加計疑惑(7)京産大排除の論理/アベノポリシーの危うさ(218)
獣医学部新設には、加計学園の他、京都産業大学も手を挙げていた。
同大学のプランのウリは、京都大学との連携によるiPS細胞による創薬研究であろう。
以下のような構想である。
獣医学部設置構想について
京都大学は山中伸弥教授をリーダーとする斯分野のトップに位置する。
この構想について、2016年12月8日付の日本経済新聞は、以下のように好意的に評価していた。
京産大は企業と連携しながら、先端分野で家畜を扱うことのできる人材の育成を目指す。府の畜産センターがある綾部市位田町近辺での施設建設を想定している。ブタなどの動物実験をする施設や専門の獣医師になるためのトレーニング施設のほか、薬の安全性、効果を調べてデータを取り出すといった教育ができるようにする。
京産大は鳥インフルエンザの研究センターも持っており、感染症防疫を担う獣医師を育成し、アジア地域の交換留学などを通じ、共同研究も計画している。一方、京都府は北部地域の過疎化に対応するために、規制緩和をてこに綾部市を畜産や製薬、生命科学分野の振興につなげる考えだ。
獣医師はこれまで44%が小動物の診療で、製薬、大学、研究に従事するのは8%程度にとどまっていた。ただ、今では製薬会社の約8割が獣医師を採用するなど、業界内でもこうした人材のニーズが高まっている。
関西では小野薬品工業が新規がん治療薬「オプジーボ」を開発するなど新薬の開発機運が高まっている。よりヒトに近い動物で実験を行うことで、製薬の安全性試験、臓器移植の拒絶反応の抑制といった分野の研究を加速させることに期待がかかっている。
京都産業大で獣医学部構想 新薬の動物実験の専門家育成
このような下馬評があったにもかかわらず、京産大は学部新設を諦めざるを得なかった。
安倍首相が主導する国家戦略特区に付けられた条件のためである。
それは規制のメカニズムには手を付けず、既存の学部が「広域的に」存在ているか否かという条件である。
いわば形式要件を付加することによって、実質的な審査をスルーさせるというものであった。
京産大排除のための条件である。
朝日新聞5月25日
前川氏は「政権から圧力があって、行政判断が歪められた」と言っているのである。
名誉を重んじるならば、進んで真相まで説明せねばならないだろう。
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