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2016年10月31日 (月)

核禁止条約に反対する日本政府/永続敗戦の構造(5)

核禁止条約の制定を目指す決議案が国連総会の委員会で採決にかけられ、123か国の賛成多数で採択された。
しかし、日本は反対に回った。
唯一の被爆国という立場からすれば、条約をリードするのが自然のように思える。
なぜ反対なのか?

要は、アメリカの意向である。

イスナー通信によりますと、情報筋は、「アメリカは25日火曜、NATOの同盟国に対して、核兵器禁止に関する協議の開始を要請する国連総会の決議草案に反対票を投じ、2017年から協議が始まることになれば、それを無視するよう求めた」と報じました。
アメリカは全ての同盟国に対し、核兵器禁止に関する協議に棄権票ではなく、反対票を投じるよう求めています。
核兵器禁止条約の実効は、アメリカとその同盟国の抑止力に直接影響を及ぼします。
さらに核兵器を装備した国々との共同作戦へのアメリカの同盟国の参加にも影響を及ぼすと見られています。
アメリカが、国連の核兵器禁止決議に反対

政府の立場に近い産経新聞の主張(社説)を見てみよう。

 禁止条約と名付けても、核の脅威を除くことにならない。日本や世界の安全保障を損なう空理空論ともいえる。それが世界平和に寄与するかのごとく、国際機関が振る舞うのは残念な姿である。
 安全保障の根幹を米国の「核の傘」に依存する日本は、決議案に反対票を投じた。国民を核の脅威から守り抜く責務がある、唯一の被爆国の政府として、妥当な判断といえよう。
 中国や北朝鮮などの近隣諸国は核戦力増強に走っている。これが現実の脅威であり、米国の「核の傘」の重要性は増している。
 オーストリアやメキシコなどの非核保有国は、核兵器の開発や実験、保有、使用の一切を禁止する条約の制定を目指してきた。
 それら自体は善意から発するものでも、禁止条約の推進が直ちに核兵器の脅威をなくすことはできない。
 今の科学技術の水準では、核兵器による攻撃や脅しは、核兵器による反撃の構え(核抑止力)がなければ抑えきれない。不本意であっても、それが現実なのだ。
核兵器禁止条約 惨禍防ぐ手立てにならぬ

まあ、考え方の違いではあるが、日本の独自性など必要がないということである。
ハフィントンポストは以下のように論じている。

Photo
生物兵器、化学兵器、地雷、クラスター爆弾、これら非人道兵器は、国際的に使用が禁止されている条約がある。しかし、核兵器を禁止する条約は、未だ存在しない
・・・・・・
外務省幹部の言う“核軍縮のプロセス”とは、「段階的なアプローチが唯一の現実的な選択肢」とするアメリカやイギリスなど核保有5大国のやり方を指す。これに対して、急速に核軍縮を目指す国も存在する。その一つがエジプトを中心とするアラブ諸国だ。
エジプトは1974年に「中東非核地帯構想」を提唱して以来国是としており、2010年には、「(中東の)いかなる国も、大量破壊兵器を保有することで安全が保障されることはない。安全保障は、公正で包括的な平和合意によってのみ確保される」と、自国の立場を明らかにした。
中東非核地帯構想にアラブ諸国は賛同するが、NPTに参加せず、核兵器を事実上保有するイスラエルは、「まず、イランなどに対して適用したあとで、イスラエルに適用すべき」というような趣旨の、アラブ諸国とは異なる立場を取る。
核の存在によって、中東地域でイスラエルが覇権を握ることを警戒するエジプトなどアラブ諸国は、2010年に開かれたNPT再検討会議で、中東の非核化を協議する国際会議を2012年に開催することを勧告する内容を条約に盛り込むことを条件に、NPTの無期限延長を受け入れた。しかし、会議が開かれれば、イスラエルの核保有が問題視されるため、結局国際会議が開かれていない。
今回のNPT再検討会議でも、エジプトらは2016年に中東非核化国際会議を開催することをNPTに盛り込もうと提案。しかし、アメリカがイスラエルを擁護して反発し、国際会議を開催する時期について検討期間がないことや、中東各国が平等の立場で、開催合意に至るプロセスが明確化されていない点などをあげ、国際会議の開催を強引に進めるとしてエジプトを名指しで非難。会議は決裂した。
「核兵器禁止」日本は賛同せず 被爆国なのにどうして?【NPT再検討会議】

まさに永続敗戦の構造の露出である。
東京新聞10月29日付の筆洗を掲出する。
161029

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