新潟県知事選に野党推薦の米山隆一氏が勝利/日本の針路(298)
新潟県知事選に、共産、自由、社民3党推薦の医師米山隆一氏が、自民、公明両党推薦の前長岡市長森民夫氏ら無所属3新人を破り初当選した。
最終的な得票数は以下の通りであった。
当 528,456 米山隆一 無新 =共由社
465,044 森民夫 無新 =自公
11,086 後藤浩昌 無新
8,704 三村誉一 無新
米山氏は夏の参院選で共闘した3党や市民団体の要請を受け、告示直前に民進党を離党して出馬した。
民進党は、自主投票を決め込んだが、当初優勢と見られていた森氏に、米山氏が猛追する情勢をみて、重い腰を上げ最終盤に蓮舫代表が応援に入るなど米山氏応援に回った。
民進党にとっては踏み絵となった選挙戦であったと言えよう。
民進党不在の選挙戦になれば、米山氏が勝っても負けても、民進党の責任が問われる。
ひいては存在意義が問われることになろう。
米山隆一陣営・森裕子選対本部長(参院議員)は、Facebookに次のように書いている。
告示まで1週間を切った9月23日に出馬を表明し出遅れたものの、広い本県で1万2千枚のポスターを告示までに貼り終えるなど、短期間に選挙準備を進められたことは奇跡といえる
県内の各地区が夏の参院選で自主的な創意工夫で戦い、培った絆が生き、全県的に緩やかな連携を整えることができた。
選挙戦は、準備の段階で(森民夫氏の)背中が見えない状態ではなかった。(野党の党首らが来県した)今月7日の街頭演説会を盛り上がりのポイントに据え、運動を計画的に広げることができた。
原発の再稼働問題を最大の争点に据え、対立軸を鮮明にしたことが大きい。介護や医療、福祉の現場を知り尽くした米山氏の訴えは説得力を生んだ。民進党の参戦も心強かった。
参院選と同じ轍(てつ)を踏みたくない自民党が組織戦を強め、新しい材料をどんどん提供してくれて、うれしい。二階俊博幹事長が経団連幹部との会合で「電力業界などオールニッポンで対抗を」と訴えたそうだが、これを機に「カネのために原発を動かそうとする中央政府、財界、原子力村」対「命と暮らしを守ろうとする新潟県民」という構図ができた。
もし原発で事故が起きたら、産業振興もコメ作りも吹っ飛び、健康にも被害が及ぶ。泉田知事の悔しい思いを受けてやってきた。無党派層も重視し「県民の力を一つにすれば必ず勝てる。原発の再稼働は必ず止められる」と、最後まで訴えた。
原発再稼働に反対する声が強い中で、当初、4選出馬を表明していた再稼働反対派の現職知事・泉田裕彦氏が突如、出馬を撤回した。
⇒2016年9月 3日 (土):泉田知事の出馬撤退と柏崎刈羽原発再稼働/技術論と文明論(63)
裏で官邸と原発ムラがスキャンダルを使った揺さぶりを仕掛けたとも言われている。
原発ムラの一翼を担っている電力労連は、森氏支持を表明し、民進党に圧力をかけて米山氏の推薦を阻止して自主投票に追い込んだ。
米山氏が優勢という情勢が判明すると、安倍官邸はより露骨な作戦に出た。
13日に安倍首相が自ら泉田知事と会談し、森氏を後継指名するように要請したという。
泉田知事はさすがに拒否したようであるが、安倍首相と会談したという事実は報道され、森氏に有利に働くという計算だという。
しかし、それでも、県民は再稼働反対派の米山氏を支持し、知事に選んだ。
経団連の榊原定征会長は、「東京電力がしっかりと安全対策を行い、県民の方々に安全性について理解を求める。そのうえで知事に冷静な判断をしていただき、再稼働に向けて進めていただきたい」と語った。
余りに新潟県民を侮辱した言葉と言わざるをえない。
原発再稼働が明確な争点として浮かび上がったことが大きい。
東京新聞10月17日
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