わが国の軍国化の加速/アベノポリシーの危うさ(115)
わが国の軍国化は完成の域に達しつつある。
南スーダン国連平和維持活動(PKO)に参加する陸上自衛隊部隊が、首都ジュバで7月に大規模な武力衝突が発生した際の状況を記録した日報が、廃棄されていた。
ジャーナリストの布施祐仁氏が情報公開法に基づき、同月7~12日の日報を9月末、防衛省に開示請求したところ、12月2日付で「既に廃棄しており、保有していなかった」とする通知を受けた。
今回の日報廃棄問題であらためて浮かび上がったのは、活動継続への疑念が強い南スーダンでのPKOについて、国民に正確な情報を届けて理解を得ようという意識が安倍政権に依然として薄いという点だ。
同PKOを巡っては、これまでも現地報道を基にした地図を黒塗りにして公表するなど、情報公開に消極的な政府の姿勢が批判されてきた。黒塗りどころか、将来公開される可能性を摘む「廃棄」は、より深刻な問題だ。
ジュバで最初の大規模衝突が起きた、二〇一三年十二月に派遣されていたPKO五次隊の「教訓要報」には、隊員らが防弾チョッキと鉄帽を着用したり、撤退経路を偵察したりという対応が記されている。
これを作成する材料となった日報が存在していれば、国民は当時の状況をより詳しく知ることができた。
まして今回、日報の廃棄が判明した六日間は、陸自の宿営地の隣にあるビルで銃撃戦が起きるなど、一三年に劣らず緊迫していた状況が明らかになっている。日報の廃棄が、検証を難しくした可能性は大きい。
PKO関連文書の保存期間を原則三年間と定めた、文書管理規則が形骸化している事実も見逃せない。今回のように「上官に報告したから」という理由での廃棄がまかり通れば、組織にとって都合の悪い文書はすべて公開せずに済む「抜け道」になりかねない。
PKO陸自、日報廃棄 南スーダン、大規模衝突を記録
安倍カラーは、予算編成を見ても明らかである。
政府の二〇一七年度予算案は、過去最高を三年連続で更新した防衛費や前年度から微増となった公共事業費など、安倍政権が重視する政策がひと目で分かる編成になった。円安という追い風に乗った税収増加に陰りが見えるなかで、政権色を優先した予算のしわ寄せは国民の日常生活に及ぶ。
東京12月23日
いつか来た道を歩むのか?
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