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2017年9月

2017年9月30日 (土)

日本の研究力を回復するために(続)免疫学/日本の針路(333)

解散総選挙で世相は慌ただしいが、ノーベル賞シーズンが近づいてきた。
「ひととき」という雑誌の10月号に、吉永みちこさんの坂口志文さんのインタビュー記事が載っていた。
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坂口さんは、京都大学の出身で大阪大学の免疫学フロンティアセンター長を務めている。
免疫とT細胞に関する研究を進め、過剰な免疫反応を抑える「制御性T細胞」を発見。2015年、医学に関する最も著名な賞の一つで、ノーベル賞の登竜門ともいわれているガードナー国際賞を受賞。過去には利根川進さんや、山中伸弥さんが受賞。
「滋賀プラスワン」2015年7・8月号

「週刊現代」10月7日号がノーベル賞候補をノミネートした中の1人だ。Photo_7
⇒2017年9月25日 (月):日本の研究力(知的生産力)を回復するために/日本の針路(330)

インタビュー記事から、研究への姿勢の一端を拾ってみよう。
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自分の信じた仮説を一生を賭けて追究する。
このような学者を厚遇する国でありたい。

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2017年9月29日 (金)

安倍首相が臨時国会冒頭に解散した理由/アベノポリシーの危うさ(304)

私はひどく暗鬱な気分である。
私の人生のほとんどの期間と重なる「輝かしい戦後」が、安倍晋三という男によって終わりを告げることになるからだ。
森友疑惑を渾身の力で追及してきた菅野完氏は、「臨時国会の冒頭に内閣不信任案を提出せよ」とツイートしたらアカウントを凍結された。
⇒2017年9月21日 (木):国会を閉じたい理由は何だろうか?(続)/アベノポリシーの危うさ(285)

もはやSNSまで検閲されて言論の自由はないのだ。
菅野氏は「週刊SPA!」10月3日号で次のように書いている。
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文字部分を拡大する。
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冒頭解散は今までにも3回あったが、内閣改造後1回も論戦を行わないのは初めてである。
まったく戦後史の汚点となった。
⇒2017年9月28日 (木):衆院解散は「倭国大乱」に似ているか?/日本の針路(332)
あたかも清沢洌の『暗黒日記』をリアルタイムで体験しているような感じである。

同誌は『小池新党に「希望」はあるか』という記事を載せている。
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小池氏が代表に就くかどうか様子見の時に書かれたものだが、小池氏は勝機アリと読んだ。
自民党がどの程度議席を減らすのか?
安倍首相の計算は次のようだったと言われる。
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驚くような判断であるが、読み間違いがあったことは明らかであろう。
前原氏の「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ」という決断が奏功するのか?
2005年の選挙PR映画が予言のフィルムとなるのか?
⇒2017年9月27日 (水): 小池新党はポピュリストの本領か?/日本の針路(331)

いずれにしろ、明るい展望はないような気がする。

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2017年9月28日 (木)

衆院解散は「倭国大乱」に似ているか?/日本の針路(332)

衆議院が憲法7条によって解散された。
しかし「今なら勝てる」と解散に踏み切った安倍首相も慌てているのではないか。
民進党が事実上の解党で「希望の党」に合流するという。
Twitter上に民進党常任幹事会名の文書が出回っている。
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要は民進党を無償譲渡すると言っているわけである。
私の周辺の安倍信者は口を揃えて「大義はどうなった」と息巻いている。
確かに「大義」は感じられない。
しかし、いずれにせよ民進党の解体は必至であった。
⇒2017年9月11日 (月):民進党の解体と「真の野党」への再編成/日本の針路(328)

前原氏の言い分は次のようである。
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冒頭解散の中でも、特に今回は異質である。
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東京新聞9月27日

であれば、まったく「大義」がないとも言い切れない。
小池氏は「希望の党」の政策として反安倍姿勢を打ち出しており、その一環として「原発ゼロ」を打ち出した。
本気でそう考えているのか、ポピュリストの勘でその方が有利だと考えたのか?
過去の発言を辿ってみよう。
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東京新聞9月27日

どうも、風見鶏の面目躍如のような気がする。
⇒2017年9月27日 (水):小池新党はポピュリストの本領か?/日本の針路(331)

小池氏の思想信条が安倍首相と対立するものではないことははっきりしている。
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もし自民党が劇的に議席を減らすようであれば、そして先ずはそうなることを願うが、日本国は大乱の時代になるかも知れない。
そう言えば、しばらく前から「応仁の乱」がブームだった。
諸雑誌がこぞって取り上げている。
火を付けたのは、呉座勇一『応仁の乱』中公新書(2016年10月)である。
Amazonの惹句は「成功例の少ない「応仁の乱」で18万部。日本史研究に新たなスター誕生か」である。
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私も高校時代に日本史で学んだはずだが、「応仁の乱」を説明するとなると心許ないが、にわかに起きているブームは世相の反射かもしれない。
そう言えば、乱の途中で元号が変わったので最近の教科書では「応仁・文明の乱」と記載されているらしい。
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山本博文監修『こんなに変わった! 日本史教科書』宝島社(2017年5月)

この乱も、途中で元号が変わることになるのだろうか?
東アジア情勢が引き金になっていることを考えれば、いっそ「倭国大乱」と言うべきかも知れない。
⇒2008年11月29日 (土):倭国大乱と卑弥呼共立
男子ではまとまらず、女子が共立されたのも偶然ではあろうが、暗合と言えるのかも知れない。

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2017年9月27日 (水)

小池新党はポピュリストの本領か?/日本の針路(331)

「今なら勝てる」というまことに風格なき判断で、安倍首相が解散総選挙を表明した。
⇒2017年9月24日 (日):国会を閉じたい理由は何だろうか?(3)/アベノポリシーの危うさ(287)
⇒2017年9月26日 (火):国会を閉じたい理由は何だろうか?(4)/アベノポリシーの危うさ(288)

これを好機と捉えたのが、小池百合子東京都知事である。
若狭勝氏や細野豪志氏らが検討していた新党の党首になって、「希望の党」としてスタートすることになった。
メディアの関心はしっかり小池氏の方に向き、安倍首相は引き立て役になった感がある。
風を読むのに長けた小池氏が勝負に出たということだろう。

 小池氏は結党の理由について「しがらみがないからリセットできる。しがらみのない政治、大胆な改革を築く」と説明した。党の理念については「改革する精神のベースにあるのは伝統や文化、日本のこころを守る保守の精神だ。寛容な改革の精神に燃えた新しい政党だ」と強調した。
 安倍晋三首相の衆院解散方針について「北朝鮮情勢がこういうなかで、政治空白があっていいはずがない」と批判。そのうえで「各地に候補を立て有権者の希望に応えられるように展開していく」として全国規模で候補を擁立する意向を示した。
 また、「2020年の五輪・パラリンピックの成功に向けた準備を都知事として進める。あくまでも都知事として戦いに臨む」と述べ、次期衆院選での国政転出を否定した。衆院選後の首相指名選挙への対応については「戦いが終わった時に考える」と述べるにとどめた。
 参加メンバーについては「今この時期に日本をリセットしなければ、国際間競争、日本の安全保障などを十分守り切れない。そんな危機感を共有する仲間が集まった」と語った。有権者に対して「不安を抱くからこそ、希望の党をつくり、しがらみのない政治をつくることで、国民に希望を届けていきたい」と訴えた。
 会見には小池氏のほか、自民党を離党した若狭勝衆院議員、民進党を離党した細野豪志元環境相や長島昭久元副防衛相、日本のこころを離党した中山恭子参院議員ら国会議員計14人が出席した。
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希望の党  「日本をリセット」小池氏、国会議員14人会見

「今こそ行ける」というポピュリストの本領である。
小池氏が「希望の党」の商標登録を出願は2月20日付で、同じ日に「都民ファーストの会」の名称も出願していた。
虎視眈々と機会を狙っていたのだろう。
「希望の党」と日本維新の会(代表・松井一郎大阪府知事)は衆院選の選挙協力の検討に入ったという。
民進党の前原誠司代表と小池代表も連携で合意したという。

 衆院解散が迫るなか、小池新党の誕生で野党候補の乱立が避けられない情勢になり、前原氏は政権交代に向けて与党側と対決するためには野党勢力の結集が必要と判断。小池氏に連携の必要性を訴え、小池氏が理解を示したとみられる。
民進、希望と連携合意 前原・小池両氏、統一名簿を模索

反安倍で野党結集は必須であるが、ポピュリズムには危うさが拭えない。
12年前(2005年)に総務相が制作した選挙PR映画で「希望の党」が政権奪取するストーリーが話題になっている。
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国民が選挙に行かず、「希望の党」という独裁政権が誕生し、恐ろしい日本になるという作品があった!監督「デスノート」金子修介、出演・渋谷飛鳥、木下ほうか、楳図かずお

この映画が予言でないことを祈るばかりだ。

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2017年9月26日 (火)

国会を閉じたい理由は何だろうか?(4)/アベノポリシーの危うさ(303)

安倍首相が記者会見で、臨時国会冒頭での解散を明言した。
安倍首相の記者会見から、意図と思われるものを見てみよう。
官邸サイトの「安倍内閣総理大臣記者会見」から引用する。

端的に要約すれば、アベノミクスの集大成として「生産性革命、人づくり革命」を掲げ、「新しい経済政策パッケージを年内に取りまとめる、ということであろう。
特に「人づくり革命」の財源として以下のように説明している。

人づくり革命を力強く進めていくためには、その安定財源として、再来年10月に予定される消費税率10%への引上げによる財源を活用しなければならないと、私は判断いたしました。2パーセントの引き上げにより、5兆円強の税収となります。
・・・・・・
増税分を借金の返済ではなく、少子化対策などの算出により多くまわすことで、3年前の8パーセントに引き上げたときのような景気への悪影響も軽減できます。

単純な疑問は、上記考えに基づくとして、なぜ国会を開かないで解散か、ということである。
・なぜ、その判断について考えを国会で審議しないのか?
・国会で「より多数を占めなければ」「新しい経済政策パッケージを年内に取りまとめる」ことができないのか?

これについて「国民の信任なくして、国論を二分するような大改革を前に進めていくことはできない」「税に関わる大きな変更を行う以上、国民生活に大きく関わる変更を行う以上、国民に信を問わなければならない」とする。
2年後の消費増税の可否ではなく、その使途を問うために、国会の論議をしないまま解散するという説明に説得力があるだろうか?
それで、その判断をいつしたのか?

