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2017年9月12日 (火)

北朝鮮への対し方/アベノポリシーの危うさ(293)

国連安全保障理事会が、北朝鮮に対する新たな制裁決議案の採決を行い、全会一致で採択した。
北朝鮮向け原油輸出は現状規模を超えない範囲、石油精製品輸出も年間200万バレルまでに制限、北朝鮮の主要輸出品である繊維製品の輸入は全面禁止などが柱だ。
米国の原案にあった石油の全面禁輸などは見送られた。

米国の原案の「石油全面禁輸」は、対米開戦の直接の契機となったABCD包囲網を思わせるものだ。

なぜ日中戦争が長期化しているか考え、その原因が援蒋ルートにあると思った日本軍は、それを遮断するために南進政策をとり、北部仏印(ベトナム北部)まで進み、そこに留まりました。日本に南進されると連合軍側は困るので、アメリカ、イギリス、中国、オランダの各国が手を組み、日本に対して経済封鎖を強くしていきました。これを、各国の頭文字をとって、ABCD包囲網とよびました。
Abcd
ABCD包囲網とは?

直前の状況について、Wikipediaの解説を引いておこう。

1937年(昭和12年)7月7日、盧溝橋事件が勃発し、日中間が全面戦争に入ると、中国の提訴を受けた国際連盟総会では、同年9月28日に中国の都市に対する無差別爆撃に対する、23ヶ国諮問委員会の対日非難決議案が全会一致で可決された。1938年(昭和13年)9月30日の理事会では、連盟全体による集団的制裁ではないものの、加盟国の個別の判断による規約第16条適用が可能なことが確認され、国際連盟加盟国による対日経済制裁が開始された。
孤立主義の立場から、アメリカ合衆国議会での批准に失敗し、国際連盟に加盟していなかったアメリカ合衆国は、満州事変当初は、中国の提案による連盟の対日経済制裁に対し非協力的であった。しかしその立場は不戦条約および九カ国条約の原則に立つものであり、満州国の主権と独立を認めず、国際連盟と同調するものであった。アメリカ合衆国の孤立主義的な立場が変わるのは、フランクリン・ルーズベルトがアメリカ合衆国大統領になってからである。ルーズベルトは大統領就任してから1937年の隔離演説発表まで、表面上は日本に協調的姿勢を見せ、日中国間の紛争には一定の距離を置く外交政策を採っていた。しかし、1937年7月に盧溝橋事件が発生すると、対日経済制裁の可能性について考慮をし始め、1937年10月5日に隔離演説を行い、孤立主義を超克し増長しつつある枢軸諸国への対処を訴えた。日本に対する経済的圧力については、アメリカ国内に依然として孤立主義の声もあり慎重であり、後述の通り長期的で段階的なものであったが、仏印進駐による1941年(昭和16年)7月から8月にかけての対日資産凍結と枢軸国全体に対する、石油の全面禁輸措置によって、ABCD包囲網は完成に至る。

「石油全面禁輸」を実施すれば北朝鮮を戦争に追い込みかねないという国際的な配慮があったと考えるべきだろう。
しかるに安倍政権は、トランプ政権に追従し、戦争の方向に動いているように思える。
伊藤忠会長や中国大使などを歴任した丹羽宇一郎氏は、インタビュー記事で次のように語っている。

丹羽:安倍さんが得意な「力対力」では、やがて戦争以外の選択肢はなくなる。「出口なき戦略」は「日銀の特許」じゃないですよ。出口なき戦略は、必ず破滅的な結果をもたらす。第二次大戦がそうです。
北朝鮮問題も出口がない。金正恩・朝鮮労働党委員長(33)もトランプ米大統領(71)も戦争を知りません。「団塊の世代」と話していると、戦争のことを実に知らないんです。「戦争に近づくな」と言いたいのですが、今の日本は戦争に近づくことしかしていない。北朝鮮問題でも中国に対してもね。
一方、中国は「戦争に近づくな、力と力は駄目だ」と言っています。これは清朝時代のアヘン戦争(1840~42年)以降、侵略・侵入を受け続けた歴史があり、それが語り継がれているからなんです。彼らからすれば、自衛隊はかつての日本軍に代わるもので、日本は中国を仮想敵国にしていると考えている。アメリカは弾道ミサイル防衛システムの「THAAD」を韓国に配備したが、中国は北朝鮮向けではなく、中国向けだと受け止めています。
「北朝鮮問題で日本は戦争に近づくことしかしていない」 —— 元中国大使・丹羽宇一郎氏が鳴らす警鐘

戦争を知らない世代、特に歴史認識に疎い者は、先輩の言うことに耳を傾けるべきだろう。
必要なことは、軍事力は最終的な解決をもたらさないというパーセプションチェンジだろう。
⇒2017年9月10日 (日):防空避難訓練への違和感/アベノポリシーの危うさ(277)

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