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2016年12月21日 (水)

トルコ ロシア大使が警察官に撃たれ死亡/世界史の動向(50)

トルコの首都アンカラで19日夜、トルコに駐在するロシア大使が式典でスピーチをしていたところ、警察官の男に銃で撃たれて死亡した。
男はその場で射殺されたが、トルコ語で「アレッポを忘れるな。シリアを忘れるな。この弾圧に加担している者は誰もがツケを払わなければならない」と叫んだほか、アラビア語で「神は偉大なり」と繰り返していたという。

シリア北部のアレッポ県に属する都市アレッポは、シリア最大の都市である。
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シリアは、1946年のフランスの植民地支配から独立後、宗教に基づかない近代西洋的な国民国家を範とする国造りが行われた。
2000年に「先代」ハーフィズの後を襲うかたちで次男のバッシャールが大統領に就任し、実に40年以上にわたってアサド一家による独裁政治が続いていた。
2011年3月、「アラブの春」がシリアにも飛び火した。チュニジアとエジプトでの政変を受けて、シリアでもアサド政権に対して市民が政治改革を要求する声を上げた。

アサド政権は憲法改正など一定の政治改革を行うこと市民の声に応えようとしたが、市民による民主化運動は全国規模へと拡大して行った。
政権は軍・治安部隊を用いて民主化運動を弾圧し、民主化運動も武装して行く。
2011年9月の「自由シリア軍」の結成とそれに続く各地の武装組織の出現である。
シリアにおける「アラブの春」の民主化運動は、アサド政権の軍事的な打倒を目指す革命闘争へと変質したのである。

反体制派には次の3勢力のバックアップがあった。
1.米国、欧州連合、トルコ、サウジアラビアなどの湾岸産油国
2.シリア国外で活動してきた反体制派の諸組織
3.過激なイスラーム主義者

アサド政権側には、欧米諸国の影響力拡大を嫌うロシアと中国と中東政治でサウジアラビアと競合関係にあるイランが支援した。
また、レバノンのイスラーム主義組織・政党ヒズブッラー(ヒズボラ)が、アサド政権側で「内戦」に参戦した。

シリアでの「内戦」は国際的な代理戦争の様相を呈することになったのだ。
国際政治では欧米と露中、中東政治ではサウジアラビアとイラン、そして、国内政治では反体制諸派とアサド政権という三層構造の対立図式ができ上がったのだ。
そして今年12月、内戦が続くシリアの激戦地アレッポから、反体制派が完全に撤退することでアサド政権側と合意した。
しかし、国連の人権機関は政権軍側の兵士がアレッポ市内の反体制派から奪還した地域で、女性や子どもを含む市民少なくとも82人を殺害したと発表している。

まさに泥沼としか言いようのない状態である。
事件に対し、トルコのエルドアン大統領、プーチンロシア大統領、トルコ外務省、米国務省報道官、トランプ米次期大統領、シリア政府などが非難声明を出している。
しかし、アサド政権がほぼ全域を制圧したアレッポに取り残された住民の避難をどう図るかなど、課題は残されたままである。
解決はどのような形でやってくるのであろうか。

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