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2017年5月30日 (火)

加計疑惑(9)国家の悪事の告発とプライバシー/アベノポリシーの危うさ(220)

加計疑惑は、もはや加計事件と呼ぶべきだろう。
事情を知る事務方のトップだった人間が証言しているのだ。
これに対し、官邸側は、個人的なスキャンダル情報を流して、証言の信憑性を失墜させようとしている。
沖縄返還に関する密約を暴いた西山事件を連想した人も多いのではないか。

事件の概要をWikipediaは次のように記す。

第3次佐藤内閣当時、リチャード・ニクソンアメリカ合衆国大統領との沖縄返還協定に際し、公式発表では、アメリカ合衆国連邦政府が支払うことになっていた、地権者に対する土地原状回復費400万米ドルを、実際には日本国政府が肩代わりして、アメリカ合衆国に支払うという密約をしているとの情報を掴み、毎日新聞社政治部記者の西山太吉が、日本社会党議員に情報を漏洩した。
日本国政府は密約を否定。東京地方検察庁特別捜査部は、西山が情報目当てに既婚の外務省事務官に近づき、酒を飲ませ泥酔させた上で性交渉を結んだとして、情報源の事務官を国家公務員法(機密漏洩の罪)、西山を国家公務員法(教唆の罪)で逮捕した。これにより、報道の自由を盾に、取材活動の正当性を主張していた毎日新聞は、かえって世論から一斉に倫理的非難を浴びることになった。
裁判においても、起訴理由は「国家機密の漏洩行為」であるため、審理は当然にその手段である機密資料の入手方法に終始し、密約の真相究明は東京地方検察庁側からは行われなかった。西山が逮捕され、社会的に注目される中、密約自体の追及は完全に色褪せてしまった。また、取材で得た情報を自社の報道媒体で明白に報道する前に、一国会議員に流して国会における政府追及材料とさせたり、情報源の秘匿が不完全だったため、情報提供者の逮捕を招いたことも、ジャーナリズムの上で問題となった。

西山事件は、国家の悪事を暴くことのリスクを示した記念碑的事件であった。
2014年7月 8日 (火):沖縄密約裁判と秘密保護法/日本の針路(6)
国家に対して反逆する者には、プライバシーを侵害してでも貶めることを、余りにも分かりやすく示してくれたのだ。

前川氏に対する菅官房長官の人格攻撃を見ていると、既視感を覚える。
日刊ゲンダイ5月30日号は、前川氏の口封じ逮捕の可能性に言及している。
1705302_2

まさかとは思うが、念のため引用しておく。

時あたかも共謀罪の審理について、国連特別報告者から安倍首相あてにプライバシーについての懸念を指摘されている折である。
⇒2017年5月23日 (火):共謀罪に対する国際批判/アベノポリシーの危うさ(214)
そんな時に、個人的なスキャンダル情報を振りかざすのだから、冷静に考えればそれだけなり振りなど構っていられない状況にあるということだろう。
共謀罪の適否が争われている時に、そのリスクを実証させるかのような事例が生まれる。
偶然というよりも、必然と言うべきであろう。

安倍首相が他人を非難する時に用いる常套句が「印象操作」という言葉である。
しかし、プライバシーのリークという典型的な印象操作を行っているのは、他ならぬ政権側である。
沖縄密約の時の佐藤栄作元首相は、安倍首相の祖父・岸信介の弟である。
まさに日本を危うくするDNAではなかろうか。
⇒2013年12月 6日 (金):安全保障の名目で国を危うくする安倍一族/戦後史断章(17)

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