国会を閉じたい理由は何だろうか?(4)/アベノポリシーの危うさ(303)
安倍首相が記者会見で、臨時国会冒頭での解散を明言した。
安倍首相の記者会見から、意図と思われるものを見てみよう。
官邸サイトの「安倍内閣総理大臣記者会見」から引用する。
端的に要約すれば、アベノミクスの集大成として「生産性革命、人づくり革命」を掲げ、「新しい経済政策パッケージを年内に取りまとめる、ということであろう。
特に「人づくり革命」の財源として以下のように説明している。
人づくり革命を力強く進めていくためには、その安定財源として、再来年10月に予定される消費税率10%への引上げによる財源を活用しなければならないと、私は判断いたしました。2パーセントの引き上げにより、5兆円強の税収となります。
・・・・・・
増税分を借金の返済ではなく、少子化対策などの算出により多くまわすことで、3年前の8パーセントに引き上げたときのような景気への悪影響も軽減できます。
単純な疑問は、上記考えに基づくとして、なぜ国会を開かないで解散か、ということである。
・なぜ、その判断について考えを国会で審議しないのか?
・国会で「より多数を占めなければ」「新しい経済政策パッケージを年内に取りまとめる」ことができないのか?
これについて「国民の信任なくして、国論を二分するような大改革を前に進めていくことはできない」「税に関わる大きな変更を行う以上、国民生活に大きく関わる変更を行う以上、国民に信を問わなければならない」とする。
2年後の消費増税の可否ではなく、その使途を問うために、国会の論議をしないまま解散するという説明に説得力があるだろうか?
それで、その判断をいつしたのか?
これまでお約束していた消費税の使い道を見直すことを本日決断しました。
十分に練ったのであろうが、「本日決断しました」というのは、後付け感を拭えない。
各紙も大型の社説で論評しているが、親安倍か反安倍かというスタンスの差異が反映しているようである。
社説ではないが以下のような識者の声が取り上げられている。
東京新聞9月26日
片山善博氏の言うように「仕事人内閣」に仕事をさせないまま「国難突破」と言われてもなあ、と言うのが大方の感想ではないか。
親安倍派は「党利党略」で何が悪いと言う。
⇒2017年9月22日 (金): 親安倍のイデオローグ(2)長谷川幸洋/アベノポリシーの危うさ(286)
長谷川氏は「「とってつけたような」大義名分」は不要だというが、記者会見の文言こそ「「とってつけたような」大義名分」の典型ではないか。
内閣が不信任されない状況での解散には違憲の疑いもある。
⇒2017年9月24日 (日): 国会を閉じたい理由は何だろうか?(3)/アベノポリシーの危うさ(287)
憲法学の木村草太氏は次のようにコメントしている。
少なくとも立憲主義の精神とは相反することは間違いあるまい。
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