日本の研究力(知的生産力)の低下を憂う/日本の針路(329)
日本の科学水準の低下が指摘されている。
鈴鹿医療科学大学学長、前国立大学財務・経営センター理事長、元三重大学学長の豊田長康氏のブログから引用する。
この5月に国立大学協会に提出した報告書では、日本の学術論文数が惨憺たる状況になりつつあり(人口当り論文数の国際ランキングは35位以下)、その最大の要因は、大学の研究従事者数および研究時間が海外諸国に比べて少なく、かつ減少していること、そして、財務的には大学への基盤的な公的研究資金(特に国立大学への基盤的運営費交付金)の減少の影響が大きいことを示しました。
僕の国大協への報告書は、8月24日のJBpressの記事「研究力が低迷、日本の大学がこのままではダメになる」でも取り上げられ、そこでは「豊田レポート」と名付けられています。
「豊田レポート」では、学術分野別の論文数について、特に「工学系」の論文数が著しく減少していることをお示ししました。国際競争力が強く、今までがんばってきた分野ほど落ち込みが激しい。
これはやばすぎる:日本の工学系論文数はすでに人口5千万の韓国に追い越されていた!!
論文数が研究力の指標であることは、子供向けの新聞記事でも解説されている。
東京新聞9月17日
遠からぬ将来、日本のノーベル賞級の激減が心配されるが、その原因は安倍首相など、政権中枢の科学に対する無理解にあることは明らかであろう。
⇒2017年9月13日 (水):安倍首相の教育改革認識/アベノポリシーの危うさ(279)
安倍首相は内閣改造を行うと、「人づくり革命」などの基本政策を閣議決定した。
⇒2017年8月18日 (金):改造内閣(4)内閣の基本方針/アベノポリシーの危うさ(278)
「革命」などと威勢の良いスローガンを掲げても、本気で「人づくり」に腰を据えて取り組む気が無かったことを自白しているようなものだ。
自らの疑惑隠しや世論の誘導に熱を入れる前に、科学技術に対する政策をどうにかしないと、「日本沈没」は免れ得ないだろう。
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