旧姓使用不可判決の非合理/日本の針路(296)
結婚後に職場で旧姓使用が認められないことの非合理を訴えた裁判で、東京地裁の小野瀬厚裁判長は「職場で戸籍上の氏名の使用を求めることには合理性、必要性がある」として、原告の請求を棄却した。
東京新聞10月12日
判決によると、教諭は2003年から勤務し、2013年7月に結婚し、改姓した。
学校側に旧姓の使用を認めるよう申し出たが、「教職員として行動する際には戸籍名を使用すること」とされ、認められなかった。
現在は時間割表や保護者への通知などには戸籍名を使用しているが、教室内では旧姓を名乗り、多くの生徒からも旧姓で呼ばれているという。
判決はまず、旧姓について「結婚前に築いた信用や評価の基礎となる」と述べ、旧姓の使用は法律上保護されると位置づけた。一方で、戸籍名について「戸籍制度に支えられたもので、個人を識別する上では、旧姓よりも高い機能がある」とも指摘。今回のように、職場の中で職員を特定するために戸籍名の使用を求めることには、合理性があると結論づけた。
旧姓使用、なぜ認められなかった 判決読み解くと…
旧姓使用をめぐっては昨年12月の最高裁大法廷判決が、「旧姓使用が社会的に広まっており、戸籍名に変わることでの不利益が一定程度緩和される」ことなどを理由に、夫婦同姓を「合憲」と判断している。
この最高裁判決と今回の地裁判決が矛盾していることは明らかである。
選択的夫婦別姓を求めれば、旧姓を通称として使えばいいとし、旧姓使用を求めれば、戸籍名を使えという。
今回の判決は、男性裁判官3人が判断したが、旧姓を使える範囲が社会で広がる傾向にあることを認めつつ、「旧姓を戸籍名と同様に使うことが社会で根付いているとは認められない」と結論づけた。
「社会で根付いているとは認められない」というのは、実状に反しているように思う。
私の知っている例では、ごく当たり前に旧姓が使用されているし、当該学校の生徒も旧姓で呼んでいるではないか。
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