退位に関する有識者会議に対する疑問/天皇の歴史(12)
天皇陛下の退位に関する安倍晋三首相の私的諮問機関「天皇の公務負担軽減等に関する有識者会議」(座長・今井敬経団連名誉会長)が、計3回、16人におよぶヒアリングを終了した。
有識者会議のメンバーは以下の通りである。
官邸サイト
何を基準に選んだのであろうか?
それぞれ社会的地位はあるのだろうが、天皇制に関して造詣が深いわけではなさそうである。
一般社会を代表しているとも言えない。
この有識者会議で見解を披歴したメンバーおよびそれぞれの意見は以下のようである。
退位、専門家の賛否拮抗…計16人の聴取終了
全員を知っているわけではないが、×印の意見を表明した平川祐弘、大原康男、渡部昇一、桜井よしこ、八木秀次氏らは、産経新聞御用達として知られる。
日本会議と親和性の高い人たちと言っても良い。
有識者会議の人選も分からないが、「専門家」の基準も分からない。
八木秀次氏の『「女性天皇容認論」を排す』清流出版(2004年12月)の一部である。
八木氏は、「神武天皇のY染色体が継承されていることが天皇たるゆえん」と、いかにも生物学的な根拠のあるように語る。
Y染色体などというといかにも科学的な認識に基礎を置いたような議論であるが、「皇祖」が神武天皇ではなく天照大神とされてきたことはどう説明するのであろうか?
神武の実在性、継体天皇の出自、壬申の乱の実態等をどう説明するのか?
確かにY染色体は、男系を通じて継承される。
『DNAでわかった 日本人のルーツ (別冊宝島 2403)』宝島社(2016年11月)
しかし、遺伝的要素の影響は、7代経れば1%以下である。
遺伝以外のファクターが圧倒的に大きいのである、Y染色体の継承を声高に論ずる人の認識を疑う。
⇒2007年12月23日 (日):血脈…③万世一系
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