森友疑惑(10)幼稚園運動会の園児宣誓/アベノポリシーの危うさ(144)
既にテレビでも放映されているが、森友学園塚本幼稚園の運動会における園児の「宣誓」は衝撃的である。
文字起こししたものを以下に挙げよう。
園児に「安保法制国会通過よかったです!」とまで言わせるか、と思う。
まさにG.オーウェルの『1984年』の世界のように思われる。
G.オーウェルは、第2次世界大戦が終了して間もない1948年に、『1984年』と題する未来小説を発表した。
連合国側に立った旧ソ連が大戦の勝利で発言権を増し、社会主義国が世界地図の上に一定の勢力圏として示されるようになった時点である。
1984年、オセアニア国のロンドンという都会は「ビッグブラザー」に支配されていた。
「ビッグブラザー」は、誰も見たことがないが、支配階級の顔として国民の愛と恐怖の中心として存在する。
主人公W.スミスは真理省に勤務し、新聞のバックナンバーを改訂することを仕事としている。
すなわち、過去の出来事さえも国家に管理されているのである。
1984年時点で、世界は3つの超大国に分かれて戦争をしている。
戒厳令は恒久化し、警察が絶対的な権力を握り、テレビの受像機には視聴者を監視するモニター装置がついている。
個人的な愛やセックスは非愛国的な行為であり、恋をすることは国家に対する反逆者となることである。
恋に陥ったスミスは、電子苦痛装置にかけられ、人間の心の奥に存在する恐怖心を利用した拷問に耐えられず、結局は「ビッグブラザー」を敬愛する人間に変えられてしまう。
現実の1984年は、幸いにしてこのようにはならなかった。
しかし、秘密保護法や共謀罪などによって、少しずつ現実化しているようにも思える。
オーウェルの意図は、社会主義国の思想統制の危険性と虚しさ、にもかかわらず個人としての反抗や抵抗には限界や弱さがあることを表現していると考えられよう。
いま、イギリスやアメリカで、ベストセラーになっているらしい。
トランプ大統領によって、「もう一つの事実」が喧伝されたことなどが原因だという。
「ポスト真実」が復活させた名作である。
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