進化と深化/「同じ」と「違う」(101)
安倍首相が17日夕(日本時間18日朝)、米ニューヨークでドナルド・トランプ次期大統領と会談した。
首相が就任前の次期米大統領と会談するのは極めて異例なことだ。
トランプ氏が選挙戦などで環太平洋連携協定(TPP)離脱の意向を示したり、日本に米軍駐留経費の負担増を求めたりしており、しかも官邸はヒラリー勝利を確信していたらしく、大慌てで駆け付けたという感じだ。
そこで早期にトランプ氏の真意を確かめる必要があると判断したという。
首相はトランプ氏を「信頼できる指導者」と評価し、トランプ氏も「素晴らしい友人関係を始められた」との所感を示した。
しかし会談の内容は公開されていない。
トランプ氏の本質はディール(駆け引き)にあると言われている。
就任前のトランプ氏に焦って会うのは足元も見透かされるようなものではないか。
安倍首相の日米の同盟関係を「深化」させたいという気持ちが一刻も早くトランプ氏と絆を築きたいという行動になったのだろう。
しかし、トランプ氏が言ってきた基本的な立場と日本との間には大きな隔たりがある。
東京新聞11月19日
この懸隔を埋めるためには、高度に戦略的な思考が必要だろう。
日米の関係を安全保障面の同盟「深化」だけを追求するのではなく、他の分野を含めて関係を「進化」させる必要があるだろう。
世界の首脳に先駆けて会談をしたからには、「個人的な」ものとは必ずしも言い切れない。
安倍首相は、会談内容をできる範囲で説明する責務があろう。
特に、日米安全保障条約については、米国に日本防衛義務を、日本には米軍への基地提供義務を課している。
米軍の日本駐留費用は条約上、米政府の全額負担だが、日本政府は支払い義務のある土地の借料などに加え、本来支払わなくてもよい費用を含めて約6000億円を毎年負担している。
特に沖縄の基地負担は偏って重く、県民の意思を無視して高江にヘリパッドを移設する問題は、解決の糸口さえ見えない。
このまま強行すれば、深刻な分断を招くだろう。
安全保障以外にも日米が協力して取り組むべき課題は多い。
核拡散、テロ、地球温暖化、難民、貧困などのグローバルな問題にこそ日米が協力して取り組むべきだろう。
安全保障同盟を深化させるのではなく、多様な関係性を進化させるべきだろう。
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