稲田防衛大臣の資質と適性/人間の理解(18)
稲田朋美防衛大臣が何かと話題になっている。
白紙領収書問題は、政治家の資質というよりも、社会人としての一般常識が問われる問題だろう。
菅官房長官も同様の問題を抱えているうえ、高市総務相は「規正法に領収書の作成方法は規定されておらず、法律上の問題は生じない」と国会答弁をした。
こんな詭弁が通用するのが、国権の最高機関なのだろうか?
⇒2016年10月12日 (水):領収書の金額は相手先が記入すべきもの/日本の針路(295)
稲田氏の過去の発言も問題視されている。
1.核保有に関して
2011年の雑誌対談で稲田氏が日本の核保有を「国家戦略として検討すべきだ」と発言していた。
10月11日の参院予算委員会でも、白真勲氏が「そのような個人的見解を持っている人が防衛相になったから問題なんだ」と、発言の撤回を何度も求めたが、稲田氏は「過去の政治的な発言は、発言の時点でどうだったかという問題であり、この場で撤回するつもりはない」と突っぱねた。
過去の発言について、現在の時点でどう判断するかから逃げてはならないだろう。
2.自衛隊経験入隊義務化
同じ雑誌対談で「若者全員に一度は自衛隊に触れてもらう制度はどうか」と提言している。
社民党の福島瑞穂副党首が「憲法で禁止する意に反する苦役に当たる可能性がある。徴兵制と紙一重だ」と、撤回を求めたが、稲田氏は撤回には応じずに「徴兵制の類いは憲法に違反する。そのようなことは考えていない」とかわした。
3.子供手当を防衛費
稲田氏は民主党政権時代に、「子ども手当を防衛費にそっくり回せば、軍事費の国際水準に近づく」と発言した。
稲田氏は「財源のない子ども手当を付けるぐらいなら、軍事費を増やすべきではないか、と言った」と反論したが、「防衛費」とするべき部分を「軍事費」を言い間違ったことに気づき、答弁をやり直す場面もあった。
価値観の問題であるが、つい軍事費と言ってしまうあたりが本音の表出であろうか。
4.「中国の戦艦」発言
10月4日の衆院予算委で、6月に中国海軍の艦艇が沖縄県の尖閣諸島の接続水域を初めて航行したことを「中国の戦艦が入ってきた」と表現した。
防衛省はこの種の表現にナーバスであり、「戦闘艦艇」が正しい。
「防衛相の資質」に集中砲火 「核保有」撤回せず 「軍事費」言い間違い
稲田氏は10月8日、南スーダン・ジュバの自衛隊宿営地などを訪問し、部隊の活動内容や現地の治安状況などを確認した。
稲田氏は、「ジュバの中の状況は落ち着いているという認識をした」と述べたが、ジュバには7時間滞在しただけだという。
政府は今回の視察結果などを踏まえ、派遣部隊に「駆けつけ警護」の新任務を付与するかどうか判断する方針だというが、自衛隊宿営地などを訪問しただけで、住民の窮状に触れないで判断できるのか、というのは当然の批判であろう。
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