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2016年12月17日 (土)

日ロ首脳会談も空振り/アベノポリシーの危うさ(113)

北方領土問題の解決に向け、新たな展開が期待された安倍晋三首相とプーチン露大統領との会談は、ロシア側の厳しい姿勢を印象づける結果に終わった。
首相自身が「解決には困難な道が続く」と戦略の練り直しを迫られることになったと言えよう。
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東京新聞12月17日

少なからぬ国民が領土問題の進展を期待していたであろう。
例えば、森永卓郎氏は、次のように書いていた。

私はこの会談で北方領土問題の歴史的進展があるだろうと予想している。その理由は、いまこそが、北方領土問題解決の絶好のチャンスだからだ。
 クリミア半島併合にともなう経済制裁だけではなく、原油価格の暴落で、ロシア経済は苦境に陥った。昨年のロシアの国家予算は、歳入の半分を原油売却収入が占めていた。しかし、一昨年の夏には1バーレル当たり100ドルを超えていた原油価格が、昨年末には30ドルに下がってしまった。
 その結果、ロシアの財政は大幅な赤字を抱え、経済も4%近いマイナス成長に転落。今年に入って原油価格は横ばいになったものの、経済制裁は続いているため、今年の経済成長率もマイナスになりそうだ。つまり、ロシアは喉から手が出るほど、日本の援助が欲しいのだ。
 領土を買うわけではないが、日本にとってこれは、絶好の環境と言える。しかも、OPECの減産合意で石油価格に上昇の気配がみられるため、来年はロシア経済が復活する可能性がある。つまり、チャンスはいまなのだ。
森永卓郎の「経済“千夜一夜”物語」 北方領土解決の好機

しかし結果はロシアの主張の範囲であった。
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北方領土共同経済活動 日露「共存」道険し 法適用、食い違い

もちろん領土問題がそんなに容易に進展するとは私も思わない。
しかし北海道大名誉教授・木村汎氏は、完敗と言う。

 会談は日本側の完敗だった。平和条約交渉は事実上行われず、同条約に関する声明や文書が出なかったばかりか、四島での「共同経済活動」の協議開始にすら合意してしまった。今後日本は、これらの「負の遺産」をもとにして、対ロ交渉を行わねばならなくなった。
・・・・・・
 今回ロシア側は大きな成果を収めた。プーチン訪日それ自体によりG7による包囲網を突破した事実を全世界に喧伝(けんでん)できたからだ。
 安倍首相が前のめりの姿勢を示した結果として、プーチン氏は、ロシアが得意とする焦(じ)らしやどう喝、まず高値を吹っかける「バザール商法」などの交渉戦術を縦横に駆使し、最高首脳間の「信頼」関係の存在だけにすがる日本側を子供のように翻弄(ほんろう)した。
「日本完敗、合意は負の遺産」 北海道大名誉教授・木村汎氏に聞く

会談終了直後に配信されたロシア国営「タス通信」は次のように報道した。

 小人数の会談に出席したロシアのウシャコフ大統領補佐官(外交担当)のコメントとして、「両首脳は北方領土での共同経済活動の協議開始に向けた共同声明の内容で合意した」と伝えた。
 問題は具体的な合意の中身で、ウシャコフ補佐官が「共同経済活動はロシアの法律だけに基づいて行われる」と強調したことだ。
北方領土献上も同然 ロシア報道が伝えた安倍首相の裏切り

ロシアの法律の下での活動合意は、ロシアの主権を認めることになる。
「不法占拠された北方領土の主権回復」という原則は崩れたのだ。
アベノミクスの失敗は明らかであるし、TPPの行方も不透明だ。
⇒2016年11月25日 (金):安倍外交は大きな成果か崩壊か/アベノポリシーの危うさ(108)
日ロ首脳会談をステップにして、年明け解散という目論見(解散権の濫用)も雲散霧消せざるを得ないだろう。

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