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2017年9月10日 (日)

防空避難訓練への違和感/アベノポリシーの危うさ(292)

北朝鮮のミサイル発射に対して、少なからぬ自治体が避難訓練を始めた。
防空頭巾を被った児童たちが、教室などで身を屈めている。
防災のための訓練は必要だと思うが、どうにも違和感を禁じ得ない。

本当に核弾頭を装備したミサイルを日本に撃ち込むのだろうか?
撃ち込んだとして、Jアラートで間に合うのか?
防空頭巾で身を護れるのか?
etc.

日経新聞の朝刊コラム「春秋」は次のように書いている。

 万一、北朝鮮から日本にミサイルが撃ち込まれた場合、どうするのか。対処をめぐる議論を聞いて、「後(ご)の先(せん)」という言葉が頭に浮かんだ。武道の教えにある。先に攻撃してきた相手の動きを見切り、かわし、逆にこちらが制する。当然、高い技量や経験が必要になる。▼さてこれがミサイル攻撃にも通用するだろうか。政府は洋上のイージス艦と、地上に配備したミサイルで迎撃する構えだが、簡単なことではなかろう。予告もなく、高高度で、複数の弾頭が飛来するならなおさらだ。それで政府内には、発射される前に我が方から敵の基地をたたいてしまおう、とする考え方もあるという。▼こちらは武道でいう「先(せん)の先(せん)」になる。相手が動く直前に動いて制する。だが何をもってミサイル発射の「直前」と見なすのかは難しい。専守防衛との関係もあるだろう。ミサイルが発射された際に住民に避難を呼びかけるJアラートの不具合などを見ていると、そもそも正確な察知ができるのかどうか心もとない限りだ。

9月10日は、明治後期から昭和初期にかけて健筆を振るった反骨のジャーナリスト・桐生悠々の命日だ。
有名なのは、1933(昭和8)年8月11日の信濃毎日新聞に載せた『関東防空大演習を嗤う』という評論である。
東京(中日)新聞の社説が悠々の論を紹介しつつ論じている。

 悠々の評論の核心は、非現実的な想定は無意味なばかりか、有害ですらある、という点にあるのではないでしょうか。
 その観点から、国内の各所で行われつつある、北朝鮮の弾道ミサイル発射に備えた住民の避難訓練を見るとどうなるのか。
ミサイルは暴挙だが
 まず大前提は、北朝鮮が繰り返すミサイル発射や核実験は、日朝平壌宣言や国連安保理決議などに違反し、アジア・太平洋地域の安全保障上、重大な脅威となる許し難い暴挙だということです。
 今、国連を主な舞台にして、北朝鮮に自制を促すさまざまな話し合いが続いています。日本を含む関係各国が「対話と圧力」を駆使して外交努力を惜しんではなりません。軍事的な対応は憎悪が憎悪を呼び、問題の根本的な解決にならないからです。
 その上で、北朝鮮のミサイル発射にどう備えるべきなのか。
 政府は日本に飛来する可能性があると判断すれば、全国瞬時警報システム(Jアラート)を使って避難を呼び掛けます。八月二十九日早朝の場合、発射から四分後に北海道から関東信越までの十二道県に警報を出しました。
 とはいえ、日本の領域内に着弾する場合、発射から数分しかありません。政府は、屋外にいる場合は近くの頑丈な建物や地下への避難を呼び掛けていますが、そうしたものが身近にない地方の都市や町村では、短時間では避難のしようがないのが現実です。
 八月の発射でも「どこに逃げるか、どのように身を隠せばいいか。どうしていいか分からない」との声が多く出ています。
 住民の避難訓練も同様です。ミサイル発射を想定した国と自治体による合同の避難訓練が今年三月以降、すでに全国の十四カ所で行われていますが、専門家からは訓練の想定や有効性を疑問視する声が出ています。
 北朝鮮は、在日米軍基地を攻撃目標にしていることを公言していますし、稼働中であるか否かを問わず、原発にミサイルが着弾すれば、放射線被害は甚大です。
 しかし、政府は米軍基地や原発、標的となる可能性の高い大都市へのミサイル着弾を想定した住民の避難訓練を行っているわけではありません。有効な避難場所とされる地下シェルターも、ほとんど整備されていないのが現状です。
 訓練の想定が現実から遊離するなら、悠々は防空大演習と同様、論難するのではないでしょうか。

殆ど同意する。
哲学者内山節さんは、「時代を読む」という連載コラムで次のように論じている。
Ws000000
東京新聞9月10日

果たして軍事大国化に必死の自民党政権(ポスト安倍まで含め)に、「軍事力を強化しても何の成果も上がらないという現実をつくりだす」政策がとれるだろうか?

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