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2017年8月

2017年8月17日 (木)

切れ者とキレる人/「同じ」と「違う」(105)

安倍首相が都議選の最終日に応援演説に立ったが、その時の言葉が惨敗の大きな要因だったと言われている。
室井佑月さんが「週刊朝日」7月21日号に書いている。
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まあ、これが一般的な見方だろう。
安倍首相が「帰れ!」コールにキレて、「こんな人たち・・・」と声を張り上げてしまった。
つまり、自民党惨敗の大きな要因の1つが「安倍不信」で、それが内閣支持率の急激な低下である。
⇒2017年7月13日 (木):加計疑惑(32)支持率の下落が止まらない安倍政権/アベノポリシーの危うさ(253)

それを顧みることなく、内閣改造で支持率アップが図れると考えるのは甘いと言わざるを得ない。
ところで「キレる」とはどういうことか?
Wikipediaでは次のように説明されている。

キレる(切れる)とは、主に対人関係において昂ぶった怒りの感情が、我慢の限界を超えて一気に露わになる様子を表す、日本の俗語。
同義の言葉には「激昂」「激高」などがある。

「秋葉原通り魔事件」などを連想するが、この事件はかなり計画的なようにも思えるので、単純に「キレた」からとは言えないかも知れない。
⇒2008年6月11日 (水):秋葉原通り魔と心の闇
⇒2008年6月22日 (日):通り魔をヒーロー視する人たち

森友・加計問題がこれだけ大きな問題になっているのも、安倍首相の「私や妻が関係していたということになれば、首相も国会議員も辞める」という言葉が大きいであろう。
⇒2017年2月22日 (水):森友疑惑(2)国有地格安売却/アベノポリシーの危うさ(136)

しかし、「関係している」ことが明白になっても、一向に辞めようと言い出す気配はない。
有言不実行である。
24、25日の閉会中審査では、「李下に冠を正さず」と丁寧な説明ではないが低姿勢に徹しようとしていた。
⇒7年3月14日 (火):森友疑惑(21)加計学園の李下の冠/アベノポリシーの危うさ(156)

そもそも、「丁寧な説明」を考えるならば、なぜ加計孝太郎氏を招致しないのか?
⇒2017年7月27日 (木):加計疑惑(38)加計孝太郎氏はなぜ表に出ないのか/アベノポリシーの危うさ(264)

閉会中審査では、前川前事務次官と直接対立する形になった和泉洋人首相補佐官が、首相の代わりに(?)がキレ気味だった。
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日刊ゲンダイ7月25日

ところで「キレる」という言葉は、シャープな頭の働きにも使う。
「キレる人」と切れ者」はどう違うのであろうか?

概念工作家の村山昇氏は、『「キレ」の思考 「コク」の思考』東洋経済新報社(1211)において、次のように説明している。

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「キレ」の思考は、C(具象)×L(論理)×O(客観)領域を運動の範囲とする思考であり、「コク」の思考は、A(抽象)×I(イメージ)×S(主観)の領域を運動の範囲とする思考である。
⇒2013年1月17日 (木):「キレ」の思考と「コク」の思考/知的生産の方法(28)

つまり、「キレ」の思考は、分析的思考、クリティカル・シンギングであろう。
対して「キレる」は、思考する余裕を失った状態を指すと言える。
表面的には似ているようで、対蹠的な内容である。

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2017年8月16日 (水)

延戦による被害増大責任/永続敗戦の構造(11)

1945年8月14日から15日にかけて、全国各地で空襲を受け、多数の犠牲者が出た。
日本の戦争指導者が「国体護持」に拘り、ポツダム宣言の受諾が遅れた。
『日本のいちばん長い日』に描かれているように、事実として「敗戦受容派」と「徹底抗戦派」の間で、緊迫した状況があった。
⇒2015年8月25日 (火):『日本のいちばん長い日』と現在/日本の針路(219)

映画で印象的だったのが、陸軍が責任追及を逃れようと関連書類を延々と焼却する作業を行った姿だった。
「モリ・カケ」はPKO日報に見るように、公文書を自分たちの都合に合わせるのは、今も変わっていない。
戦災の記録も市民によって復元する試みが続けられている。

 米軍資料から空襲の実態を調べる市民団体「空襲・戦災を記録する会全国連絡会議」によると、14日は米軍機約1000機が出撃した。日本は45年8月10日、降伏を求めるポツダム宣言を条件付きで受諾する方針を連合国側に伝え、米軍は空襲を一部停止した。しかし、受諾条件を巡って日本政府が揺れていると判断した米軍は14日の空襲を実行した。
 米軍の作戦任務報告書では、14日は光海軍工廠(こうしょう)(山口)など6地点が主な空襲目標とされた。京都・舞鶴の港湾などに機雷を敷設し、広島や長崎に原爆を投下した部隊は長崎原爆と同形で通常爆薬の模擬原爆を愛知に落とした。神奈川・小田原では、15日未明の空襲で12人が死亡。米軍機が帰還途中に爆弾を投下したとみられる。Photo
終戦直前 空襲10カ所 米機1000機、犠牲2300人

北朝鮮のミサイル発射をめぐって緊迫した事態となっている。
8月10日の衆議院安全保障委員会で、小野寺五典防衛相は、米軍基地のあるグアムが攻撃された場合、集団的自衛権を行使できる「存立危機事態」にあたる可能性があると答弁した。
元経産官僚の古賀茂明氏は次のように述べている。

トランプ政権は「アメリカ・ファースト」を掲げ、これまでの常識を覆すような言動を続けている。トランプ政権誕生が決まった昨年末の時点で、日本人は、立ち止まって冷静に考え直してみるべきだった。しかし、安倍政権は、何も考えずに、従来の日米関係の延長線上で行動している。そして、今や、トランプ政権とともに戦争を始めるかもしれないというのっぴきならないところに追い込まれているのだ。
古賀茂明「グアムへの北朝鮮ミサイル迎撃すれば、戦争状態  日米安保に殺される日本」

「もう一度冷静に日米関係を根本から考え直す最後のチャンスだ」とする古賀氏の意見に耳を傾けたい。

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2017年8月15日 (火)

再び戦争体制に向かう「母國」/永続敗戦の構造(10)

今日の日経新聞朝刊のコラム「春秋」は次のように書いている。

終戦の日と月遅れのお盆が重なるこの時期、列島は人々の鎮魂の祈りに満たされる。無謀で悲惨だった先の戦争を振り返り、犠牲者を静かに追悼する大切なひとときだが、今年は何か心がざわつく。トランプ米大統領と北朝鮮の言葉の応酬が激しさを増しているせいだ。

全面的に同感であるが、今日を「終戦の日」と言うべきか、「敗戦の日」と言うべきか。
私は、「終戦の日」と呼びならわしてきたことが、戦争責任を曖昧化してしまった一つの要因ではないかと思う。

戦争責任とは何か?
いろいろな局面での責任が考えられる。
もちろん、開戦の責任は大きい。
そして、戦争を継続して、犠牲を増やした責任も同様であろう。

NHKスペシャルは、昨日(8月14日)が『知らぜらる地上戦』、今日が『戦慄の記録 インパール』だった。
8月15日、天皇の詔勅がラジオで放送されたが、降伏文書に署名したのは9月2日だった。
『知らぜらる地上戦』は、ソ連の北海道侵攻を防ぐため樺太死守が命じられ、樺太で戦闘せざるを得なかった人たちの記録である。
⇒2007年8月10日 (金):ソ連の対日参戦

『戦慄の記録 インパール』は、無謀なインパール攻略戦の記録である。
インパール攻略戦の作戦計画は、結局誰も負わず、犠牲は現場の戦闘員である。
無責任体質は、安倍政権とそっくりのようにも思える。
樺太や南方のセンチだけでなく、旧満州からの引き揚げ者も大変な苦難をしたことは良く知られている。
東京(中日)新聞が掲載している「平成の俳句」に英文学者の小田島雄志さんの句が選ばれた。
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北朝鮮のミサイルがグァムを狙い、日本の上空を通過するという予告で、あたかも臨戦のような雰囲気である。

北朝鮮が、グアム島周辺の海上を狙ってミサイルを発射する計画を検討中と発表した。ミサイルが発射された場合に備えて、米国も迎撃を検討している可能性が大きい。だが専門家は、米軍が北朝鮮のミサイルを撃墜できる保証はないと指摘している
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グアムを狙う北朝鮮ミサイル、米国は撃墜できるか

政府は迎撃準備をしている。
72年を経て、戦後生まれは90%を超えたという。
「戦争を知らない世代」が再び戦争を繰り返すことになるのだろうか?