これまでお約束していた消費税の使い道を見直すことを本日決断しました。

十分に練ったのであろうが、「本日決断しました」というのは、後付け感を拭えない。
各紙も大型の社説で論評しているが、親安倍か反安倍かというスタンスの差異が反映しているようである。
社説ではないが以下のような識者の声が取り上げられている。
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東京新聞9月26日

片山善博氏の言うように「仕事人内閣」に仕事をさせないまま「国難突破」と言われてもなあ、と言うのが大方の感想ではないか。
親安倍派は「党利党略」で何が悪いと言う。
⇒2017年9月22日 (金): 親安倍のイデオローグ(2)長谷川幸洋/アベノポリシーの危うさ(286)
長谷川氏は「「とってつけたような」大義名分」は不要だというが、記者会見の文言こそ「「とってつけたような」大義名分」の典型ではないか。

内閣が不信任されない状況での解散には違憲の疑いもある。
⇒2017年9月24日 (日): 国会を閉じたい理由は何だろうか?(3)/アベノポリシーの危うさ(287)
憲法学の木村草太氏は次のようにコメントしている。
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少なくとも立憲主義の精神とは相反することは間違いあるまい。

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2017年9月25日 (月)

日本の研究力を回復するために・基礎と自由/日本の針路(330)

ここ数年、着実にノーベル賞受賞者を輩出してきた日本も、急速に科学技術論文数の低下が指摘されている。
⇒2017年9月23日 (土):日本の研究力(知的生産力)の低下を憂う/日本の針路(329)
このままでは将来におけるノーベル賞受賞者の激減が心配される。

その要因はいろいろ考えられようが、政策的な影響は無視できない。
国家のリーダーの見識の問題である。
⇒2017年9月13日 (水):安倍首相の教育改革認識/アベノポリシーの危うさ(279)
安倍首相は「人づくり革命」という言葉を掲げながら、その具体策について何の国会論議も行わないまま、衆議院解散だという。
⇒2017年8月18日 (金):改造内閣(4)内閣の基本方針/アベノポリシーの危うさ(278)

重要なことは、安倍首相が強調するような「学術研究を深めるのではなく、もっと社会のニーズを見据えた、もっと実践的な、職業教育を行う。そうした新たな枠組みを、高等教育に取り込みたいと考えています」ではなく、基礎力を向上させることではないか。
昨年ノーベル賞を受賞した大隅良典博士は「基礎科学は文化」と喝破している。
⇒2016年10月 3日 (月):大隅良典氏にノーベル医学生理学賞/知的生産の方法(161) ⇒2016年12月 9日 (金):「基礎科学は文化」by大隅良典/知的生産の方法(165)

基礎研究には何が必要か?
日本で初めてノーベル化学賞を受賞した福井謙一博士の理論が生まれる過程を解説した米沢貞次郎、永田親義『ノーベル賞の周辺―福井謙一博士と京都大学の自由な学風』化学同人(1999年10月)は、自由な学風を強調している。
⇒2009年10月10日 (土):プライマリーな独創とセカンダリーな独創

すなわち「基礎と自由」が研究力向上のキーワードと言えよう。
今年のノーベル賞シーズンが近づいてきた。
受賞候補者名もあれこれ論議されている。
もちろんノーベル賞だけが栄誉ではないが、湯川秀樹博士のノーベル物理学賞受賞以来、科学界が1つの目標にしてきたことは事実である。
「週刊現代」10月7日号が、ノーベル賞候補をノミネートしている。
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石野良純(ゲノム編集)、北川進(多孔性物質)、香取秀俊(光格子時計)、松村安広(ドラッグデリバリーシステム)、吉野彰(リチウム電池)、細野秀雄(鉄系超伝導体)、佐藤勝彦(インフレーション宇宙論)、坂口志文(免疫力)の8人の方が取り上げられている。
この中からノーベル賞受賞者が出るのか、あるいはこの他の研究者が栄誉を得るのか?
ちなみに上記の中で、北川、吉野両氏は、工学部ではあるが、福井謙一博士の学統に属する人である。
「基礎と自由」を重視する「化学における京都学派」である。
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職業教育を重視する学校を否定しないが、高く聳える山作りが決定的に重要だろう。

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2017年9月24日 (日)

国会を閉じたい理由は何だろうか?(3)/アベノポリシーの危うさ(302)

「今なら勝てる」という短慮で、安倍首相が10月22日の総選挙を行う流れである。
しかし、北朝鮮危機を煽りながら、「モリカケ疑惑」から逃れようとすることが、本当に国民の理解を得られると思っているのだろうか?
⇒2017年9月17日 (日):究極の国政私物化-大義なき解散総選挙/アベノポリシーの危うさ(281)

当然のことながら、野党からは「解散権の乱用」と批判が出ている。
菅官房長官などは、伝家の宝刀」のように「首相の専権事項」という言葉を使っている。
しかし首相に解散の自由裁量があるとの憲法解釈にはかねてより疑義が付きまとっているのだ。

170924 解散に関する憲法の規定は二つある。一つは六九条。衆院で内閣不信任決議案が可決または内閣信任案が否決された時、内閣は「十日以内に衆院が解散されない限り、総辞職しなければならない」と定め、解散の要件を明記している。
 これに対し、不信任案が可決されていないのに解散できる根拠になっているのは、天皇の国事行為を定めた七条。「内閣の助言と承認により行う行為」の中に衆院解散が含まれており、事実上は首相に解散権があると解釈されているが、自由裁量の明文規定はないため論争が起きている。
 先の通常国会の衆院憲法審査会では、民進党の枝野幸男氏が七条解散について「認める意義は乏しい。内閣と政治的に一体の議会の多数派が、その優位性を強めるための解散は、有害である可能性すらある」と主張した。参考人の木村草太・首都大学東京教授は「党利党略での解散を抑制するため、解散権には何らかの制限をかけていくことが合理的だ」と陳述した。
 与党では、公明党の北側一雄氏が「党利党略による解散は妥当ではないが、その判断は国民に委ねられている」と指摘。「(直前の)総選挙で争点とならなかった重大な政治課題について、新たに国民の信を問うことは認められるべきだ」と唱えた。自民党の中谷元氏も解散権の合理性に関し「最新の民意を衆院に届ける側面もある」と強調した。
「7条解散」消えぬ疑問 「多数派が優位に」「何らかの制限を」

北側氏の見解によるにしても、「党利党略による解散は妥当ではないが、直前の総選挙で争点とならなかった重大な政治課題」があるのか否かが、「解散の大義」だろう。
解散に大義など不要というアベ友の意見は小児病ではなかろうか。
⇒2017年9月22日 (金):親安倍のイデオローグ(2)長谷川幸洋/アベノポリシーの危うさ(286)

安倍御用新聞に堕している産経新聞も次のように書いているから、対立の構図が分かりやすくなってきた。

 「冒頭解散?。どの政権でも一応はもっともらしい理由付けをするが、安倍政権は違う。大義などどうでもいい。もり・かけ・PKO疑惑隠し、北朝鮮風(?)の利用、他党の準備不足。国会論戦で追い詰められてからではまずい。なんという恥ずべき魂胆か。よし、こうなれば返り討ちだ。がんばるぞ!」(16日投稿・共産党の市田忠義副委員長)
 だが、「もり・かけ隠しだ」「解散には大義がない」「この緊迫した情勢で」と政府を非難している先生たちは数カ月前は何とつぶやいていたのか? 
 小沢一郎・自由党共同代表は6月25日、以下のような投稿をしていた。
 「お友達だけの講演会。やんやの大喝采。お友達が第一の政治がますます進行中である。『そんなにいうなら獣医学部どんどん作ってやる! 』と、もはや支離滅裂。お友達にはベラベラ喋る一方、国民にはまともに説明しないで逃げ回っている。おぞましい政権によるおぞましい政治は選挙で止めないといけない」
衆院解散】「解散に大義などない」と批判する野党議員ら だが、数カ月前には「早く解散しろ」と言ってませんでした?

産経新聞はもはやなりふり構わず安倍政権を擁護するつもりのようだ。

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2017年9月23日 (土)

日本の研究力(知的生産力)の低下を憂う/日本の針路(329)

日本の科学水準の低下が指摘されている。
鈴鹿医療科学大学学長、前国立大学財務・経営センター理事長、元三重大学学長の豊田長康氏のブログから引用する。

 この5月に国立大学協会に提出した報告書では、日本の学術論文数が惨憺たる状況になりつつあり(人口当り論文数の国際ランキングは35位以下)、その最大の要因は、大学の研究従事者数および研究時間が海外諸国に比べて少なく、かつ減少していること、そして、財務的には大学への基盤的な公的研究資金(特に国立大学への基盤的運営費交付金)の減少の影響が大きいことを示しました。
 僕の国大協への報告書は、8月24日のJBpressの記事「研究力が低迷、日本の大学がこのままではダメになる」でも取り上げられ、そこでは「豊田レポート」と名付けられています。
「豊田レポート」では、学術分野別の論文数について、特に「工学系」の論文数が著しく減少していることをお示ししました。国際競争力が強く、今までがんばってきた分野ほど落ち込みが激しい。

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これはやばすぎる:日本の工学系論文数はすでに人口5千万の韓国に追い越されていた!!

論文数が研究力の指標であることは、子供向けの新聞記事でも解説されている。
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東京新聞9月17日

遠からぬ将来、日本のノーベル賞級の激減が心配されるが、その原因は安倍首相など、政権中枢の科学に対する無理解にあることは明らかであろう。
⇒2017年9月13日 (水):安倍首相の教育改革認識/アベノポリシーの危うさ(279)

安倍首相は内閣改造を行うと、「人づくり革命」などの基本政策を閣議決定した。
⇒2017年8月18日 (金):改造内閣(4)内閣の基本方針/アベノポリシーの危うさ(278)
「革命」などと威勢の良いスローガンを掲げても、本気で「人づくり」に腰を据えて取り組む気が無かったことを自白しているようなものだ。
自らの疑惑隠しや世論の誘導に熱を入れる前に、科学技術に対する政策をどうにかしないと、「日本沈没」は免れ得ないだろう。

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2017年9月22日 (金)

親安倍のイデオローグ(2)長谷川幸洋/アベノポリシーの危うさ(301)

東京新聞・中日新聞論説委員の肩書きを持つマスコミ人に長谷川幸洋氏がいる。
イデオローグというのは当たらないかも知れないが、自社以外のメディアに寄稿しているので、言論人であるとは言えるだろう。
たかじん氏亡き後は面白くもないので視聴していないが、「何でも言って委員会」の常連メンバーだった。
長谷川氏が『解散総選挙に「大義」が必要?バカも休み休み言いなさい』というタイトルの文章を書いているのを読んで驚いた。
私も「大義なき解散総選挙」と書いたからだ。
⇒2017年9月17日 (日): 究極の国政私物化-大義なき解散総選挙/アベノポリシーの危うさ(281)

長谷川氏は得意げに書いている。

私は先週のコラムで、9月臨時国会での冒頭解散を予想した(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/52905)。末尾で首相の決断について「いまは『いずれ、なんらかの展開があったときに分かる』としか申し上げられないのが、実に残念」と書いたら、直後に解散報道が相次いだ。自分で言うのもなんだが、まさに申し分のない展開である(笑)。
なぜ予想できたかといえば、秘密はべつに何もない。自分の読みだ。首相や官房長官に取材しようと思えばできなくはないが、恥ずかしくて「解散するんですか」などとはとても聞けない。「バカな質問するなよ」と苦笑いされるのがオチだからだ。

こんなことを自慢するのはお里が知れるという感じであるが、それは置いておこう。
長谷川氏は次のように言う。

衆院解散に大義は必要なのか。私は、とってつけたような大義名分は必要ないと思っている。なぜかといえば、衆院解散とは本質的に与野党の権力闘争であるからだ。
政権与党はこれこれの国家戦略と理念、政策を掲げて国民に信を問う。それに対して、野党も野党なりの国家戦略と理念、政策を掲げて戦う。国民はそれを見たり聞いたりして、どちらに国の行く末を任せるのに適当か、判断を下す。それが総選挙だ。

「とってつけたような」大義名分は必要ないのは言うまでもない。
「政権与党はこれこれの国家戦略と理念、政策を掲げて国民に信を問う」と言うが、内閣改造後一度も国会を開かず、臨時国会冒頭の解散であれば、政権与党の掲げる「国家戦略と理念、政策」とやらをどう判断するのか?
自民党内部にさえ戸惑いがあるのだ。
⇒2017年9月21日 (木): 国会を閉じたい理由は何だろうか?(続)/アベノポリシーの危うさ(285)

何について信を問うのか訳が分からないから、次のような記事になる。
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東京新聞9月22日

アベ友の一人になってしまっている長谷川氏の曇っていて分からないのだろうか?
長谷川氏は次のように言って、安倍政権の政策を支持する。

安倍政権の経済政策は成長重視だ。

いわゆるアベノミクスのことだろうが、成長重視の経済政策が行き詰まっているから、唐突に消費税の使途に触れざるを得なくなっているのだ。
長谷川氏が論説委員を務めている新聞の今日の社説をコピーしよう。
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孤軍奮闘している望月衣塑子記者を批判するくらいなら、時節が社論になるよう努力すべきではないのか。
自分は社内野党のつもりかも知れないが、客観的に見れば時代遅れのオジサンに過ぎない。

