不適格大臣列伝(9)金田勝年法務相/アベノポリシーの危うさ(127)
安倍首相は、オリンピックを盾に取り、いわゆる“共謀罪”を成立させようと必死である。
⇒2017年1月24日 (火):東京五輪のために共謀罪は必要か/アベノポリシーの危うさ(124)
しかし、実行行為ではなく、想定したり、議論したりという範囲まで対象とするのにはしょせん無理がある。
実行行為があって初めて罪に問われるという法律の原則から逸脱しているからである。
具体的な行為でなく、抽象的な概念で規定しようとすると、恣意的になることを避けられない。
細谷功『具体と抽象』インプレス(2014年12月)
共謀罪のように、要件が曖昧だと、幸徳秋水らが処刑された大逆事件のようなことが起こることになるだろう。
同事件はWikipediaで以下のように説明されている。
信州の社会主義者宮下太吉ら4名による明治天皇暗殺計画が発覚し逮捕された「信州明科爆裂弾事件」が起こる。以降、この事件を口実に全ての社会主義者、アナキスト(無政府主義者)に対して取り調べや家宅捜索が行なわれ、根絶やしにする弾圧を、政府が主導、フレームアップ(政治的でっち上げ)した事件。
フレームアップだったことについては、「邪推の推定」というコラムを鎌田慧氏が書いている。
東京新聞1月31日
参議院予算委員会の審議で、金田勝年法務相がしどろもどろに意味不明の答弁をした。
民進党の福山議員の質問に対する答弁である。
金田法務大臣:「単に化学薬品の原料の一部を入手する行為は、裁判例をみると、組織的殺人の予備にあたるとは言い難い場合もある」
民進党・福山幹事長代理:「具体的な判例を挙げて頂けますか」
金田法務大臣:「ご指摘の点は直接の判例はありませんが、その点は訂正をさせて頂きます。ただ、判例的な考え方を申し上げているんです」
“共謀罪”大臣の答弁が二転三転 曖昧さ浮き彫りに
金田氏の来歴をWekipediaで見ると、概略以下のようである。
秋田県南秋田郡昭和町生まれ。秋田県立秋田高等学校卒業後、現役の時に東京大学受験に失敗し、翌年は東大入試が中止だったため、一橋大学経済学部に入学。
卒業後、旧大蔵省(現財務省)に入省し、主計局に配属。
その後主計局を中心に、大臣官房、国際金融局、国税庁、証券局で勤務。
主計官を経て、1995年に退官。
絵に描いたようなエリートコースと言えよう。
その彼がしどろもどろになる位、共謀罪の要件が曖昧だと言うことである。
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コメント
大学の専攻が経済とはいえ、元大蔵官僚があのしどろもどろは無いだろうと不思議に思っていましたが、2011年に軽度の脳出血で入院・リハビリという記事を読んで納得しました。
あれでは、とても今後の審議に耐えられるとは思えません。スピード強行採決を狙うんでしょうかねぇ?
投稿: | 2017年2月 6日 (月) 12時59分