日印原子力協定批判/アベノポリシーの危うさ(103)
日印両政府は11日、原子力協定に署名した。
日本国内の原発新増設が見通せない中で、政府は成長戦略を原発輸出に求めるということだろう。
東京新聞11月12日
しかし、核拡散防止条約(NPT)未加盟国との協定署名となり、核拡散に繋がる蓋然性は高い。
安倍晋三首相とインドのモディ首相が署名した日印原子力協定により、安倍政権が成長戦略の一環として進める原発の海外輸出は核拡散防止条約(NPT)の非加盟国に広がっ
た。国連で先月、核兵器禁止条約の制定を求める決議案に反対したのに続き、被爆国として核兵器廃絶を訴えるべき立場に逆行する行動が続いている。
日本が原発輸出を決断したのは、米国の存在が大きい。米国など主要先進国でつくる「原子力供給国グループ(NSG)」は二〇〇八年にインドが核実験の自発的な凍結を続ける声明を出したことを受け、原発輸出を特例的に解禁。米国は同年に協定を結び、今年六月には六基の原発建設で基本合意した。
安倍首相は協定署名後の共同記者発表で、協定について「核兵器のない世界を目指すわが国の立場に合致する」と強調した。だが、今回の協定では、原発技術を軍事転用する懸念が消えたわけではない。
協定には、インドが国際原子力機関(IAEA)の査察を受け入れることも盛り込まれたが、査察できる施設は一部に限られる。日本の協力分野には、使用済み核燃料からプルトニウムを取り出す再処理や高濃縮ウランの生産など、核兵器開発にすぐに転用できる技術もある。
NPT体制の弱体化が指摘される中、今回の協定が核軍縮に逆行する動きにつながれば、被爆国としての訴えの説得力は大きく揺らぐ。
被爆国「核なき世界」に逆行
自国の原発事故の収束の見通しがつかない状況で、経済のために原発輸出をするのには反対せざるを得ない。
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