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2017年8月 6日 (日)

今こそ、主導して核兵器禁止を前に進めるべきだ/日本の針路(325)

8月は、鎮魂・慰霊の月である。
お盆は、地域によって日時が異なるが、かつて太陰暦の7月15日を中心とした期間に行われたことから、現在は太陽暦の8月15日を中心とした期間に行われることが多い。
奇しくも敗戦の日と重なる。

今日、広島は72回目の原爆の日を迎えた。
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広島原爆忌、5万人の参列者が犠牲者悼む


各紙はこぞって原爆忌に関連させて核兵器禁止条約への日本の不参加を取り上げている。

朝日
 日本は、米国の核で他国の攻撃を抑止する「核の傘」を安全保障の基軸とする。安倍首相は2月のトランプ氏との首脳会談で核の傘の提供を確認した。北朝鮮や中国の脅威を背景に、核への依存を強めている。
 だが核抑止論は、相手との軍拡競争に陥るリスクがある。現に北朝鮮は核・ミサイル開発を米国への対抗策だと主張する。
 核の傘の本質は「有事では核攻撃もありうる」との脅しだ。政府は米国が核を使う可能性を否定しないが、深刻な「苦痛と被害」の再現は確実だ。被爆国として道義的にも許されまい。

読売
 条約は、核兵器の生産、保有、使用、使用の威嚇などを禁止し、122か国が賛同した。「ヒバクシャの容認し難い苦しみと損害に留意する」とも明記している。
 しかし、核兵器を巡る国際政治の現実は厳しい。
 北朝鮮は昨年、2回も核実験を行った。ミサイル実験も繰り返し、7月には大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射を2回強行した。
 こうした核の脅威がある以上、日本は、同盟国である米国の「核の傘」に頼らざるを得ない。核抑止の考え方自体を否定する条約に加入するのは無理がある。
 やはり米国の核抑止力に依存するドイツなど多くの欧州諸国や韓国なども、禁止条約に関して日本と同じ主張を唱えている。

毎日
 そんな折、国連では7月に約120カ国の賛成で核兵器禁止条約が採択されたが、米国など核保有国は反対し、北大西洋条約機構(NATO)の加盟国や米国の「核の傘」の中にいる日本と韓国も反対した。
 核兵器の保有や使用の禁止はもとより、核によって核をけん制する、伝統的な「核抑止論」に批判的な条約だからだろう。北朝鮮の脅威が高まる折、これでは賛成できないと日本政府は判断したようだ。
 だが、日本は昨年5月、オバマ米大統領を広島に迎え、「核兵器のない世界」への誓いを新たにしたはずだ。米国が核軍拡路線のトランプ政権になったとはいえ、「唯一の被爆国」が核廃絶への弾みにブレーキをかけるのは違和感がある。

日本経済新聞
 核廃絶の理念を追求しながら、差し迫る北朝鮮の核の脅威にどう対処するのか。政府は条約不参加の理由や、今後の核軍縮に向け日本が国際社会で果たすべき役割を、もっと丁寧に説明すべきだ。被爆者への責務である。
 核拡散防止条約(NPT)の運用状況を点検するため、加盟国が5年ごとに開く再検討会議が2020年にある。15年は核保有国と非保有国が対立したため、最終文書を採択できずに閉幕した。
 政府は次期会議に向け、保有国、非保有国から有識者16人を招いた「賢人会議」を設置した。双方の溝を埋める新たな取り組みだ。

産経新聞
 そうした勢力は、わが国の安全を高めることに寄与する安保法制に、「戦争法」などと短絡的なレッテルを貼って難じてきた。では北朝鮮の脅威を防ぐために何をするのか。目をつむるのか。
 このような運動が原爆の日を利用することは、犠牲者にもはなはだしく礼を欠く。
 7月には核兵器禁止条約が国連で採択された。しかし、核保有国や「核の傘」のもとにある日本は参加していない。
 核兵器廃絶という理念は理解するとしても、核の脅威が増している現実を、理念ゆえに見失っては、本末転倒でしかない。

東京新聞
 蝉(せみ)しぐれがかき消しそうな八月の記憶と記録。「沈黙の声」は懸命に語っています。今を生きる人たちが、もう二度と、ヒバクシャにならないように。
 「三菱長崎兵器製作所大橋工場」-。長崎大学文教地区キャンパス正門前の木陰にたたずむ銘板です。
 <一九四五年(昭和二十年)八月九日、午前十一時二分、原子爆弾の炸裂(さくれつ)によって、爆心地から北約千三百メートルに位置した二十棟余の大橋工場は、一瞬にして、空洞化したコンクリートの巨塊と飴(あめ)のように折れ曲がった鉄骨の残骸に姿をかえた。原爆当時、大橋工場、茂里町工場など三菱長崎兵器製作所全体の従業員数は女子挺身(ていしん)隊、学徒報国隊を含め、一万七千七百九十三人。そのうち、原爆による死亡者は二千二百七十三人、負傷者は五千六百七十九人->
 当たり前のことですが、そこにはただ淡々と、被爆の記録が刻印されています。

日本が「唯一の被爆国」である限り、やはり被爆(被曝)体験から考えるべきだろう。
核兵器禁止条約に明記されたヒバクシャに、最も近く立つべきである。
安倍首相は、国民を「こんな人たち」と「お友達」に二分し、差別してきた。
余りにも単純化した思考法である。

日本は「核抑止論」の立場に立つべきなのか否か。
積極的肯定が産経、消極的賛成が読売、中立的なのが日経、反対が朝日、毎日である。
東京は、今日の社説だけでは捉えにくいが、社論からすれば反対と言える。
「核抑止論」の立場に立てば、必然的にわが国も核武装すべきということになるだろう。
特に安倍政権は、憲法は核兵器使用を禁止していないという「閣議決定」までしている。
核武装の意思を読み取るべきだろう。

170711
東京新聞7月11日

「こんな人たち」と「お友達」に二分するような思考法では、平沼騏一郎の轍えお踏むことになろう。
すなわち、「欧洲の天地は複雑怪奇」と言って退陣を余儀なくされた。
安倍首相の退陣が遠からぬことを願う。

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投稿: shawnaz4 | 2017年8月10日 (木) 17時25分

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