加計疑惑(49)設計図面の施設レベル/アベノポリシーの危うさ(281)
加計学園獣医学部の設計図面が流出し、さまざまな憶測を呼んでいる。
⇒2017年8月21日 (月):加計疑惑(47)獣医学部の設計図面/アベノポリシーの危うさ(279)
目玉はバイオセーフティーレベル3(BSL3)の研究施設だと言われる。
狂犬病や結核菌、鳥インフルエンザなど、人体に感染したら重篤化の恐れのある病原体を扱う実験室である。
Wikipediaでは次のように解説している。
レベル1
通常の微生物実験室で、特別に隔離されている必要はない。
一般外来者の立ち入りを禁止する必要はないが、16歳未満の者の入室を禁ずる。
実験室での飲食・喫煙を禁ずる。
微生物を取り扱う人物は、病原体取り扱い訓練を受けた人物でなければならない。
レベル2
(レベル1に加えて)
実験室の扉には、バイオハザードの警告が表示されなければならない。
許可された人物のみが入室できる。
実験中は窓・扉を閉め、施錠されなければならない。
施設にはオートクレーブが設置されていることが望ましい(実験室内にある必要はない)。
生物学用安全キャビネット(クラスIIA以上)の設置。基本はその中で作業する(エアロゾルが発生しない作業はキャビネット外でも可)。
実験者は、作業着または白衣を着用しなければならない。
・・・・・・
レベル3
レベル2までと異なり、封じ込め実験室である。要件は次の通り。
(レベル2に加えて)
廊下の立ち入り制限。
白衣などに着替えるための前室(エアシャワーなど)を設置しなければならない。そのとき前後のドアを同時に開いてはならない。
壁・床・天井・作業台などの表面は消毒・洗浄可能なようにする。
排気系を調節し、常に外部から実験室内に空気を流入させる。
実験室からの排気は、高性能フィルターを通し除菌した上で大気に放出する。
実験は生物学用安全キャビネットの中で行う。
・・・・・・
レベル4
最高度安全実験施設である。レベル3に加えて、レベル4の実験室は他の施設から完全に隔離され、詳細な実験室の運用マニュアルが装備される。
・・・・・・
つまりBSL3は、BSL2までとは、施設の質が一変するのだ。
自由に人が行き来できる場所から遮断する必要があるが、今治キャンパスの獣医学部棟に設置されるBSL3施設は、研究エリアやディスカッションスペースのすぐ横に造られる予定である。
万が一の感染リスクについて専門家はどう評価するのか。元国立感染症研究所主任研究員の新井秀雄氏は「病原体を取り扱う以上、人為的ミスや機器の故障などによる実験室内の感染発生の確率はゼロとは言えません」と指摘した上でこう続ける。
「いざという時の処置として、他の人に感染が波及しないように設計上の配慮が求められます。しかし図面を見る限り、学生や教職員が行き来する同一フロア内に、BSL3施設が置かれ、管理区域として区別されていません。実験室感染の対応設備として緊急シャワーが設置されていますが、実験室の前室内ではなく、学生が自由に行き来できるオープンスペースの一角に位置している。これは理解不能です。設計図だけを見ても、感染拡大が懸念されます」
通常ならば、実験室内部は病原体の外部飛散を防ぐために「陰圧構造」になっているが、それも確認できないという。
「感染症の研究を知らない人が設計に携わったような印象を受けます」(新井秀雄氏)
専門家が見れば一目瞭然。シロート同然の設計なのだ。こんな欠陥施設のために評価額36億円の広大な土地を無償で払い下げ、さらに最大96億円という破格の補助金まで支払われるのだ。締めて、約133億円――。おまけに獣医学部内の事故によってパンデミックが起こっても何ら不思議ではないのだから、害悪施設を税金で建てるようなものだ。
加計獣医学部図面から浮上 バイオハザード施設に重大欠陥
造ったはいいけれど、集まる学生の質が悪く、病原体に触れた廃棄物の処理に不安があるようだと、迷惑施設になりかねない。
学園側は施設のバイオセーフティーレベルについて、説明責任があるのは当然である。
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