真珠湾と歴史認識/アベノポリシーの危うさ(116)
安倍晋三首相が、27日、オバマ大統領と首脳会談を行った後、攻撃で沈んだ戦艦の船体をまたいで建つ追悼施設「アリゾナ記念館」で献花し、それぞれ所感を述べる。
慰霊することは結構なことだとは思うが、アメリカだけに終わるとアンバランスではないか。
⇒2016年12月 6日 (火):真珠湾訪問を意義あるものにするために/アベノポリシーの危うさ(112)
やはり、日米の学者ら約50人が、首相あてに歴史認識を問いただす公開質問状を出した。
「侵略の定義は定まっていない」とした首相の国会答弁の真意や、真珠湾のみならず、中国や朝鮮半島、アジア諸国の犠牲者も「慰霊」する意思があるのかをただしている。
公開質問状を出したのは映画監督のオリバー・ストーン氏や、法学者のリチャード・フォーク・プリンストン大名誉教授、哲学者の高橋哲哉・東京大教授、安斎育郎・立命館大名誉教授ら計53人。
質問状では「日本が攻撃した場所は真珠湾だけではない」と指摘し、安倍首相が2013年の国会答弁で「侵略の定義は定まっていない」と主張したことにも言及。「連合国およびアジア太平洋諸国に対する戦争と、対中戦争を侵略戦争とは認めないということか」と問いただした。
また、26日からの首相のハワイ訪問に関し、「中国や朝鮮半島、他のアジア太平洋諸国、他の連合国における数千万にも上る戦争犠牲者の『慰霊』にも行く予定があるか」とも質問している。さらに日本の「侵略的行為」や「植民地支配」についての首相の歴史認識もただした。
首相の真珠湾訪問、歴史認識問う質問状 ストーン監督ら
首相がどのような所感を述べるのかは分からないが、アジア太平洋諸国に対しての目配りと侵略についての明言を避けるものであると、何のための真珠湾訪問か、ということになりかねない。
東京新聞12月27日
また真珠湾を訪問するならば、沖縄の児童が多数犠牲になった対馬丸の慰霊も忘れるべきではないだろう。
東京新聞12月26日
天皇、皇后両陛下は2014年6月対馬丸犠牲者の慰霊碑や記念館を訪問され慰霊している。
天皇、皇后両陛下は6月27日、太平洋戦争中、沖縄からの学童疎開船「対馬丸」がアメリカ軍に撃沈されて、今年で70年になるのに当たり、那覇市にある慰霊碑「小桜の塔」に供花された。対馬丸記念館も訪問し、遺族や生存者と懇談した。
天皇皇后両陛下、対馬丸の慰霊碑に供花 遺族、生存者と懇談
パフォーマンスとしての慰霊なのかどうかが問われているのである。
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