不適格大臣列伝(13)稲田朋美防衛相(5)/アベノポリシーの危うさ(132)
本当に弁護士資格を持っているのだろうか?
そんな疑念が湧いてくる稲田朋美防衛相の答弁である。
南スーダンの状況について、陸自の日報で「戦闘」と書いてあるのを、法的には、「武力衝突」であって「戦闘」ではない、と説明した。
なぜ「戦闘」ではいけないかと言えば、「憲法9条」があるからだという。
9条問題、言葉で操る 「戦闘」は問題になるから「武力衝突」に
さすがに言霊の国である。
言葉を換えれば、事象がないことになるのだろうか。
「大本営発表」では、「全滅」を「玉砕」と言い、「撤退」を「転進」と言い換えた。
それに倣って、「戦闘」を「武力衝突」と言い換えたということであろうか。
「国会答弁する場合、憲法9条上の問題になる言葉(戦闘)は使うべきでないから、武力衝突という言葉を使っている」――8日の衆院予算委員会での稲田防衛相の答弁が波紋を広げている。南スーダンPKOに派遣されている陸上自衛隊の日報に「戦闘があった」との記載があった問題で、野党の質問に答えた時のものだ。
稲田氏はなぜこんな、持って回ったような答弁をしたのか。憲法9条は国際紛争を解決する手段としての「武力行使」を禁じており、政府は「武力行使とは国際的な武力紛争の一環としての戦闘行為」としている。自衛隊が国連職員などの救助のための駆け付け警護で「戦闘」に巻き込まれ、反撃した場合、9条が禁止する「武力行使」に当たる。そのため、自衛隊日報にあった「戦闘」を言葉通りに認めると、PKO5原則に基づき、すぐにも派遣部隊を撤退させなければならなくなる。
稲田氏の苦しい答弁はそのためだが、「戦闘と言うと憲法9条に違反するから戦闘とは言わない」というのでは、自ら憲法違反を認めたのも同然。語るに落ちるとはこのことだ。
稲田大臣が本音ポロリ 憲法違反になるから戦闘と言えない
「語るに落ちる」というか、論理になっていないことに自ら気がつかないのであろうか。
共謀罪をテロ等準備罪と呼ぶなど、言い換えれば済むと考えている節も窺える。
東京新聞2月9日
いくら言い換えても、全滅は全滅であるし、撤退は撤退である。
憲法の規定を逃れるためという理由は本末転倒である。
安倍首相が好んで使うように、日本は法治国家ではないのか。
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