新劇の巨人・平幹二朗/追悼(98)
戦後日本演劇界の第一線で活躍し、海外でも高く評価された俳優の平幹二朗さんが亡くなった。
東京新聞10月25日
23日夕に世田谷区内の自宅の浴室で倒れているのを家族が発見した。
「幹の会」を主宰し、これまでシェークスピア作品を12本上演した。
映像では、NHK大河ドラマ「樅ノ木は残った」「国盗り物語」で主演した他、多くの映画、ドラマに出演した。
広島市出身。子供のころから歌舞伎などの舞台を見て育ち、高校時代は演劇部で活躍した。1953年に2度目の受験で俳優座養成所に合格。56年に俳優座座員となり、「貸間探し」で舞台デビューした。66年劇団四季の浅利慶太さん演出による「アンドロマック」に出演。2年後に俳優座を退団し、以降、浅利演出作品、蜷川幸雄演出作品などに次々と主演し、演劇界で確固たる地位を築いた。
整った顔立ちにスラリとした長身。深みのある声、明瞭かつ重厚なセリフ術を武器に、空間を瞬く間に支配するダイナミックで緻密な演技は、他の追随をゆるさない存在感を放った。蜷川の海外初進出作品となった78年初演のギリシャ悲劇「王女メディア」では、異形の女形でメディアの怒りと悲しみを造形し、83年のアテネ公演では本場の観客らから絶賛を浴びた。太地喜和子と共演した「近松心中物語」(蜷川演出)の忠兵衛、「NINAGAWAマクベス」(同)のマクベス、「リア王」のタイトルロールなど代表作多数。
俳優の平幹二朗さん82歳 自宅で倒れる
1970年に女優、佐久間良子さんと結婚し、男女の双子をもうけたが、1984年に離婚した。
長男の平岳大さんも俳優である。
「週刊新潮」誌の『私の週間食卓日記』というリレー連載で、元気な父の姿を書いたばかりだった。
週刊新潮9月29日号
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