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2017年1月19日 (木)

トランプ氏大統領就任の影響/世界史の動向(51)

いよいよトランプ大統領が誕生する。
2017年が世界史にどう位置づけられることになるのか、まあ、私の生きている間にある程度の評価が定まるものかどうかも分からない。
初めての記者会見で、CNN記者に質問をさせない姿を見たが、いささか不安になるのは私だけではあるまい。
170113
東京新聞1月13日

「Wedge」誌の1月号が「トランプ革命-期待と不安が渦巻く世界」という特集を組んでいる。
その中に、佐伯啓思『行き詰まるアメリカ近代文明/「普遍的価値」を転換できるか』が載っている。
佐伯氏は、トランプ現象を生み出した背景として、次の2つを挙げる。
1.アメリカ国内における所得格差の拡大、および雇用不安に悩まされる中間層・低所得層の白人労働者層の不満
2.アメリカ人の内向した「本音」を代弁したトランプの「野蛮さ」

1.については、経済的グローバリズムと民主的な政治体制の間の矛盾が格差を生み出した。
先進国のなかで、グローバリズムや金融経済から置き去りにされた層は、政治に不満をぶつけるようになる。
この不満や鬱憤のはけ口は、既存の「体制的」な政治家であり、競合する移民層である。
鬱憤を代弁する政治家が、政権に押し上げられた。

トランプ氏に敗れた側は、アメリカの覇権を確立するため、経済的グローバリズム、IT革命、金融経済化などを推し進めてきた。
しかし、その果実を享受できない国民は、保護主義的な政策を支持したのであり、それは民主主義の帰結であった。
かくして民主主義体制とグローバリズムは矛盾に陥っている。

2.については、アメリカ民主主義の基盤である平等主義、人権主義、多文化主義を「正義」とみつ価値観は、多くのアメリカ人に共有されてきた。
リベラリズムである。
しかし現実には、富裕なエリート層と人種的マイノリティの間には、構造的な格差がある。
これは欺瞞であり、トランプ氏の言動は「本音」のように受け止められた。
これはトランプ氏の見解云々というよりも、アメリカ民主主義の根本的な矛盾である。
ポピュリスト大統領は「パンドラの箱」を開けたのだが、ポピュリズムにしっぺ返しを受ける可能性がある。

問われているのは何か?
富の増大によって人間の幸福を増大しようという近代文明のあり方である。
アメリカ主導で発展してきた近代文明は行き詰っている。
近代社会の「価値」が揺らいでいるのである。

とすれば、それぞれの国がそれぞれ固有の価値・文化に基づいた多様で多相的な政治・経済を相互に承認しつつ共存するしかない。
佐伯氏は、日本はその先陣を切れるはずだ、というが果たしてどうであろうか。

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