「明治節」復活を目論むアナクロニズム/日本の針路(303)
「文化の日」である。
国民の祝日に関する法律(祝日法)第2条によれば、「自由と平和を愛し、文化をすすめる」ことを趣旨としている。
1946年(昭和21年)に日本国憲法が公布された日であり、日本国憲法が平和と文化を重視していることから、1948年(昭和23年)に公布・施行された祝日法で「文化の日」と定められた。
東京新聞11月3日
ところが、11月3日を、明治天皇の誕生日であることから「明治の日」、昔の「明治節」にしようと、祝日法改正運動を進める動きがある。
明治維新から150年の節目にあたる2018年の実現に向け、超党派での国会議員連盟発足を目指し、1日に国会内で集会を開いたが、、国会議員の参加は14人で、うち自民党以外は2人にとどまった。
この日の集会には約140人が参加。明治の日の実現を求める約63万8千筆の署名が自民党の古屋圭司選対委員長に手渡された。安倍晋三首相に近い古屋氏は「かつての『明治節』がGHQ(連合国軍総司令部)の指導で大きく変わることを強いられた。明治の時代こそ大切だったと全ての日本人が振り返る日にしたい」と決意を述べた。
稲田朋美防衛相も「神武天皇の偉業に立ち戻り、日本のよき伝統を守りながら改革を進めるのが明治維新の精神だった。その精神を取り戻すべく、心を一つに頑張りたい」と語った。民進党からは鷲尾英一郎衆院議員が参加した。
「明治の日」制定求め、自民議員ら国会内で集会
「文化の日」は、現憲法公布の重要な日である。
現憲法が不磨の聖典とは考えないが、大日本帝国憲法(明治憲法)に比べれば遥かに進歩している。
「神武天皇の偉業」に立ち戻り、明治節を復活させようというのは、歴史の歯車を逆回転させようということである。
古屋氏や稲田氏など、安倍首相に近いとされる人々が共有しているのは、恐るべきアナクロニズムと言わざるを得ない。
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