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2017年7月 3日 (月)

原発事故刑事裁判と大津波の予見可能性/原発事故の真相(157)

東京電力福島第1原発事故の刑事責任に対する強制起訴裁判が東京地裁で始まった。
大きな争点は、大津波の予見可能性である。
福知山線事故でも、脱線事故の予見可能性が争われたが、7年余りを要して歴代3社長の無罪が確定した。

 原発事故を巡る捜査では、政府の地震調査研究推進本部が2002年に「三陸沖から房総沖にかけて巨大津波が発生しうる」と指摘した「長期評価」が、東電に津波対策を義務付けるほど信頼できるものだったかがポイントだった。東京地検は13年9月、「学術的に成熟されたものではない」とし、旧経営陣を不起訴とした。これに対し、初公判で指定弁護士側は、東電が実際に長期評価を基に対策を取ろうと、担当者が奔走していた構図を描こうとした。
 08年3月。東電子会社は長期評価を基に、第1原発に最大15・7メートルの津波が来るとの試算を本社に報告。津波対策を担う原子力設備管理部の担当者がすぐに浸水を防ぐための防潮堤の高さについて子会社に検討を指示したところ、敷地の高さ(海面から10メートル)に加えて10メートルの高さの防潮堤が必要との報告を得た。
 この想定は、同部部長だった吉田昌郎(まさお)・元福島第1原発所長(故人)と、担当幹部だった元副社長の武藤栄被告(67)に上げられたが、武藤元副社長は土木学会に想定津波に関する再検討を依頼し、東電としての対策は「先送り」された。
 さらに指定弁護士はこの方針変更が社内でくすぶり続けた点も指摘。08年9月の社内会議では「津波対策は不可避」とのメモが配られ、09年2月には、元会長の勝俣恒久被告(77)や元副社長の武黒一郎被告(71)、武藤元副社長も参加する幹部打ち合わせで、吉田氏が「もっと大きな14メートル程度の津波が来る可能性があるという人もいる」と発言したことも明かした。
強制起訴初公判 津波対策「先送り」争点 東電旧経営陣は否定

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東京新聞7月1日

原発事故を描いた小説に、若杉冽『東京ブラックアウト』講談社(2014年12月)がある。
フィクションではあるが、1つのシミュレーションとしても読める。
この小説では、緊急に運転停止した原発が、非常用電源を失って冷却を継続できなくなり崩壊熱で炉心がメルトダウンする。
⇒2016年8月29日 (月):『東京ブラックアウト』と国会質疑/原発事故の真相(147)

ある部分、福島第1原発事故と共通する。
第1次安倍政権当時の第165回国会において、吉井英勝衆議院議員が「停止した後の原発では崩壊熱を除去出来なかったら、核燃料棒は焼損(バーン・アウト)するのではないのか。その場合の原発事故がどのような規模の事故になるのかについて、どういう評価を行っているか。」と質問した。
これに対し、安倍首相(当時)は、「お尋ねの評価は行っておらず、原子炉の冷却ができない事態が生じないように安全の確保に万全を期しているところである。」と答弁している。

そして、原子力政策の推進者と現在の政権の中核がオーバーラップしているのだ。
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「週刊エコノミスト」6月20日号

脱原発が世界の趨勢になろうとしているのに、原発利権に執着するのは亡国的である。

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