アホな内閣(15)恣意的な閣議決定の乱用/アベノポリシーの危うさ(213)
最近の閣議決定はどうかしている。
5月12日には、「そもそも」には「どだい」という意味があるなどの答弁書が閣議決定された。
政府が言葉の意味を閣議決定?
まるでG・オーウエルの『1984年』みたいではないか。
⇒2010年8月14日 (土):ジョージ・オーウェルの『1984年』-個人情報の監視と保護
『1984年』の中に、ニュースピーク(新語法)の話が出てくる。
独裁政権が支配を盤石なものにするため、国民の語彙や思考を制限して新しい言語を作り、国民に強制するのだ。
安倍政権も新語法を意図しているのだろうか?
経緯を振り返ってみよう。
「そもそも」の発端は、安倍首相の答弁である。
大丈夫?首相の言葉 「そもそも=基本的に」辞書にな し
安倍首相は、「そもそも」という語を辞書で調べてみたところ、と自信たっぷりに前置きし、「初めから」以外に「基本的に」という意味があると答弁した。
この答弁に対し、さまざまな辞書を調べてみたが、そういう解説をしている辞書は見当たらないという疑問が上がった。
普段から辞書と付き合う校閲記者の私は30種類以上の辞書に当たったが、「基本的に」 とするものは見当たらなかった。「新明解国語辞典」などを担当する三省堂の吉村三恵子さ んも「そんな意味はないと思う」と首をひねる。
ちなみに「そもそも」の意味は、(1)説き起こす時に使う語(2)元来、最初から、物 事の初め・起こり(岩波国語辞典7新版)。(1)の用法もあり、(2)の「最初から」と 読み替える山尾氏の指摘は揚げ足取りの印象も受ける。とはいえ「基本的に、という意味も ある」とする首相答弁は解せない。本当に辞書を引いたのか。「基本的に」を「そもそも」 の類語とするものを見たのかもしれないが、類語は「意味」ではない。
大丈夫?答弁の解釈、辞書になく…言葉の粗雑さ露呈
安倍首相の国語力のお粗末さには定評(?)がある。
⇒2017年5月11日 (木):アホな内閣(11)安倍首相の国語力/アベノポリシーの危うさ(205)
そこで、参照した時点を尋ねる質問主意書が出された。
質問主意書と答弁書の要点は以下のようである。
「そもそも」は基本的に 文法的にどだい無理
「そもそも」の大辞林の説明には、「(物事の)最初。起こり。どだい」という説明があるが、だからと言って、「そもそも=基本的に」にはならない。
大辞林の説明は名詞である。
副詞的に用いる場合は、否定的に使われる。
「そもそも」は基本的に 文法的にどだい無理
首相の発言をフォローするための閣議決定は、森友学園問題でも行われた。
安倍昭恵夫人が「公人か私人か」が問題にされた時「首相夫人は私人である」とする答弁書が閣議決定されたのは記憶に新しい。
「忖度」の有無は別としても、公務員の秘書が5人もいることが判明し、それでも私人なのか、と疑問が増幅した。
首相発言の正当化のために閣議決定をするとは、閣議の私物化と言われても仕方がないだろう。
閣議決定は憲法や国会決議と矛盾しても罰則がないのだ。
教育勅語の容認、銃剣道の導入、ヒトラーの『わが闘争』の容認等奇妙な閣議決定が続いている。
こんな内閣は、日本を不幸にするだけである。
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コメント
久しぶりに読みに来ましたが、随分と質が落ちてしまいましたね。以前は邪馬台国などの研究成果を丁寧に語っていらしたのに…アホな内閣ですか。読むに忍びない、稚拙な日本語ばかりが並ぶブログになってしまいましたね。思想は自由ですが、それがこのブロガーの本性だったとは残念でなりません。もう二度と、このブログを読まないことにします。
投稿: | 2017年5月25日 (木) 12時51分