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2017年9月24日 (日)

国会を閉じたい理由は何だろうか?(3)/アベノポリシーの危うさ(302)

「今なら勝てる」という短慮で、安倍首相が10月22日の総選挙を行う流れである。
しかし、北朝鮮危機を煽りながら、「モリカケ疑惑」から逃れようとすることが、本当に国民の理解を得られると思っているのだろうか?
⇒2017年9月17日 (日):究極の国政私物化-大義なき解散総選挙/アベノポリシーの危うさ(281)

当然のことながら、野党からは「解散権の乱用」と批判が出ている。
菅官房長官などは、伝家の宝刀」のように「首相の専権事項」という言葉を使っている。
しかし首相に解散の自由裁量があるとの憲法解釈にはかねてより疑義が付きまとっているのだ。

170924 解散に関する憲法の規定は二つある。一つは六九条。衆院で内閣不信任決議案が可決または内閣信任案が否決された時、内閣は「十日以内に衆院が解散されない限り、総辞職しなければならない」と定め、解散の要件を明記している。
 これに対し、不信任案が可決されていないのに解散できる根拠になっているのは、天皇の国事行為を定めた七条。「内閣の助言と承認により行う行為」の中に衆院解散が含まれており、事実上は首相に解散権があると解釈されているが、自由裁量の明文規定はないため論争が起きている。
 先の通常国会の衆院憲法審査会では、民進党の枝野幸男氏が七条解散について「認める意義は乏しい。内閣と政治的に一体の議会の多数派が、その優位性を強めるための解散は、有害である可能性すらある」と主張した。参考人の木村草太・首都大学東京教授は「党利党略での解散を抑制するため、解散権には何らかの制限をかけていくことが合理的だ」と陳述した。
 与党では、公明党の北側一雄氏が「党利党略による解散は妥当ではないが、その判断は国民に委ねられている」と指摘。「(直前の)総選挙で争点とならなかった重大な政治課題について、新たに国民の信を問うことは認められるべきだ」と唱えた。自民党の中谷元氏も解散権の合理性に関し「最新の民意を衆院に届ける側面もある」と強調した。
「7条解散」消えぬ疑問 「多数派が優位に」「何らかの制限を」

北側氏の見解によるにしても、「党利党略による解散は妥当ではないが、直前の総選挙で争点とならなかった重大な政治課題」があるのか否かが、「解散の大義」だろう。
解散に大義など不要というアベ友の意見は小児病ではなかろうか。
⇒2017年9月22日 (金):親安倍のイデオローグ(2)長谷川幸洋/アベノポリシーの危うさ(286)

安倍御用新聞に堕している産経新聞も次のように書いているから、対立の構図が分かりやすくなってきた。

 「冒頭解散?。どの政権でも一応はもっともらしい理由付けをするが、安倍政権は違う。大義などどうでもいい。もり・かけ・PKO疑惑隠し、北朝鮮風(?)の利用、他党の準備不足。国会論戦で追い詰められてからではまずい。なんという恥ずべき魂胆か。よし、こうなれば返り討ちだ。がんばるぞ!」(16日投稿・共産党の市田忠義副委員長)
 だが、「もり・かけ隠しだ」「解散には大義がない」「この緊迫した情勢で」と政府を非難している先生たちは数カ月前は何とつぶやいていたのか? 
 小沢一郎・自由党共同代表は6月25日、以下のような投稿をしていた。
 「お友達だけの講演会。やんやの大喝采。お友達が第一の政治がますます進行中である。『そんなにいうなら獣医学部どんどん作ってやる! 』と、もはや支離滅裂。お友達にはベラベラ喋る一方、国民にはまともに説明しないで逃げ回っている。おぞましい政権によるおぞましい政治は選挙で止めないといけない」
衆院解散】「解散に大義などない」と批判する野党議員ら だが、数カ月前には「早く解散しろ」と言ってませんでした?

産経新聞はもはやなりふり構わず安倍政権を擁護するつもりのようだ。

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