コカ・コーラGとキリンHDが資本業務提携/ブランド・企業論(59)
コカ・コーラグループとキリンホールディングス(HD)が、清涼飲料事業で資本業務提携するという。
グループ同士で数%ずつ株式を持ち合い、物流と原料調達で連携する。
日本経済新聞10月26日
両社は国内で首位と4位だが、清涼飲料市場は人口減で市場が伸び悩む一方、メーカー数が多く激しい価格競争が続いている。
コスト削減により消耗戦からの脱却を目指す。
米コカ・コーラ日本法人の日本コカ・コーラとキリンHDが、近く提携内容を詰める協議に入る。早ければ年内にも提携契約を結ぶ見通し。コカ・コーラグループが日本で同業メーカーと本格的な協業を手掛けるのは初めて。
国内コカ製品の製造・販売を手掛けるコカ・コーラウエストとコカ・コーライーストジャパンが2017年4月に統合して設立する新会社と、キリンHDの清涼飲料事業子会社キリンビバレッジに、それぞれのグループから出資することを検討する。出資額は数百億円規模の可能性がある。
製品を小売店や自動販売機へ共同配送するなど物流面で協力したり、果汁やコーヒー豆といった原料やペットボトルなど資材を共同調達したりすることを軸に検討する。実現すれば年間数十億円規模のコスト削減効果があるとみられる。
販売やマーケティング面の提携は協議項目に含まないが、将来は製品の相互供給や共同での製品開発に発展する可能性もある。
国内清涼飲料市場の規模は約4兆円に上り、多くのメーカーが激しい競争を繰り広げている。スーパーやドラッグストアでは大容量の飲料が低価格で販売されるなどして収益力が悪化している。
コカは来春に東西ボトラーを統合し、売上高1兆円規模の新会社を立ち上げるなど、コスト削減と収益力強化を進める。15年に国内2位のサントリー食品インターナショナルが日本たばこ産業(JT)の自販機事業を買収。猛追を受けるなか、単独でのコスト削減には限界があるとみて、キリンとの提携に踏み切る。
キリンHDも飲料事業の収益力の低さに悩む。15年12月期に1.5%だったキリンビバの営業利益率を18年までに3%に引き上げる目標を掲げている。10%強の国内シェアの中で成長を維持するには中長期でさらなるコスト削減を進める必要があると判断した。
コカ・コーラとキリン提携 清涼飲料で相互出資
清涼飲料市場は人口減で伸び悩む中、合従連衡の動きが活発だ。
2011年にサッポロホールディングスがポッカコーポレーションを子会社化し、2012年にはアサヒグループホールディングスがカルピスを買収した。
両社とも具体的な提携内容や出資比率などは発表していないが、小売店や自動販売機への製品の配送や、原料と資材の共同調達などを軸に、グループの枠を超えて連携することで優位性を確保しようということだ。
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