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2017年8月14日 (月)

改造内閣(3)閣僚の資質をどう考えるか/アベノポリシーの危うさ(277)

改造前の内閣では「閣僚の資質」が問われ続けた。
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東京新聞8月3日

果たして新内閣では、資質の向上が図れたであろうか?
残念ながら、骨格を維持している以上、不可能である。

 木の幹が腐っているのに、先端の細い枝だけ接ぎ木して立派に見せようとしているようなもので、こんな小手先の内閣改造には何の意味もありません。首相の反省の弁も口先だけで、一時的に殊勝な態度を見せれば国民をダマせると甘く考えているのがミエミエです。本当に反省していれば、内閣改造で延命を図るのではなく、行政を混乱させた責任を取って退陣しているはずです」(政治評論家・本澤二郎氏)
・・・・・・
 安倍政権の破廉恥体質については、2日に共同通信のインタビューに応じた福田元首相が痛烈に批判している。森友学園への国有地払い下げや、加計学園の獣医学部新設を踏まえ、安倍政権下で「政と官」の関係がおかしくなっていることを「国家の破滅」という厳しい言葉を使って断罪したのだ。
国家破滅内閣に名を連ねた卑しい権力亡者の閣僚たち<上>

奇しくも「週刊文春」と「週刊新潮」の2誌が8月17・24日号で、「身体検査」と称する査定を載せている。
夏休みの予定記事であろうが、問題含みの人も結構いそうである。
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「週刊新潮」

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「週刊文春」

美貌的に前内閣の関連する記事を拾っておこう。

・鶴保庸介
⇒2016年11月13日 (日):不適格大臣列伝・鶴保庸介沖縄北方相/アベノポリシーの危うさ(104)

・山本有二
⇒2016年11月20日 (日):不適格大臣列伝(2)・山本有二農林水産相/アベノポリシーの危うさ(106)

・稲田朋美
⇒2016年11月21日 (月):不適格大臣列伝(3)・稲田朋美防衛相/アベノポリシーの危うさ(107)
⇒2016年12月 4日 (日):不適格大臣列伝(4)・稲田朋美防衛相-2/アベノポリシーの危うさ(111)
⇒2017年1月 5日 (木):不適格大臣列伝(6)・稲田朋美防衛相-3/アベノポリシーの危うさ(120)
⇒2017年2月 8日 (水):不適格大臣列伝(11)稲田朋美防衛相(4)/アベノポリシーの危うさ(130)
⇒2017年2月10日 (金):不適格大臣列伝(13)稲田朋美防衛相(5)/アベノポリシーの危うさ(132)
⇒2017年2月19日 (日):不適格大臣列伝(15)稲田朋美防衛相(6)/アベノポリシーの危うさ(134)
⇒2017年7月24日 (月):不適格大臣列伝(18)稲田朋美防衛相(7)/アベノポリシーの危うさ(262)
⇒2017年7月28日 (金):不適格大臣列伝(19)稲田朋美防衛相(8)/アベノポリシーの危うさ(264)
⇒2017年7月30日 (日):不適格大臣列伝(20)稲田辞職は問題解決ではない/アベノポリシーの危うさ(266)

・石原伸晃
⇒2016年12月11日 (日):不適格大臣列伝(5)・石原伸晃TPP担当相/アベノポリシーの危うさ(112)
⇒2017年2月 7日 (火):不適格大臣列伝(10)石原伸晃特命担当相(2)/アベノポリシーの危うさ(129)

・高木毅
⇒2017年1月17日 (火):不適格大臣列伝(7)高木毅前復興相/アベノポリシーの危うさ(123

・世耕弘成
⇒2017年1月29日 (日):不適格大臣列・伝(8)世耕弘成経済産業相/アベノポリシーの危うさ(126)

・金田勝年
⇒2017年2月 2日 (木):不適格大臣列伝(9)金田勝年法務相/アベノポリシーの危うさ(127)
⇒2017年2月 9日 (木):不適格大臣列伝(12)金田勝年法務相(2)/アベノポリシーの危うさ(131)
⇒2017年4月23日 (日):アホな内閣(4)金田勝年法務相と共謀罪審議/アベノポリシーの危うさ(189)

・歴代文科相
⇒2017年2月13日 (月):不適格大臣列伝(14)歴代文科相/アベノポリシーの危うさ(133)

・今村雅弘
⇒2017年4月 6日 (木):不適格大臣列伝(16)今村雅弘復興相/アベノポリシーの危うさ(178)
⇒2017年4月25日 (火):アホな内閣(6)今村雅弘復興相/アベノポリシーの危うさ(191)

・山本幸三
⇒2017年4月18日 (火):不適格大臣列伝(17)山本幸三地方創生担当相/アベノポリシーの危うさ(184)
⇒2017年4月22日 (土):アホな内閣(3)山本幸三地方創生担当相/アベノポリシーの危うさ(188)

・中川俊直
⇒2017年4月20日 (木):アホな内閣(1)中川俊直経済産業政務官/アベノポリシーの危うさ(186)
⇒2017年4月21日 (金):アホな内閣(2)中川俊直経済産業政務官・続/アベノポリシーの危うさ(187)

・大塚拓
・⇒2017年4月24日 (月):アホな内閣(5)大塚拓財務副大臣/アベノポリシーの危うさ(190)

安倍首相は、任命責任は私にあると言っているが、具体的に責任を説明することはなかった。
⇒2017年7月 1日 (土):大臣辞任(or更迭)の二重基準/アベノポリシーの危うさ(247)

上記の中には、一度に失態・失言で辞任(もしくは更迭)の人もいるし、稲田朋美氏のように何度となく繰り返した人もいる。
いずれにしろ、任命責任はあるが、失態・失言が繰り返し起きるというのは、「延命責任」があると考えなければならない。
安倍首相が本当に支持率を回復したいのであれば、率先して加計孝太郎氏や安倍昭恵夫人の招致を行うべきだが、口先は別として、そんなことはできないだろうなあ。

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2017年8月13日 (日)

加計疑惑(45)特区WGのいかがわしさ(2)/アベノポリシーわの危うさ(276)

また「加計ありき」を裏付ける新事実が発覚した。
国家戦略特区の規制改革メニューに獣医学部新設が加わる直前、2015年6月の特区ワーキンググループ(WG)のヒアリングに、愛媛県と今治市職員とともに加計学園の幹部が同席していた。
にもかからず、今年3月公開のWG議事要旨には加計幹部出席の記載が一切なかった。

「国家戦略特区の正体」の著者で立教大教授の郭洋春氏(経済学)はこう言う。
「ヒアリングの出席者は会議の性格を位置づける非常に重要なポイント。問題の場に加計関係者が出席した事実を伏せていたのは、“加計ありき”の獣医学部新設をヒタ隠しにするためだったのではないのか。そう類推するのが極めて自然でしょう」
 議事要旨の公開は加計疑惑が報じられた直後。冒頭で内閣府の藤原豊審議官(現・経産省官房審議官)が「資料その他、議事内容は公開の扱いでよろしゅうございますでしょうか」とわざわざ断りを入れる発言を載せている。この一言も隠蔽の演出だとしたら、議事黒塗りの“のり弁”より悪質だ。行政文書の信憑性そのものもグラつき始めている。
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また隠蔽発覚 特区WGの議事要旨に加計幹部出席の記載なし

