森友疑惑(40)籠池告発のムリと長男の反撃/アベノポリシーの危うさ(175)
政府自民党による籠池理事長の告発について、コンプライアンスが専門の郷原信郎弁護士が疑問を呈している。
籠池氏告発には2つの動きがある。
1つは、23日の証人喚問における発言に関して、自民党による告発である。
参院決算委員会では、菅義偉官房長官が「100万円寄付」証言について、籠池氏を偽証罪で刑事告発する可能性にも言及した。これに呼応する形で、自民党の西村康稔総裁特別補佐らが党本部で緊急記者会見を開き“偽証”を立証するために国政調査権の発動を求めていくとブチ上げた。
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この動きについて、郷原氏は「自民党議員による調査はほとんど無駄であり」とまで述べて、偽証告発するのは難しいという。
政府側のスポークスマンである官房長官が、国会での国政調査権に関して、偽証告発を肯定するような発言をするというのはあり得ないことだが、それに加え、既に述べたような全くの「無理筋」である籠池氏偽証告発に向けての調査まで肯定する発言を敢えて行っているのである。
今後、東京地検特捜部は、何らかの「無理筋」の事件を無理やり仕立て挙げて捜査を行い、偽証告発に向けての動きをアシストするというようなこともあり得るのであろうか。
そして、検察庁を所管する法務省は、これからテロ等準備罪と称する「共謀罪」の国会審議が本格化する中で、与党サイドの全面協力を得る必要がある。
このような状況において、籠池氏の「告発」をめぐって起きた「2つの不可解な動き」には、何やら不気味なものを感じる。
籠池氏「告発」をめぐる“二つの重大なな謎”
もう1つは、大阪地検の補助金適正化法違反での告発を受理したことである。
郷原氏は。通常告発やその受理が、当局の側から積極的に公表されることはほとんどないが、今回の「籠池氏告発受理」の報道は、明らかに検察サイドの情報によって行われている、とする。
森友学園が受給していた国土交通省の「サスティナブル建築物先導事業に対する補助金」というのは、「先導的な設計・施工技術が導入される大規模な建築物の木造化・木質化を実現する事業計画の提案を公募し、そのうち上記の目的に適う優れた提案に対し、予算の範囲内において、国が当該事業の実施に要する費用の一部を補助」するもので、木造化・木質化が審査され、それに応じて建設代金の一部について補助金が交付されるものである。森友学園の件については、虚偽の請負契約書が提出されていても、森友学園が交付を受けていた補助金のうち、国交省の審査で、適正とされた部分を控除した「不正」受給金額は、少額になる可能性がある。また、審査の結果、認定された金額によっては、適正な金額が認定されており、不正受給がないという可能性もある。
しかも、森友学園は既に補助金を全額返還したというのである。過去の事例を見ても、よほど多額の補助金不正受給でなければ、全額返還済みの事案で起訴されることはない。
このように考えると、少なくとも今回の籠池氏の補助金適正化法違反の事実については、起訴の可能性はほとんどないと考えざるを得ない。そのような事件で、告発の受理の話が、告発人側とは異なる方向から表に出て、大々的に報道されるというのは、全く不可解であり、何か、特別の意図が働いているように思える。
籠池氏「告発」をめぐる“二つの重大なな謎”
郷原氏は、大阪地検がこの事件を起訴する方向で捜査していく方針であれば、「告発受理」を公表することなどあり得ないから、東京側主導で、「籠池氏の告発受理」が大々的に報道されることになったようだ、とする。
森友問題のウラで共謀罪に対する準備が進んでいることに注意する必要があることは既に指摘しているが、これからの動きに改めて気をつけていきたい。
⇒2017年3月23日 (木):森友疑惑(30)騒動の陰の共謀罪/アベノポリシーの危うさ(165)
それにしても、相次ぐ自滅策という薪が焼べられるので、森友問題は収束しそうもない。
沈黙していた籠池理事長長男の佳茂氏がツイッターで反撃を開始した。
籠池ファミリーVS<政府+与党+大阪維新+α>という構図で、まさに蟷螂の斧であろうが、捨て身の強さがある。
日刊ゲンダイ4月4日
安倍首相の言動に関しては、佳茂氏の言う通りであろう。
当事者の一人として、自分たちが抱えてきた情報を、残らず出したらいいのではないか。
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