国会を閉じたい理由は何だろうか?/アベノポリシーの危うさ(299)
安倍首相が臨時国会冒頭で、国会を解散して総選挙に踏み切るということが、既成事実のように報じられている。
⇒2017年9月17日 (日): 究極の国政私物化-大義なき解散総選挙/アベノポリシーの危うさ(281)
疑い深い私は、良識ある人からの批判は免れないような判断が本当だろうか、と未だに半信半疑である。
首相に近い人の解説を聞いても「解散は首相の専権事項だから」と解説にならない説明だ。
正面から論評することから逃げているのかも知れないが・・・
そこでネットで検索してみたら『政府が国会を解散してでも隠したい情報はこれだ!前川喜平氏の会見内容を紹介。』という記事があった。
前文部科学省事務次官の前川喜平氏が、6月23日に加計疑惑に関して、国際記者クラブで記者会見した内容である。
前川氏は、自分のスタンスについて、次のように説明している。
一部の者のために国の権力が使われるということがもしあるのであれば、それは国民の手によって正されなければならないと、そのためにはその事実を知らなければならないと、そこに私の問題意識がある。
また安倍首相の説明については次のようにコメントしている。
記者会見で総理が「指摘があれば、その都度、真摯(しんし)に説明していく」と話し、「国民から信頼が得られるよう、冷静に一つ一つ、丁寧に説明を積み重ねる努力をしなければならない」とも話した。総理が先頭に立って説明責任を果たしていただきたいと思っている次第です。
この問題は規制改革を進めようとする改革派と、岩盤規制や既得権益に固執する抵抗勢力という「勧善懲悪」の構図で見ようとする方もいる。しかし、これはこの問題の本質を見誤る考え方だ。
規制改革が必要というものはたくさんある。しかし、今回の問題は獣医学部の新設という規制に穴を開けたことよりも、穴の開け方に問題があると思っている。具体的に言えば、「私は行政がゆがめられた」と思っているのは、今治市における加計学園の獣医学部開設を認めるに至るプロセスだ。そこに不明瞭で不公正なものがあった。
臨時国会冒頭解散であれば、「丁寧に説明を積み重ねる努力」をするのではなく、内閣改造後一度も国会論戦をしないまま、ということになる。
「丁寧に説明を積み重ねる努力」どころか、「必死に隠蔽する努力」であろう。
次のような一節もある。
また、報道番組のコメンテーターの中には、いかなる状況証拠が出てきても、官邸の擁護しかしない方がいた。その方の名前は差し控えるが、森友学園のときも繰り返しそういうことが行われていた。名前を出すことは控えるが、森友問題で官邸を擁護し続けた中には、ご本人の性犯罪が検察、警察にもみ消されたという疑惑を受けている方もいる。
「官邸の擁護しかしないコメンテーター」が、『総理』幻冬舎(2016年6月)の著者・山口敬之氏を指すことは瞭然である。
⇒2017年6月21日 (水): アベ友・山口敬之氏の超弩級疑惑(4)/アベノポリシーの危うさ(239)
⇒2017年6月 3日 (土): アベ友・山口敬之氏の超弩級疑惑(3)/アベノポリシーの危うさ(224)
⇒2017年5月15日 (月):アベ友・山口敬之氏の超弩級疑惑(続)/アベノポリシーの危うさ(208)
⇒2017年5月12日 (金):アベ友・山口敬之氏の超弩級疑惑/アベノポリシーの危うさ(206)
前川氏の言いたいことのエッセンスを抽出すれば、以下の部分であろうか。
内閣府が進めている、特区における規制改革のプロセスに非常に問題があると思っていたわけで、それは文科省の中ではなく内閣府の中で起こっていたことだった。内閣府に対して文科省は言うべきことは言っていた。「アリバイ」と言われたらそうかもしれないが、「このままでいいのか」「正しい判断をしていないのではないか」という意見は言い続けていた。しかし押し切られて、11月9日の諮問会議の決定になってしまった。
我々は「おかしい」という気持ちは持っていた。しかし最終的な責任は内閣府で、担当は山本幸三・地方創生担当相だが、その一番上の長は総理大臣。その責任で行われたことなので、内閣府に検証の場を設けなければならないと思う。
⇒2017年8月28日 (月):
⇒2017年8月21日 (月):加計疑惑(47)獣医学部の設計図面/アベノポリシーの危うさ(279)
⇒2017年8月23日 (水):加計疑惑(49)設計図面の施設レベル/アベノポリシーの危うさ(281)
特区における規制改革のプロセスが明らかにされれば、「加計ありき」という首相の意向を踏まえていることが、全国民に明々白々の形で分かってしまうのだ。
ならば、非難されるのを覚悟の上で、国会を開かないという選択肢をとったということだ。
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