原発稼働に関する野田民進党幹事長の過誤/日本の針路(297)
原発稼働に邁進する安倍政権は未来に対して大きな災厄を遺すだろう。
原発は、「発電コスト」「核燃料サイクル」「高レベル放射性廃棄物の処分場」等々で、もはや行き詰まりは明らかである。
⇒2016年10月 2日 (日):八方塞がりの原発政策は転換すべき/技術論と文明論(74)
しかし、東日本大震災後、全停止していた原発に再稼働の道を開いたのは、現民進党幹事長の野田佳彦氏であった。
野田氏は、民主党政権で首相の座にあった時、2つの大きな過誤を犯した。
第一は、2011年12月に、福島第一原発事故の「収束」を宣言したことである。
「冷温停止状態」になったことをもって「収束」としたのである。
⇒2011年12月17日 (土):フクシマは「収束」したのか?/原発事故の真相(14)
野田氏は、汚染水が垂れ流しであり、デブリ(核燃料の残滓)がどこに、どういう状態であるのかも分からないのに、福島原発事故の「収束宣言」をしたのである。
⇒2015年5月29日 (金):立憲主義の否定は一種のクーデター/日本の針路(168)
福島第一原発事故で、メルトダウンした核燃料(デブリ)をどう処理するのか?
いったん記述された「石棺方式を含め、状況に応じて柔軟に対応する」という計画案が削除され、デブリの状況把握もできていないのが現状である。
⇒2016年8月15日 (月):敗戦記念日の雑感/永続敗戦の構造(4)
野田氏の「収束宣言」が、安倍首相の「汚染水は全体としてコントロールされ、影響はブロックされている」という言葉に繋がっているとも言える。
⇒2014年5月17日 (土):汚染水は完全にブロックされている?/原発事故の真相(113)
⇒2015年1月 5日 (月):福島原発事故による海洋汚染/原発事故の真相(124)
⇒2015年2月26日 (木):汚染水はコントロールされていない/原発事故の真相(128)
第二は、関西電力大飯原発の再稼働に踏み切ったことである。
⇒2012年4月 4日 (水):「大飯原発再稼働」の政治判断?/原発事故の真相(24)
⇒2012年4月 6日 (金):大飯原発再稼働というリトマス試験紙/花づな列島復興のためのメモ(48)
この時点で、原発を再稼働させるべき客観的条件はなかった。
関西電力の経営事情を別とすれば。
現に再稼働に反対する声は強かったのである。
東京新聞10月14日
こうした野田政権の姿が、政権交代による日本の政治の進化を期待した多くの国民を裏切った。
民主党政権は、崩壊すべくして崩壊して行ったのである。
⇒2012年4月10日 (火):暴走が止まらない民主党政権/花づな列島復興のためのメモ(50)
⇒2012年4月13日 (金):拙速に過ぎる政府の大飯原発再稼働判断/原発事故の真相(26)
⇒2012年4月17日 (火):壊れてしまった民主党/花づな列島復興のためのメモ(54)
野田政権は、すぐできる対策は関西電力に任せ、時間のかかる対策は棚上げするという最悪の判断で大飯原発を再稼働させた。
⇒2012年4月23日 (月):なぜ急ぐ、大飯原発再稼働/原発事故の真相(27)
⇒2012年4月25日 (水):大飯原発の再稼働を急ぐ政府を打倒しよう/花づな列島復興のためのメモ(55)
野田氏が幹事長を務める民進党は、新潟県知事選で、脱原発派候補を推せなかった。
電力労連が支持母体だとはいえ、より広範な支持母体から見放されることになるだろう。
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