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2017年9月21日 (木)

国会を閉じたい理由は何だろうか?(続)/アベノポリシーの危うさ(300)

首相の臨時国会冒頭の解散には、自民党の中にも戸惑いがあるようだ。
石破茂元幹事長は、解散の意義について国民に説明する責務があると言っている。

 自民党の石破茂元幹事長は21日の自身の派閥会合で、安倍晋三首相に対し、衆院解散・総選挙の理由を国民に明示するよう求めた。「国民に何のための解散か、何を問うのか、明確にする必要がある」と述べた。
 石破氏は、多くの国民が解散を予想していなかったとして「『この解散の意義は何なのか』と思っている」と指摘。その上で「与党の一員として国民に答える責務がある」と強調した。
石破氏、解散理由の明示要求 安倍首相に

また山本一太元沖縄北方担当相は、自身のブログで、安倍晋三首相が28日召集の臨時国会冒頭にも衆院解散する意向を固めたことに懸念を示したという。

「臨時国会で逃げずに野党の追及に立ち向かい、記者会見での約束を守って真摯かつ謙虚に国民への説明責任を果たすべきだ」と指摘した。
 同時に「『仕事師内閣』と評した有能な閣僚を活用し、実績を積み重ねた上で国民の審判を仰ぐのがあるべき姿だ」と強調。解散の大義を理解してもらうため、最大限の努力が不可欠だとした。
 首相は通常国会閉会を受けた6月の記者会見で、森友学園問題などを巡り「真摯に説明責任を果たしていく」と述べた。
山本一太氏が衆院解散に懸念 自身のブログで指摘

身内からも厳しい目で見られているということだろう。
「解散は首相の専権事項だから」という説明がされるが、専権事項というのは見識とセットであって、何のための解散か見識が問われるということである。
偶然とは思えないのが、森友学園への国有地売却を巡る一連の事件で官邸追及の中心となっていた菅野完氏のTwitterアカウントが、9月19日までに凍結されたことである。

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菅野氏によると、これまでに2度、アカウントを一時的にロックされたという。1度目の時期については覚えていないといい、2度目は今年7月に1週間程度、ロックされた。その際には、菅野氏がTwitterにアクセスすると、アカウントを一時的にロックしており、特定のツイートを削除するよう要請する通知が表示された。菅野氏は「通知に従ってすぐにツイートを削除したので、具体的にどのツイートが問題とされたのかは覚えていない」という。
今回は特定のツイートを指定した削除要請はなく、Twitter社側からの連絡もないという。菅野氏は「何の連絡もないので、今回は永久凍結だろうと思う。選挙が近づいているのでいやな予感はしていたのですが……」と話す。
Twitter社は、サービスの利用が一時的に制限されたり、永久凍結されたりする行為を定めた「Twitterルール」を公表している。ハッキングされている可能性があるアカウントや、スパム行為、なりすまし、ポルノや過度に暴力的な画像などが一時的な制限や凍結の対象になる。また、特定の人物に向けた攻撃的な行為や嫌がらせ、人種、民族、出身地、性的指向や性別などを理由とした「ヘイト行為」も禁じている。
Twitter社によると、通常は永久凍結以前に数回、注意を促したうえで、抵触する行為が続いた場合は永久凍結の措置をとっているという。一時的な制限や永久凍結に不服がある場合は、同社のサイトから不服を申し立てることもできる。広報担当者は「あるツイートにたくさんの報告があれば自動的に凍結されるとお考えの方もいらっしゃるようですが、最終的には人間がTwitterのルールを参照しながら判断しています」とメールで回答した。
『日本会議の研究』、森友学園事件で知られる菅野完氏のTwitterアカウント凍結

「Twitterルール」の何に、菅野氏のどこが抵触しているのか?
あるいはTwitter社の「忖度」であろうか?
以下の菅野氏のツイートに対して反菅野氏(いわゆるネトウヨ)から通報があったことが偏印ではないか、という説もある。
Ws000000
情報速報ドットコム

以下のような声がある。

菅野完氏のこのツイート、なぜかリツイートできないので転記→「野党は臨時国会冒頭に、内閣不信任案を提出すればよいのではないか。」確かに。与党否決後に解散だと矛盾が生じる。興味深い。

あるいは、やはり森友の関係か?

「野党は内閣不信任案を提出すればいい」とつぶやくことが規約違反か凍結に値する言動なのかね?
もしくは選挙中に森友の新情報(あるかどうかは俺は知らない)をバラされて選挙に影響が出ると思い誰かが何らかの形で一斉通報したんかな?

まあ、財務省がらみで政権側に都合の悪い情報が出ているというウワサはあるが。

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2017年9月20日 (水)

国会を閉じたい理由は何だろうか?/アベノポリシーの危うさ(299)

安倍首相が臨時国会冒頭で、国会を解散して総選挙に踏み切るということが、既成事実のように報じられている。
⇒2017年9月17日 (日): 究極の国政私物化-大義なき解散総選挙/アベノポリシーの危うさ(281)

疑い深い私は、良識ある人からの批判は免れないような判断が本当だろうか、と未だに半信半疑である。
首相に近い人の解説を聞いても「解散は首相の専権事項だから」と解説にならない説明だ。
正面から論評することから逃げているのかも知れないが・・・

そこでネットで検索してみたら『政府が国会を解散してでも隠したい情報はこれだ!前川喜平氏の会見内容を紹介。』という記事があった。
前文部科学省事務次官の前川喜平氏が、6月23日に加計疑惑に関して、国際記者クラブで記者会見した内容である。
Photo

前川氏は、自分のスタンスについて、次のように説明している。

一部の者のために国の権力が使われるということがもしあるのであれば、それは国民の手によって正されなければならないと、そのためにはその事実を知らなければならないと、そこに私の問題意識がある。

また安倍首相の説明については次のようにコメントしている。

記者会見で総理が「指摘があれば、その都度、真摯(しんし)に説明していく」と話し、「国民から信頼が得られるよう、冷静に一つ一つ、丁寧に説明を積み重ねる努力をしなければならない」とも話した。総理が先頭に立って説明責任を果たしていただきたいと思っている次第です。
この問題は規制改革を進めようとする改革派と、岩盤規制や既得権益に固執する抵抗勢力という「勧善懲悪」の構図で見ようとする方もいる。しかし、これはこの問題の本質を見誤る考え方だ。
規制改革が必要というものはたくさんある。しかし、今回の問題は獣医学部の新設という規制に穴を開けたことよりも、穴の開け方に問題があると思っている。具体的に言えば、「私は行政がゆがめられた」と思っているのは、今治市における加計学園の獣医学部開設を認めるに至るプロセスだ。そこに不明瞭で不公正なものがあった。

臨時国会冒頭解散であれば、「丁寧に説明を積み重ねる努力」をするのではなく、内閣改造後一度も国会論戦をしないまま、ということになる。
「丁寧に説明を積み重ねる努力」どころか、「必死に隠蔽する努力」であろう。

次のような一節もある。

また、報道番組のコメンテーターの中には、いかなる状況証拠が出てきても、官邸の擁護しかしない方がいた。その方の名前は差し控えるが、森友学園のときも繰り返しそういうことが行われていた。名前を出すことは控えるが、森友問題で官邸を擁護し続けた中には、ご本人の性犯罪が検察、警察にもみ消されたという疑惑を受けている方もいる。

「官邸の擁護しかしないコメンテーター」が、『総理』幻冬舎(2016年6月)の著者・山口敬之氏を指すことは瞭然である。
⇒2017年6月21日 (水): アベ友・山口敬之氏の超弩級疑惑(4)/アベノポリシーの危うさ(239)
⇒2017年6月 3日 (土): アベ友・山口敬之氏の超弩級疑惑(3)/アベノポリシーの危うさ(224)
⇒2017年5月15日 (月):アベ友・山口敬之氏の超弩級疑惑(続)/アベノポリシーの危うさ(208)
⇒2017年5月12日 (金):アベ友・山口敬之氏の超弩級疑惑/アベノポリシーの危うさ(206)

前川氏の言いたいことのエッセンスを抽出すれば、以下の部分であろうか。

内閣府が進めている、特区における規制改革のプロセスに非常に問題があると思っていたわけで、それは文科省の中ではなく内閣府の中で起こっていたことだった。内閣府に対して文科省は言うべきことは言っていた。「アリバイ」と言われたらそうかもしれないが、「このままでいいのか」「正しい判断をしていないのではないか」という意見は言い続けていた。しかし押し切られて、11月9日の諮問会議の決定になってしまった。
我々は「おかしい」という気持ちは持っていた。しかし最終的な責任は内閣府で、担当は山本幸三・地方創生担当相だが、その一番上の長は総理大臣。その責任で行われたことなので、内閣府に検証の場を設けなければならないと思う。

その後流出設計図面を含め、さまざまなことが明らかになりつつあるが、前川氏の言い分に軍配を上げざるを得ないであろう。
⇒2017年8月28日 (月):
加計疑惑(53)図面報道に対するNHKへの圧力?/アベノポリシーの危うさ(285)
⇒2017年8月21日 (月):加計疑惑(47)獣医学部の設計図面/アベノポリシーの危うさ(279)
⇒2017年8月23日 (水):加計疑惑(49)設計図面の施設レベル/アベノポリシーの危うさ(281)
だからこその「臨時国会冒頭での解散」であろう。
特区における規制改革のプロセスが明らかにされれば、「加計ありき」という首相の意向を踏まえていることが、全国民に明々白々の形で分かってしまうのだ。
ならば、非難されるのを覚悟の上で、国会を開かないという選択肢をとったということだ。

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2017年9月19日 (火)

モリカケ疑惑の本質-官邸主導の「共謀」?/アベノポリシーの危うさ(298)

安倍政権は解散総選挙を利用して延命を図っている。
⇒2017年9月17日 (日):究極の国政私物化-大義なき解散総選挙/アベノポリシーの危うさ(281)
そんな身勝手が許されるわけもないが、安倍首相が逃げているモリカケ疑惑の本質について、再確認しておこう。
ズバリ、安倍官邸の主導している「共謀」である。

昭恵夫人のFacebookに有名な投稿がある。Photo

もちろんこの夜いかなる話があったかは当人たち以外には分からない。
しかし「加計ありき」のキックオフがこの年の4月だったことを考えると、なかなか意味深な写真である。
昭恵氏の自爆or自白と言うべきか?

