アホな内閣(13)読売新聞を熟読せよ、だと/アベノポリシーの危うさ(207)
驚くべき答弁である。
安倍晋三首相が8日の衆院予算委員会で、民進党の長妻議員に憲法改正への見解をただされ、「自民党総裁としての考え方は詳しく読売新聞に書いているので、熟読していただければいい」と答えた。
民進党の長妻昭氏から発言の真意を問われた首相は、「(国会の)憲法審査会において議論が佳境に入っていく時を迎えている」と主張。一方で「憲法を議論する場は本来は憲法審査会であろうと思う。この場(予算委)に立っているのは自民党総裁としてではない。内閣総理大臣としての責任における答弁に限定させていただき、どうぞ憲法審査会で活発な議論をされたらどうか」と述べ、具体的な説明はしなかった。
さらに長妻氏から、自民党が12年に発表した改憲草案と自身の発言の整合性を問われると、「自民党総裁としての考え方は相当詳しく(インタビューに応じた)読売新聞に書いてある。ぜひそれを熟読して頂いてもいい」と発言。長妻氏が「新聞を読めなんていう、そんな馬鹿なことはない」と反発すると、首相は「ここで、党総裁としての考えを述べるべきではないというのが私の考え方だ。
安倍首相、改憲発言の整合性「新聞読んで」 衆院予算委
首相としての立場と自民党総裁としての立場の使い分けである。
これを元財務官僚の高橋洋一氏のように、「弁えた答弁」と賛同する意見がある。
なぜ、安倍首相が総理大臣としての立場と自民党総裁の立場を使い分ける必要があるかというと、憲法第99条の関係があるからだ。同条は「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」と書かれている。
安倍首相「『読売』熟読を」の深層 国会で説明しなかった理由
高橋氏は、「知らないだろうから、教えるが」と言った調子であるが、憲法第99条の規定は周知のことである。
深層でも何でもない。
別人格ではないのだから、立場を使い分けるなんてことはフィクションであり、形式論理に淫した発想であると言えよう。
⇒2017年5月 6日 (土):アホな内閣(9)憲法遵守義務違反の首相/アベノポリシーの危うさ(200)
高橋氏や首相のように、ある時は自民党総裁、ある時は首相、またある時は一私人・・・というように、怪人二十面相か多羅尾伴内のように都合よく考えているのだろうが、ムリと言うものである。
使い分けたとしても、首相は完全な自民党総裁の傀儡であるというに過ぎない。
読売新聞の努力のように評価する人もいるが、日頃から読売の論調を見れば、首相の代弁機関に近いことが分かる。
ジャーナリズムに必要なのことは、権力と間を取って、批判的に伝えることであろう。
読売新聞の勲章ではなく、死亡証明書に過ぎない。
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