アベノミクスの現状/アベノポリシーの危うさ(291)
内閣府が14日発表したところでは、2017年4~6月期の国内総生産(GDP)の1次速報は、物価の変動の影響を除いた実質成長率が前期(1~3月期)比で1.0%増え、6四半期連続のプラス成長になった。
この状態が1年続いたとして換算した年率では4.0%増であり、極めて堅調のように見える。
事実、茂木俊充経済担当大臣は、現在の日本経済が「いざなぎ景気」に並んだ可能性を示唆し、アベノミクスの成果を訴えた。
「本当か?」というのが大方の偽らざる気持ちだろう。
「いざなぎ景気」はWikipediaで以下のように説明されている。
いざなぎ景気(いざなぎけいき)とは、1965年(昭和40年)11月から1970年(昭和45年)7月までの57か月間続いた高度経済成長時代の好景気の通称。
高度成長期の好景気に並んだという実感がある人がどれ位いるだろう?
だいたい、茂木氏は1955年生まれということだから、いざなぎ景気は10歳代の前半と言うことになる。
小学生から中学生の頃のはずだから、生活実感が乏しいのは仕方がないにしろ、言うにも程があるというものだろう。
エコノミストの斎藤満氏による『安倍内閣がひた隠す景気後退「いざなぎ詐欺」の忖度と不正を暴く』という記事がある。
以下、ポイントを引用しよう。
茂木大臣の主張では、今回の景気は2012年11月を底に、以降5年近い景気拡大が続いている、ということになるのですが、両者はあまりに違い過ぎて、比較すること自体おこがましい話です。
・・・・・・
景気が拡大局面にあるのか後退局面にあるのか、その判断をするのは、内閣府内に設置された「景気動向指数研究会」で、これは内閣府が「事務局」を務めるものの、実際の判断を下すのは「研究会」のメンバーたる民間エコノミストや経済学者になります。
そしてここが重要なのですが、従来の景気判断では、この「事務局」はデータと材料を提供するのみで、その結論は「研究会」のメンバーに委ねていました。
例えば、2013年8月の会合では事務局から「12年4月が景気の山の候補になる」との材料、14年5月の会合では「12年11月が景気の谷の候補となる」との材料がそれぞれ提供され、そのデータを研究会のメンバーがチェックする形で結論を導いていました。
そして結果的には、事務局が候補として挙げた12年4月を「景気の山」、12年11月を「景気の谷」とする認定につながりました。
・・・・・・
ところが、今年6月の会合では、「14年3月に山は設定されない、と考える」と、先に事務局が結論を出してしまい、研究会のメンバーはこれを了承するしかない状況となりました。
従来通りのやり方であれば、14年3月が景気のピークとなり、その後16年2月までの23カ月間は「景気後退」ということになります。ところが、内閣府の独断で、後退なしに5年近く拡大が続いている、とされてしまったのです。
歴史修正主義の面目躍如と言うべきだろうか?
国税庁は、銀座の一等地の路線価がバブル期を越えたというが、一般人には無縁である。
東京新聞9月5日
斎藤さんは、内閣府や茂木大臣の発言は、「経済最優先」を打ち出す安倍政権の立場を考えてのこととはいえ、「忖度」を超えた不正行為だとしている。
同感である。
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