Photo_2 急きょ東京出張の日程が変更になった。二〇一五年四月二日夕。帰りの航空機の便を遅らせて、愛媛県今治市の職員が首相官邸を訪れた。
 待っていたのは、柳瀬唯夫(やなせただお)首相秘書官(当時)。県職員と学校法人「加計学園」(岡山市)の幹部も同席した場で、県と市に学園の獣医学部新設を進めるよう対応を迫ったという。
 柳瀬氏は、安倍晋三首相が創設した国家戦略特区を担当。アベノミクスの恩恵を全国に波及させるとして、地方創生につながる特区提案を近く募ることになっていた。
 市の文書には、この日の午後三時~四時半、「獣医師養成系大学の設置に関する協議」のため、市の担当者が官邸を訪問した出張記録が残る。
 しかし、今年七月、国会の閉会中審査で、官邸での面会の事実を問われた柳瀬氏は「記憶にない」を連発。かたくなに面会を否定する政府に対し、県幹部も苦言を呈する。「何で国は隠すんですか」
 官邸訪問から二カ月後、県と市が国家戦略特区に提案すると、十年にわたって膠着(こうちゃく)していた獣医学部の計画が一気に動きだす。
 政府関係者は言う。「四月二日が『加計ありき』のキックオフだった」
<検証「加計」疑惑>(1) 始まりは15年4月2日

臨時国会冒頭の解散であれば、「加計隠し」という意図は丸見えである。
しかし、それでもなお、国会で追及されるよりはマシと考えたのであろう。
浅慮と言うべきではなかろうか。

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2017年9月18日 (月)

GPIFは死の機関投資家か?/アベノポリシーの危うさ(297)

アベノミクスの成果が上がっていない。
そのため「いざなぎ景気に並んだ」などというほら話を打ち上げたりしている。
⇒2017年9月 8日 (金):アベノミクスの現状/アベノポリシーの危うさ(276)

実体経済に有効な働きかけをしない政策で、経済が良くなるはずもないだろう。
その一つが年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の資金運用である。
⇒2015年12月 1日 (火):究極の公私混同と言うべきGPIFの資金運用/アベノミクスの危うさ(61)
安倍政権の公私混同は年期が入っている。

GPIFが軍事部門の売上高が世界で十位以内に入るすべての企業の株式を保有していることが東京新聞で報じられている。

Gpif 軍事部門の売上高は、スウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)が上位百社分(中国を除く)を公表している。GPIFが今年三月末現在で保有する国内外の株式を見ると、SIPRIの調査(二〇一五年時点)で上位十社に入った欧米企業の株式をすべて保有していた。上位百社中三十四社の株式を保有し、国内では三菱重工業、三菱電機、川崎重工業の三社が含まれる。
 保有する株式の時価総額(非軍事部門を含む)の合計は十社で約四千六百五十一億円、三十四社では約一兆三千三百七十四億円に上る。上位十社のうち米国企業は七社。一位のロッキード・マーチンはミサイル防衛システムやステルス戦闘機F35を製造。二位のボーイングは垂直離着陸輸送機オスプレイの開発を担った。四位のレイセオンは、米軍がシリア攻撃に使用した巡航ミサイル・トマホークの製造元。
 諸外国では、スウェーデンやノルウェーの年金基金は、非人道兵器の製造や環境破壊、人権侵害で問題が指摘される企業への投資を排除できるルールがある。GPIFは、委託を受けた運用会社が代表的な株式指数を基に、各国の企業の株を機械的に購入する仕組み。GPIF法など関連三法が購入先を恣意的(しいてき)に選ぶことを禁じているためだ。
 GPIFの担当者は「年金財政上、必要な利益の確保に専念するよう法令で定められている」と説明。厚生労働省の担当者は「特定業種への投資を禁止するには法改正が必要だが、法改正すべきだとの議論は起きていない」と指摘する。
 金融機関などの投資活動を調査するNPO法人「環境・持続社会」研究センター理事の田辺有輝さんは「株式保有が判明した軍事関連企業には、核兵器など非人道兵器の製造に関係する企業も含まれる。こうした企業の株式保有を排除できる法的なルールづくりが必要だ」と訴える。
GPIF年金運用 軍事上位10社の株保有 本紙調べ

GPIFが運用益を確保することは当然であるが、公的資金の運用先が「核兵器など非人道兵器の製造に関係する企業」で良いかどうかは自明であろう。
「死の商人という言葉がある。

友敵を問わず、兵器を販売して巨利を得る人物や組織への蔑称、または営利目的で兵器を販売し富を築いた人物や組織への蔑称。

「核兵器など非人道兵器の製造に関係する企業」への投資で利益を上げようとするGPIFは、「死の機関投資家」とされても仕方あるまい。

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2017年9月17日 (日)

究極の国政私物化-大義なき解散総選挙/アベノポリシーの危うさ(296)

安倍首相が公明党の山口代表に対し、臨時国会の会期中に、衆議院の解散・総選挙に踏み切ることを排除しないという考えを伝えていたことが報道されている。

安倍総理大臣は、今後、政府・与党の幹部の意見も聞き最終的な判断を固める方針で、内閣支持率の回復で早期の解散・総選挙を求める意見が強まっていることも踏まえ臨時国会の冒頭にも解散する方向で調整が進められるものと見られます。
政府・与党関係者によりますと、安倍総理大臣は、先に公明党の山口代表と会談し、今後の政権運営などについて協議する中で、今月28日に召集する方針の臨時国会の会期中に衆議院の解散・総選挙に踏み切ることを排除しないという考えを伝えたということです。
政府・与党内では、衆議院議員の任期が残り1年余りとなる中で、国家戦略特区での獣医学部の新設をめぐる問題などで低下した内閣支持率が回復傾向にあることも踏まえ、早期の衆議院の解散・総選挙を求める意見が強まっています。
一方、北朝鮮が弾道ミサイルの発射などを繰り返していることなどから、政治空白を作るのは好ましくないなどとして、早期の解散は慎重にすべきだという指摘も出ています。
こうした中、安倍総理大臣は、北朝鮮への対応や規制改革、それに北方領土の返還交渉などを前進させるためには、改めて国民の信を得て政権基盤を安定させることが欠かせないとして、早期に衆議院の解散・総選挙に踏み切る必要があるという判断に傾いたものと見られます。
この安倍総理大臣の判断には、野党第一党の民進党で前原代表の就任以降、離党届を提出する議員が相次いでいる状況や、東京都の小池知事と連携する政治団体「日本ファーストの会」の代表を務める若狭勝・衆議院議員が新党の結成を目指していることも影響を与えているものと見られます。
臨時国会の冒頭 衆院解散の見通し

そもそも野党が臨時国会を要求していたのは、「モリ・カケ疑惑」等に関する「丁寧な説明」が行われないままだからだ。
それを野党の不手際に乗じて、「今がチャンスだ」と解散総選挙になだれ込むというのは、疑惑逃れの「究極の国政私物化」と言うべきだろう。
東京新聞の筆戦子は書く。
1709172

一度吹き始めた風はもう止まらないだろう。
かくなる上は、しっかりと受け止め、小異を捨てて大義に就く勢力を結集して、安倍首相の思惑を吹き飛ばさなければなるまい。
野党は結集して反安倍の旗を高く掲げるべきだ。
再び暗黒の時代に戻らないために。
まとめる軸はやっぱり「あの人」しかいないのかも知れない。
小沢一郎氏にとっても、おそらく「最後の戦い」になるだろう。

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2017年9月16日 (土)

サン=テグジュベリ『星の王子さま』/私撰アンソロジー(49)

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サン・テグジュベリ/浅岡夢二訳『星の王子さま』

サハラ砂漠に不時着した飛行機の操縦士が、砂漠で一人の男の子(星の王子さま)に出会う。
王子さまは操縦士に、自分が生まれた星のことや、色々な星を旅したときの話をする。
2人は8日間一緒に過ごし、絆を深める。

Wikipedia:サン=テグジュベリから引用する。

1926年、26歳で作家として本格的にデビューし、寡作ながら以後、自分の飛行士としての体験に基づいた作品を発表。著作は世界中で読まれ、有名パイロットの仲間入りをしたが、仲間のパイロットの間では反感も強かったという。後に敵となるドイツ空軍にも信奉者はおり、サン=テグジュペリが所属する部隊とは戦いたくないと語った兵士もいたという。1939年9月4日、第二次世界大戦で召集され、トゥールーズで飛行教官を務めた。前線への転属を希望したサン=テグジュペリは、伝手を頼り、周囲の反対を押し切る形で転属を実現させる。
・・・・・・
大戦中、亡命先のニューヨークから、自ら志願して再度の実戦勤務で北アフリカ戦線へ赴き、1943年6月に原隊である II/33 部隊(偵察飛行隊)に着任する。新鋭機に対する訓練期間を経て実戦配置されたが、その直後に着陸失敗による機体破損事故を起こし、1943年8月に飛行禁止処分(事実上の除隊処分)を受けてしまう。必死の尽力により復帰を果たすと、爆撃機副操縦士としての着任命令(I/22部隊)を無視する形で、1944年5月、サルデーニャ島アルゲーロ基地に進出していたII/33部隊に戻った。部隊は後にコルシカ島に進出。1944年7月31日、フランス内陸部グルノーブル、シャンベリー、アヌシーを写真偵察のため、ロッキード F-5B(P-38の偵察型)を駆ってボルゴ飛行場から単機で出撃後、地中海上空で行方不明となる。

掲出部分は、「大切なことは、目に見えない……」というフレーズで有名である。
「見える化」という奇妙な言葉が使われているが、人間の情報伝達のほとんどが視覚情報であるから、「目に見えない」ものも、それを「見える」ようにすることも重要だということだろう。

『星の王子さま』は1943年4月に出版された。
子供にも大人にも、それぞれの読み方が可能だろう。
読者に応じた読み方をされるものが古典になる。

また、「使った時間が長ければ長いほど、大切な存在」は、経済学の労働価値説の表現であろうか。
Wikipedia:労働価値説は以下のように説明している。

労働価値説(ろうどうかちせつ、labour theory of value)とは、人間の労働が価値を生み、労働が商品の価値を決めるという理論。アダム・スミス、デヴィッド・リカードを中心とする古典派経済学の基本理論として発展し、カール・マルクスに受け継がれた。

図で示せば以下のようである。
Photo
人間機械と失業 第三次産業革命からみた社会・経済論

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2017年9月15日 (金)

インテンシブとエクステンシブ/「同じ」と「違う」(106)

台風18号が接近している。
「非常に強い」勢力で上陸すれば、24年ぶりのことだという。
18
24年ぶり非常に強い上陸?台風18号

台風には「大きさ」と「強さ」がある。

 気象庁は台風のおおよその勢力を示す目安として、下表のように風速(10分間平均)をもとに台風の「大きさ」と「強さ」 を表現します。 「大きさ」は強風域(風速15m/s以上の風が吹いているか、吹く可能性がある範囲)の半径で、 「強さ」は最大風速で区分しています。
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台風の大きさと強さ

18号は、「大型」ではなかったが、夜のニュースの時点で大型に発達した。
私は台風の「大きさ」と「強さ」は、学生時代に学んだ「示量変数」と「示強変数」に相当すると思う。

Wikipediaでは次のように説明している。

状態量すなわち状態変数は示量変数 (extensive variable) と示強変数 (intensive variable) の2種類に分けられる。
示量性の定義は文献により、「系全体の量が部分系の量の和に等なること」という定義と「系の大きさ、体積、質量に比例すること」という定義とがある。厳密には前者の性質は相加性、後者の性質は示量性として区別する。均一系の状態量は相加性ならば示量性となるが、部分系ごとにその量の密度が異なる不均一系の場合には相加性であっても示量性とはならない。しかし熱力学では部分系として均一なものを取ることが普通であり、部分系においては相加性と示量性が一致するようにできる。従って、相加性と示量性は区別しない流儀の方が多い。
示量性(相加性)を持たない状態変数を示強変数という。示量性状態量と示強性状態量の中には、体積と圧力のように互いに掛け合わせるとエネルギーの次元をもった示量性の量となるものがある。このような関係を(互いに)共役な関係または双対な関係と言う。

具体例で考えた方が分かりやすい。
比熱と熱容量は次のような関係である。

Photo
このように比熱は物質由来であり質量に依存しないですが、熱容量は物質の質量に依存します。
前者のような質量を始めとした物質の各種の量に依存しないものを示強変数と呼び、
後者のように質量を始めとした物質の各種の量に依存するものを示量変数と呼びます。
電池の知識 比熱と熱容量、電圧と電位、示強変数と示量変数

私の知り合いのやっている英会話学校に、インテンシブコースというのがある。
集中的に叩き込むというイメージである。
私が現代文のお手本と位置づけている掛谷誠氏の「伊谷純一郎『アフリカ紀行』の解説」に、次のような一節がある。

