現代の艶歌・船村徹/追悼(101)
「別れの一本杉」「王将」「矢切の渡し」など多くのヒット曲を生んだ作曲家の船村徹さんが2月16日、死去した。
84歳だった。
東京新聞に評伝が載っている。
まさに五木寛之さんの『艶歌』の世界だ。
主人公「艶歌の竜」のモデルは、馬淵玄三というディレクターであるが、いま艶歌の作曲と言えば、船村さんが群を抜いた存在ではなかったかと思う。
東京新聞の朝刊コラム「筆洗」が船村節を体現したような文章だ。
Wikipedia・船村徹に次のようなことが書いてある。
船村の代表曲のひとつ『矢切の渡し』は元々ちあきなおみに提供した楽曲だったが、細川たかしが歌ったものがヒットし、第25回日本レコード大賞を受賞した。しかし、船村は細川盤のほうがヒットしたことに対して「大複雑」と発言し、「ちあきの歌は(楽曲のイメージの)手漕ぎの櫓で、細川の歌はモーター付の船だ。」という評価を下している。また、ちあきの歌は「鑑賞用」なのに対して、細川の歌は省略法でありカラオケのような誰でも歌える歌い方になってしまっているとも発言している。
美空ひばりに関して、高音(裏声)に良いものを持っていると発言しており、実際に船村がひばりに提供した作品には、高音部分がある楽曲が多い。ただし、母の喜美枝には「苦手だからやめて」と拒否されていた。また、船村自身が高く評価しているちあきなおみと美空ひばりを対比し、「美空ひばりとちあきなおみの決定的な違いは、裏声の出るか出ないかだ」とも発言している。
私にとっては懐かしい唄の数々である。
ちあきなおみや美空ひばりは、まさに艶歌の歌い手ではないだろうか。
ちあきの義兄である宍戸錠は「ちあきの歌の上手さはハンパじゃないんだよ。好き嫌いはあると思うけど、俺は美空ひばりより上手いと思うね。ありとあらゆる流行歌、英語の歌も含めて、ちあきにかなう歌手はいないよ。リズム&ブルースでもゴスペルでもないんだけど、ちあきは心にその二つの精神を持っている。びっくりするぐらい上手い。」と語っている。
Wikipedia・ちあきなおみ
艶歌の時代も終わりということだろうか。
合掌。
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