しかも伏せられた加計学園側の発言に、学園幹部が「愛媛県今治市には当学園の岡山理科大獣医学部を設置したい」との意向をWG委員に伝えるやりとりがあった。

 首相は国会で、学園の計画を今年一月二十日に初めて知ったと説明しているが、一五年六月の特区提案段階で事実上、今治市と学園が一体で提案していたことが判明。首相の説明責任が求められる。
 内閣府は本紙の取材に、「説明補助者は参加者と扱っておらず、公式な発言と認めていない」と回答し、議事要旨にない加計側の発言を明らかにしなかった。また、ヒアリング内容を首相に報告したかどうかは明確にしなかった。
 公開されている一五年六月五日のWGの議事要旨では、座長の八田達夫・大阪大名誉教授が「獣医学部新設は大学そのものの新設ですか」と質問。愛媛県の担当者が「大学の新設と学部の新設も考えている」と答えている。
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加計側提案 記載せず 特区WG議事要旨「獣医学部設置を」

「すべてオープン」「一点の曇りもない」の実相はこういうことなのだ。
何とか「総理の意向」を隠蔽しようという意図が見え透いている。

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2017年8月12日 (土)

加計疑惑(44)加計獣医学部は開設できるのか/アベノポリシーわの危うさ(275)

疑惑に塗れた今治市の加計学園獣医学部は、計画通り開設できるであろうか?
文部科学省の蝦名喜之・高等教育企画課長は、大学設置・学校法人審議会が学園の認可申請への判断を保留する方針を固めたことについて「審査中なので答えを差し控える」としているが、判断保留の場合も審査は継続される。
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東京新聞8月11日

過去10年で保留となったケースは110件で、うち89件が最終的に認可されている。
19件は学校側が申請を取り下げ、2件は不認可になった。
加計学園の獣医学部新設に関しては、学園内部からも疑問の声が上がっている。

08年から加計学園系列の千葉科学大で客員教授を務める加藤元氏(獣医学)は、「獣医学部の新設なんてとんでもない話。むしろ今、必要なのは大学の数を減らすことですよ」と指摘する。どういうことなのか。
「現在、獣医学を学べる大学は日本に16校ありますが、世界の最先端をいく米国と比べると、恐ろしいほどレベルが低い。底上げを図るには、今の16校から多くても4校にまで減らし、1校あたりの教授陣のマンパワーと予算を4倍に増やし、獣医師の専門性を高めるカリキュラムを組む必要があります」
・・・・・・
 そもそも加計問題は日本の獣医師不足に端を発したものだったが、加藤氏によると、この前提がおかしいという。
「恒常的に不足しているのは所得が低い地方公務員の獣医師であって、都心の動物病院はいつも飽和状態です。大学を増やし、仮に獣医師を倍増させたところで、地方の待遇改善を図らない限り解決にはつながりません。ところが、安倍政権や加計学園は獣医学部を増やせばいいと考えているようです。私に言わせれば、極めて安易な発想だし、自分たちのエゴばかりで本末転倒です」
加計学園関係者が一刀両断「獣医学部新設など言語道断」

設置審の判断がどうなるかは予断を許さないが、大きな問題が、学園が提示した生命科学分野での実習計画などであるとみられる。
国家戦略特区の基準として、「石破四条件」と言われるものがある。
⇒2017年7月10日 (月):加計疑惑(30)今治獣医学部はライフサイエンスの拠点になる得るか/アベノポリシーの危うさ(251)

特区で選定されるに相応しいレベルであるための体制の準備は、本質的に容易ではないはずなのだ。
京産大が申請を取り下げたのは、30年4月というスケジュールを前提にすると準備の時間が足りないからである。
⇒2017年7月29日 (土):加計疑惑(39)加計と京産大の扱いの差は?/アベノポリシーの危うさ(265)
安倍首相のように、「意欲があれば何校でも」というわけにはいかないのである。
⇒2017年7月16日 (日):加計疑惑(34)大学設置基準は意欲の問題か?/アベノポリシーの危うさ(255)

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2017年8月11日 (金)

加計疑惑(43)官邸での面談には加計幹部も同席/アベノポリシーわの危うさ(274)

今治市の公式文書に残っている官邸への訪問に際し、面談相手と良く呈されている柳瀬経産省審議官は、不自然なまでに「記憶にございません」を繰り返した。
⇒2017年7月29日 (土):加計疑惑(39)加計と京産大の扱いの差は?/アベノポリシーの危うさ(265)

そんな不自然な言い逃れも、わずかな時間稼ぎにしかならないのだ。
「週刊朝日」8月・25日号に、今治市職員だけでなく、加計学園の幹部も同行していた事実が載っている。
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記憶していると答えると、必然的にこの事実が明らかになり、「加計ありき」が明白になってしまうのだ。
この面会は、愛媛県と今治市が獣医学部新設を国家戦略特区に正式に提案する2カ月前にあたるが、その時期に、県、市だけでなく事業主体の加計学園が首相に極めて近い立場の首相秘書官と会っていたのである。
安倍晋三首相の「加計学園の獣医学部計画を知ったのは今年1月20日だった」という国会答弁の真偽にも係わって来る。

加計・森友疑惑では、政府関係者は驚くべき発言をしてきた。
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偽物かな#!、安倍政権が隠蔽した加計学園幹部、首相秘書官、今治市の”謀議” 官邸で特区申請前に

それというのも、安倍首相が「係っていれば首相を辞める」などと大見えを切ったからである。
⇒2017年2月22日 (水):森友疑惑(2)国有地格安売却/アベノポリシーの危うさ(136)
しかし、ウソはどこかで破綻するのである。

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2017年8月10日 (木)

改造内閣(2)辞めれば当事者ではないのか?/アベノポリシーの危うさ(273)

陸自日報隠蔽問題の主役・稲田朋美元防衛相は、野党の閉会中審査への出席要求に応えなかった。
野党は稲田元防衛相の参考人招致が与党の反対によって実現しなかったことに関し、「安倍政権による事実上の説明拒否だ」と一斉に批判を強めた。
さらなる閉会中審査開催に加え、臨時国会の早期召集を引き続き要求し、追及を強める構えだ。

問題の構図は以下のようである。
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東京新聞8月10日

閉会中審査の焦点は、陸自内に残っていた日報を非公表とした経緯に、稲田元防衛相が関与していたかである。

 小野寺五典防衛相は9日、省内で日報問題について「防衛省・自衛隊のガバナンスに対する信頼を損ない、隊員の士気を低下させかねない点で極めて重大で深刻だ」と改めて強調した。
 稲田氏は自身の関与について、今年2月13日と15日に岡部俊哉前陸上幕僚長ら陸自幹部と会議で同席したことは認めているが、陸自の日報について報告を受けたことは否定している。特別防衛監察の結果は「日報データの存在について何らかの発言があった可能性は否定できない」とする。
 稲田氏が非公表方針を決定・了承した事実については「なかった」と明記したが、文民統制の点からも重要な「関与の有無」は解明されていない。
 仮に稲田氏が報告を受けていなければ、非開示決定という重要判断に関与していないことになり、省内を統率できていない証しとなる。報告を受けていれば、隠蔽(いんぺい)を主導したことにもなる。陸自からは稲田氏の関与を指摘する証言が相次ぎ、自衛隊という実力組織に対する文民統制が機能していないことが露呈した。
稲田氏の関与焦点 10日に閉会中審査

誰が見ても心証は限りなく「不透明に近いブラック」である。
稲田氏が自分の言動に「一点の曇りもない」のならば、出席して丁寧な説明を行う絶好のチャンスであるはずだ。
それを積極的に説明するのではなく、逃げているということは、黒の濃度を増すだけである。

自民党の国会対策委員長だった竹下亘総務会長は先月末、「稲田氏は辞任という一番重い責任の取り方をした。辞任した大臣を国会に呼び出すことはやってはいけないと判断した」と拒んだ。
訳の分からない説明だ。
「一番重い責任の取り方をした」というのは、非を認めたという意味か?
「辞任した大臣を国会に呼び出すことはやってはいけない」というのならば、議員や民間人ならば可ということか?