こうしたエクステンシヴな広域調査と、タンガニイカ湖畔の村カソゲでの餌づけによるインテンシヴな調査があいまって、チンパンジー社会における単位集団、自在にそのメンバーが離合集散する社会構造、メスの単位集団間の移籍など、驚くべき実態が明らかにされていった。この調査の過程で、伊谷さんは、チンパンジーの社会がヒトの社会につながるという確信を強め、ヒトについての生態人類学的研究を具体的に展開する構想を育てておられたにちがいない。
⇒2015年4月20日 (月):掛谷誠・「伊谷純一郎『アフリカ紀行』」の解説/私撰アンソロジー(35)

私はこの箇所を目にしたとき、遠い教養部時代の授業を思い出して、懐かしくなった。

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2017年9月14日 (木)

親安倍イデオローグ(1)三浦瑠麗/アベノポリシーの危うさ(295)

サイトのバックナンバーを見ると、8月11日放映だったようである。
つけっぱなしで寝てしまったTVで、目が覚めると「朝まで生テレビ」をやっていた。
途中から視聴したが、相変わらず田原総一朗氏の耄碌ぶりが気になった。
⇒2016年1月17日 (日):いかさま経済政策の破綻(続)/アベノミクスの危うさ(68)

視覚的に目立つのは、やはり和服姿で出演している三浦瑠麗氏であろう。
Wikipediaでは、「朝生」出演に関連して以下にように記されている。

2015年から『ニッポンのジレンマ』『朝まで生テレビ!』の出演をきっかけに討論番組への出演が急増。議論について三浦は「日本に存在する『ハイ論破!』という文化は有害」「はい論破!という雰囲気が左右両方にあるのはわるいこと。論破なんかできるわけがない。自分の議論を示しつつ相手の議論の不備や死角を指摘できるだけ。昔は保守はそれがわかってて閉じこもりリベラルの方が教化を目指してたけど、最近両方憎しみで目が曇ってる感あり」「官僚が使う言葉を借りれば『議論するときは同期』という姿勢こそが正しい」と述べている。また、自身の学者としての姿勢については「自分の仮説が間違っていたらそれが如何に不都合でも直している。それをやらないと学問も人のためじゃなくて自分のためになってしまう」「自分と似ている人だけではなく、自分と似ていない人も愛せる人でないとリベラルの資格は無い」としている。

上記に書かれた限りでは、姿勢に異論はない。
しかし、番組における発言には違和感があった。
と感じていたところ、8月12日の東京新聞の「考える広場」らんの『気分はもう戦前? 今の日本の空気』に登場していた。
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「全否定は過去見誤る」というタイトルはその通りだろう。
しかしその内容については、「おやっ?」と言うべきだろう。
三浦氏は、「人権を極端に抑圧した総動員体制」は、1943~45年の2年間だけだという。
総動員体制とは何か?
Wikipediaから引用しよう。

国家総動員法(こっかそうどういんほう)は、1938年(昭和13年)第1次近衛内閣によって第73帝国議会に提出され、制定された法律。総力戦遂行のため国家のすべての人的・物的資源を政府が統制運用できる(総動員)旨を規定したもの。

つまり総動員体制は、1938年頃に始まる。
しかし人権抑圧はそれ以前に既に行われていた。
小林多喜二が築地警察署で拷問を受け、死亡したのは1933年2月20日のことであったし、治安維持法の適用で有名な「3・15事件」は1928年である。
新興俳句運動などに治安維持法の適用が拡大したのが1940年だった。
⇒2007年10月26日 (金):新興俳句弾圧事件…①全体像

決して「1943~45年の2年間だけ」ではない。
三浦氏の言葉を借りれば、氏の「思い描く「戦前」のイメージに不安を覚え」るのは私だけではないだろう。
こういう人が、メディアで知識人として扱われているのだ。
小池都知事が関東大震災時における「朝鮮人虐殺」の追悼文を寄せなかったことと、同じような匂いを感ずる。

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2017年9月13日 (水)

安倍首相の教育改革認識/アベノポリシーの危うさ(294)

安倍政権は、教育を重要施策として位置付けていたはずである。
しかし、森友・加計と教育に係わる疑惑で安倍政権の信頼性は失墜した。
最近、ドイツメルケル首相との対比で、安倍首相の教育認識を問うた西川伸一氏の『ドイツ科学の卓越性の秘密:Nature 最新号の記事を読んで』が話題になっている。
政府の高等教育政策の政府の見識の低さを嘆いたものだ。

安倍首相の認識が端的に表出されているのは、平成26年5月6日にOECD閣僚理事会で行った「安倍内閣総理大臣基調演説」である。
その中に次のような言葉がある。

 日本では、みんな横並び、単線型の教育ばかりを行ってきました。小学校6年、中学校3年、高校3年の後、理系学生の半分以上が、工学部の研究室に入る。こればかりを繰り返してきたのです。
 しかし、そうしたモノカルチャー型の高等教育では、斬新な発想は生まれません。
 だからこそ、私は、教育改革を進めています。学術研究を深めるのではなく、もっと社会のニーズを見据えた、もっと実践的な、職業教育を行う。そうした新たな枠組みを、高等教育に取り込みたいと考えています。

もっともらしいような言葉が並んでいるが、「あっ」と驚くような内容である。
「学術研究を深めるのではなく、もっと社会のニーズを見据えた、もっと実践的な、職業教育を行う。そうした新たな枠組みを、高等教育に取り込みたいと考えています」と、堂々と高等教育の職業教育化を宣言しているのである。
加計学園グループの獣医学部が掲げた「国際的なライフサイエンス分野での競争力向上」という大義は、便宜的に言ってみただけ、と言えよう。
⇒2017年7月10日 (月):加計疑惑(30)今治獣医学部はライフサイエンスの拠点になる得るか/アベノポリシーの危うさ(251)

文科省方針も一切顧慮することなく「腹心の友」への便宜を図ったのも、高等教育に学術研究を深める意図がないとすれば、ある意味納得できる。
⇒2017年8月24日 (木):加計疑惑(50)獣医学部整備の文科省方針/アベノポリシーの危うさ(282)

もちろん、首相演説はしかるべきスピーチライターが起案したのであろうが、経産省辺りの官僚によるものであろう。
「Nature」誌が今年3月、「日本の科学力が14分野中11分野で大きく低下している」ことを指摘した背景に、「学術研究を深めるのではなく、もっと社会のニーズを見据えた、もっと実践的な、職業教育を行う」という実態があったのである。
ドイツのメルケル首相の高等教育政策は対極的である。
メルケル政権は2つの改革を行った。

一つは大学改革で、これまで州政府の予算で運営されてきた大学に、連邦政府も「卓越クラスター」として直接予算を導入し大学の学術研究を促進する政策、そしてもう一つは大学やマックスプランクやヘルムホルツなどの研究機関を競わせるだけではなく、垣根を払った共同研究を促進するために行った政策だ。
この結果、先に述べた学術研究が急速に進展しただけでなく、もう一つ我が国の大学の凋落を印象付けたタイムズ高等教育トップ200に、なんと22大学がランクイン(2005年には9校だけ)している(我が国では東大と京大の2校だけ)。この結果ドイツの大学の魅力は増して、今や外国人教員数は全体教員数の12.9%に達している。
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ドイツ科学の卓越性の秘密:Nature 最新号の記事を読んで

メルケル首相は、元博士号を持つ物理学者である。
首相が学者である必要はないが、学術に対するリスペクトは必要だろう。
遠くない将来、日本の大学のレベルは大幅にダウンすると思われる。

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2017年9月12日 (火)

北朝鮮への対し方/アベノポリシーの危うさ(293)

国連安全保障理事会が、北朝鮮に対する新たな制裁決議案の採決を行い、全会一致で採択した。
北朝鮮向け原油輸出は現状規模を超えない範囲、石油精製品輸出も年間200万バレルまでに制限、北朝鮮の主要輸出品である繊維製品の輸入は全面禁止などが柱だ。
米国の原案にあった石油の全面禁輸などは見送られた。

米国の原案の「石油全面禁輸」は、対米開戦の直接の契機となったABCD包囲網を思わせるものだ。

なぜ日中戦争が長期化しているか考え、その原因が援蒋ルートにあると思った日本軍は、それを遮断するために南進政策をとり、北部仏印(ベトナム北部)まで進み、そこに留まりました。日本に南進されると連合軍側は困るので、アメリカ、イギリス、中国、オランダの各国が手を組み、日本に対して経済封鎖を強くしていきました。これを、各国の頭文字をとって、ABCD包囲網とよびました。
Abcd
ABCD包囲網とは?

直前の状況について、Wikipediaの解説を引いておこう。

1937年(昭和12年)7月7日、盧溝橋事件が勃発し、日中間が全面戦争に入ると、中国の提訴を受けた国際連盟総会では、同年9月28日に中国の都市に対する無差別爆撃に対する、23ヶ国諮問委員会の対日非難決議案が全会一致で可決された。1938年(昭和13年)9月30日の理事会では、連盟全体による集団的制裁ではないものの、加盟国の個別の判断による規約第16条適用が可能なことが確認され、国際連盟加盟国による対日経済制裁が開始された。
孤立主義の立場から、アメリカ合衆国議会での批准に失敗し、国際連盟に加盟していなかったアメリカ合衆国は、満州事変当初は、中国の提案による連盟の対日経済制裁に対し非協力的であった。しかしその立場は不戦条約および九カ国条約の原則に立つものであり、満州国の主権と独立を認めず、国際連盟と同調するものであった。アメリカ合衆国の孤立主義的な立場が変わるのは、フランクリン・ルーズベルトがアメリカ合衆国大統領になってからである。ルーズベルトは大統領就任してから1937年の隔離演説発表まで、表面上は日本に協調的姿勢を見せ、日中国間の紛争には一定の距離を置く外交政策を採っていた。しかし、1937年7月に盧溝橋事件が発生すると、対日経済制裁の可能性について考慮をし始め、1937年10月5日に隔離演説を行い、孤立主義を超克し増長しつつある枢軸諸国への対処を訴えた。日本に対する経済的圧力については、アメリカ国内に依然として孤立主義の声もあり慎重であり、後述の通り長期的で段階的なものであったが、仏印進駐による1941年(昭和16年)7月から8月にかけての対日資産凍結と枢軸国全体に対する、石油の全面禁輸措置によって、ABCD包囲網は完成に至る。

「石油全面禁輸」を実施すれば北朝鮮を戦争に追い込みかねないという国際的な配慮があったと考えるべきだろう。
しかるに安倍政権は、トランプ政権に追従し、戦争の方向に動いているように思える。
伊藤忠会長や中国大使などを歴任した丹羽宇一郎氏は、インタビュー記事で次のように語っている。

丹羽:安倍さんが得意な「力対力」では、やがて戦争以外の選択肢はなくなる。「出口なき戦略」は「日銀の特許」じゃないですよ。出口なき戦略は、必ず破滅的な結果をもたらす。第二次大戦がそうです。
北朝鮮問題も出口がない。金正恩・朝鮮労働党委員長(33)もトランプ米大統領(71)も戦争を知りません。「団塊の世代」と話していると、戦争のことを実に知らないんです。「戦争に近づくな」と言いたいのですが、今の日本は戦争に近づくことしかしていない。北朝鮮問題でも中国に対してもね。
一方、中国は「戦争に近づくな、力と力は駄目だ」と言っています。これは清朝時代のアヘン戦争(1840~42年)以降、侵略・侵入を受け続けた歴史があり、それが語り継がれているからなんです。彼らからすれば、自衛隊はかつての日本軍に代わるもので、日本は中国を仮想敵国にしていると考えている。アメリカは弾道ミサイル防衛システムの「THAAD」を韓国に配備したが、中国は北朝鮮向けではなく、中国向けだと受け止めています。
「北朝鮮問題で日本は戦争に近づくことしかしていない」 —— 元中国大使・丹羽宇一郎氏が鳴らす警鐘

