インテンシブとエクステンシブ/「同じ」と「違う」(106)
台風18号が接近している。
「非常に強い」勢力で上陸すれば、24年ぶりのことだという。
24年ぶり非常に強い上陸?台風18号
台風には「大きさ」と「強さ」がある。
気象庁は台風のおおよその勢力を示す目安として、下表のように風速(10分間平均)をもとに台風の「大きさ」と「強さ」 を表現します。 「大きさ」は強風域(風速15m/s以上の風が吹いているか、吹く可能性がある範囲)の半径で、 「強さ」は最大風速で区分しています。
台風の大きさと強さ
18号は、「大型」ではなかったが、夜のニュースの時点で大型に発達した。
私は台風の「大きさ」と「強さ」は、学生時代に学んだ「示量変数」と「示強変数」に相当すると思う。
Wikipediaでは次のように説明している。
状態量すなわち状態変数は示量変数 (extensive variable) と示強変数 (intensive variable) の2種類に分けられる。
示量性の定義は文献により、「系全体の量が部分系の量の和に等なること」という定義と「系の大きさ、体積、質量に比例すること」という定義とがある。厳密には前者の性質は相加性、後者の性質は示量性として区別する。均一系の状態量は相加性ならば示量性となるが、部分系ごとにその量の密度が異なる不均一系の場合には相加性であっても示量性とはならない。しかし熱力学では部分系として均一なものを取ることが普通であり、部分系においては相加性と示量性が一致するようにできる。従って、相加性と示量性は区別しない流儀の方が多い。
示量性(相加性)を持たない状態変数を示強変数という。示量性状態量と示強性状態量の中には、体積と圧力のように互いに掛け合わせるとエネルギーの次元をもった示量性の量となるものがある。このような関係を(互いに)共役な関係または双対な関係と言う。
具体例で考えた方が分かりやすい。
比熱と熱容量は次のような関係である。
このように比熱は物質由来であり質量に依存しないですが、熱容量は物質の質量に依存します。
前者のような質量を始めとした物質の各種の量に依存しないものを示強変数と呼び、
後者のように質量を始めとした物質の各種の量に依存するものを示量変数と呼びます。
電池の知識 比熱と熱容量、電圧と電位、示強変数と示量変数
私の知り合いのやっている英会話学校に、インテンシブコースというのがある。
集中的に叩き込むというイメージである。
私が現代文のお手本と位置づけている掛谷誠氏の「伊谷純一郎『アフリカ紀行』の解説」に、次のような一節がある。
こうしたエクステンシヴな広域調査と、タンガニイカ湖畔の村カソゲでの餌づけによるインテンシヴな調査があいまって、チンパンジー社会における単位集団、自在にそのメンバーが離合集散する社会構造、メスの単位集団間の移籍など、驚くべき実態が明らかにされていった。この調査の過程で、伊谷さんは、チンパンジーの社会がヒトの社会につながるという確信を強め、ヒトについての生態人類学的研究を具体的に展開する構想を育てておられたにちがいない。
⇒2015年4月20日 (月):掛谷誠・「伊谷純一郎『アフリカ紀行』」の解説/私撰アンソロジー(35)
私はこの箇所を目にしたとき、遠い教養部時代の授業を思い出して、懐かしくなった。
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