こんな理由で招致を拒否していたら、失われた防衛省・自衛隊のガバナンスに対する信頼を回復はできない。
いくら人心一新と言ってみても、不信感が募るだけである。

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2017年8月 9日 (水)

『母と暮らせば』と『シン・ゴジラ』/戦後史断章(27)

長崎に原爆が投下されて72年。
長崎市の平和公園で拓かれた平和祈念式典で、田上富久・長崎市長は、今年7月の核兵器禁止条約の採択を「被爆者が長年積み重ねてきた努力がようやく形になった瞬間だった」と歓迎する一方、日本政府に対し、「条約の交渉会議にさえ参加しない姿勢を、被爆地は到底理解できない」と批判した。
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長崎市長、平和宣言で政府批判 「姿勢理解できない」

被爆地ならずとも、多くの国民が理解できないだろう。
⇒2017年8月 6日 (日):今こそ、主導して核兵器禁止を前に進めるべきだ/日本の針路(325)

去年の1月に公開された『母と暮らせば』は、井上ひさしさんの『父と暮らせば』を本歌とする山田洋次監督作品である。
長崎の原爆で死んだ息子(二宮和也)の亡霊と対話しながら生きる母(吉永小百合)の物語だ。
私は、現実世界(実数的世界)と幻覚の世界(虚数的世界)の複素的世界観の表現だと理解した。
⇒2016年1月14日 (木):母と暮らせば』と複素的な世界観/戦後史断章(24)

ユヴァリ・ノア・ハラリ『サピエンス全史-文明の構造と人類の幸福』河出書房新社((2016年9月)によるまでもなく、われわれは実の世界ばかりではなく、虚の世界にも生きている。
⇒2017年7月22日 (土):仲間ファーストの共謀3・記録を否定する山本地方創生相/アベノポリシーの危うさ(260)

虚の世界の全般的共有は難しいが、部分的な共有はしている。
特に、政治の世界は、吉本隆明が説いたように、「共同幻想」が本質とも言える。
⇒2012年3月19日 (月):吉本隆明の天皇(制)論/やまとの謎(58)
⇒2012年3月20日 (火):『方法としての吉本隆明』/やまとの謎(59)

であれば、「理念」こそが重要である。
日本国憲法の「戦争放棄」規定を虚構・幻想だと否定する人がいるが、その虚構・幻想を地球上に広め、定着させることが重要なのだ。

日本が世に出した代表的なキャラクター「ゴジラ」は、核エネルギーもしくは核兵器のメタファーと考えられる。
⇒2012年10月21日 (日):ゴジラは何の隠喩なのか?/戦後史断章(2)
それは、第五福竜丸事件に触発されて第一作が「水爆怪獣」として設定されたことからも首肯できる。
⇒2011年5月 9日 (月):誕生の経緯と香山滋/『ゴジラ』の問いかけるもの(1)

そして福島原発事故を体験した。
ヒロシマア、ナガサキに次ぐ被曝体験である。
昨年評判になった『シン・ゴジラ』の解読は多様であるが、福島原発事故との関係を抜きにはできないだろう。
⇒2016年8月 1日 (月):『シン・ゴジラ』と福島原発事故/技術論と文明論(60)

今年は、官僚の行動様式が話題になった。
『シン・ゴジラ』の見どころの1つは、官僚機構と危機対応である。
佐川宣寿、前川喜平、藤原豊、柳瀬唯夫氏らの思考と行動が国民の目に晒された。
主権者であるわれわれの判断が問われと言えよう。

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2017年8月 8日 (火)

民主党政権の「顧客満足度」から学ぶ/戦後史断章(26)

このブログを始めて10年。
入院してネットへ接続できなかった期間を除き、基本的には関心の向くままに書いてきた。
当初の想定とはだいぶ変わってきた。
想定していなかった最大の出来事は、やはり東日本大震災と福島原発事故だと思う。
⇒2011年3月11日 (金):大規模地震で日本国はどうなるのか?

私は2012年8月と2016年8月に東北旅行をしたが、2012年の時は、未だ爪痕が生々しい状態であった。
⇒2012年8月27日 (月):大川小学校の悲劇と避難誘導の難しさ/因果関係論(20)・みちのく探訪(1)
去年は直接の被災地へは出向かなかったが、南相馬市出身の知人の話等を聞くと、東日本大震災、とりわけ原発事故からの復興は未だ途上だと感じざるを得ない。

福島原発事故は廃炉の工程の入り口にも立っていない。
規制委の適合性審査は必要条件に過ぎないのに、合格したら可及的速やかに稼働させるというのは明らかに短絡だろう。
⇒2013年7月 9日 (火):規制委の安全性審査は必要条件ではあるが十分条件ではない/花づな列島復興のためのメモ(243)

政治・社会的には民主党への政権交代(とその失敗)が残念であった。
⇒2009年9月 1日 (火):総選挙における「風」と「空気」
政権交代の総選挙の盛り上がりは、戦後史の特筆すべき事象と言える。
自民党政権へのウンザリ感が、空前の風を呼び起こした。

似たような「風」の威力は、最近の都議選でも見られた。
自民党へのウンザリ感の受け皿となったのは、都民ファーストの会であり、民主党の後継である民進党は、戦う前から敗北していたのだった。
⇒2017年7月 2日 (日):都議選の結果は国政にどう影響するか/日本の針路(323)

民進党(旧民主党)は、なぜ、かくも人心から離れてしまったか?
マーケティングにおいて、顧客満足度は次のように表されるという。
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顧客満足度を高めている企業は「事前期待」を掴んでいる

つまり、期待か大きかった分、結果に落胆したのである。
そのガッカリ感が未だに尾を引いている。

現政権不支持の理由の第1位が「首相が信頼できない」であるにかかわらず、支持の理由は「他の政権よりマシ」である。
地方首長選に事例があるように、与野党対決型の選挙では結構反自民側が勝利しているケースが多い。

民進党は細野豪志氏が離党して新党を目指すという。
若狭勝氏の「日本ファーストの会」との合流・統合も噂されている。
どういう形で反自民党政権の受け皿が現実化するのか想定は難しいが、小異を捨てて大同に付くことが必要である。
小沢一郎氏の唱えている「オリーブの木」方式しかないのかも知れない。
次の総選挙では、野党統一候補を何人立てられるかが鍵になると思う。

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2017年8月 7日 (月)

加計疑惑(42)特区WGのいかがわしさ/アベノポリシーわの危うさ(272)

現役の灘高生と思われるTomoaki Kitaguchi(北口)氏の「加計疑惑は、特区WGが規制緩和の実績作りのために、安倍首相への「忖度」が働くことを見越して、加計学園を押し込んだ」という推測は実に興味深い。
⇒2017年8月 2日 (水):加計疑惑(41)灘高生による特区WG主導説/アベノポリシーわの危うさ(268)

その傍証(?)となる事実が報道されている。
国家戦略特区ワーキンググループ(WG、八田達夫座長)が2015年6月、獣医学部の新設提案について愛媛県と同県今治市からヒアリングした際、内閣府が公表した議事要旨の出席者に記載のない学校法人・加計(かけ)学園の幹部が同席していたことが分かったのだ。

 ヒアリングには、加計学園系列の千葉科学大の吉川泰弘教授(現・加計学園新学部設置準備室長)らが出席した。政府側、提案者側双方の出席者が朝日新聞の取材に認めた。
 内閣府が今年3月になってホームページで公表した7ページの議事要旨には、ヒアリングの出席者として八田座長ら計12人が記載され、提案者側は愛媛県の地域振興局長、今治市の企画課長ら3人。吉川氏らの名前はない。
 複数の出席者によると、吉川氏はヒアリングの場で、既存の大学の獣医学教育では、獣医師の新たなニーズを満たしていないなどと述べたという。政府側の委員からは教員確保の見通しなどの質問があり、吉川氏が答えたという。
 特区WGのヒアリングは非公開で、議事内容はまず、会合後速やかに作られる「議事要旨」で公表される。議事要旨は概要版で、すべてのやりとりが記載されたものではない。議事の詳細が分かる「議事録」の公表はヒアリングから4年後と決められている。
加計学園幹部が特区会議に出席していた→議事要旨には記載なし

WGに民間議員である竹中平蔵氏は、学者としての顔と人材派遣のパソナグループの取締役会長としての顔がある。
つまり、規制緩和の利害関係者のど真ん中にいるのである。
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Wikipedia