戦争を知らない世代、特に歴史認識に疎い者は、先輩の言うことに耳を傾けるべきだろう。
必要なことは、軍事力は最終的な解決をもたらさないというパーセプションチェンジだろう。
⇒2017年9月10日 (日):防空避難訓練への違和感/アベノポリシーの危うさ(277)

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2017年9月11日 (月)

民進党の解体と「真の野党」への再編成/日本の針路(328)

民進党の分解が必至のようだ。
野党第一党を標榜してきたが、ついに自民党に代わり得ないまま歴史的使命を終えるということだろう。
民主党が野田佳彦元首相の自爆解散で政権を失ってから、今日の姿は予見できたとも言えるが、政治劣化の責任の一端はあるのではなかろうか。

期待の星になり得るかと思われた山尾志桜里議員が、「まさかの不倫疑惑」で離党した。
私は不倫報道が事実であったとしても、プライベートな問題であるし、発表されたコメント以上の説明責任があるとは思わない。
もちろん不倫は好ましいとは言えないし、支持者には動揺もあるだろう。
しかし、彼女の政治的実績は評価するし、力量は現在の女性政治家の中では抜きん出ていたと考える立場である。
公的な立場を利用した不正疑惑や、政治的な実績のない議員の不倫とは質が違う。1709092_2
東京新聞9月9日

山尾氏の離党がきっかけとは言えないだろうが、民進党から新たな離党者が出る模様だ。
森友問題で首相から辞任発言を引き出した福島伸享議員などだという。
もともと今回の代表選にみられるように、民進党には思想・信条の異なる2つの勢力が存在している。
路線論争は必ずしも否定されるべきではないだろうが、党の拠って立つ基盤に係わるようでは、支持者も迷うであろう。
植草一秀氏は以下のように指摘している。

民進党内にある二つの路線は、主権者が直面する根本的な政治問題、政治の主要テーマにかかわる問題についての路線対立である。
原発稼動を認めるのかどうか。
戦争法制=集団的自衛権行使を容認するのかどうか。
消費税増税を容認するのかどうか。
こうした最重要の、そして、根本的な政治課題について、民進党内に正対する二つの主張、路線が存在する。
それが集約的に表れるのが野党共闘問題である。
昨年7月の参院選では32の1人区で共産党を含む野党共闘を成立させた。
その結果、野党が11勝21敗の結果を得た。
勝利とは言えないが、野党共闘を成立させていなければ、さらに大幅な大惨敗を喫していたのであるから、野党共闘は議席を獲得する上で有効な効果を発揮した。
しかし、民進党のなかに、共産党との共闘を否定する勢力が存在する。
上記の原発、憲法=戦争法、消費税との関わりで言えば、
原発容認、戦争法容認、消費税増税容認の政策主張を持つ者が、共産党との共闘に否定的な見解を示している。
前原氏は代表選で共産党との選挙共闘を見直す方針を示唆したが、党内に共産党との選挙共闘に肯定的な勢力が存在することを踏まえて、あいまいな対応を示している。
今回、離党の方針を固めた議員は、この不明確さに対する抗議の意思を込めて離党に踏み切るのだと思われる。
二つの正対する政治路線を、あいまいなまま一つに束ねようとする点に無理がある。
路線の相違が明確である以上、その正対する路線に沿って、党を分割することこそ、賢明な対応であると言える。
民進党は
原発容認・集団的自衛権容認・消費税増税容認で、自公路線とも協調し得る勢力と
原発非容認・集団的自衛権非容認・消費税増税非容認の、反自公路線の勢力とに
分離するべきだ。
重要なお金の問題があるが、これは、分離する議員数に比例して分割するべきである。
この問題は、そのまま連合にもあてはまる。
連合傘下の労働組合も二つに分かれるべきだ。
分かれる基準は上記の三つの問題に対する路線の相違である。
御用組合連合は、基本的に
原発容認・集団的自衛権容認・消費税増税容認
であり、自公または自公類似勢力の支持勢力になるべきだ。
民進党の「水と油」分離が本格化し始めた

私は、「原発非容認・集団的自衛権非容認・消費税増税非容認の、反自公路線の勢力」を支持したい。

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2017年9月10日 (日)

防空避難訓練への違和感/アベノポリシーの危うさ(292)

北朝鮮のミサイル発射に対して、少なからぬ自治体が避難訓練を始めた。
防空頭巾を被った児童たちが、教室などで身を屈めている。
防災のための訓練は必要だと思うが、どうにも違和感を禁じ得ない。

本当に核弾頭を装備したミサイルを日本に撃ち込むのだろうか?
撃ち込んだとして、Jアラートで間に合うのか?
防空頭巾で身を護れるのか?
etc.

日経新聞の朝刊コラム「春秋」は次のように書いている。

 万一、北朝鮮から日本にミサイルが撃ち込まれた場合、どうするのか。対処をめぐる議論を聞いて、「後(ご)の先(せん)」という言葉が頭に浮かんだ。武道の教えにある。先に攻撃してきた相手の動きを見切り、かわし、逆にこちらが制する。当然、高い技量や経験が必要になる。▼さてこれがミサイル攻撃にも通用するだろうか。政府は洋上のイージス艦と、地上に配備したミサイルで迎撃する構えだが、簡単なことではなかろう。予告もなく、高高度で、複数の弾頭が飛来するならなおさらだ。それで政府内には、発射される前に我が方から敵の基地をたたいてしまおう、とする考え方もあるという。▼こちらは武道でいう「先(せん)の先(せん)」になる。相手が動く直前に動いて制する。だが何をもってミサイル発射の「直前」と見なすのかは難しい。専守防衛との関係もあるだろう。ミサイルが発射された際に住民に避難を呼びかけるJアラートの不具合などを見ていると、そもそも正確な察知ができるのかどうか心もとない限りだ。

9月10日は、明治後期から昭和初期にかけて健筆を振るった反骨のジャーナリスト・桐生悠々の命日だ。
有名なのは、1933(昭和8)年8月11日の信濃毎日新聞に載せた『関東防空大演習を嗤う』という評論である。
東京(中日)新聞の社説が悠々の論を紹介しつつ論じている。

 悠々の評論の核心は、非現実的な想定は無意味なばかりか、有害ですらある、という点にあるのではないでしょうか。
 その観点から、国内の各所で行われつつある、北朝鮮の弾道ミサイル発射に備えた住民の避難訓練を見るとどうなるのか。
ミサイルは暴挙だが
 まず大前提は、北朝鮮が繰り返すミサイル発射や核実験は、日朝平壌宣言や国連安保理決議などに違反し、アジア・太平洋地域の安全保障上、重大な脅威となる許し難い暴挙だということです。
 今、国連を主な舞台にして、北朝鮮に自制を促すさまざまな話し合いが続いています。日本を含む関係各国が「対話と圧力」を駆使して外交努力を惜しんではなりません。軍事的な対応は憎悪が憎悪を呼び、問題の根本的な解決にならないからです。
 その上で、北朝鮮のミサイル発射にどう備えるべきなのか。
 政府は日本に飛来する可能性があると判断すれば、全国瞬時警報システム(Jアラート)を使って避難を呼び掛けます。八月二十九日早朝の場合、発射から四分後に北海道から関東信越までの十二道県に警報を出しました。
 とはいえ、日本の領域内に着弾する場合、発射から数分しかありません。政府は、屋外にいる場合は近くの頑丈な建物や地下への避難を呼び掛けていますが、そうしたものが身近にない地方の都市や町村では、短時間では避難のしようがないのが現実です。
 八月の発射でも「どこに逃げるか、どのように身を隠せばいいか。どうしていいか分からない」との声が多く出ています。
 住民の避難訓練も同様です。ミサイル発射を想定した国と自治体による合同の避難訓練が今年三月以降、すでに全国の十四カ所で行われていますが、専門家からは訓練の想定や有効性を疑問視する声が出ています。
 北朝鮮は、在日米軍基地を攻撃目標にしていることを公言していますし、稼働中であるか否かを問わず、原発にミサイルが着弾すれば、放射線被害は甚大です。
 しかし、政府は米軍基地や原発、標的となる可能性の高い大都市へのミサイル着弾を想定した住民の避難訓練を行っているわけではありません。有効な避難場所とされる地下シェルターも、ほとんど整備されていないのが現状です。
 訓練の想定が現実から遊離するなら、悠々は防空大演習と同様、論難するのではないでしょうか。

殆ど同意する。
哲学者内山節さんは、「時代を読む」という連載コラムで次のように論じている。
Ws000000
東京新聞9月10日

果たして軍事大国化に必死の自民党政権(ポスト安倍まで含め)に、「軍事力を強化しても何の成果も上がらないという現実をつくりだす」政策がとれるだろうか?

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2017年9月 9日 (土)

熱力学第二法則と量子力学/知的生産の方法(163)

熱力学は物理学や化学の基礎である。
特に熱力学第二法則は「エントロピー増大則 」として人口に膾炙している。
つまり現象の非可逆性に関する基礎を示した法則である。
しかしその含意を把握するのは容易ではなく、「煮ようと焼こうと勝手にしやがれエントロピー」という戯れ歌が化学系の学生に広く伝わっている。

不可逆性とは次のような現象を指す。
・室温の空気中の熱 いコーヒーは、放っておけば冷めて行くが、その逆の冷めたコーヒーがひとりでに熱 くなることはない。
・コップに垂らしたインク滴は均一に拡散して行くが、その逆の拡散したインクがひとりでに濃いインク滴にはならない。

熱力学はマクロな現象に関する法則性である。
マクロ現象の運動に関するニュートン力学は、分子や原子などのミクロな現象に関する量子力学とは別である。
マクロな系の不可逆性は、時間可逆なミクロな基礎法則から、どのように説明されるのか? 
いわゆる「時間の矢」の起源の解明は、現代科学の基本問題である。
Photo_2http://ridb.kanazawa-u.ac.jp/public/detail.php?id=2499

東京大学大学院工学系研究科物理工学専攻の伊與田英輝助教、金子和哉大学院生、沙川貴大准教授は、な世界の基本法則である量子力学から、理論的に導出することに成功しました。これは、極微の世界を支配する「量子力学」と、日常を支配する「熱力学」という、二つの大きく隔たった体系を直接に結び付けることに成功した。

 本研究では、量子多体系の理論に基づき、単一の波動関数(注4)で表される量子力学系において、熱力学第二法則を理論的に導きました。従来の研究とは異なり、カノニカル分布などの統計力学の概念を使うことなく、多体系の量子力学に基づいて第二法則を導出したことが、本研究の大きな特徴です。さらに、ゆらぎの定理と呼ばれる熱力学第二法則の一般化を、同様の設定で証明することにも成功しました。
 本研究の成果は、量子力学だけに基づいて不可逆性の起源を理解する大きな一歩となるのみならず、冷却原子気体など高度に制御された量子多体系の非平衡ダイナミクスの理解にもつながると期待されます。
東大、量子力学から熱力学第二法則を導出することに成功

詳細は理解不能であるが、エントロピー生成の時間依存性の計算結果が下図で示されている。
Ws000000

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2017年9月 8日 (金)

アベノミクスの現状/アベノポリシーの危うさ(291)

内閣府が14日発表したところでは、2017年4~6月期の国内総生産(GDP)の1次速報は、物価の変動の影響を除いた実質成長率が前期(1~3月期)比で1.0%増え、6四半期連続のプラス成長になった。
この状態が1年続いたとして換算した年率では4.0%増であり、極めて堅調のように見える。
事実、茂木俊充経済担当大臣は、現在の日本経済が「いざなぎ景気」に並んだ可能性を示唆し、アベノミクスの成果を訴えた。

「本当か?」というのが大方の偽らざる気持ちだろう。
「いざなぎ景気」はWikipediaで以下のように説明されている。

いざなぎ景気(いざなぎけいき)とは、1965年(昭和40年)11月から1970年(昭和45年)7月までの57か月間続いた高度経済成長時代の好景気の通称。

高度成長期の好景気に並んだという実感がある人がどれ位いるだろう?
だいたい、茂木氏は1955年生まれということだから、いざなぎ景気は10歳代の前半と言うことになる。
小学生から中学生の頃のはずだから、生活実感が乏しいのは仕方がないにしろ、言うにも程があるというものだろう。

