「3.11」は終わっていない/原発事故の真相(150)
昨日の福島沖地震は、「3.11」が未だに渦中にあることを認識させた。
確かに、福島第二原発の使用済み燃料プールの冷却水が一時的に停止したものの、大事に至らずに済んだ。
⇒2016年11月22日 (火):福島原発事故の汚染水対策を急げ/原発事故の真相(149)
しかしそれは、多分に僥倖だったと考えるべきではないのか。
復興庁復興推進委員会委員長代理を務めた政治学者の御厨貴氏は、復興の指針として「災後」の概念を提唱し、単行本として『 「戦後」が終わり、「災後」が始まる』千倉書房(2011年11月)を著した。
しかし、「戦後」は終わっていない、というよりも敗戦が続いている(=永続敗戦)。
⇒2016年6月 6日 (月):伊勢志摩サミットとは何だったのか/永続敗戦の構造(2)
福島第一原発事故も、メルトダウンした核燃料(デブリ)の最終処分をどうするか、方針さえ決まっていないのだ。
⇒2016年8月 1日 (月):『シン・ゴジラ』と福島原発事故/技術論と文明論(60)
福島原発事故はまさに現在進行中の事態であることを再認識すべきであろう。
私は、「自然の怒り」だとか「神の意思」のような表現は使いたくない。
しかし、自然に対して敬虔な態度を失ってはならないだろう。
福島原発事故が収束していないままで、原発を再稼働させたり、他国に輸出したりする神経を持ち合わせていない。
奇しくも斎藤美奈子氏が『シン・ゴジラ』や『君の名は』のヒットを自然災害の記憶と関連づけて論じている。
東京新聞11月23日
自然災害に対して、「怖れ」を失ってはならないだろう。
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