WG会議を巡っては、特定企業の利益になるように議論が誘導されているのではないかとの疑惑が、以前からあった。

「昨年7月、神奈川県の特区で規制緩和された家事支援外国人受入事業について、大手人材派遣会社のパソナが事業者として認定された。諮問会議の民間議員の一人である竹中平蔵氏(東洋大教授)はパソナグループの会長。審査する側が仕事を受注したわけだから、審議の公平性が保てない」(野党議員)
 これだけではない。農業分野で特区に指定された兵庫県養父(やぶ)市では、竹中氏が社外取締役を務めるオリックスの子会社「オリックス農業」が参入した。自民党議員からも「学者の肩書を使って特区でビジネスをしている」と批判の声がある。
 農林水産委員会などに所属する宮崎岳志衆院議員(民進党)は、竹中氏が主張する農業分野での外国人労働者の受け入れが、人材派遣業界の利益につながりかねないと指摘する。
民間議員・竹中平蔵氏に“退場勧告” 戦略特区に利益誘導批判

もし、最近首相が多用する「李下に冠を正さず」を履行するならば、こういう人物を排除すべきだろう。
⇒2017年3月14日 (火):森友疑惑(21)加計学園の李下の冠/アベノポリシーの危うさ(156)

2015年4月2日、愛媛県今治市の職員2人が「獣医師養成系大学の設置に関する協議」のために首相官邸を訪問している。
面会したのは 経済産業省出身の柳瀬唯夫首相秘書官(当時)だったというが、当の柳瀬氏は「記憶がない」の一点張りである。

「実は、問題となっている訪問には、複数の加計学園幹部が同行していたのです。加計学園側から今治市に連絡が行き、官邸訪問が実現したようだ。当時はまだ国家戦略特区の枠組みがどうなるかもわからない段階。首相秘書官から『準備、計画はどうなのか』『しっかりやってもらわないと困る』という趣旨の話があった。最初から『加計ありき』を疑わせるような訪問で、萩生田(光一前官房副長官)、柳瀬両氏が国会で頑なに資料、記憶がないと言い張ったのは、詳細を明かせば、それが一目瞭然でバレてしまうからではないのか」
・・・・・・
「面会のため一行が官邸内に入ると、下村博文文部科学相(当時)もやってきて言葉を交わしたそうです。『やあ、加計さん。しっかりやってくれよ』というような話も出たと聞いています」
 当日の首相動静を確認すると、下村氏は15時35分から57分まで、山中伸一文科事務次官(当時)とともに官邸で安倍首相と面会している。一方、今治市の記録では職員らが官邸を訪問したのは15時から16時半までで、確かに官邸内にいた時間は重なる。
 下村氏といえば、後援会の「博友会」が13年と14年に加計学園の山中一郎秘書室長(当時)から計200万円分のパーティー券代を受け取りながら、政治資金収支報告書に記載していなかった疑惑が浮上したのは記憶に新しい(下村氏は違法性を否定)。
速報 安倍政権が隠蔽した加計学園幹部、首相秘書官、今治市の”謀議” 官邸で特区申請前に

政府はこれまで、官邸の入館記録が破棄されたなどとして面会の詳細について答えていないが、都合の悪いことは記録を破棄している。
一点の曇りもないのならば、隠すことはないはずなのに。

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2017年8月 6日 (日)

今こそ、主導して核兵器禁止を前に進めるべきだ/日本の針路(325)

8月は、鎮魂・慰霊の月である。
お盆は、地域によって日時が異なるが、かつて太陰暦の7月15日を中心とした期間に行われたことから、現在は太陽暦の8月15日を中心とした期間に行われることが多い。
奇しくも敗戦の日と重なる。

今日、広島は72回目の原爆の日を迎えた。
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広島原爆忌、5万人の参列者が犠牲者悼む


各紙はこぞって原爆忌に関連させて核兵器禁止条約への日本の不参加を取り上げている。

朝日
 日本は、米国の核で他国の攻撃を抑止する「核の傘」を安全保障の基軸とする。安倍首相は2月のトランプ氏との首脳会談で核の傘の提供を確認した。北朝鮮や中国の脅威を背景に、核への依存を強めている。
 だが核抑止論は、相手との軍拡競争に陥るリスクがある。現に北朝鮮は核・ミサイル開発を米国への対抗策だと主張する。
 核の傘の本質は「有事では核攻撃もありうる」との脅しだ。政府は米国が核を使う可能性を否定しないが、深刻な「苦痛と被害」の再現は確実だ。被爆国として道義的にも許されまい。

読売
 条約は、核兵器の生産、保有、使用、使用の威嚇などを禁止し、122か国が賛同した。「ヒバクシャの容認し難い苦しみと損害に留意する」とも明記している。
 しかし、核兵器を巡る国際政治の現実は厳しい。
 北朝鮮は昨年、2回も核実験を行った。ミサイル実験も繰り返し、7月には大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射を2回強行した。
 こうした核の脅威がある以上、日本は、同盟国である米国の「核の傘」に頼らざるを得ない。核抑止の考え方自体を否定する条約に加入するのは無理がある。
 やはり米国の核抑止力に依存するドイツなど多くの欧州諸国や韓国なども、禁止条約に関して日本と同じ主張を唱えている。

毎日
 そんな折、国連では7月に約120カ国の賛成で核兵器禁止条約が採択されたが、米国など核保有国は反対し、北大西洋条約機構(NATO)の加盟国や米国の「核の傘」の中にいる日本と韓国も反対した。
 核兵器の保有や使用の禁止はもとより、核によって核をけん制する、伝統的な「核抑止論」に批判的な条約だからだろう。北朝鮮の脅威が高まる折、これでは賛成できないと日本政府は判断したようだ。
 だが、日本は昨年5月、オバマ米大統領を広島に迎え、「核兵器のない世界」への誓いを新たにしたはずだ。米国が核軍拡路線のトランプ政権になったとはいえ、「唯一の被爆国」が核廃絶への弾みにブレーキをかけるのは違和感がある。

日本経済新聞
 核廃絶の理念を追求しながら、差し迫る北朝鮮の核の脅威にどう対処するのか。政府は条約不参加の理由や、今後の核軍縮に向け日本が国際社会で果たすべき役割を、もっと丁寧に説明すべきだ。被爆者への責務である。
 核拡散防止条約(NPT)の運用状況を点検するため、加盟国が5年ごとに開く再検討会議が2020年にある。15年は核保有国と非保有国が対立したため、最終文書を採択できずに閉幕した。
 政府は次期会議に向け、保有国、非保有国から有識者16人を招いた「賢人会議」を設置した。双方の溝を埋める新たな取り組みだ。

産経新聞
 そうした勢力は、わが国の安全を高めることに寄与する安保法制に、「戦争法」などと短絡的なレッテルを貼って難じてきた。では北朝鮮の脅威を防ぐために何をするのか。目をつむるのか。
 このような運動が原爆の日を利用することは、犠牲者にもはなはだしく礼を欠く。
 7月には核兵器禁止条約が国連で採択された。しかし、核保有国や「核の傘」のもとにある日本は参加していない。
 核兵器廃絶という理念は理解するとしても、核の脅威が増している現実を、理念ゆえに見失っては、本末転倒でしかない。

東京新聞
 蝉(せみ)しぐれがかき消しそうな八月の記憶と記録。「沈黙の声」は懸命に語っています。今を生きる人たちが、もう二度と、ヒバクシャにならないように。
 「三菱長崎兵器製作所大橋工場」-。長崎大学文教地区キャンパス正門前の木陰にたたずむ銘板です。
 <一九四五年(昭和二十年)八月九日、午前十一時二分、原子爆弾の炸裂(さくれつ)によって、爆心地から北約千三百メートルに位置した二十棟余の大橋工場は、一瞬にして、空洞化したコンクリートの巨塊と飴(あめ)のように折れ曲がった鉄骨の残骸に姿をかえた。原爆当時、大橋工場、茂里町工場など三菱長崎兵器製作所全体の従業員数は女子挺身(ていしん)隊、学徒報国隊を含め、一万七千七百九十三人。そのうち、原爆による死亡者は二千二百七十三人、負傷者は五千六百七十九人->
 当たり前のことですが、そこにはただ淡々と、被爆の記録が刻印されています。

