森友疑惑(52)教育勅語をめぐって/アベノポリシーの危うさ(203)
教育勅語が堂々と復権しつつある。
森友学園塚本幼稚園は、園児が暗誦することで有名だった。
⇒2017年2月24日 (金):森友疑惑(4)系列幼稚園と日本会議/アベノポリシーの危うさ(138)
その幼稚園を、安倍昭恵夫人は絶賛し、教育を継続させるための系列の新設小学校の名誉校長に就任していたのである。
⇒2017年2月26日 (日):森友疑惑(6)名誉校長・安倍昭惠総理夫人/アベノポリシーの危うさ(140)
稲田防衛相は、3月11日の閣議のあとの記者会見で、戦前などに使われていた教育勅語について、親孝行など、現代でも通用するような価値観があるとしたうえで、唯一の教育方針として取り扱うことは不適切だという認識を示した。
稲田氏の言うのは、、親孝行とか、夫婦仲よくとか、友達との信頼関係とかであるが、それは教育勅語を持ち出すまでもなく当たり前のことである。
部分的に良いことが書いてあるといって、評価するのは間違いである。
要素の意味は、文脈によって定まるのであって、部分の総和が全体にはならないことは常識である。
しかし、安倍内閣は、 3月31日、教育勅語について、「憲法や教育基本法等に反しないような形で教材として用いることまでは否定されることではない」との答弁書を閣議決定した。
このことについて、日本経済新聞は、4月9日の社説で以下のように書いた。
教育勅語は1890年、大日本帝国憲法が施行された年に発布された。親孝行など臣民が守るべき徳目を列挙する一方、「万一危急の大事が起こったならば、大義に基づいて勇気をふるい一身をささげて皇室国家のためにつくせ」(旧文部省の通釈)と説く。
個々の徳目の当否以前に、天皇が臣民に説諭する「語りの構造」自体が、国民主権を原理とする現憲法になじまないことは明白だ。1948年に衆参両院が、排除や失効を決議したゆえんである。
その意味では、学校現場を預かる松野博一文部科学相が、「道徳を教えるために教育勅語のこの部分を使ってはいけないと私が申し上げるべきではない」との認識を示したことには違和感を覚える。
勅語は部分ではなく全体の効力を失ったと解すべきだ。道徳の教典として復活させてはいけない。
教育勅語は道徳教材に使えぬ
日経新聞の政治的スタンスは保守と言うべきだろうが、その日経にしてこう言うのである。
つまり余りに非常識な閣議決定である。
勅語とは「天皇が国民に対して発する意思表示の言葉」である。
国民主権との関係で、どう教材として使うのだろうか?
教育勅語(教育ニ関スル勅語)は、山縣内閣の下で起草され、明治天皇の名によって山縣有朋内閣総理大臣と芳川顕正文部大臣に下された教育に関する勅語で、以後の大日本帝国において、政府の教育方針を示す文書となったものである。
教育勅語暗唱のきっかけは?
教育勅語の精神(キモ)は、「一旦緩急アレハ義勇公ニ奉シ以テ天壌無窮ノ皇運ヲ扶翼スヘシ」の部分にあることも、普通の読解力があれば分かる。
三原じゅん子というオッチョコチョイが参院予算委で「八紘一宇」という言葉を称賛したことがある。
⇒2015年3月18日 (水):確信的「無知」の「無恥」・三原じゅん子/人間の理解(10)
稲田防衛相も同類と言えよう。
東京新聞3月10日
稲田防衛相は、平成18年に月刊誌が企画した自民党の国会議員の座談会で、「教育勅語の素読をしている幼稚園が大阪にある」と述べた。
そして、当時、文部科学省が教育勅語を幼稚園で教えるのは不適当としたことに対して、文部科学省の担当者に「教育勅語のどこがいけないのか」と、みずから問い合わせたとしている。
この時点で(は)、森友学園にひと肌脱いでいたのである。
稲田防衛相は、教育勅語の文脈を理解する読解力を持ちえない程度の国語力だということがはっきりした。
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