切れ者とキレる人/「同じ」と「違う」(105)
安倍首相が都議選の最終日に応援演説に立ったが、その時の言葉が惨敗の大きな要因だったと言われている。
室井佑月さんが「週刊朝日」7月21日号に書いている。
まあ、これが一般的な見方だろう。
安倍首相が「帰れ!」コールにキレて、「こんな人たち・・・」と声を張り上げてしまった。
つまり、自民党惨敗の大きな要因の1つが「安倍不信」で、それが内閣支持率の急激な低下である。
⇒2017年7月13日 (木):加計疑惑(32)支持率の下落が止まらない安倍政権/アベノポリシーの危うさ(253)
それを顧みることなく、内閣改造で支持率アップが図れると考えるのは甘いと言わざるを得ない。
ところで「キレる」とはどういうことか?
Wikipediaでは次のように説明されている。
キレる(切れる)とは、主に対人関係において昂ぶった怒りの感情が、我慢の限界を超えて一気に露わになる様子を表す、日本の俗語。
同義の言葉には「激昂」「激高」などがある。
「秋葉原通り魔事件」などを連想するが、この事件はかなり計画的なようにも思えるので、単純に「キレた」からとは言えないかも知れない。
⇒2008年6月11日 (水):秋葉原通り魔と心の闇
⇒2008年6月22日 (日):通り魔をヒーロー視する人たち
森友・加計問題がこれだけ大きな問題になっているのも、安倍首相の「私や妻が関係していたということになれば、首相も国会議員も辞める」という言葉が大きいであろう。
⇒2017年2月22日 (水):森友疑惑(2)国有地格安売却/アベノポリシーの危うさ(136)
しかし、「関係している」ことが明白になっても、一向に辞めようと言い出す気配はない。
有言不実行である。
24、25日の閉会中審査では、「李下に冠を正さず」と丁寧な説明ではないが低姿勢に徹しようとしていた。
⇒7年3月14日 (火):森友疑惑(21)加計学園の李下の冠/アベノポリシーの危うさ(156)
そもそも、「丁寧な説明」を考えるならば、なぜ加計孝太郎氏を招致しないのか?
⇒2017年7月27日 (木):加計疑惑(38)加計孝太郎氏はなぜ表に出ないのか/アベノポリシーの危うさ(264)
閉会中審査では、前川前事務次官と直接対立する形になった和泉洋人首相補佐官が、首相の代わりに(?)がキレ気味だった。
日刊ゲンダイ7月25日
ところで「キレる」という言葉は、シャープな頭の働きにも使う。
「キレる人」と切れ者」はどう違うのであろうか?
概念工作家の村山昇氏は、『「キレ」の思考 「コク」の思考』東洋経済新報社(1211)において、次のように説明している。
「キレ」の思考は、C(具象)×L(論理)×O(客観)領域を運動の範囲とする思考であり、「コク」の思考は、A(抽象)×I(イメージ)×S(主観)の領域を運動の範囲とする思考である。
⇒2013年1月17日 (木):「キレ」の思考と「コク」の思考/知的生産の方法(28)
つまり、「キレ」の思考は、分析的思考、クリティカル・シンギングであろう。
対して「キレる」は、思考する余裕を失った状態を指すと言える。
表面的には似ているようで、対蹠的な内容である。
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