エコノミストの斎藤満氏による『安倍内閣がひた隠す景気後退「いざなぎ詐欺」の忖度と不正を暴く』という記事がある。
以下、ポイントを引用しよう。

茂木大臣の主張では、今回の景気は2012年11月を底に、以降5年近い景気拡大が続いている、ということになるのですが、両者はあまりに違い過ぎて、比較すること自体おこがましい話です。
・・・・・・
景気が拡大局面にあるのか後退局面にあるのか、その判断をするのは、内閣府内に設置された「景気動向指数研究会」で、これは内閣府が「事務局」を務めるものの、実際の判断を下すのは「研究会」のメンバーたる民間エコノミストや経済学者になります。
そしてここが重要なのですが、従来の景気判断では、この「事務局」はデータと材料を提供するのみで、その結論は「研究会」のメンバーに委ねていました。
例えば、2013年8月の会合では事務局から「12年4月が景気の山の候補になる」との材料、14年5月の会合では「12年11月が景気の谷の候補となる」との材料がそれぞれ提供され、そのデータを研究会のメンバーがチェックする形で結論を導いていました。
そして結果的には、事務局が候補として挙げた12年4月を「景気の山」、12年11月を「景気の谷」とする認定につながりました。
・・・・・・
ところが、今年6月の会合では、「14年3月に山は設定されない、と考える」と、先に事務局が結論を出してしまい、研究会のメンバーはこれを了承するしかない状況となりました。
従来通りのやり方であれば、14年3月が景気のピークとなり、その後16年2月までの23カ月間は「景気後退」ということになります。ところが、内閣府の独断で、後退なしに5年近く拡大が続いている、とされてしまったのです。

歴史修正主義の面目躍如と言うべきだろうか?
国税庁は、銀座の一等地の路線価がバブル期を越えたというが、一般人には無縁である。
1709052
東京新聞9月5日

斎藤さんは、内閣府や茂木大臣の発言は、「経済最優先」を打ち出す安倍政権の立場を考えてのこととはいえ、「忖度」を超えた不正行為だとしている。
同感である。

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2017年9月 7日 (木)

加計疑惑(47)ルーツとしての加計勉氏/アベノポリシーの危うさ(290)

加計学園の獣医学部新設に関する疑惑について、安倍首相が自ら丁寧な説明をする機会はいつになるだろうか?
獣医学部については白紙撤回によって失地回復を図るというウルトラCも検討されているらしい。
170901
「週刊朝日」9月1日号

まあ、国家戦略特区WGに怪しげな動きも炙り出されつつあるし、いい加減な図面も流出しているので、白紙撤回も一案ということだろう。
1709012
同上

⇒2017年8月21日 (月):加計疑惑(47)獣医学部の設計図面/アベノポリシーの危うさ(279)
⇒2017年8月23日 (水):加計疑惑(49)設計図面の施設レベル/アベノポリシーの危うさ(281)
⇒2017年8月13日 (日):加計疑惑(45)特区WGのいかがわしさ(2)/アベノポリシーの危うさ(276)
⇒2017年8月 7日 (月):加計疑惑(42)特区WGのいかがわしさ/アベノポリシーの危うさ(272)

加計学園はしばらく眠らせておき、米朝の緊張の高まりに乗じて軍事体制を確立した方が得策だと判断してもおかしくはない。
⇒2017年8月15日 (火):再び戦争体制に向かう「母國」/永続敗戦の構造(10)

しかし、加計疑惑は国家運営の基幹に関わる問題である。
決して軽視すべき問題ではないし、水に流して済む問題もない。

ここで、「加計疑惑」について振り返ってみたい。
そもそも加計学園とは如何なる存在か?
「西日本有数の私学」と言われ、約2万人の学生が通う割りには、今まで余り目立った存在ではなかった。
加計学園創立者は、孝太郎氏の父である加計勉氏である。
勉氏は、どのような経緯で学園を創設したのか?

獣医学部の設置主体である岡山理科大は、岡山市「理大町1丁目1番地」にある。
日本三名園の一つとして名高い後楽園の近く、岡山市北区に位置する。
かつて鐘淵紡績の全盛時代には、全国にいくつかの鐘紡町や鐘紡通りがあったが、同様に「理大町1丁目1番地」が示すのは、岡山市における同大学の存在感である。

しかし、加計一族のルーツは岡山県ではなく広島県にある。
加計学園の創設者である加計勉氏は、広島県東広島市安芸津町に1923年(大正12年)3月に生まれた。
安芸津町の北部には加計という地名が残っている。
加計家は、大地主であり名家であることが分かる。

ところが戦後の農地改革で、所有していた土地のほとんどを手放し、現在は本家も分家も取り壊されてしまっている。
勉氏は広島県立忠海中学校(旧制中学。現在の広島県立忠海高校)を卒業後、教員を志し、1941年に広島文理科大学(戦後に広島大学に吸収)附置・広島高等師範学校へ進んだ。
旧制中学への進学者は、現在では有名大学進学者以上のエリートだった。

高等師範学校を修了した勉氏は、姫路工業学校の教を務めていたが、教育召集で福岡県小倉の航空機工場での勤務を命じられた。
目立たない青年が、終戦を機に一変した。
原爆投下により広島は無惨に破壊され、加計家は農地解放で土地を失ったのだから、衝撃は大きかっただろう。

終戦後まもない1946年、広島文理科大学へ入り直すことを決意し、母校に戻る。
大学を卒業後、中学校教諭を経て教育出版事業会社を起業した。
勉氏が通った忠海中学校は、池田勇人氏の母校であった。
勉氏は池田氏の自宅や事務所をたびたび訪れていたが、そうした中で、当時蔵相だった池田氏のもとで秘書官を務めていたエリート大蔵官僚の宮澤喜一氏と親しくなる。

教員を辞して教育出版事業を興した勉氏は、次に大学受験予備校を設立した。
現在も加計学園グループの1つになっている「広島英数学館」である。
さらに、「岡山予備校」を設立して岡山県へ進出した。
かくして岡山理科大創立の足がかりを作ったのである。

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2017年9月 6日 (水)

安倍首相の任命責任は消えていない(2)金田勝年/アベノポリシーの危うさ(289)

辞めた大臣の中でも、金田勝年前法務相の答弁は強い印象を残した。
何しろ、共謀罪(組織的犯罪防止法改正)という重要法案の担当大臣でありながら、意味不明の答弁に終始したのだ。
特に、「私はちょっと、私の頭脳というんでしょうか、ちょっと対応できなくて、申し訳ありません」という答弁には唖然とした。
Photo
【ダメじゃね?】金田法相「私の頭脳が対応できない」

野党からは当然辞任要求が出たが、菅官房長官は「辞任の必要なし」と宣った。
こんな大臣を罷免しないのは理由があったからであろう。
つまり、金田氏ならば、自律的な判断をしないで、振り付け通り答弁をするだろう、ということだ。
以下のような「台本」が流出もしている。
2
Rr.サキのツイート

金田勝年氏も、履歴は立派であると言える。

金田氏の来歴をWekipediaで見ると、概略以下のようである。
秋田県南秋田郡昭和町生まれ。秋田県立秋田高等学校卒業後、現役の時に東京大学受験に失敗し、翌年は東大入試が中止だったため、一橋大学経済学部に入学。
卒業後、旧大蔵省(現財務省)に入省し、主計局に配属。
その後主計局を中心に、大臣官房、国際金融局、国税庁、証券局で勤務。
主計官を経て、1995年に退官。
⇒2017年2月 2日 (木):不適格大臣列伝(9)金田勝年法務相/アベノポリシーの危うさ(127)

財務省は官庁の要ではあるが、7月5日付で国税庁長官に就任した佐川宣寿前理財局長といい、財務省(OB)が国を危うくしていると言えよう。

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2017年9月 5日 (火)

かかる時かかる首相をいただきて・・・/アベノポリシーの危うさ(288)

北朝鮮が3日、6回目の核実験を行なった。
大陸間弾道ミサイル(ICBM)に搭載できる水素爆弾の実験を成功させたと主張しており、もちろん強く批判されなければならない。1709043
東京新聞9月4日

核兵器は非人道の極であり、いかなる理由があろうとも、いかなる国の保有や使用には反対である。
核兵器の被爆国である日本は、核兵器廃絶の先頭に立つべきである。
しかし、世界の120余国が参加した核兵器禁止条約の参加しなかった。
⇒2017年8月 6日 (日):今こそ、主導して核兵器禁止を前に進めるべきだ/日本の針路(325)

安倍首相は、米朝の緊張緩和に努力すべきなのに、トランプ大統領に追従して、一緒に軍事的緊張を高め続ける姿勢をとってきた。
時事通信によれば、ホワイトハウスが本日書面で発表した日米首脳電話会談の内容には「両首脳は2国間の断固たる相互防衛の約束を確認した」と説明されていたという。他方、日本政府は、核実験後の電話会談で「相互防衛」について話したことを明かしていなかった。

北朝鮮のミサイル発射や核開発に対し、トランプ大統領は「世界史に類をみない炎と怒りで報いを受けるだろう」と発言をエスカレート。そして本来、同盟国の首相としてトランプをなだめ、平和的解決へ向けた交渉の仲介役を買ってでなければならない安倍首相は「私たちもさらなる行動をとっていかなければならないとの認識でトランプ大統領と完全に一致した」などと言って追従するばかり。軍事行動も辞さないとする米国の激昂に同調し、先週のミサイル発射の際も「わが国を飛び越えるミサイル発射という暴挙はこれまでにない深刻かつ重大な脅威」と述べるなど、自ら軍事衝突を煽りに煽っている。たとえばドイツのメルケル首相が「米国と北朝鮮の対立に軍事的な解決策はない」と表明したのとは対照的だ。
 しかも、このタイミングでわざわざ米側と「相互防衛」を確認したということは、仮に米国が軍事行動に出た場合、日本の米軍基地を攻撃の拠点とすることや、海上の米艦隊を自衛隊艦が援護することも、すでに決定しているという見方もできる。いや、北朝鮮からICBMが発射されれば、米国が軍事行動に出る以前に、日本がそのミサイルを迎撃することを約束した可能性もある。当然、北朝鮮が報復として在日米軍基地のある日本の都市を攻撃したり、自衛隊員が米軍と北朝鮮との戦闘に巻き込まれて戦死する可能性も高まっていく。
 これのなにが「抑止力」か。安倍政権が米国に恭順の意を示し、軍事的に一体化した結果、そのために日本が攻撃対象となるのだ。
安倍首相がトランプ大統領と“対北朝鮮戦争”への参加を勝手に約束! 米国との軍事一体化で日本も攻撃対象に

戦後73年目の最大の戦争の危機である。
俳人の長谷川櫂氏は、東日本大震災に際して、菅直人氏が首相であることを次のような短歌に詠んだ。

かかる時かかる首相をいただきてかかる目に遭ふ日本の不幸
⇒2011年7月 3日 (日):長谷川櫂『震災歌集』/私撰アンソロジー(3)

よもや6年後に、より切実な思いでこの歌を想起するとは思わなかった。

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2017年9月 4日 (月)

安倍首相の任命責任は消えていない・山本幸三前地方創生相/アベノポリシーの危うさ(287)

改造内閣の目玉は、野田聖子総務相と河野太郎外務相ということらしい。
しかし、現在までのところ、目立った新鮮さはない。
政治家であれば、大臣の声が掛かれば沈没しかかった泥船であろうと、構わず乗るのだろう。
佐藤正明さんのマンガだ。
Ws000000
東京新聞政治部ツイッター

