一に拡散して行くが、その逆の拡散したインクがひとりでに濃いインク滴にはならない。

熱力学はマクロな現象に関する法則性である。
マクロ現象の運動に関するニュートン力学は、分子や原子などのミクロな現象に関する量子力学とは別である。
マクロな系の不可逆性は、時間可逆なミクロな基礎法則から、どのように説明されるのか? 
いわゆる「時間の矢」の起源の解明は、現代科学の基本問題である。
Photo_2http://ridb.kanazawa-u.ac.jp/public/detail.php?id=2499

東京大学大学院工学系研究科物理工学専攻の伊與田英輝助教、金子和哉大学院生、沙川貴大准教授は、な世界の基本法則である量子力学から、理論的に導出することに成功しました。これは、極微の世界を支配する「量子力学」と、日常を支配する「熱力学」という、二つの大きく隔たった体系を直接に結び付けることに成功した。

 本研究では、量子多体系の理論に基づき、単一の波動関数(注4)で表される量子力学系において、熱力学第二法則を理論的に導きました。従来の研究とは異なり、カノニカル分布などの統計力学の概念を使うことなく、多体系の量子力学に基づいて第二法則を導出したことが、本研究の大きな特徴です。さらに、ゆらぎの定理と呼ばれる熱力学第二法則の一般化を、同様の設定で証明することにも成功しました。
 本研究の成果は、量子力学だけに基づいて不可逆性の起源を理解する大きな一歩となるのみならず、冷却原子気体など高度に制御された量子多体系の非平衡ダイナミクスの理解にもつながると期待されます。
東大、量子力学から熱力学第二法則を導出することに成功

詳細は理解不能であるが、エントロピー生成の時間依存性の計算結果が下図で示されている。
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