不適格大臣列伝・鶴保庸介沖縄北方相/アベノポリシーの危うさ(104)
安倍首相の人事は不可解である。
鶴保庸介・沖縄北方相は、沖縄県東村の米軍ヘリパッド建設現場付近で、大阪府警の機動隊員が抗議活動をしている人に「土人」と叫んだ問題について、「差別と断定できない」等の発言を繰り返している。
鶴保沖縄相、「土人」発言に持論繰り返す 野党は追及
辞書を見ると、「土人」には次のような説明が載っている。
① 原住民などを軽侮していった語。
② もとからその土地に住んでいる人。土着の人。
三省堂『大辞林』
①のつもりなら差別語、②のつもりなら差別語ではない、と一応は言えるだろう。
鶴保氏は、どちらだか断定できないということであろうか?
多義的な言葉の意味は、文脈で決まる。
常識的に考えて、機動隊員は②としては使わないだろう。
沖縄の現地では、反対運動側から機動隊員に対して、侮辱的な発言もあると聞く。
だからどっちもどっちだ、とは言えない。
鶴保氏が、機動隊員が②の意味で使った可能性があるというのは、屁理屈というものだ。
現地メディアは次のように書いている。
「土人」発言が明らかになった直後、菅義偉官房長官は「許すまじきことだ」と批判した。松本純国家公安委員長は「発言は不適切だ」とし、金田勝年法相は差別用語に当たるとの認識を示した。政府は「極めて遺憾」とする答弁書を閣議決定している。
担当相の発言とは明らかに食い違っており、閣内不一致と言われても仕方ない。
安倍晋三首相は任命権者として「土人」発言と鶴保氏発言について、考えを明らかにすべきである。
■ ■
県民との信頼関係を壊す発言はこれだけではない。
鶴保氏は担当相就任の会見で「消化できないものを無理やりお口を開けて食べてくださいよでは、全国民の血税を無駄遣いしているという批判に耐えられない」と述べた。侮辱的な言い回しで、予算消化できない場合の減額をにおわせたのだ。
県出身自民党議員のパーティーでは、選挙で勝つことと振興策はリンクするという話を持ち出し、辺野古違法確認訴訟の高裁判決前には、「早く片付けてほしいに尽きる」と県民に不快感を与える言葉を発した。
振興策の窓口となってリーダーシップを発揮するのが担当相の役割である。そのために重要なのは県民の声を幅広く吸い上げることだ。
県民と信頼関係が築けない担当相が、沖縄振興にプラスになるはずがない。
社説[鶴保氏放言]よくもまあ次から次に
翁長知事も記者会見で次のように発言した。
「担当大臣として沖縄への理解が進んでいないのではないか。沖縄の歴史がわかれば、そういう発言は出てこないと思うし、なぜ沖縄担当大臣という役職があるのかも含めて議論する機会があれば、しっかりとお伝えしたい」と述べ、今後、鶴保大臣に認識を改めるよう働きかけていく考えを示しました。
翁長知事 鶴保大臣の発言「大変遺憾」
私は「早く片付けて欲しい」などと発言する人を大臣に据えておく任命者の感覚が理解できない。
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