去り行く3人組は、「去るべくして去った」と言うしかない。
山本幸三地方創生相は、物議を醸すのが趣味ではないかと思う。
観光やインバウンド(訪日外国人)による地方創生に関する質疑で、「一番のがんは文化学芸員だ。観光マインドが全く無く、一掃しないとだめだ」と述べたことで一躍注目を集めた。
⇒2017年4月22日 (土):アホな内閣(3)山本幸三地方創生担当相/アベノポリシーの危うさ(188)

加計疑惑では、「週刊文春」に「加計ありき」をスクープされた。
⇒2017年7月20日 (木):仲間ファーストの共謀2・山本地方創生相のフライング疑惑/アベノポリシーの危うさ(258)
また、今治市の公文書を記憶で否定した。
⇒2017年7月22日 (土):仲間ファーストの共謀3・記録を否定する山本地方創生相/アベノポリシーの危うさ(260)

国家戦略特区での獣医学部新設について、国会で、京都府、京都産業大とも連絡をとっていたなどと答弁したが、内閣府は「大臣が答えた中身について確認できていない」とする見解を明らかにした。
内閣府の塩見英之参事官が明らかにした。

 京都産業大は14日に獣医学部計画断念を発表した記者会見で、「昨年10月17日以降、内閣府からの連絡はない。(特区の)提案主体の京都府からも全く聞いていない」などと説明した。
 これを受け、民進の今井雅人氏が24日の衆院予算委で「内閣府は何度も、今治市と加計学園には(獣医学部新設について)話をしている。(京都府・京産大に)あまりに冷たくないか」と指摘。これに対し、山本地方創生相は「随時連絡をとっている」「京都府の知事や副知事とも話をしている」などと答弁した。
 民進のチームは、山本地方創生相と京都府とのやりとりの記録について内閣府に説明を求めたが、塩見参事官は「事前に何かを調べて、大臣に説明して(国会で)発言していただいたということではない」と説明。「大臣が直接やりとりした記憶もあるかもしれない」とも述べ、山本地方創生相自身が内閣府を介さず、京都府と連絡をとっていた可能性に言及し、答弁の根拠となった記録を把握していないことを明らかにした。
山本幸三・地方創生相の「京都と連絡」答弁、内閣府「確認できず」

この問題については、山本創生相に説明責任があったことは当然である。
⇒2017年5月28日 (日):加計疑惑(7)京産大排除の論理/アベノポリシーの危うさ(218)
⇒2017年7月16日 (日):加計疑惑(34)大学設置基準は意欲の問題か?/アベノポリシーの危うさ(255)
⇒2017年7月29日 (土):加計疑惑(39)加計と京産大の扱いの差は?/アベノポリシーの危うさ(265)

山本氏は、獣医学部新設の地理的条件の答弁についても、事実とは異なる答弁をしていることが指摘されている。
Fact
【ファクトチェック;加計学園の獣医学部設置】 山本幸三地方創生担当相の答弁(3/28)は誤り (『朝日新聞』2017-04-01)

この内閣では、首相以下全閣僚が「イキを吐くようにウソを吐く」のだろうか。
山本氏が7月28日、地元の北九州市内で「地方創生」について講演した。

 主催したのは「加計ありき」で有名になった国家戦略特区ワーキンググループ(WG)座長の八田達夫氏が所長を務める「アジア成長研究所」。両者は特区WGで顔見知りになり、山本大臣が講演することになったという。何だかうさんくさい講演だと思っていたら案の定、トンデモ発言が飛び出した。
 山本大臣は「(地方は)稼がなければだめだ」と言った上で、「稼ぐことに頑張ろうという所はどんどん応援し、そうじゃない所は(応援)しませんということだ」と言い放った。まあこれは、失言でも何でもなく、山本大臣の本心だろう。
 過疎化など自力で解決し難い問題を抱える地方には何とも冷酷な発言だ。
 国家戦略特区諮問会議で竹中平蔵氏らと同じ空気を吸う中で、弱者切り捨ての思想が身についたのだろうが、地方創生大臣なら「そうじゃない所も頑張れるようにする」だろう。山本大臣はもっとも地方創生大臣にふさわしくない人物だ。
山本大臣またトンデモ発言 「稼がない地方は応援しない」

市場メカニズムでうまく行くのならば、そもそも地方創生という政策など無用であろう。
「仲間ファースト」はこの人たちに染み付いた本性であって、拭えないものなのだろう。
大臣の適格性がなかったことは明らかであるが、改造で変わったということになって、不適格性をもう問われることがないのか。
しかし、任命責任は消えていないのである。

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2017年9月 3日 (日)

『母と暮らせば』の医学生のモデル・土山秀夫/追悼(112)

長崎原爆の被爆者で、元長崎大学長の土山秀夫さんが2日、多臓器不全のため亡くなった。
92歳だった。

1709032
東京新聞9月3日

1945年8月当時は長崎医科大付属医学専門部(現・長崎大医学部)3年だった。
山田洋次監督の『母と暮らせば』の亡霊となった学生のモデルとされる。
⇒2016年1月14日 (木):母と暮らせば』と複素的な世界観/戦後史断章(24)
⇒2017年8月 9日 (水):『母と暮らせば』と『シン・ゴジラ』/戦後史断章(27)

原爆投下時は母の疎開先の佐賀にいたが、翌日に長崎市内へ戻って被爆したが、負傷者の救護に奔走した。
爆心地に近い山里町に住んでいた兄一家4人は全員被爆死した。

Ws000000 その後、52年に長崎医科大を卒業した。専攻は病理学で、米国留学などを経て、69年から長崎大教授となり、82~86年に医学部長、88~92年には学長を務めた。
 学長退任後、核兵器廃絶や恒久平和を訴える市民運動に本格的に取り組んみ、運動を理論的な面からリードした。90年からは長崎原爆の日の平和祈念式典で長崎市長が読む平和宣言の起草委員を25年間務め、2004年からは「世界平和アピール七人委員会」のメンバーにもなった。10年に長崎市名誉市民に選ばれた。山田洋次監督が長崎原爆を題材に撮影した映画「母と暮せば」の主人公のモデルにもなった。
訃報 土山秀夫さん92歳=長崎で被爆・元長崎大学長

先日の谷口稜曄さんに続き、ナガサキ被曝の生き証人がまた亡くなったことになる。
⇒2017年8月31日 (木):赤い背中の告発・谷口稜曄/追悼(110)
戦後72年ということは、明治維新からの時間の半分近くになるということである。
しかし、戦後は終わってはいないどころか、再び戦争体制化しつつある。
⇒2017年8月15日 (火):再び戦争体制に向かう「母國」/永続敗戦の構造(10)

合掌。

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2017年9月 2日 (土)

哲学は言葉だ・中村雄二郎/追悼(111)

哲学者の中村雄二郎さんが、8月26日、老衰のため死去した。
91歳だった。
中村さんは1952年に東京大学大学院を修了。
明治大法学部専任講師を経て専任教授を務め、1996年に退職後、名誉教授となった。

Photo_3 旧制高校まで理系だったが、敗戦の衝撃から哲学を志望した。一九五〇年に東京大哲学科卒。文化放送勤務を経て、哲学に専念。「現代情念論」「感性の覚醒」などで、近代合理主義を内側から乗り越える独自の思索を進めた。
 ミシェル・フーコーら同時代の西洋哲学を参照しながら構造主義やポストモダニズムの最先端の知を論じた。同時に、二十世紀前半の哲学者、西田幾多郎(きたろう)に新たな光を当てた。また「共通感覚論」で知の組み替えを提唱。「魔女ランダ考」などでは演劇、パフォーマンスを巡る斬新な議論を展開した。
 他の著書に「哲学の現在」やベストセラー「術語集」など。
中村雄二郎さん死去 91歳 哲学者「魔女ランダ考」

私は単行本は岩波新書の『術語集』しか読んでいないが、「哲学=考えること」とすれば、哲学にとって言葉は本質的である。
人類史を俯瞰したユヴァリ・ノア・ハラリ『サピエンス全史-文明の構造と人類の幸福』河出書房新社((2016年9月)が評判である。
同書によれば、約7万年前の「認知革命」が今日の人類を造り出す出発点だった。
認知革命によって、ヒトはリアルと同じように虚構の世界を生きるようになった。
⇒2017年8月 9日 (水):『母と暮らせば』と『シン・ゴジラ』/戦後史断章(27)

「現実や世界を読み解いていくためのキー・ワード=術語。現在の〈知の組みかえ〉の時代にあって、著者は、記号、コスモロジー、パラダイム等、さまざまな知の領域で使われている代表的な四〇の術語と関連語について、概念の明晰化を試みながらそれを表現の場で生かそうとする。現代思想の本質が把握できる、〈気になることば〉の私家版辞典。」(「BOOK」データベースより)は哲学者の本領といえよう。

代表的な四〇の術語とは、「アイデンティティ」「遊び」「エントロピー」「仮面」「狂気」「差異」「身体」「分裂病」「身体」etc.である。
九鬼周造『「いきの構造」』に比べると、一語の分量が少ない分だけ、読みやすい。
⇒2013年1月27日 (日):『「いき」の構造』に学ぶ概念規定の方法/知的生産の方法(33)

認知することは、概念の獲得である。
言葉に拘ることは哲学の王道と言えよう。
哲学なき政治家が横行している世相を嘆きつつ旅立ったのであろうか。
合掌。

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2017年9月 1日 (金)

子どもの自殺を防ぎたい/日本の針路(327)

昔は9月1日から一斉に2学期が始まったが、最近は前期・後期の二学期制などにする学校も増えて、8月中に学校が始まるところも多いようだ。
しかし長い夏休みが明けると、いじめや友人とのトラブルなどに悩む生徒の自殺が多いと言われる。
子どもたちに「死なないで」などと呼びかける団体や著名人のメッセージが、8月31日から9月1日にかけて、ネット上で広がった。

 8月30日から、夏休み明けの「駆け込み居場所」を開いたフリースクール「東京シューレ」(東京都)は1日午前1時前、ツイッターで「〈このまま夏休みだったらいいのにな、学校のことを考えるとつらくなってしまうあなたへ〉学校はつらいけど、行かないのも不安になる。どうしたらいいのかわからない気持ちを教えて下さい」と呼びかけた。
 昨夏は「学校に行くことは義務じゃない」という動画を動画投稿サイト「ユーチューブ」にアップ。今夏は、動画製作にかかわった仲間たちの言葉を改めて発信した。「学校へ行かないという選択をしている、または考えているあなたはおかしくない。なぜなら学校に行くことは義務じゃないから」などとしている。
Photo また31日夜、10代の悩みを特集したNHKの番組「ハートネットTV+ 生きるためのテレビ #8月31日の夜に。」に出演したタレントの中川翔子さんは番組前、「絶対に、死なないで。生きて。」などとツイートで発信。憲法学者の木村草太さんも31日、こうツイートした。「『学校が嫌で家が逃げ場になる子』と『家が嫌で学校が逃げ場になる子』と『学校も家も嫌で町を徘徊(はいかい)する子』のことを考えて、すべての人にもう一つ、二つ、安全な逃げ場がほしいと思う」
 林芳正・文部科学相は1日の会見で、子どもたちに向けて「もし悩み苦しんでいたとしても、決してあなたはひとりぼっちではない。誰にでもいいので悩みを話してほしい。誰かがきっと助けてくれます」と述べ、文科省による24時間対応の電話相談(0120・0・78310)などの利用を呼びかけた。
「絶対に死なないで」 自殺多い9月1日、著名人ら訴え

また、上野動物園は、「逃げ場がないのなら、動物園へいらっしゃい」とツイートした。
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東京新聞9月1日

東京新聞は、朝刊コラム「筆洗」でも、辻征夫さんの詩を引いて「行きたくない」という不登校が「生きたくない」にならないようにしようと書いている。
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