日本が「唯一の被爆国」である限り、やはり被爆(被曝)体験から考えるべきだろう。
核兵器禁止条約に明記されたヒバクシャに、最も近く立つべきである。
安倍首相は、国民を「こんな人たち」と「お友達」に二分し、差別してきた。
余りにも単純化した思考法である。

日本は「核抑止論」の立場に立つべきなのか否か。
積極的肯定が産経、消極的賛成が読売、中立的なのが日経、反対が朝日、毎日である。
東京は、今日の社説だけでは捉えにくいが、社論からすれば反対と言える。
「核抑止論」の立場に立てば、必然的にわが国も核武装すべきということになるだろう。
特に安倍政権は、憲法は核兵器使用を禁止していないという「閣議決定」までしている。
核武装の意思を読み取るべきだろう。

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東京新聞7月11日

「こんな人たち」と「お友達」に二分するような思考法では、平沼騏一郎の轍えお踏むことになろう。
すなわち、「欧洲の天地は複雑怪奇」と言って退陣を余儀なくされた。
安倍首相の退陣が遠からぬことを願う。

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2017年8月 5日 (土)

改造内閣(1)「仕事師内閣」が最初になすべき仕事は?/アベノポリシーの危うさ(271)

改造内閣について、安倍首相は「結果本位の仕事人内閣」と名付け、胸を張っていた。
安倍首相に寿司屋で接待を受ける常連だというスシローこと田崎史郎氏などが追従して「仕事師内閣」などと言っているようだ。
もし「仕事師内閣」だとすれば、最初に取り組むべき「仕事」は何だろうか?

改造前内閣がやらないで宿題として残してあるものということになろう。
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東京新聞7月4日

内閣支持率の急降下の要因が、「モリ・カケ」と「日報」にあることは、首相自身がよく分かっているようである。
しかし、臨時国会開催の要求には応えようとせず、閉会中審査には「国会が決めること」と当事者意識がない。
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東京新聞7月5日

改造が目くらましだったことが明らかだろう。
まあ、自分が被疑者的立場にあるのだから、なるべく触れたくない気持ちは分からないでもないが、そんなことでは支持率回復など望むべくもない。

「日報」問題では、稲田氏は離任式で満面の笑みを浮かべ、ついに謝罪の言葉は発しなかったようだ。
これで追及から解放されるという感覚であろうか、神経を疑う。
不思議なことに、自民党国対は稲田氏の招致に反対である。

 自民党の森山裕国対委員長は4日、民進党の山井和則国対委員長と南スーダン国連平和維持活動(PKO)の日報問題をめぐり国会内で会談し、野党が要求している稲田朋美元防衛相の参考人招致を改めて拒否した。山井氏は「納得できない」と再考を求めた。 与野党で既に合意した10日の衆院安全保障委員会閉会中審査については、稲田氏の出欠にかかわらずに行うと確認した。
 会談後、衆院安保委は理事懇談会を開き、10日午前の審査開催を正式決定。自民、民進両党の参院国対幹部も協議し、10日午後に参院外交防衛委員会で閉会中審査を実施することで一致した。
自民、稲田氏の参考人拒否 隠蔽問題めぐる国会招致

稲田氏の説明と監察結果との齟齬は残ったままである。
⇒2017年7月30日 (日):不適格大臣列伝(20)稲田辞職は問題解決ではない/アベノポリシーの危うさ(266)
稲田隠しを続けるならば、自衛隊への信頼性にも傷がつく。

「モリ・カケ」については、籠池理事長は逮捕拘留されているが、肝心の加計学園からの聴取が行われていない。
⇒2017年7月27日 (木):加計疑惑(38)加計孝太郎氏はなぜ表に出ないのか/アベノポリシーの危うさ(264)

加計疑惑を解明するためには、加計理事長の招致も必須である。
自民党国対が「忖度」して稲田氏や加計氏の招致に応じないなら、支持率は続落するに違いない。

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2017年8月 4日 (金)

森友疑惑(55)籠池前理事長夫妻逮捕の報じられ方/アベノポリシーの危うさ(270)

籠池前理事長夫妻の逮捕について、主要紙はこぞって社説に取り上げている。

朝日:籠池夫妻逮捕 国有地問題を忘れるな
毎日:「森友」前理長夫妻を逮捕 値引きこそ疑惑の核心だ
読売:籠池容疑者逮捕 「教育者」が公金を私したのか
産経:籠池夫妻を逮捕 事実の徹底的な解明図れ
日経:国有地売却を徹底して調べよ
東京:籠池夫妻逮捕 「神風」の真相に迫れ

森友疑惑の切り口は、大きく分ければ次の2点であろう。
1.公金(補助金)不当取得(詐欺)
2.国有地不当取得

逮捕容疑は「1」であるが、本丸は「2」だと考える。
なぜならば、「1」は「私」の問題であるが、「2」は「公」の問題だからだ。
⇒2017年7月31日 (月):森友疑惑(53)籠池前理事長夫妻逮捕より先に・・・/アベノポリシーの危うさ(267)
⇒2017年8月 3日 (木):森友疑惑(54)籠池前理事長逮捕前の心境/アベノポリシーの危うさ(268)

各紙共に、逮捕容疑を前提にしてはいるが、それに全面的にフィーチャーしているのが読売新聞である。
朝日と産経は、全体像を捉えるべきだという論調で、似ていると言えば似ている。
毎日、日経、東京の3紙は、国有地値引き問題に力点を置いている。
すなわち、読売新聞が特異なスタンスということになるが、安倍首相は改憲問題について、「読売新聞を熟読して欲しい」と国会の場で語った。

国有地売却問題については、安倍昭恵夫人の関与は疑い得ない。
⇒2017年3月24日 (金):森友疑惑(31)「藪の中」は解明されたか?/アベノポリシーの危うさ(166)
⇒2017年3月25日 (土):森友疑惑(32)焦点となった昭惠夫人/アベノポリシーの危うさ(167)
⇒2017年3月26日 (日):森友疑惑(33)Faxの林査恵子氏は南アメリカへ?/アベノポリシーの危うさ(168)

当の昭恵夫人は、「100万円の寄付問題」についてのみ、Facebookで弁解しているが、その他の点については一切「黙秘」したままだ。
やましいことがないのならならば、国会なりで説明すればいい。
首相の「国民が理解するような丁寧な説明」を実現するもっとも明快な方法であるはずだ。
記者会見で頭を垂れてみても何の意味もない。

さすがに「PRESIDENT Online・8月3日配信」は、『なぜ"籠池逮捕"で読売だけ核心を隠すのか』と、読売新聞の特異性を論じている。

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毎日や朝日の社説と違い、読売の社説は「『教育者』が公金を私したのか」という的外れな見出しを掲げ、「多額の公金を食い物にした、との容疑である。事実であるなら、教育者として言語道断だ」と主張する。ここまできて国民のだれが籠池夫妻を「教育者」などと思うだろうか。
見当はずれもいいところだ。やはり安倍政権擁護が前提になってしまっているのだろうか。事件をすべて籠池夫妻の責任にして森友学園問題にふたをしたいのか。言い過ぎかもしれないが、今回の読売社説を読み解いていくと、そこまで勘ぐってしまう。
・・・・・・
しかも最後に「売却の過程で政治的な関与があったなどと、籠池容疑者は真偽不明の発言を繰り返してきた。口封じのための国策捜査だとも主張している。的外れも甚だしい」とまで書いている。的外れなのは読売社説のほうではないか。

読売新聞は優れた書き手を輩出してきた。
大岡信、菊村到、三好徹、佐野洋、黒田清、長谷川櫂・・・・・・
私がとっさに思い浮かべるだけでも、上記のような人たちがいる。
現役記者の中にもいるだろう。
もし、読売新聞が今のようなスタンスを続けるならば、早晩光輝ある歴史が終わるのではなかろうか。

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2017年8月 3日 (木)

森友疑惑(54)籠池前理事長逮捕前の心境/アベノポリシーの危うさ(269)

改造内閣の人事が報道されている。
支持率の低下、求心力の低下を食い止めようと必死であるが、「骨格は維持する。だけど人心一新は図りたい」というアクロバティックな思惑が可能だろうか?

一方、八方塞がりのような今の状況をもたらした最初の要因である森友疑惑は、籠池理事長夫妻の逮捕という1つの節目を越えた。
⇒2017年7月31日 (月):森友疑惑(53)籠池前理事長夫妻逮捕より先に・・・/アベノポリシーの危うさ(267)
逮捕容疑は、想定されていた「補助金適正化法違反」ではなく、「詐欺」である。
よりハードルの高い詐欺」に切り換えたのは、逮捕直前だという。

私は菓舗池氏の行ってきた教育には反対である。
⇒2017年2月23日 (木):森友疑惑(3)小学校用地/アベノポリシーの危うさ(137)
⇒2017年2月24日 (金):森友疑惑(4)系列幼稚園と日本会議/アベノポリシーの危うさ(138)

しかし、森友疑惑の本丸は、国有地の値引き問題であることを忘れてはならないだろう。
⇒2017年2月21日 (火):森友学園スキャンダル/アベノポリシーの危うさ(135)
値引きを決めるのは籠池氏側ではないので(要請はしたであろうが)、誰が、いつ、どういう根拠で決めたのか、いたずらに「忖度」することなく、「粛々」と進めて頂きたい。
でないと、司法の信頼性が失われるであろう。

籠池氏と似た問題を抱える加計疑惑の主・加計孝太郎氏との違いには憮然とせざるを得ない。
⇒2017年7月27日 (木):加計疑惑(38)加計孝太郎氏はなぜ表に出ないのか/アベノポリシーの危うさ(264)
逮捕された籠池夫妻は、拘置所で面会すらも禁止されているという。
警察側は拘置所での接見(面会)や手紙を禁止し、親族すらも会うことが出来なかったとの情報があるが、被疑者の人権を不当に制限すべきではないだろう。

逮捕が免れないということになって、籠池氏はメディアのインタビューを積極的に受けたようである。
例えば「新潮社フォーサイト」のサイトに、『籠池「逮捕直前」最後の咆哮:安倍政権「凋落」ならば本望だ! - 伊藤博敏』という記事が載っている。

 私が、籠池容疑者をインタビューしたのは2度。最初は、3月23日の国会証人喚問で、昭恵夫人との関係と100万円授受について気後れすることもなく明確に語り、説明能力の高さを見せつけた直後だった。
 この時も2時間半に及ぶロングインタビューだったが、2月9日の事件発覚から2カ月も立っておらず、しかも財務官僚の「10日間ほど身を隠せ」という指示に従ってホテルを転々とし、その後、顧問弁護士の「(瑞穂の國記念小學院の)認可申請を下ろした方がいい」という言葉通りにしたら、ますます窮地に立つなど、いろんな勢力に翻弄され、誰が敵で誰が味方か、何を行うのが正しいことかが明確には見えていない状態だった。
 しかし、それから3カ月――。「濁流のなかの当事者だから、すべてが見えてきた」(籠池容疑者)という。
「神風が吹いた、と言って過言ではないほど小学校の認可と建設は順調に進んだ。ところが、それに関与した人たちが、今年の2月下旬以降、掌返しで離反していき、その結果、中断に追い込まれてしまった。誰が、そう仕向けたのか。財務省理財局や大阪府の松井一郎知事を動かせるだけの力を持っているのは、安倍さんしかいない」(同)
・・・・・・
 だが、「父の教え」に始まる精神史のなかで「神国日本」に行き着き、「教育勅語」を精神的支柱とする教育を行っていた籠池容疑者が、日本会議を活動拠点にするのは自然なことだった。同時に、期待されて船出した第1次安倍内閣の改憲、教育改革、国土と家族と自然を守る保守主義に賛同した。
 それが安倍昭恵夫人への接触につながり、来るもの拒まず、スピリチュアルな精神で人とのつながりを持とうとする昭恵夫人は、籠池夫妻の教育方針に感銘する。それは保守性や思想性ではなく、園児が「教育勅語」を暗唱、論語を素読する“可愛らしさ”と、そうさせた夫妻への素朴な共感だった。
 この時点で、籠池容疑者に「安倍夫妻利用」の思惑がなかったと言えば嘘になる。実際、当初予定していた「安倍晋三記念小学校」というネーミングと、その名で寄付を集めようとした行為に、相当の思惑が窺える。また、昭恵夫人が「瑞穂の國記念小學院」の名誉校長に就任。その後、「夫人付き」の経産官僚が籠池容疑者の要望を取り次いだことで、国有地の賃料などで「満額回答」を引き出しており、籠池容疑者にとって、昭恵夫人との人間関係が「神風」となったことも紛れもない事実だ。

確かに、「神風」が吹いたことに、昭恵夫人の存在があったことは否定できないであろう。
それを最初の段階で、「私や妻が関係していたということになれば、首相も国会議員も辞める」と言ってしまったのだ。
⇒2017年2月22日 (水):森友疑惑(2)国有地格安売却/アベノポリシーの危うさ(136)

昭恵夫人が名誉校長でなければ、「神風」もそれほど都合良くは吹かなかったであろう。
⇒2017年2月25日 (土):森友疑惑(5)特異な法人への破格の優遇/アベノポリシーの危うさ(139)
問題が大きくなりそうな様子に慌てて辞任した。
⇒2017年2月26日 (日):森友疑惑(6)名誉校長・安倍昭惠総理夫人/アベノポリシーの危うさ(140)

しかし、既にやってしまったことは消しゴムで消すようには消せないのだ。
Photo
削除された昭恵夫人の「ごあいさつ」

特捜部には、「神風」の実相を明らかにすることを期待するが、果たしてどこまでできるだろうか。

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2017年8月 2日 (水)

加計疑惑(41)灘高生による特区WG主導説/アベノポリシーわの危うさ(268)

奥深い加計疑惑の闇にどうアプローチするか?
この闇が日本という国に重要な影響を及ぼすであろうことは間違いない。
次から次へと関係者が登場しているが、ご本尊の加計孝太郎氏は身を潜めたままである。
⇒2017年7月27日 (木):加計疑惑(38)加計孝太郎氏はなぜ表に出ないのか/アベノポリシーの危うさ(264)

まあ、安倍首相自らせっせと墓穴を掘っており、時間が経過すれば明らかになることは多いであろう。
しかし、仮説を立ててリサーチすることは常道である。
私は、安倍首相が「腹心の友」に便宜を供与するため、自身が議長である「国家戦略特区」という政策フレームを使ったのではないかと考えた。
もちろん、首相が直接実行するわけではなく、和泉洋人補佐官や萩生田副官房長官がキーパーソンだという考えに与していた。
⇒2017年7月15日 (土):加計疑惑(33)戦略特区という利権/アベノポリシーの危うさ(254)
⇒2017年7月11日 (火):加計疑惑(31)忖度が首相を追い込む皮肉/アベノポリシーの危うさ(252)
⇒2017年7月 9日 (日):加計疑惑(29)前川招致の論点と問題/アベノポリシーの危うさ(250)
⇒2017年6月22日 (木):加計疑惑(24)「主犯」は萩生田副長官か?/アベノポリシーの危うさ(240)

ところがまったく別の視点が提示された。
国家戦略特区ワーキンググループ(以下、特区WG)主導という視点だ。
もちろん、前川前次官を激しく攻撃する特区WGの議論が怪しいとは思っていた。
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⇒2017年6月29日 (木):加計疑惑(27)論点をずらす特区諮問会議の学者/アベノポリシーの危うさ(246)

Tomoaki Kitaguchi(北口)氏による【 加計問題の真相?(フィクションとしてお楽しみください)】で示されているもので、郷原信郎氏のブログに紹介されている。

現在の疑惑の中心は、安倍首相・萩生田氏を始めとする官邸関係者だが、獣医学部新設の実働部隊は、特区WG・内閣府。実働部隊が共有する行動理念は「何がなんでも、獣医学部を新設し、岩盤規制を打破する」というもの。つまり、当初は「加計ありき」というより「規制緩和ありき」だった。悩みの種は「どうすれば、文科省と獣医師会をねじ伏せられるか」ということ。彼らにとっては、岩盤規制にドリルで穴を開けることさえできれば、特区の指定先はどこだって良かった。
獣医学部新設は、特区WGの「実績づくり」のために、致命的に重要だ。「日本の検疫行政の未来」や「石破四条件との適合性」といった観点から、慎重に政策の妥当性を検討する暇などない。最速で規制緩和をしなければならない。しかし、文科省と獣医師会の抵抗は、想定以上に強力だ。「特区が実現しさえすれば、メリットのエビデンスは腐るほど付いてくるはず…。そうなれば、文科省や獣医師会はぐうの音も出なくなるのに…」。市場原理を妄信する特区WGは、皮算用を始めていた。
16年3月時点で公募に応じたのは、加計学園と京都産業大学の2校。「平成30年開学」というゴールから逆算して考えると、京都産業大学では間に合わない。長年申請を続けてきた(程度が低かったのか、15回却下されているが)加計学園の方が、準備も進んでいるはずだ。
8月に地方創生相が、石破氏から山本氏に代わった。これを「官邸からのメッセージ」と捉えた特区WGは、ついに加計学園に白羽の矢を立てる。「規制緩和ありき」が「加計ありき」に変わった瞬間だった。「加計学園で、ほぼ確定」と内定を伝え、開学への準備を急いでもらう。一般公開されていない裏情報を渡したり、申請書の内容にアドバイスしたりして、認可のハードルを下げるといった工作もした。
文科省・獣医師会の同意を未だ取り付けられていない中で、「見切り発車」を一私大に求めることには、懸念もあった。交渉が上手くいかなかった場合、莫大な損失を与えながらも、政府として責任を取ることは不可能、という事態に陥りかねないのだ。しかし、特区WG内部では、「加計学園なら、大丈夫だろう」という打算があった。加計学園の、圧倒的な「政治的コネクション」に賭けたのだ。
中略
規制緩和バンザイ! 自由競争バンザイ! 安倍首相バンザイ!
以下略

郷原氏は、Tomoaki Kitaguchi(北口)氏は郷原氏のブログ記事【加計学園問題のあらゆる論点を徹底検証する ~安倍政権側の“自滅”と野党側の“無策”が招いた「二極化」】を参考にしてくれたものだと思うが、特区WGを「中心軸」としてとらえるという「視点」は、私にはなかった。そして、後者の「推理」は、私には考えも及ばなかった奇想天外な「ストーリー」であるが、そこには、かなりのリアリティがある。
この「特区WG真犯人ストーリー」のリアリティの最大の根拠となるのが、特区WGの民間議員らが、今回の加計学園問題に関して、異常なまでに「主体的かつ積極的に」動いていることである。

確かに説得性があり、矛盾はないように思われる。
傍証的には以下のようなこともある。

特区担当の山本幸三大臣は、特区WGで獣医学部新設に関する議論が続いていた2016年11月には、大臣自らが獣医師会に乗り込んで、獣医学部新設を認めるように説得したり、国会答弁では「挙証責任」「議論終了」論をそのまま「受け売り」するなど、その答弁は、安倍首相や松野博一文部科学大臣の答弁などからも遊離し(7月24日の参院予算委員会閉会中審査での日本維新の会浅田均議員の質問等に対する答弁)、「閣内不一致」ともいえる状況になっている。
しかも、24日の国会での山本氏の「加計学園と同様に獣医学部新設を検討していた京都産業大とも連絡をとっていた」との答弁について、内閣府は、26日に、「大臣が答えた中身について確認できていない」とする見解を明らかにしており、山本氏の対応は、内閣府の担当部署とも乖離しているように思える。
これらから見えてくるのは、加計学園問題をめぐって、野党・マスコミの追及に対抗する側が、安倍首相を中心とする内閣・政府の組織と、特区WGの民間議員達と彼らに担がれた山本担当大臣に「二分化」しているという異常な構図なのである。

要するに、特区WGの民間議員達は、「忖度」の構図を巧みに操って、「獣医学部新設」で岩盤規制を打破するという彼らの目標を実現したのだ。
Tomoaki Kitaguchi(北口)氏によるストーリーは、国家戦略特区で加計学園の獣医学部の新設を認める決定を行ったことが、行政を捻じ曲げる不当ものであることに何ら変わりはないことに留意すべきであろう。
しかも、それが安倍首相の意向に沿うものであることは、首相が白紙に戻すことを否定していることからも明らかである。

これを書いた北口氏は、「フェイスブックに掲げられている「ディベート甲子園」、「地学五輪」、「数学理科甲子園」等での輝かしい成績から、“灘高校3年在学中の高校生”と特定できる」という。
見事な若き英才と言うべきであろう。

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2017年8月 1日 (火)

加計疑惑(40)自縛して自爆か/アベノポリシーの危うさ(267)

安倍首相が、加計学園の特区への申請を知った時期について、「1月20日に申請が正式決定した時点」と明言したことには驚いた。
安倍信者以外、誰が信じると言うのだろうか?
もちろん、一般論として言えば、「知った」というのは個人的な認識の問題であるから、本人がそう言い張れば、なかなか否定は難しい。
しかし、この答弁は、幼児の弁解のようであり、歴史に残るものとなろう。

「腹心の友」である加計孝太郎氏と、頻繁に、ゴルフ、会食などを繰り返していたことは、首相自身が認めている。
そこで考えられるのは、利害関係者との接触について規定した大臣規範に抵触することを指摘されるのを恐れたのであろう。
1707313
東京新聞7月31日

菅義偉官房長官は例によって、安倍首相が獣医学部新設を目指す学校法人「加計学園」の加計孝太郎理事長と会食を繰り返したのは、関係業者からの供応接待を禁じた大臣規範に抵触しないとの認識を示した。
菅氏の認識を披瀝されてもなあ。
なんの論理や根拠を示さずに断定するのが安倍政権の常套的手法なのだ。

大臣規範というよりも、国家戦略議長と事業者の関係として捉えるべきだろう。
昨年10月以降、獣医学部新設を認める条件として、「広域的に獣医学部が存在しない」「平成30年4月設置」などが設定された。
この条件は、実質的に「京産大外し」として機能した。
⇒2017年5月28日 (日):加計疑惑(7)京産大排除の論理/アベノポリシーの危うさ(218)

これらの条件付加は、「加計ありき」であったことを疑わせるに十分であると言えよう。
また、昨年9月9日の国家戦略特区諮問会議の時点で、安倍首相が、加計学園の特区申請を認識していたとすると、そこでの議長の安倍首相の指示が、加計学園の獣医学部新設に便宜を図ったものであることを、事実上認めざるを得なくなる。
であればこそ、条件付加と安倍首相とを無関係にしたいのだろう。

9月9日の国家戦略特区諮問会議では、八田達夫氏の「獣医学部の新設は、人畜共通の病気が問題になっていることから見て極めて重要ですが、岩盤が立ちはだかっています」
と発言したことを受けて、安倍首相は「本日提案いただいた「残された岩盤規制」や、特区での成果の「全国展開」についても、実現に向けた検討を、これまで以上に加速的・集中的にお願いしたい」と発言している。
この時点で、安倍首相が、加計学園が特区申請をしていることを認識していたとすれば、その指示によって加計学園に便宜を図ったことが否定できなくなる。

山本地方創生相は、「広域的に獣医学部が存在しない」「平成30年4月設置」などの条件について、「安倍首相の指示・意向は一切なく、自分が決定した」と言っている。
しかし、9月16日のWGの冒頭で、藤原豊内閣府地方創生推進事務局審議官が、「総理からもそういった提案課題について検討を深めようというお話もいただいております」と発言しており、安倍首相の指示について、「加計学園が申請していたことを認識していたかどうか」が重要になるのだ。

加計学園が今治市で獣医学部を新設しようとしていることを認識していたか否か?
安倍首相は敢えて「1月20日」というムリな設定をする賭けに出た。
しかし「加計学園の特区申請は今年1月20日に知った」という話を維持できるとは考え難い。
このことが自縛になり、遠くない先に自爆することになるだろう。

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